複数のビルの消費電力をまとめて管理−日本IBMの事例から学ぶ−

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複数のビルの消費電力をまとめて管理−日本IBMの事例から学ぶ−

本記事はモノづくりスペシャリストのための情報ポータル MONOist から転載しています。

ビルの消費電力を削減するにはどうすればよいだろうか。どのビルでも消費電力量をモニタリングできる。しかし、昨今の電力事情に対応するのは難しい。日本 IBM は人の動きを低コストで検知するなど、複数のビルにまたがったエネルギー管理システムを作り上げた。

国内の大規模なオフィスビルでは、空調や照明などのモニタリングがごく当たり前になっている。しかし、各ビルの管理システムはビル内で閉じていることが多く、複数のビルの状態を常時モニタリングし、分析を加え、消費電力を引き下げ、資産を運用することは容易ではない。
 日本 IBM によれば、全世界のエネルギーの 1/3 がビル内で消費されており、都市への人口集中が続くことから、2025 年には交通部門や製造部門よりもビルの排出する CO2(二酸化炭素)の方が多くなる見込みだという。
 10 年以上の未来を展望しなくても、国内では照明や空調の削減が強く求められている。
 既に省エネの進んだ大規模オフィスビルではこれ以上、何ができるのだろうか。日本 IBMの事例にはヒントが隠されている。

照明や空調とノート PC をヒモ付ける

誰もいない部屋の照明や空調ほど無駄なものはない。だが、個々の従業員に管理を任せるだけでは限界がある。オフィス全域に人感センサーや GPS などを導入すれば管理できるものの、コストが掛かりすぎる。どうすればよいのだろうか。
 日本 IBM は、本社オフィス(IBM 箱崎ビル、地上 25 階、延べ床面積 13 万 5600m2)に設置されている無線 LAN とノート PC を使って、照明と空調の状況を分析、管理している。無線LAN のアクセスポイントは位置が固定されているため、フロアの区画とのマッピングはたやすい。
 約 3 万 5000 台のノート PC が接続するアクセスポイントをリアルタイムに把握することで、ビル管理システムと照合し、空調制御の最適化につなげることができた(図 1)。ノート PC の接続状況とセキュリティシステムを連動することで、管理コストを下げるだけではなく、運用コスト削減の相乗効果を生むこともできるという。
 「本社オフィスは 10 年間で従業員の数が 2 倍になる一方、エネルギー消費量は 1/2 に減っている。既に無駄を絞りきったビルで、さらにエネルギー消費量を減らすには、人の位置情報がどうしても必要だった」(日本 IBM ソフトウェア開発研究所 Tivoli 開発の磯部博史氏)。

図 1 照明と空調の状況を把握・分析する手法  [ 出典 ] 日本 IBM(以下の図も同様)
フロア別、時間別の在籍状態を IBM Cognos Business Intelligence で表し、資産管理、作業管理が可能な IBM Maximo Asset Management で KPI(key performance indicator)を表示している。必要なセンサー情報は BEMS から 取得している。
範囲が狭ければセンサーがよい

利用者の出入りが激しく、空室になることが多いフロア区画がある。会議室だ。日本 IBM本社では18カ所の共同会議室に人感センサーを配置し、リアルタイム監視ソフトとしてIBM Tivoli Netcool を使い、リレー盤とも接続した。会議室予約システム(IBM Lotus Notes)との連携動作を狙い、会議室利用率の最適化も試みた(図 2)。リレー盤と IBM Tivoli Netcoolの接続では、事業パートナーの旭エレクトロニクスが取り扱う「OPTO 22 SNAP PAC System」を使った。

図 2 会議室システムの構成図
Web上の会議システム予約システム以外に、液晶ディスプレイを使ったサイネージ画面も用意した。
複数の事業所をまたがった管理へ

以上の2つの事例では、最適化範囲が1つのビル内にとどまっている。日本IBMはクラウド(IBM Smart Business Cloud Enterprise)を使った電力モニタリングシステムも構築した。関東地方の3つの事業所のBEMS(Building and Energy Management System)情報を1時間ごとに取得し、IBM Maximo Asset ManagementをWebサービスとして利用して、2種類の方法で消費電力データを表示できるようにした。
 1つは一般社員向けの表示だ。社内の88のWebサイトのページ右上に小型のウィジットを埋め込んで、電力の使用状況をグラフ表示したり、過去13時間の電力使用状況を確認できるようにした。電力使用状況を見える化することで、節電意識の向上を狙ったという。
 もう1つは、管理者向けのダッシュボード表示だ。目標値に対する達成度(KPI)を表示することで、期間ごとの消費電力計画を立てやすくする。

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