調査データに見るワーク・ライフ・バランス

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アナタに代わって聞いてきました!ザ・キーマンインタビュー

調査データに見るワーク・ライフ・バランスの実状

2014/06/12

企業による従業員へのワーク・ライフ・バランス支援は、人材の定着、生産性向上、企業の信頼性向上に寄与するものと見込まれており、ワークスタイル変革による柔軟な働き方の実現は、その手段の1つだと言える。より幅広い視点で見た場合、企業はどのような「人や組織の問題解決」に取り組むべきなのか。EAP(従業員支援プログラム)事業を手掛けるピースマインド・イープの代表取締役社長 荻原国啓氏に、お話を伺った。

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ピースマインド・イープ株式会社:荻原 国啓 氏

代表取締役社長
荻原 国啓 氏

プライベートの悩みが従業員のパフォーマンスに与える影響とは

Question

貴社の調査・研究機関である国際EAP研究センターでは、今年1月に『ビジネスパーソンのワーク・ライフ・バランスに関するアンケート調査』の結果概要を発表されましたが、その背景や狙いをお教えいただけますでしょうか?

Answer

ピースマインド・イープ株式会社:荻原 国啓 氏

弊社は人と組織の問題解決を支援する専門コンサルティング企業として活動していますが、一般的には、メンタルヘルスの対策や不調者対応に関する様々な支援サービスを提供する会社というイメージで受け止められているかと存じます。しかし、実際の業務内容としては、そうしたメンタルヘルス対策はあくまで扱うテーマの一部であり、むしろ、より広い意味で従業員の方々が「いきいきと働き続けられる」ように、EAP(Employee Assistance Program=従業員支援プログラム)サービスを利用したい、支援やサポートを受けたいと考える企業が増えています。単なる福利厚生といった意味合いではなく、従業員が本来持っているパフォーマンスを発揮してもらうためのソフトイシュー解決への投資という位置づけで、従業員支援に取り組もうという企業が多くなっているわけです。

そうした活動の中で、職場における様々な問題解決をさせていただいていますが、特に昨今は、従業員のパフォーマンス低下の要因として、プライベートの悩みが大きな割合を占めるという傾向が顕著になっているように感じます。私たちは組織要因と個人要因というのは互いに切り離せないテーマだととらえており、今回の調査もそうした考え方のもとに、昨今のビジネスパーソンが抱える「仕事に影響が出たと感じているプライベートの悩み」の実態把握と、企業に求める解決策のニーズを探ることを目的に実施しました。

Question

従業員のケアに関しては、従来も健康診断や、それにもとづく健康管理などは実施されてきたわけですが、そうしたものとは異なるアプローチが必要になってきているということでしょうか?

Answer

そうですね。健康診断などに関しては、法的な義務といったスタンスで行われてきたとも言えるのではないでしょうか。しかし、現在では、企業の戦略上必要だという前向きなかたちで取り組むケースが目立ってきています。なぜなら、多くの企業では、仕事量が増えていく一方で、社員数はなるべく抑えざるをえないという状況で、1人ひとりの仕事量と責任が大幅に増えているからです。しかも、ビジネス環境の変化も非常に激しくなっていますから、なんとかして、社員1人ひとりにパフォーマンスを最大限に発揮してもらわなければ、企業そのものが立ち行かないという危機感があることは否めないでしょう。

Question

従業員のパフォーマンスを最大化するための取り組みとしては、ワークスタイル変革ということも注目されていますが、その際にも従業員支援は重要だと言えますよね?

Answer

ワークスタイル変革を実践している企業はもちろん、そうではない場合でも、例えば、外出先や自宅でも業務メールのチェックや返信を行わざるをえないという話は決してめずらしくないわけですから、大なり小なり、プライベートと仕事の境目が曖昧になってきていることは確かだと思います。ただ、そういう状況に対して、企業側でもどこまで関与していいのかが曖昧で、どうすべきかを悩んでいるというのが実状ではないでしょうか。特にワークスタイル変革の結果、働く場所を問わずに仕事を行うというスタイルが当たり前になってくると、従業員は自由と裁量をワンセットで手に入れられるというメリットがある半面、作業面のコントロールやセルフケアといった部分で責任を負うようになります。ただし、だからといって、企業で責任を負う部分が少なくなるわけではありません。むしろ、裁量が個々の従業員に与えられれば与えられるほど、実は企業全体でのリスクは高まると言えますから、従来にもまして積極的に労務管理やマネジメントのやり方を変えつつ、様々なリスクを未然に防げるようにしていくことが不可欠です。


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長期間にわたって悩みをひきずることは、企業にとって大きな損失

Question

今回の調査結果では全体としてどのような傾向が見られたのでしょうか?

Answer

ピースマインド・イープ株式会社:荻原 国啓 氏

全体の8割近くが「仕事に影響するような生活上の悩みを抱えたことがある」と回答しており、更に20〜30代の若手ビジネスパーソンの間では「睡眠」「運動」「食事」の3点の悩みが顕著になっています。いずれにせよ、何らかのプライベートの問題を抱えつつ働き続けている人が多いということは、どの世代にも共通した傾向だと言えるでしょう。結果を細かく見ていくと、当然ながら、例えば20代の女性、及び、30代の男性に関しては出産・育児、また、40代や50代の方々は介護の問題に直面しています。

ただ、「会社からの提供があれば利用したい支援サービス」という質問への回答では、出産・育児へのサポートに関してはかなり進んでいる一方で、介護については非常に遅れているということが浮き彫りになっています。これは、介護休暇制度導入といった企業によるサポートだけではなく、出産・育児とは異なり、社員どうしの情報共有すらもあまりなされていない点が大きな特徴と言えるでしょう。ポジティブなことではない、恥ずかしいと思い込んでしまうのか、誰にも話せず、アドバイスを聞くこともできず、自分だけで悩み続けた結果、ビジネス上で非常に重要な役割を果たしている管理職の方が急に辞めてしまうというケースが実はかなり多くなっているのです。

これは決して介護に限ったことではなく、企業にとって最も重要な問題は、「個人の悩みについて、自分だけで情報収集して、選択肢を吟味し、解決するという過程をたどっていては、多大な時間を要してしまい、その間ずっと仕事にも影響し続ける」ということではないでしょうか。今回の調査でも、自分の悩みに関して必要な情報を得るまでの所要時間を答えていただいたのですが、総じて、6ヵ月以上、あるいは1年単位で同じ悩みを引きずりながら働き続けており、これは企業にとって大きな負の影響があるわけです。今後、ワークスタイルの変化がいっそう進んでいく中で、こうした従業員のワーク・ライフに対するきめ細かなサポート、いわゆるソフトイシューへの取り組みが“遅れている”という問題がいっそう表面化してくるはずですから、弊社としては、企業の経営層の方々にそうした従業員支援の必要性を認識していただきたいですし、積極的に訴求していきたいと考えています。

Question

そうした問題にはなかなか気づきにくいということでしょうか?

Answer

どうしても、自分の企業については特別視してしまうといいますか、自社では従業員に問題が生じているとは思えない、人事から上がってきていないので大丈夫だろう、自社には関係ない、などと目を背けがちです。しかし、今回の調査結果でも明らかになったように、従業員が悩みを抱えていない、従業員のパフォーマンスについて潜在的な問題を持っていない企業などはまず存在しません。まずは、自社の課題を客観的かつ冷静に把握をするところから始まるわけですが、それが難しいようであれば、コンサルティング会社などをうまく活用してもよいわけです。従業員支援においては、そうした状況把握をしっかりと行った上で、全社的な方針を定め、従業員へ発信していき、更に、マネジメント層の現場の責任者をしっかり行っていくことが非常に重要だと思います。


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ITによるワークスタイル変革と従業員支援は両輪で進めるべき

Question

具体的にはどのような取り組みを行っていくことが必要なのでしょうか?

Answer

ピースマインド・イープ株式会社:荻原 国啓 氏

基本的には、まずは行動科学の観点から個人や企業に解決策を提供するプログラムであるEAPを制度として導入して、それをきちんと社内に定着させて、広く活用できるような体制を整えることで、ワーク・ライフ・バランス、つまり、仕事と生活の両立支援を推進への取り組んでいくことが望ましいと考えます。EAPに関しては、先ほどもお話したように、従来は「メンタルヘルス」に関する支援が中心でしたが、現在では、仕事と生活をうまく両立させるための「ワーク・ライフ」支援、健やかに仕事を続けていただくための「ウェルネス」支援も合わせて、弊社ではこの3つのキーワードを大きな軸として取り組んでいます。

Question

そうした従業員支援は、ITによるワークスタイル変革よりも先に取り組んでおくべきものだと言えますでしょうか?

Answer

たしかに、ITシステムのリプレースなどのように大掛かりな投資を要するわけではありませんし、従業員のパフォーマンス維持・最大化を実現する手段の中でも、今すぐにでも着手できる取り組みだと言えるでしょう。企業として従業員に対するきめ細かな相談支援をしていくのは難しいと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、外部機関を賢く活用すれば、社内で人材を確保したり、新たな部署を編成する必要もなく、しかも幅広い内容のサポートが可能となります。

ただ、ITによるワークスタイル変革によって、個々の従業員が効率よく働けるようにするというのは、もはや多くの企業にとって不可欠な施策と言えますから、やはり、どちらかが先というよりは、両輪で進めていくべきものだと思います。IT化すればするほど、効率化すればするほど、社員どうしの距離感が失われる、マネジメントがしづらい、あるいは半ば24時間体制になってしまうことで心理的健康面のストレスが増大してしまうという問題は生じてくるでしょうから、そこを健康管理やワーク・ライフの両立支援などでカバーしていくということです。従業員支援があってこそ、初めてIT化も功を奏しますし、また、IT化が進むことで従業員支援も効率的に回せるようになるものだと思います。


●ありがとうございました。


取材協力

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心理学・行動科学などの高度な専門性を活かし、「人と組織の問題解決」を支援する専門コンサルティング企業。10数年来、日本におけるEAP(従業員支援プログラム)に取り組んできた株式会社ピースマインドと株式会社イープが2011年4月に合併。これまで560を超える組織の生産性向上をサポートしている。


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