乾電池で10年駆動も!?日本発の無線規格「Wi-SUN」って何だ?

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乾電池で10年駆動も!?日本発の無線規格「Wi-SUN」って何だ?

2015/03/18


 今回お届けするのは日本発の世界標準無線通信規格「Wi-SUN」(ワイサン)です。一昨年に東京電力などのスマートメーター(次世代電力量計)への採用が決まったほか、今年1月には家庭内の家電などの電力消費管理を行うHEMS(Home Energy Management System/「関連するキーワード」の項参照)における家電とHEMSコントローラの相互通信ネットワークHAN(Home Area Network)の実用化を前進させる世界初の準拠無線機の動作実証が成功しています。もうすぐ私たちの生活に一番身近な無線通信規格になりそうなWi-SUNとは、どんなものなのでしょうか?

Wi-SUN

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「Wi-SUN」とは?

 「Wi-SUN」とはWireless Smart Utility Networkの略語で、最大1km弱程度の距離で相互通信を行う省電力無線通信規格。もともとはガスの自動検針情報の取得を無線経由で行う研究がきっかけだったが、東京電力の電力量計自動検針システムのほうが早く採用を決めた。規格の標準化を主導してきたのは日本の情報通信研究機構(NICT)で、NICTではすでにWi-SUNを利用した多数の実証実験を行っている。NICTが開発したWi-SUN準拠無線機の数例を図1に示す。Wi-SUNの特長は、用途にもよるが乾電池で10年間の駆動が可能という抜群の省電力性と雑音に強い通信品質を持ちながら、他の近距離無線規格が数メートルから数十メートル程度の通信可能距離なのに対し、1km弱程度の長距離通信が可能な点だ。このような特長を生かして、スマートメーターやHEMSへの適用が期待されており、遠からず各家庭に普及を始めるものと思われる。

図1 Wi-SUNモジュールを搭載した無線機の外観例
図1 Wi-SUNモジュールを搭載した無線機の外観例
(左上)温湿度センサ内蔵屋外センサボックス
(右上)乾電池駆動のWi-SUN無線機
(左下)USB端子付きWi-SUN無線機
(右下)ガスのスマートメーターに取り付けたWi-SUN無線機
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「Wi-SUN」はWi-Fiとどう違う?

 Wi-SUNはWi-Fiと関係がありそうな名前ではある。ともに、小電力無線通信仕様の認証を行うアライアンス、またはその認証規格の名称である点は同じでも、他にそれほど共通点はない。認証とは、製品の規格準拠認証、および相互接続性のお墨付きを与えることを意味する。Wi-Fiアライアンスはその前身となる組織が1999年に設立された歴史ある機関で、IEEE 802.11規格に基づく製品の相互接続性を確保するための認証を行ってきた。一方、Wi-SUNアライアンスは2012年設立の新しい機関で、認証しているのはIEEE 802.15.4gに基づく製品であり、Wi-Fiが対象とする無線LAN製品ではない。

 IEEE802.15.4gは、先行している近距離無線通信規格の「ZigBee」がベースにしているIEEE802.15.4の物理層を変更した拡張規格で、変調方式の追加、周波数帯の拡張、データサイズの拡張などを施し、よりスマートメーターに利用しやすくしたものだ。もともとNICTが国内ガス会社やメーター製造企業と連携してIEEEに提案し、標準化をリードした経緯があり、日本発の国際標準と言える。これに伴い、1つレイヤが上のMAC層の仕様もIEEE802.15.4eとして標準化された。

 Wi-SUN規格は、IEEE802.15.4g規格を最下層(レイヤ1)のプロトコルのベースとすることが決まりごとで、その上のプロトコルをどんな規格にするかは、アプリケーションに応じて決めていく。このようにして決められたプロトコルのセット(プロトコルスタック)を「Wi-SUNプロファイル」と言う(「関連するキーワード」の項参照)。Wi-SUNアライアンスの主要な仕事は、アプリケーションに応じたプロファイルを作成し、認証・相互接続性試験を行うことだ。例えば、後述するECHONET Liteというアプリケーションを利用する場合、図2右端のようなプロファイルを規定している。別のアプリケーションなら、図2に例として示すようにプロファイルを適宜作成して構成することになる。

図2 Wi-SUNプロファイルの例
図2 Wi-SUNプロファイルの例
資料提供:NICT
■920MHz帯を利用するIEEE802.15.4g

 IEEE802.15.4gが使う周波数帯は国内では920MHz帯が主流。これは2012年に地上アナログ放送の停波で空いたところだ。この周波数帯が無線局免許がいらない特定小電力無線通信用に使えるようになったので、さまざまな近距離無線通信への利用が試みられている。この周波数帯は無線LANで主流の2.4GHz帯に比べ、電波が障害物を回り込みやすいという特長があるうえ、よく無線LANに干渉する電子レンジなどの家電製品等があっても影響を受けにくく、家庭やオフィスなどで利用するのに都合がよい。また同様に特定小電力無線に使える400MHz帯に比べて伝送速度が速いという利点もある。

■1Mbps以下の伝送速度だが、電池式で10年もち、信頼性の高い通信を実現

 そもそも検針データのようなサイズの小さいデータを、信頼性高く、しかも低消費電力でデータを伝えるという目的をもつWi-SUNは、Wi-Fiのような高速通信は最初からスコープに入っていない。研究開発においては「約1Mbpsを超えない速さ」といった仕様が当初から合意されていたという。通信速度は速くすることもできるが、速くすればするほど信号が弱くなり、雑音が増えて通信品質が悪くなる。1Mbpsはほどよい上限設定ではないかという判断だ。また多数の端末が同時に通信を行ってもパケットの衝突を少なくする必要があり、パケットの長さもそこそこのレベルにおさめている。これは技術的な問題というよりは、ガスや電力などの業界が必要とする特性に従った仕様だ。
 物理層は、各地域の利用可能な周波数帯に応じて独自の仕様を規定しているが、国内の920MHz帯では変調方式としてFSK(周波数偏移変調)が主に用いられ、次の4つの動作モードが規定されている。

伝送速度50kbps、チャネル間隔200kHz

伝送速度100kbps、チャネル間隔400kHz

伝送速度200kbps、チャネル間隔600kHz

伝送速度400kbps、チャネル間隔600kHz

 想定された上限の伝送速度よりもだいぶ遅いが、実際に利用意欲が高いのは100kbpsの動作モードだ。それ以上のスピードのモードは、場合によっては選べるオプション的なものに今のところはなっているようだ。なお、IEEE 802.15.4g規格では、変調方式は他にOFDM(直交周波数分割多重変調)、OQPSK(オフセット4位相偏移変調)の方式も規定しているため、これらとWi-SUNで規定するFSK間の干渉回避技術なども同様にIEEE 802.15.4gでは規定されている。
 一方、MAC層の仕様では、電力消費を抑えるために無線機のスリープ状態(信号の送受信も、待ち受けも行わず、電力消費量を下げる状態)を活用するための機構が規定されている。そのモードは2つあり、「ビーコンモード」では定期的なビーコン信号によって相手先と同期するが、ビーコン信号を適度に休止させたり、待ち受け期間を極端に短くしたりして定期的なスリープ期間を十分に確保し消費電力を抑える。「ノンビーコンモード」では送受信タイミングを別途制御信号で通知してスリープ期間を確保する。このような省電力機構によれば、例えば乾電池で10年間の駆動も可能とされている。

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