太陽電池「改善せずに」効率向上、40%超

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


太陽電池「改善せずに」効率向上、40%超

本記事はモノづくりスペシャリストのための情報ポータル MONOist から転載しています。

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW)と同RayGen Resources、Australian Renewable Energy agency(ARENA)は、2014年12月、集光型太陽電池において、変換効率が40.4%に達したと発表した。今回の成果は手法に特徴がある。市販の2種類の太陽電池セルを組み合わせ、光フィルターを用いて性能を高めたからだ。

オーストラリアのニューサウスウェールズ大学(UNSW)と、同RayGen Resources、Australian Renewable Energy agency(ARENA)は、2014年12月、集光型太陽電池において、変換効率40.4%に達したと発表した*1)。
 今回の成果は変換効率を高める手法に特徴がある。30%を超える変換効率を得るには、複数の異なる種類の半導体を垂直に積み重ねる多接合方式に限られるといってもよい。それぞれの半導体が太陽光に含まれる異なる波長の光を効率よく吸収することで変換効率が高くなる。つまり多接合半導体自体の性能を高めることが、変換効率向上に欠かせない。
 例えば、2014年12月に4接合太陽電池セルを用いて、変換効率46.0%という世界記録を達成したフランスSoitecなど3つの団体だ。数mm角の非常に高性能な太陽電池セルを開発して記録を実現した*2)。
*1) ARENAはUNSWが主導し、米Spectrolabと米Boeingが参加する「Power Cube」プロジェクトに55万オーストラリアドルを投じている。同プロジェクトの目的は大規模集光型太陽光発電所の初期コストを低減すること。本文中にある光フィルターを利用した構造を用いて、コストダウンを図る。
*2) なお、UNSWなどの記録と、Soitecなどの記録は直接比較できない。UNSWは屋外(シドニー)で変換効率を確認しており、第三者機関であるNREL(米国立再生可能エネルギー研究所)も屋外で追認している。Soitecは屋内で測定し、第三者機関である産業技術総合研究所(AIST)も疑似太陽光を用いた標準試験で検証しているからだ。

光フィルターで太陽光を二分する

UNSWの手法は違う。太陽光を光フィルター(光学バンドパスフィルター)に通じ、異なった種類の波長からなる2つの部分に分け、一方を3接合太陽電池セルへ、他方をシリコン太陽電池セルに当てる(図 1)。これを「spectrum splitting技術」と呼ぶ。3接合太陽電池セルは米Spectrolabから市販品の提供を受け、シリコン太陽電池セルも比較的安価な製品を利用したという。
 2種類の太陽電池セルに最も適した光を送ることで変換効率を高める仕組みだ。この手法が成功するかどうかは、光フィルターを含む光学設計が鍵になる。ARENAによれば光フィルターを最適設計・製造できれば、変換効率を10%向上できるという(4ポイント以上に相当)。
 図 1では、装置全体が赤道儀に載せられており、銀色の棒状に写っている台座ごと太陽を追尾する。人物(今回のプロジェクトマネジャーを務めるMark Keevers氏)の胸の辺りに見えるのが入射光を光フィルターに向かって収束させる放物面鏡。図中央上にある構造が光フィルターと2種類の太陽電池セルだ。

図 1 40.4%を記録した装置の外観 [ 出典 ] UNSW
低コストかつ高効率を狙う

研究チームがこのような手法を採用した理由は、RayGen Resourcesが開発するタワー式の集光型太陽光発電システム(CPV、同社はCSPVと呼ぶ)と組み合わせて商用化することを狙っているからだ。同社は今回の記録達成のため、設計、技術サポートを提供している。
 商用化のためには高い変換効率を達成しつつ、低コストで実現しなければならない。高効率な多接合太陽電池を新規に開発すると高コストになる。既存の製品を組み合わせることで低コスト・高効率というゴールを目指す。

図 2 タワー式集光型太陽光発電所のプロトタイプ [ 出典 ] RayGen Resources

RayGen ResourcesのCPVは複数の平面鏡を地上に並べ、タワーに光を集める。図 2では左端にあるタワーの頂上部に光が集まる。太陽電池セルが過熱するため、冷却も必要だ。その熱をエネルギー源として利用できるという。
 同社は2015年3月までにCPVを用いた同国初の太陽光発電所を南東部のヴィクトリア州に立ち上げる計画だ。その後、中国ZhuoZhou Intense Solarに10MW分のシステム中核部品を供給。ZhuoZhou Intense Solarは2016年8月までに中国青海省に太陽光発電所を建設する。

…この記事の続きは、会員限定です。  会員登録はこちら(無料)

続きを読むには・・・

会員登録をすると自動的にこの記事に戻り、続きが読めます。

会員登録(無料)・ログイン

このページの先頭へ

キーマンズネットの新着情報を、お届けします

新着製品レポート

ファイルサーバスリム化 「活文 File Server Optimizer」 【日立ソリューションズ】 セルフサービスBI 軽技Web 【富士電機】 エンタープライズNoSQLデータベース 「MarkLogic Server」 【マークロジック】
サーバー管理 BI データベースソフト
ファイルサーバの状況を可視化し、不要ファイル候補をピックアップ。
不要ファイルの削除によりファイルサーバの増設を抑止。
ファイルの自動分類・検索で業務効率を向上。
導入企業900社。社内のデータベースに蓄積された販売管理、生産管理などの業務システムの情報活用から帳票出力まで、セルフサービス型BIツールでデータ分析を促進。 オペレーショナルでトランザクショナルな基幹業務に対応したエンタープライズNoSQLデータベースプラットフォーム。

新着特集


データ利活用の実態を定点観測してみたら……?人材の課題は解消傾向にあるものの、増えるデータに対処でき…



「RPAを一度導入してしまえば、手放せなくなる」――そう強調するアビームコンサルティングが、RPA業…



あのKDDIが会計システムを“モバイルで活用できない“課題に悩まされていた……? ユーザーの通信環境…


新着セミナー

ビッグデータ時代の予測分析ワークショップ 【日立ソリューションズ東日本】 締切間近 

開催日 12月20日(水)   開催地 神奈川県   参加費 無料

機械学習による予兆保守から、作業日誌のテキストマイニングによる熟練技術者の技術伝承まで、データ分析の活用術をご紹介します。実際の分析ツールもご体験いただきます。…

クラウドセキュリティと情報リスクを踏まえたCASB検討の必要性 【マクニカネットワークス】  

開催日 1月25日(木)   開催地 東京都   参加費 無料

ビジネス基盤としてのクラウドサービス利用が近年急激に増加しております。それに伴いクラウドサービスをいかに安全に使うか、安全でないクラウドサービスをいかに使わせな…

SOCの無人化を見据えたインシデントレスポンスのあるべき姿 【マクニカネットワークス】  

開催日 1月12日(金)   開催地 東京都   参加費 無料

サイバー攻撃は年々高度化しており、企業は様々なサイバー攻撃に備え対策をしています。同時にサイバーセキュリティ対策が進めば進むほど運用者への負担が大きな課題となっ…

このページの先頭へ

/太陽電池「改善せずに」効率向上、40%超」の記事を一部ご紹介しました。
会員登録を行い、ログインすると、「/太陽電池「改善せずに」効率向上、40%超」の記事の続きがお読みいただけます。


Myリストへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この記事に掲載している情報は、掲載日時点のものです。変更となる場合がございますのでご了承下さい。


30008058



このページの先頭へ

キーマンズネットとは

ページトップへ