iPad企業活用を成功に導くポイント(前編)

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アナタに代わって聞いてきました!ザ・キーマンインタビュー

iPadの企業活用を成功に導くためのポイント(前編)

2015/10/19

ビジネスシーンでもiPadなどタブレットの活用が普及している。しかし、単純に「iPadを配れば上手に活用してくれるだろう」というアプローチでは失敗に終わることが多い。また、個人所有のデバイスを利用するBYODという取り組みに対して情報システム部門は難色を示すケースも。スムーズに導入を成功させるためのポイントは何か?

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山平 哲也 氏

マーケティング本部 ビジネス開発部
新ビジネス企画室 室長
山平 哲也 氏

マーケティング本部 ビジネス開発部
新ビジネス企画室 グループマネージャー
椿 健太郎 氏

マーケティング本部 ビジネス開発部
新ビジネス企画室 スペシャリスト
藤井 茂樹 氏

導入失敗、最大の原因は「取りあえずiPad配ろう」

Question

iPadを導入したいという企業は、今日、どのような状況にあるのでしょうか?

Answer

ユニアデックス株式会社:山平 哲也 氏

 これから新規にiPadを導入しようという企業が多いという状況ではありません。むしろ、既に導入している企業では、数年前に導入したiPadの機種交換を考えるという段階を迎えています。タブレット端末は2〜3年くらいのスパンで入れ替えていくものですから、2010年に登場した初代iPadを導入した企業であれば2回目の機種交換を検討している段階かもしれません。

 以前、よく聞かれたのは「取りあえずiPadを配ろう」というあいまいな目的での導入です。それで満足のいく結果が出ているかと問われれば、そうではありません。もともとスキルがある人は上手に使いこなしますが、そうでない人は机の引き出しに入れたままになりかねません。ですから、何のために導入するのかという目的や用途をある程度決めてからiPadを導入する企業が増えてきています。

 実際の活用シーンでいえば、まずメール、スケジューラ、Web上に公開されたコンテンツやサービスの利用などが思い浮かびます。また、カタログアプリのような簡単なものを含めて特定用途のiPadを導入されるケースは引き続きボリュームゾーンです。自社で業務アプリを開発してiPadで活用しているといった企業も徐々に増えてきている状況です。

Question

iOSコンソーシアムのワーキンググループとして『iPhone・iPad企業導入ガイドライン BYOD/COPE実践の手引き』という書籍を上梓されました。BYOD(Bring Your Own Device:個人所有のデバイスを業務に利用すること)とCOPE(Corprate Owned, Personally Enabled:会社支給のデバイスの私的な利用を認めること)、日本の企業ではどちらのほうが割合として多いのでしょうか?

Answer

 COPEという概念はまだまだ浸透していません。明示的にCOPEをうたってiPadを導入している企業は非常に少ない。ほとんどの企業がCOPEからPE(私的利用を認める)を取った状態です。つまり「会社の支給端末でやっていいことは業務だけ」という使い方です。一概に従業員数で分けていいのかという側面はありますが、企業規模が大きくなればITガバナンスを安全な方向に効かせる傾向にありますので“COだけ”の割合、つまり私的利用を認めない割合が高くなります。

 一方でBYODですが、一般的には中小企業や業種的に自由度が高い企業になるとその割合が多いように感じます。IT業界では「クラウドファースト」「モバイルファースト」といった言いまわしをしますが、日本の大企業になればなるほど「セキュリティファースト」が優位になってくる感じですね。


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ルールを決めてBYODを認めることでシャドーITは減らせる

Question

「BYODはコスト削減に効果がある」とメディア上でもてはやされた時代がありました。しかし、その多くは失敗したと聞きます。

Answer

 そもそもBYODが「コスト削減策として有効か」という疑問があります。BYODは必ずしもコスト削減に直結する話ではありません。BYODを実現するために増えるコストはどうしても発生します。コスト削減の万能解としてBYODを挙げるという整理そのものがミスリードではないかと感じています。BYODによって得られるメリットはいくつもありますので、それをきちんと理解したうえでBYODという手段を採用しましょうという話です。

Question

それではBYODを導入する際のメリットとは何でしょうか?

Answer

ユニアデックス株式会社:藤井 茂樹 氏

 具体的なメリットを1つ挙げるならば、「自分が使いなれている端末で仕事ができる」ということで、仕事の自由度やワークスタイルが広がる可能性があります。「満足度向上」、平たく言えばモチベーションが下がりにくくなるということです。例えば、米国のベンチャー企業ではBYODが一般的です。シリコンバレーの企業で「会社貸与のパソコンを使いなさい」と言っていると、優秀な人材が集まらなくなります。企業視点ではなく、ユーザ視点でBYODを考えることによって新たな企業価値を生み出しています。

 企業視点でBYODを語ると、どうしてもガバナンスやコスト削減という要素が入ってきてしまいます。しかし、既にスマートデバイスを1人1台以上所有する時代です。そもそもBYODという考え方の根底にあるのは「自分は便利なデバイスを既に持っている。これを使ったらもっと仕事がやりやすくなるだろう。だから、使わせてほしい」というユーザ側の発信なのです。このような前提があって「企業としては好き勝手してもらっては困る。だから、使っていい範囲はここまでにしてほしい」というせめぎあいが生じてくるわけです。

 企業がルールを決めてBYODを認めることで、シャドーITが減らせるというメリットもあります。従業員が勝手にやっているBYODと、企業が制度として導入しているBYODは別物として考えるべきでしょう。

 BYODを積極的に推進する米国企業は“緩い”ように思われがちですが、実際にはデータに対するセキュリティは非常にシビアです。ユーザのiPadであってもリモートワイプがオンになっていなければ企業内で使わせません。誰かがiPadを紛失したら、その中に入っているデータを全て消去します。その際、「なぜ私のプライベートの写真まで消したのか」という訴訟を起こされる可能性があります。ですから「万が一の場合にはこのような対応をします」といった事前の取り決めが必須になります。


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日本企業ではBYODよりもCOPEのほうが導入しやすいのでは?

Question

COPEは日本企業に浸透するのでしょうか?

Answer

ユニアデックス株式会社:椿 健太郎 氏

 iOSコンソーシアムのワーキンググループにおける議論では、日本企業はむしろBYODよりもCOPEのほうが向いているのではという意見が大勢を占めました。これまでパソコンは会社から従業員に貸与する形が一般的でしたし、その調達のための仕組みがしっかりと構築されています。iPadの場合、アプリのセッティングや通信料やサービス利用料などの支払いといった準備も必要になりますが、既存の仕組みの中に組み込むことは容易です。

 これまで情報システム部門では、企業の内部と外部をファイアウォールで隔てようというシンプルなルールで考えることが一般的でした。まさにBYODのハードルの高さは、企業のIT資産の中に個人の端末を接続するという部分の“気持ち悪さ”に起因します。COPEであれば企業のIT資産を、ルールを設けたうえで個人に一部解放する形になります。

 万が一、そこで問題が発生しても事前に取り決めたルールによって「個人の責任だ」と企業が明確に主張できるわけです。企業としての説明責任を分かりやすい形で果たすことが可能になるということです。むしろ、COPEの導入によって会社支給のiPadの個人利用の範囲を明文化したほうが、見えないところで何かをやられるというリスクが回避できます。

 iPadを始めとするスマートデバイスの企業での活用は、典型的なコンシューマライゼーション(企業内で消費者向けIT製品を利用すること)です。パソコンが企業に普及した頃のように「そもそも業務で使うもの」ではなく、既にプライベートで当たり前のように使われていて、それを仕事“でも”使っていいという形になります。ですから、企業は「何が何でも管理すればいい」という姿勢を打ち出すことよりも、「何かあったときにきちんと説明できますよ、監査もできますよ」という点を担保できる体制を整えるべきでしょう。


●後編(2015年10月26日掲載)に続きます。


取材協力

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IoT時代におけるICT基盤の専門家として、サーバー、ネットワーク、デバイスなどを統合的に取り扱い、ICTインテグレーション、システムマネジメント、ファシリティ、保守サポート、グローバル対応、クラウドフェデレーションサービスなどを軸に、お客様とともに「同じ未来を想うことから」はじめることでICT社会基盤を支えるべく日々進化している。2014年3月には、株式会社ネットマークスと統合。


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