世界最大の“蚊”工場が中国に! 毎週100万匹を放出する目的は

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掲載日 2015/08/20

世界最大の“蚊”工場が中国に!毎週100万匹を放出する目的は

中国の広州市にある世界最大の蚊の工場は、毎週100万匹もの蚊を生産。それらの蚊は特殊な細菌に感染しており、自然界の蚊と交尾すると卵が不妊化する。そうして蚊の総数を減らすことで、デング熱を防ぐのだ。

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 デング熱は蚊が媒介する感染症だ。デングウィルスを持った蚊に刺されることで感染し、通常3〜7日の潜伏期間の後におよそ2〜4割の人に発症して、38〜40℃の発熱に加えて、激しい頭痛、関節痛、筋肉痛、発疹などを引き起こす。また、関節などの痛みが激しく、英語ではBreak bone feverとも呼ばれている。

 感染しても大人が死に至る怖れは低いものの、子どもを中心に亡くなるケースもあり、世界中で毎年2万2000人ほどが命を落としている。

 昨年夏に東京都心の公園で69年ぶりの国内感染が確認されたことで話題になったが、熱帯や亜熱帯の発展途上国の都市で流行しやすく、やはり昨年(2014年)には中国でのデング熱感染数は4万7000例を超え、ここ20年間で最大となり、感染は主に広東省に集中した。広東省は中国本土の最南端で、台湾よりも南に位置し、バングラデシュとほぼ同等の緯度にわたって広がっている。

 広州市は北緯23度(東京は35度)。南亜熱帯海洋性季風気候に属し、6月から9月までの4カ月間、日々の平均最高気温が30℃を超えている(東京は8月のみ)し、5月(29.8℃)と10月(29.3℃)も、東京の7月(29.2℃)並みの暑さとなっている。
プロジェクトリーダの奚志勇教授が不妊化した蚊を使って
デング熱の流行を食い止めようとしていることを紹介する2013年の動画。
 この気候によるデング熱の流行を食い止めようと活動しているのが、広東省にある中山大学の奚志勇教授だ。工場で大量生産した蚊を放つことで自然界の蚊と交尾させ、卵を不妊化することで、蚊の絶対数を減らそうとしている。

 工場で生産された蚊はボルバキアという細菌に感染しており、感染した雄の蚊と自然界の雌の蚊が交尾して生まれた卵は不妊化されて孵ることがない。そのため、工場で大量に生産した蚊を放つことで自然界の蚊と交尾させ、蚊の生息数を少しずつ減らしていこうというのだ。

 最初の放虫実験では、蚊の生息数を90%減らす成果をあげた。奚志勇教授たちはこの成功を受けて、ますます多くの蚊を生産して広州の街に放ち、さらに蚊を減らしていこうとしている。

 と、ここまでは、人の手で蚊を放つことでデング熱の蔓延を食い止めようとする試みについての話だったが、感染症を媒介する蚊を制することにドローンを活用しようというハイテクな試みも別途進められている。

 それは、マイクロソフトが推進する「Project Premonition」という医療プロジェクト。目的は、感染症の原因を早期に発見することだ。

 では何にドローンを活用するのかと気になるところだが、答えは採取した蚊の運搬だ。蚊を採取する装置を事前に森林に設置しておき、装置が採取した蚊をドローンが研究所まで運搬し、そこで採取した蚊を調べて感染症の媒介状況を調べるのだという。

 人間が装置のところまで歩いていけばよさそうにも思えるが、生身の人間では往復の途上で蚊に刺されてその人自身が感染症にかかってしまう怖れもあるし、何より高温多湿な森林をかき分けて進むことには肉体的負担も大きい。その部分を空からひとっ飛びのドローンに任せることで、人間の負担を軽減しようというわけだ。

「毒をもって毒を制する」という言葉の似合う広東省での試みも、ハイテクなドローンをうまく活用したマイクロソフトの試みも、どちらも注目に値する。

 東北から関東地方を中心に例年にない高温に見舞われた今年の夏。日本の亜熱帯化を見据えれば、遠い外国の話と突き放すのではなく、いつかは我が身にも降りかかってくる問題として考えるべきかもしれない。
  • 「最初の放虫で蚊の生息数の90%を減らしたのか。そんな今、生きてるってのはハッピーなことだな」(オーストラリア)
  • 「よい試みだね。世の中に蚊ほど嫌な虫はいないからね」(米・ペンシルベニア州)
  • 「まあ僕に言わせれば、人間ほど恐ろしい生き物もいないけどね」(イギリス)
  • 「ぐはあ。ブラジルでも遺伝子操作した蚊を何百万匹も放つって聞いたけどな」(フィリピン)
  • 「僕は賛成だけどね」(不明)
  • 「マラリアにも遺伝子操作した蚊を使うって話があったね」(インド)

※上記枠内はすべて編集部訳

(執筆者:待兼 音二郎)
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