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データセンター最新事情、強固セキュリティに省電力は利用しなきゃ損?IT導入完全ガイド(1/4 ページ)

サーバ運用管理やパブリッククラウドとの連携、データセンター間の連携による災害対策、セキュリティ対策、省電力化など最新技術が続々投入されるデータセンター。最新動向を追う。

» 2015年03月23日 10時00分 公開
[土肥正弘ドキュメント工房]

 ITインフラと運用管理の外部化を図るアウトソーシングはクラウド化の大潮流にも乗って加速している。データセンター事業者は従来のハウジングやホスティングに加えてクラウドプラットフォームを提供するようになり、プライベートクラウドの構築や運用事例が近年増加中だ。

 施設や設備をレンタルする形態から、運用管理を含めたマネージドサービスの提供、柔軟なリソース活用が図れるパブリッククラウド(IaaS、PaaS、SaaS)との連携、さらにデータセンター間の連携による災害対策(DR)などがサービスメニューに加えられた。

 また、都市近郊への新規データセンターの設立も多くなり、施設の免震対策やセキュリティ対策、電力の有効利用対策、さらにデータセンターの最適稼働のための集中管理システムなどに最新の技術が採り入れられる。利用価値がさらに高まるデータセンターの最新事情を確認してみよう。

データセンターの「ファシリティ」と「サービス」とは?

 データセンターは、高速通信ネットワーク、大電力が利用可能な電源設備、耐震、免震機能などを備えて、企業が自社単独では調達できない規模の安全性、信頼性、機能性を実現した施設や設備(ファシリティ)を提供してきた。

 日本の主要都市を中心に各地に設立され、特に都心や大都市部に多くが集中する。近年では大都市の辺縁にあたる郊外型の立地を選ぶデータセンターも増えた。

データセンターの外観例 図1 データセンターの外観例(左)郊外型データセンター(右)都市型データセンター(出典:KDDI)

データセンター利用の3つのメリット

オフバランス化効果

 古くから注目されてきた最大のポイントは、資産を外部化してバランスシートをスリムにすることだ。施設や設備、機器、ネットワークなどの資産が費用として計上できる。クラウドサービスに次いで簡単にオフバランスができる。

耐災害性、防犯などのセキュリティ強化

 東日本大震災以降、ますます重要視されるようになったのが耐災害性だ。大震災ではサーバルームが破壊された事例がある一方、被災地のデータセンター内では重大な事故は何も報告されていない(停電による影響はあったが)。

 その理由の1つが免震構造だ。免震構造でない場合でも、ラック下の免震台が機能的には同様の効果を発揮した。オフィスビルで新たに免震機構を備えるのは難しいが、最新データセンターでは免震構造がほぼ必ず備えられており、この1点をとっても利用価値がある。

 また、防犯目的では入退室管理と建物内の行動監視が欠かせない。データセンターには、警備員配置と監視カメラ、入退室管理、本人認証など各種システムが備えられ、建物入口を入ってからラックのドアを開けてサーバに触れるまでの間に何重ものチェックが行われる(図2)。

 入館者の行動はチェックポイントで全て記録され、行動の証跡が保存されることになる。これも一般企業ではなかなか整備できない仕組みだ。

入室セキュリティ 図2 データセンターの入室セキュリティの例(出典:KDDI)

電力などランニングコストの最適化、CO2排出削減

 3つ目のメリットは、電力の節約だ。サーバなどの発熱はいかんともしがたいので、熱をいかに逃がし、効率よく冷却するかがIT機器を上手に使うポイントだ。ラック当たりのサーバが高密度実装されるケースが増え、しかもマルチコア化している。ラック当たりの消費電力が6kVA以上になることが珍しくなく、12kVA、20kVA、最新データセンターでは42kVA(国内最大級)という大電力にも対応できるようになった今、その発熱量に耐えられる冷却設備が必要だ。

 データセンターでは冷却に要する電力量が全体の3割程度を占めるため、その削減が重要課題だ。施設構造そのものに熱を逃がしやすい設計を行い、空気が一定方向に移動するように空調を工夫するのは常識となり、最新データセンターでは外気による空冷や、冷媒を利用した効率的な冷却装置などを導入して、エネルギーをできるだけ使わずに冷却する仕組みが作られている場合が多い。消費電力削減はCO2排出削減にも直接つながり、データセンターはその意味でも利用価値がある。

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