ワークスタイル変革はやる気満々モデルで

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アナタに代わって聞いてきました!ザ・キーマンインタビュー

「やる気満々モデル」がワークスタイル変革を成功に導く

2014/10/02

モバイルワークやテレワークの導入で、ワークスタイル変革を進めようという企業が最初に直面しがちな壁。それは、柔軟な働き方の実現によって、チームとしてプロジェクトに取り組むことが難しくなるのではないかという不安かもしれない。そうした不安は単なる杞憂にすぎないのか。あるいは、どのように解決を図るべき問題なのか。日本能率協会コンサルティングのチーフ・コンサルタントである塚松一也氏にお話を伺った。

日本能率協会コンサルティング 企業サイトへ

塚松 一也 氏

R&D組織革新センター
チーフ・コンサルタント
塚松 一也 氏

仰々しく取り組むよりは、自然な変化に任せるような進め方を

Question

貴社では製造業を中心に、流通、金融、サービスなど、様々な企業に対して、コンサルティングサービスを提供されていますが、ワークスタイル変革やそれにともなう情報共有についてはどのような考えをお持ちでしょうか?

Answer

日本能率協会コンサルティング:塚松 一也 氏

10年、20年というスパンで見れば、どの企業でもワークスタイルは変わっているはずです。昔に比べれば、ずいぶんと仕事もやりやすくなっていると感じる人は多いのではないでしょうか。もちろん、その上であえて考えるべき課題もあるのですが、あまり仰々しくワークスタイル変革だと意識して取り組むよりは、現場での自然な変化に任せるような進め方のほうがすんなりいくのではないでしょうか。私はR&D組織革新センターという部署に所属し、主にナレッジマネジメントに関するコンサルティングを行っているのですが、実際の現場でやりとりする中で、そういう印象を受けています。

例えば、情報共有などについては、業務を中心に担う20代後半から30代の人たちは、ほぼデジタルネイティブな世代であり、様々なツールを場面に応じてうまく活用しています。情報共有は当たり前のものであり、各自で粛々と確実に行っているため、「特に困っていない」ことが多いのです。また、その際に問題視されがちなコンプライアンスなどに関しても、現場の人たちのリテラシーが着実に高まってきたことで、極端に神経質になる必要はなくなっていると考えます。むしろ、情報に関する個々人のセンスのほうが問われるようになっており、「これは迅速に皆に連絡したほうがいい」という情報を自分が握った瞬間に、スムーズに行動をとれるか、後回しにしてしまうかといった、センスの良し悪しが重要になりつつあります。何かあれば、すぐに適切なメディアに、適切にレスポンスする姿勢が必要なわけですが、ただ、これも仲間内でやりとりするうちに、自然に矯正されていくものです。

もちろん、私の場合、R&D系のお客様を主な対象としているため、現場のリテラシーも高いという部分はあるかもしれませんが、大なり小なり多くの企業で同様の状況になりつつあるのではないでしょうか。更に、世代交代が進むことで、そうした傾向は高まっていくと考えています。同様にセキュリティについても、複数の現場で議論を尽くしましたが、丁寧に紐解いてあげると「さほど問題ではないことまで心配している」ケースがほとんどです。管理する側でも「何が問題なのか」という焦点がぼやけており、「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という感じになっている状況ではないでしょうか。

Question

テレワークやモバイルワークが当たり前になってしまうと、社員の管理が難しい、管理職が困ってしまうといったことも言われているようですが、どのように乗り越えるべきだと思われますか?

Answer

個人的には、そんなことを言っている場合ではないというか、端的に言えば、やりたくない人はやらなければいいとは思います。ただ、ワークスタイルを選べる時代になってきているのは確実ですから、従来の働き方でいいという部下はついてくるでしょうが、柔軟な働き方を求めるような社員は「やりにくい」と感じて去ってしまい、結果として、優秀な人材を手元に置くことも難しくなるのではないでしょうか。


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放っておいても「連絡したい」「業務に勤しむ」状況を作り出す

Question

では、テレワークやモバイルワークにおいては、どのようにチームを管理していくべきだと言えますでしょうか?

Answer

日本能率協会コンサルティング:塚松 一也 氏

本質的には、従来と何ら変わりないと思います。ツールとしては、電話もメールも、あるいはグループウェアや社内SNSなどの情報共有基盤が使えるわけですから、ただ、それらをチェックしていればいいはずです。テレワークやモバイルワークでは部下の動きが見えなくなってしまうなどというのは、要するに、その人が「連絡したくない」「相談したくない」存在になっているのではないでしょうか。フェイス・トゥ・フェイスで働いている時には、しかたなく報告するシチュエーションが生じていたものの、そうでなくなった瞬間に連絡してもらえなくなってしまう。それを回避するために、別の方法で管理しようというのは、まさに本末転倒です。放っておいたら自分に報告が上がってこない、何をやっているか分からないというのは、もともと、メンバーとそういう関係しか築けていないのですから、むしろ、そこを問題視すべきではないでしょうか。

やはり、報告してもらいたければ、報告しがいのある行動を取らないといけません。報告を受けたら、何らかの意思決定をするのが上司の役割ですから、きちんと判断した上でアクションにつなげて、提案があれば、それに対してイエスかノーかをきちんと示す。連絡とは平たく言うと、上司・部下の命令的な関係ではなく、互いに協力し合うための関係なのですから、協力してくれそうな予感がしないと連絡する気にならない。相談などはその最たるもので、何か自分が考えなかった「いいアイデア」「最適なアドバイス」に出会える可能性に期待して行うものですから、その人に相談しても何のアイデアも出てこないだろうなと思われたら、相談する気にもならない。これまではそのあたりを曖昧にしておくことができたのかもしれませんが、ITが発達した今では、ごまかせなくなってきたというわけです。当たり前のことかもしれませんが、今後も管理をしっかり行いたいのであれば、まっとうに自分の人間力を高めるべきではないでしょうか。

Question

同様に、しっかり監視していないと働かないという考えもあるようですが、それも自分に責任があると言えるかもしれませんよね?

Answer

プロジェクトに対してコミットできていないと解釈すべきかと思います。本来、プロジェクトメンバーは進行中のプロジェクトを成功させたいと全員が考えているはずであり、そうしたコミットが高ければ、様々なツールを活用して情報をやりとりするでしょうし、放っておいても自分の業務を遂行するはずでしょう。そうならないのは、管理面の課題でも、ツールの問題などでもなく、そもそもメンバーにとっては、そのプロジェクトを成功させようという魅力がないのだと受け止めることも必要です。

プロジェクト管理の視点で言えば、「3月末納期」と決めたら、その意欲を高められないといけませんが、「なぜ」と問われても、「お客さんが言っているから」としか上司が説明しかできないようでは、メンバーのモチベーションを上げることもできません。その意味をきちんと語ることが必要ですが、そのためのアプローチは大きく分けて2つあるはずです。まず、1つめは、いわゆる“マスト目標”で、「もし達成できなかったら、すべてが無駄になる」ことを明確に説明することで、メンバーの本気度を変えるというもの。ただ、この場合は人の危機感に訴えるわけで、総じて、あまり望ましいとは言えないかもしれません。やはり優れたリーダは“ウォント目標”をうまく用いて、「3月末に間に合えば、会社にとって、皆にとって、こんなにいいことがある。4月以降とは大違いだから頑張ろう」と目標に対する意味づけをして、引っ張っているように思います。達成時にも、なんとか納期に間に合ったとホッとするのではなくて、納期に間に合わせたことによって爆発的に喜べるような状況を作ろうというのが、管理のしかたとしてはベストではないでしょうか。


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「やる気満々の人がやりやすい仕組み」を第一に考えるべき

Question

ワークスタイル変革のみならず、グローバル化、社外の知恵や力の活用など、多くの企業がビジネス状況の変化への対応を迫られている中、プロジェクトマネジメントの視点では、基本的にはどのような考え方や取り組み方が求められていると言えますでしょうか?

Answer

日本能率協会コンサルティング:塚松 一也 氏

ビジネスのスピードが求められているという背景があるとすれば、ツールが十分に発達していることを活かして、日々スケジュールを現実的なものに見直し続けていくというスタイルをお勧めします。月例会でしか管理できないという時代ではなく、今は状況が日々分かるのですから、その日にやるべきことができなかったら、それで終わりではなく、きちんとキャリーオーバーをしていくなど、様々な意味で「日々メンテ」の意識で取り組んでいくことが必要ではないかと思います。

Question

そのほか、柔軟な働き方を実現するための仕組みや基盤整備に取り組む際、気をつけるべき点などはありますでしょうか?

Answer

やはり、まずは「仕事ができる」ことを前提にすべき、つまり、仕事ができる社員を基準に進めていくことが望ましいと考えます。仕事ができない人を基準にルールを作るようでは、業務遂行において実用的な仕組みにならない、無駄にコストが膨らんでしまうといった可能性が否めません。端的に言えば、仕事をさぼる人をどう監視するかというモデルではなくて、ワークライフバランスを重視しつつ、当然のごとくプロジェクトには全力で取り組むような姿勢の社員にとって、最も働きやすい環境や仕組み、ツールは何なのかを考えて、設計してあげるということです。重要なのは成果を出すことですから、私は「やる気満々モデル」と呼んでいますが、より成果を生み出してくれる社員、つまり、「やる気満々の人がやりやすい仕組み」を作ってしまうほうが、管理側としても、現場の人々にとっても、圧倒的によいのではないでしょうか。


●ありがとうございました。


取材協力

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昭和17年、日本能率連合会と日本工業協会を母体に、コンサルティングを基幹業務とする日本能率協会(JMA)が設立。日本という土壌に根ざした経営管理技術を模索しつつ、その時代に即した、そして次の時代を見据えた経営管理技術を開拓していく、パイオニアであり続けるという伝統は、昭和55年に設立された日本能率協会コンサルティング(JMAC)にも受け継がれている。


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