MacにおけるWindows環境利用の理想と現実

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アナタに代わって聞いてきました!ザ・キーマンインタビュー

MacにおけるWindows環境利用、その理想と現実

2015/12/21

 一般的な企業では、Windowsをベースとした業務システムが基盤として採用されており、その上で稼働する業務アプリケーションもWindowsで動かす前提で作られているケースが多い。ただ、最近ではMacintosh(以下Mac)端末を業務で使いたいと考える人もおり、メイン端末をOS X搭載のPCに切り替えるケースも現れ始めた。しかし、その際には、社内のWindowsアプリケーションをMac上でも利用できるように環境の整備が必要だ。そこで、社内のMac利用に関する手法や展開時の注意点について、Mac関連のソリューションを提供している三谷商事株式会社に詳しく聞いた。

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三谷商事

情報ソリューション事業部
東京支店 東京テクニカルソリューション課
荒牧 保司 氏

情報ソリューション事業部
東京支店 東京営業課 担当課長
早見 修一 氏

情報ソリューション事業部
東京支店 東京テクニカルソリューション課
細川 保子 氏

企業におけるMac端末の利用状況

Question

業務の中でMac端末を利用する企業は増えていますか。

Answer

染谷 顕正 氏

 Windowsで構成された基幹システムが中心となる企業システムにおいて、まだマイノリティ的な存在ではありますが、Macを利用している人は増えつつあります。これまでMacといえば、DTPなどを行う制作端末としてデスクトップが中心でしたが、MacBook Airの登場によってモバイル性能が高まり、さらにWindowsに比べてハードウェア的にコストパフォーマンスが高いこともあり、営業部門がモバイルワークで使うというケースが増えている印象です。ディスプレイの精彩度合いもWindowsに比べて高く、客先でのプレゼン時に求められる機能がハードウェアに備わっていることで、Windows端末をMacBook Airに切り替えるというケースはよく聞きます。

 他にも、メーカーの冠が付いている企業に伺う機会の多い広告代理店などの営業部門ではMacが選択されるケースが増えています。A社製のPCを持って別のPCメーカーB社関連の企業を訪問する、という事態は避けたいところでしょう。Appleデバイスであれば、どこの客先でも体裁は保てると考えて導入する方も少なくないのです。

Question

Macを業務に活用している企業の業種や業態に特徴はありますか。

Answer

 我々がアプローチしている業界の話にはなりますが、広告代理店や我々のようなIT企業は多く採用しているケースが見られます。学校で教育端末としての広がりもあるように聞いています。ただ、最近ではBYODやCYODなど端末管理のあり方にも新たな流れがありますので、業種業態にこだわらず個人の希望に応じてMacを使うケースは増えていると思います。

Question

Macをメインの端末として使っていても、結果としてWindows環境を動かす必要が出てくるのでしょうか。

Answer

 業務アプリケーションはWindowsベースのものが今でも中心であるのは間違いありませんので、何からの方法を用いてMac上でWindowsを動かす必要が出てきます。我々が協賛して2014年12月〜2015年1月にかけて実施したアンケート結果では、「職場でMacでは動作しない/動作に問題があることが課題になっているシステム」について、19.4%の方がMicrosoft Office系システムに課題があると回答しており、基幹系業務(会計・販売・人事給与など)が12.6%、ファイルサーバーが6.1%と続きます。少なくとも既存のWindows環境をMac上で動かす必要性があることがこの結果からも読み解けるはずです。

 なお、Mac上でWindows環境を利用する方法については、「Mac上で動作する仮想環境」が41.0%、「BootCamp」が28.6%、「Mac上でWindowsは利用しない」が24.8%、「リモートデスクトップ系(Citrix Presentation Server/旧称MetaFrameなど)」が3.8%、「サーバー上の仮想デスクトップ(VDI)」が1.9%という回答を得ています。

Question

アンケートの結果と実際の現場の運用にかい離は感じていますか。

Answer

 先程のアンケート回答者の属性が若干コンシューマ寄りの部分はあるかもしれませんが、我々が現場で感じている感覚と大きく乖離している印象はありません。

 エンジニアによる現場でのキッティングでは、Mac上で稼働する仮想環境を展開するケースが多く、なかでも持ち出し用PCにキッティングするケースが増えています。基幹業務で利用している一部のアプリを使うために、Macを使いながら切り替えが簡単な仮想環境を選択する方が多いようです。ちなみに我々社内の場合、見た目はMacを利用しているように見えるものの、実際にはBootCampでWindowsを動かしている人間も大勢います。


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Mac上でWindowsを利用する際のポイント

Question

Mac上でWindowsを利用するための方法について、それぞれの特徴を教えてください。

染谷 顕正 氏

Answer

 まず、BootCampの場合は、Macのハイスペックなハードウェア資産をフルに活用できるのが特徴です。Macをフルで使えるだけでなく、Windowsに切り替えれば、スペックを損なうことなく活用できます。

 次に、Mac上で稼働する仮想化ソフトウェアを活用する際の特徴は、Mac上で再起動することなくWindowsに切り替えて活用できる点です。普段はMacを使っているものの、どうしても業務システムでIEを利用しなければならない場合、ログアウトせずともその場で仮想的にWindowsを稼働させ、IEが利用できるようになります。最近では、Mac上でIEが稼働しているように体感できるシームレス機能が実装されており、違和感なくIEが活用できるようになりました。代表的なソフトウェアとしては、VMware FusionやParallels Desktop、フリーソフトではVirtualBoxなどが有名です。

 そしてVDIは、セキュリティを高めることが可能な点が大きな特徴です。詳細に管理したいという情報システム部門のニーズに応えてくれる方法でもあり、個人情報を含めた機密情報を社外に持ち出させないような環境を作ることができます。ただ、コスト的な課題は残ります。

Question

運用でつまずきやすいポイントはそれぞれありますか。

Answer

 すべてに共通して言えるのは、Windowsに慣れている人からすると、キーボード操作に使いにくさを感じることがあるようです。ただし、Windowsと同じような操作感にキーを変更するツールを活用するなど、解決可能な部分もあります。

 個別で見ると、例えばBootCampはOSをインストールすることと同じことであり、万一失敗すると致命的な事態を引き起こす可能性は否定できません。仮想化ソフトウェアは致命的な事態になりにくいですが、若干癖があります。きちんとキッティングされた仮想環境のWindowsを、ファイルサイズは大きいものの、そのままユーザに配るといった方法であれば、トラブルを最小限に抑えることができるはずです。

Question

運用上の課題は当然あるわけですね。

Answer

 運用上のトラブルを避けるために、Mac利用者にWindows端末も提供し、2台並べて使ってもらう方法を採用する企業も少なくないのです。コストはかかりますが、現場でよく見る光景です。Macをイレギュラーな端末として扱ってしまえば、Windowsで作った既存ルールを変更せずに済みます。限定的なルールだけを守ってもらい、あとは自己責任で運用してもらう。フルサポートができない前提でMacを利用してもらうわけです。

 ただ、最近はMacを利用したいと声を挙げる人が増えてきたことで、少し潮目が変わってきているように感じています。少し前までは、Mac中心の制作現場でWindowsを使ってもらうことでMacを排除していくという流れがありましたが、今では需要の高まりを受けてメインマシンとしてMac導入が検討されるなど、正規の端末として考えていく必要性がでてきています。

Question

アンケート結果ではVDI利用者が少ないようですが、どんなケースで採用されるのでしょうか。

Answer

染谷 顕正 氏

 まず、一般的にクライアント環境をサーバー側で実現する方法としては、アプリケーション仮想化などに代表されるServer Based Computing(以下SBC)方式と、デスクトップ全体を仮想化するVDI方式があり、双方を組み合わせて展開するケースも少なくありません。例えばある大学病院では、電子カルテやオーダーエントリー、医事会計システムなど様々なアプリケーションがクライアントサーバー型のシステムで構築されており、医師が日常的に使っているMacやiPad、Andorid端末でも利用できるよう、OSに依存しない環境作りが求められていました。セキュリティの担保は大きな要件でしたが、コストとのバランスを考慮した結果、最終的にはSBC方式を採用したという事例があります。

Question

SBC方式とVDI方式はどのような視点で選び分けを行うべきでしょうか。

Answer

 クライアント側にデータを置かない運用であれば、どちらの場合でも同様のセキュリティレベルが担保できます。ユーザごとに個別のアプリケーションをインストールしたい場合はVDI方式ですし、管理の容易性を高めるのであれば、ユーザ共有でアプリケーションを利用するSBC方式を選んでいくことになります。Macを前提にした場合、おそらく一部のWindowsアプリケーションを利用したいというニーズが圧倒的に多いはずですので、そうなるとSBC方式のほうがVDI方式に比べて多くなってくると考えられます。

Question

VDI方式が活かせる場面はどんなケースなのでしょうか。

Answer

 VDIの良さは、様々な端末からでも同じ環境が利用できることです。どこからでもサーバー上にある1つのデスクトップに入っていくことができるため、複数の端末を使い分けている人に便利です。自宅のPCからアクセスする在宅勤務や、複数のオフィスで仕事をするといったワークスタイルの方にはVDIが最適なソリューションになってくるはずです。

 選択肢としては、管理性能も考えるとVMware、Citrixの2強というのが現状です。どちらも互いに追い付け追い越せの状況でほぼ似通っていますので、選択の際には双方を試していただくことをお勧めします。

Question

VDIを利用する際の懸念点や課題などはありますか。

Answer

染谷 顕正 氏

 VDIはリモートからの接続が中心となるため、帯域のサイジングはしっかり考える必要があります。数人であればさほど帯域も消費しませんが、同じ建屋にいる100人が1つのサーバーに対してアクセスするといった場合、WindowsのRDP(Remote Desktop Protocol)ではそれなりの帯域を消費します。また、月次でプリント処理が大量に行われたり動画サイトを頻繁に見たりなど、実際の業務によっては、帯域の綿密なサイジングが必要になってきます。ただし、VMwareのPCoIPやCitrixのICAなど、小さな帯域でも快適に動作させるようなプロトコルが各ベンダから提供されており、以前よりも快適に動作させることが可能になっています。

 ちなみに、よく実装する構成としては、サーバー側にはMicrosoftのHyper-VやVMwareを、VDIについては前述した通りVMwareかCitrixが選択され、VMwareとCitrixの組み合わせなども一般的に行われています。すでにサーバー側でVMwareが使われていると、コスト的なメリットから、VMware のVDIを選択するケースが散見されます。

Question

他に課題になりやすい部分はどんなことでしょうか。

Answer

 お客さまのニーズや具現化するための方式が多様化しており、「こんな場合はこのパターン」という入り口にたどり着くのが大変なところでしょうか。実際にお客さまからお話を伺い、それを満たすためのサーバー構成はどんなものが最適なのか、SBCやVDIなどをどのように使い分けるのかなど、ベストな構成にたどり着くまでのプロセスでとても苦労します。お客さまの中にモンスターユーザが1人でもいると、帯域の問題から他の人がなかなか使えないというケースだって考えられます。拠点の数やアプリケーションの種類、その使い方を加味しながらサイジングしていくのは、お客さまだけでは困難なのが現実です。我々のようなSIerと一緒になって進めていただければと思います。

Question

サイジングのために事前に負荷テストなどは行うのが一般的でしょうか。

Answer

 負荷テストは行うのが一般的です。人の手で行ったり一斉ログインを行うツールを使ったり、その方法は様々ですが、理想としては一斉ログインを実際の環境でやりたいというのが本音です。VDIは結局リソースとの戦いになるため、一番負担のかかるテストはぜひやっておきたいところです。

Question

導入した後につまずきやすいポイントはありますか。

Answer

染谷 顕正 氏

 例えば100名規模で導入したいが、いきなりすべての環境を移行していくのは厳しいところもあります。そこで、1台のサーバーを立てて20名規模で使ってみるといったスモールスタートが一般的です。ただし、スモールスタートから拡張していくのは技術的に難しく、実際の利用環境に直接手を入れて拡張していくには、ノウハウが必要です。VDIの場合はメインの端末として使っていただいているケースも多く、サーバーを落としてしまうと全員業務ができなくなります。スモールスタートの際には冗長性が考慮されていないケースも多く、冗長性を担保しながら広げていくには、それなりの工夫が必要です。

Question

教育面で注意すべき点はありますか。

Answer

 VDIをはじめとした仮想化の場合、ログインして使っていく流れは既存環境と変わらないため、エンドユーザ側のトラブルはさほど起こりません。しかし、管理者に対しては新たな教育が必要になってきます。まずは仮想化についての考え方をしっかり理解していただいた上で、デスクトップ環境における正常性の確認などルーチン的なワークをしっかり確立していただく必要があります。また、メンテナンスという観点になると一段レベルが上がり、障害時の切り分けや調子の悪い端末についての作り直しやデータ移行の方法など、仮想化ならでの管理手法を理解する必要があります。

Question

今後、MacにおいてWindows環境のVDIが広がってくるとお考えでしょうか。

Answer

 在宅勤務やBCP対策など今後もニーズは広がってきますし、これからはVDIもクラウドの世界で広がってくると考えています。実は社内でも小規模ながらVDIを展開しており、BCP対策として導入しています。ただし、クラウド環境ではありません。

 VDIをBCP対策の視点で考えて自社で設備を用意した場合、大規模災害時にはアクセスが集中してしまい、平時とのギャップが大きくなってしまう可能性があります。そうすると、使うときだけ課金され、万一のときにはスケーラブルに活用できるクラウドが活きてくるはずです。まさにDaaSの世界です。

 また、自社でVDI環境を作る場合、例えば電源をシャットダウンする際には管理者自ら電源のオンオフを行う必要がありました。しかし、クラウドの場合は管理機能として電源のオンオフが行えるようになっており、ユーザ側にクライアント環境を完全に引き渡しできるようになります。クラウドを利用することで、管理者レスという環境を実現することも可能となります。運用管理の負荷軽減という面でも、VDIにおけるクラウドの活用は今後も進んでいくことでしょう。


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取材協力

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1914年の創業依頼、そのフロンティアスピリットで事業領域を拡大してきた老舗ベンチャー企業。現在、「情報システム関連」「建設関連」「エネルギー・生活事業関連」の3分野を軸に事業を展開。「情報システム関連」事業では、システム開発・ネットワーク構築を得意分野とし、時代の先端を行くシステムインテグレータとして、国内展開に加え海外展開も図っている。


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