微生物「燃料電池」が1台3役、きれいな水+

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微生物「燃料電池」が1台3役、きれいな水+電力+リン

本記事はモノづくりスペシャリストのための情報ポータル MONOist から転載しています。

岐阜大学流域圏科学研究センターの廣岡佳弥子准教授と市橋修特任助教の研究グループは2014年12月2日、微生物燃料電池を使って、有用な元素であるリンを廃水から除去回収することに成功したと発表した。廃水を浄化でき、電力も得られる。

畜産廃水を浄化するだけでなく、同時に電力を得、貴重な「リン」を回収することができる。岐阜大学流域圏科学研究センターの廣岡佳弥子准教授と市橋修特任助教の研究グループが「微生物燃料電池」を用いて証明した成果だ。
 微生物燃料電池を大規模化することができれば、外部電力の利用を抑えながら廃水処理とリンの回収を実現できる可能性がある(図1)。「省エネ+輸入資源の国内調達」が可能になる。

図1 微生物燃料電池を中心にしたリンの循環 [ 出典 ] 岐阜大学
なぜ「リン」を回収するのか

今回の成果ではリンを回収できたことが新しい。「微生物燃料電池を用いてリンを廃水から除去回収できるという主張を掲げ、定量的に証明した」(廣岡氏)。これが世界初の成果だという。
 廣岡氏の問題意識はこうだ。廃水処理の基本的な役割は水に溶け込んでいる物質を除去することにある。特にリンの除去が重要だ。リンを含んだ水を周囲の水域に排出すると富栄養化を引き起こす。例えばアオコなどの異常繁殖につながり、環境破壊につながる。
 リンは役に立たない廃棄物などではない。農業に必須の肥料(リン、窒素、カリ)のうちの1つだからだ*1)。大量のリンを簡単に回収する技術には意味がある*2)。
*1) リンはDNA分子の他、細胞内でエネルギーを受け渡すATP分子に含まれており、代替は効かない。リンがなくては生命は成り立たない。
*2) リサイクルしない場合、リン資源は鉱石の形で採掘しなければならない。リン鉱石の分布は世界の特定諸国に偏っている(経済埋蔵量の4割がモロッコ、3割が中国)。研究者によれば、日本のリン鉱石輸入量は年間80万トン。生活廃水や人畜排せつ物には30万トンのリンが含まれているという。

微生物の力を借りて回収

微生物燃料電池とは、有機物を二酸化炭素と水素イオンに分解する微生物の自然な能力を利用した燃料電池だ。
 廣岡氏のグループが採用した微生物燃料電池は、1つの水槽内に負極と正極を置く1槽式。正極の一部が大気中に露出しており、酸素を取り込む*3)。
 微生物燃料電池の大まかな動作は図2の通りだ。左側の負極側では微生物が有機物を二酸化炭素と水素イオン、電子に分解する。電子は電池の外で仕事をした後、正極に至る。正極側では水素イオンと酸素が電子を受け取り、水を生じる。
 微生物燃料電池では、発電微生物が活動しないと反応が進まない。「実験に用いた微生物燃料電池の寸法は数十mL〜数百mLという規模のもの。ここに養豚廃水と少量の水田土壌を加えて運転を続けると、発電微生物が増える」(同氏)。
*3) 2槽式では1槽式とは異なり、水槽の中央をイオン交換膜で区切る。その上で正極側の水中に空気を供給する(曝気する)。

図2 微生物燃料電池の動作 [ 出典 ] 岐阜大学

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