日本人は空気読むから?AI予測変換で世界各国に周回リード

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掲載日 2015/10/22

日本人は空気読むから? AI予測変換で世界各国に周回リード

Swiftkeyはスマホの文章入力支援アプリ。これまではユーザの入力履歴から使用頻度の高いフレーズを候補として提示する程度だったが、人工知能のような機能が搭載され、先回りしての予測変換が可能になった。

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 パソコンであれスマホであれ、「じゃあ土曜にしぶ」まで打ち込めば、「渋谷」を候補単語として(たぶん先頭に)表示してくれる。いや、人によっては「しぶ」どころか「し」の段階で「渋谷」を出してくれるかもしれない。まるで空気を読むかのようにソフトやアプリがこちらの意図を先回りして察知してくれるその訳は、日本語入力ソフトが独自に進化を遂げたことにある。

 日本語は表音文字のひらがなと表意文字の漢字からなる言語であるため、パソコンのキーボードからはまずローマ字入力やひらがな入力でかな文をタイプし、その一部を漢字に変換するという処理法が考案され、それが長年のうちに進化発展してきたわけだ。その進化の過程のある時点から、文脈に応じて適切な漢字候補を表示するだけでなく、文字列を途中まで入力した時点で、それに続く文章までも漢字変換して提示してくれるようにもなった。だから渋谷での待ち合わせが多い人なら、先の例では「じゃあ土曜に渋谷で待ってるよ!」などと後続文の候補までが提示されることになる。

 ところが英語では、アルファベット26文字をキーボードから直接入力すれば事足りるため、こうした機能は発達しなかった。タイプライターの時代そのままにひたすら早打ちするくらいしか手がなかったのだ。ところがそこに、SwiftKey Noteというアプリが登場したことで、我々日本人と同じような楽ができるようになった。例えば「environment(環境)」というような長い単語の場合でも、「env」まで打ち込めば、日常的な語彙の中で同じスペリングを持つ単語はもう他には「envelop(くるむ)」「envelope(封筒)」「envy(嫉妬)」くらいしかないので、候補を決め打ちして提示してくれるようになったのだ。
開発者による紹介動画
 SwiftKey Noteはそれ以外にも、過去の入力履歴から単語と単語のつながり方のパターンを学習して、同じパターンの文が途中まで入力された段階で、その続きを候補として表示することもできる。iOSとAndroidの両方で利用可能で、既に日本語にも対応済みだ。

 そのSwiftKey Noteにこのほど「人工神経回路網(ニューラル・ネットワーク)」が搭載され、SwiftKey Neural Alphaという新たな名称でリリースされた。現状ではAndroid版が利用可能で、より的確で幅広い候補の提示ができるようになった。

 大きく変わったのは、予測候補の引き出し方だ。これまでは過去の入力履歴に頼っていたから、ユーザが使ったことのある単語しか候補に表示されることはなかった。一方SwiftKey Neural Alphaは、同じような言葉の塊(クラスター)に着目する。似たような役割の言葉たちを一つの塊ととらえ、同じ群の他の言葉に置き換え可能だと判断して、ユーザが一度も使ったことのない単語でも候補として提示できるようになったのだ。

 例えば、「Meet you at the airport.」(空港で会いましょう)とユーザは入力したいとしよう。このairportは場所を示す一般名詞だから、「office」(職場)や「hotel」(ホテル)に置き換えても文は成立する。

 ここで、ユーザが「Meet you at the」まで入力した段階での候補提示の仕方を見てみよう。従来のアルゴリズムは単語の結びつきを重視することから、「at the moment(今のところ)」「at the end(ついには)」「at the same(同じで)」といった決まり文句を、使用頻度の高い順に提示していた。その結果は、どれも使い物にならない候補である。

 ところがSwiftKey Neural Alphaは、「Meet you at the」の後に続くのは場所を示す名詞だと見抜いて、その上で「airport」「office」「hotel」といった同じ役割の単語群を並べて提示してくれるのだ。この方法なら、望む単語が候補に含まれる可能性は高い。なるほど、これは大いに期待が持てる技術だ。

 と、ここまで観ていて改めて実感させられたのは、日本語入力システムの予測変換がいかにすごいかということだ。SwiftKey Neural Alphaがようやく実現したことのずっと先を既に進んでいるのだから。漢字変換という困難なハードルがあったがゆえに、そのハードルを災い転じて便利機能の発展へとつなげた。これぞ技術大国日本の面目躍如といったところだ。

 ところでこの記事へのコメントでわかったのは、SwiftKeyを既に使っている欧米人がけっこういることだ。あちらの人はひたすら直打ちという印象があったが、事実はそうとも言い切れないようだ。また、日本人のコメントに日本語でも使えるようになったバージョンへの言及があったが、その書き込みからさほど間をおかずにSwiftKey Neural Alphaがリリースされた。今後の展開が楽しみだ。
  • 「最新のベータで日本語可能になったバージョンです」(日本)
  • 「こんなものに用はないし、使う気もないね。問題を解決とか言ってるが、問題なんて最初からないし」(イギリス)
  • 「へえ〜、じゃああんたは予測変換を使っていないんだ?」(ブラジル)
  • 「Swiftkey、使ってるけどすごくいいよ。これでLinux版もあれば文句はないんだが」(イギリス)
  • 「で、電話の中にあるデータをすべて抜かれるってことだな」(米・ミネソタ州)
  • 「神経回路網の力を借りた、最新のキーボードアプリだって」(不明)
  • 「こいつ、怖いくらいにすごいヤツだね」(米・ジョージア州)

※上記枠内はすべて編集部訳

(執筆者:待兼 音二郎)
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