働き方を変えるオフィス空間構築のポイント

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アナタに代わって聞いてきました!ザ・キーマンインタビュー

働き方を変えるオフィス空間構築のポイント

2014/06/19

言うまでもなく、社員の働き方とオフィス空間には密接な関係がある。オフィスのレイアウトやゾーニングが各人の作業効率に影響を及ぼすのはもちろんのこと、チームのコミュニケーション効率などにも大きく関わってくるものだ。今後、ワークスタイルが多様化していく中で、企業はオフィス空間をどのように考えるべきなのか。「次世代オフィスのあるべき姿」を追求するとともに、自ら実践し、「ライブオフィス」として公開しているコクヨファニチャーのコンサルティングディレクター 鈴木賢一氏にお話を伺った。

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コクヨファニチャー株式会社:鈴木 賢一 氏

コンサルティングディレクター
一級建築士/ビジネスコーチ
鈴木 賢一 氏

オフィスは「いかに良い知恵を生み出せるか」という場に

Question

貴社ではオフィス家具などの製品提供をはじめ、ビル移転などにともなうオフィスプランニング、オフィスリニュアルなど、オフィス空間に関する様々な事業を展開されていますが、多くの企業ではオフィスというものに対して、どのような考えを持っていると感じていますでしょうか?

Answer

コクヨファニチャー株式会社:鈴木 賢一 氏

従来は、オフィスの設備にかかるコストというものは経費であって、なるべくかけないほうがいいという考えの方が多かったかもしれません。工場の設備なども同様ですが、たしかに、そこにはあまりコストをかけずに生産ノルマを上げることができれば、パフォーマンスとしては一番いいのは確かでしょう。ただ、最近では工場ですらも、効率的に素早くモノを作るというだけではなく、いかに質を追求するか、ほかとの差別化を図るかといった視点がより大事になってきています。オフィスも従来は「事務処理を行うための作業場」という感覚で、いかに早く作業をこなせるかに重点が置かれていたのでしょうが、今は「いかに良い知恵を生み出せるか」という場になってきています。そのため、「経費」ではなく「投資」という考えへと、少しずつ変わりつつある状況なのではないでしょうか。

こうした、オフィスをクリエイティブな場としてとらえ、「そこに投資しないで、価値を生み出せるはずがない」という考え方は、決して最近になって急に出てきたものではなく、比較的新しく、感度のよい企業を中心に、10年以上前から実践されていたと思います。ただ、洗練されたオフィスを新たに構築したり、既存のオフィスを改修した上で、従業員に与えること自体は、さほど難しいことではないものの、従業員が追随できるのかということが大きなハードルになりがちということも確かです。特に大企業においては、そもそも「組織的に無理ではないか」といった感覚が先行して、オフィス改革への一歩が踏み出せないという状況も見受けられるようです。

Question

ハードルを乗り越えるためには、どのようなことから取り組むべきなのでしょうか?

Answer

単に場所を作るだけではなく、その前にまず、どういう働き方をさせたいのかを決める必要があります。中長期的に自社をどのように成長させたいのか、どのような方向性を示唆するのかということまで立ち戻ることで、従業員には何を求めるのか、どのように仕事をさせればいいのか、社内あるいは外部とのコミュニケーションをどう図るべきかが、より明確に見えてくるでしょう。ここまで持ってこられれば、従業員にそういう動きをさせるのであれば、どのようなレイアウトが望ましいのか、フリーアドレスにすべきなのか、会議室は応接よりのものがいいのか、ディスカッションに適したものか、といった様々な理由付けがすべて通るのです。このようなロジックはやはり重要で、きちんとした裏付けがあるのとないのとでは、実際に働く方々の納得感がまったく異なってきます。

私自身もヒアリングや案件を通じて、年間で数十社の課題をお聞きすることがありますが、大企業のお客様でも変えなければいけないことは分かっているし、苦しんでいるケースも多いようです。もちろん、実際に取り組んで成功を収めているところも少なくなりませんし、そうした企業では先ほどのようなロジックをしっかり立てています。また、もう1つ大きなポイントになるのが、実は紙の書類だと思います。紙があるからやはり全員分の机がほしい、キャビネットも全部残してほしいといったかたちで、言い訳になりがちなのです。もちろん、本当に必要な部署はあり、そこでは確保してあげる必要はありますが、さしたる理由もなく皆がそう言い出したら、オフィスや働き方を変えることなどできません。私たちの間では、よく「紙は鎖だ」と言うのですが、仕事と紙を断ち切るということは、もはやBCPの観点でも不可欠ですから、ペーパーレスをうまく取り入れながら、進めるケースが多くなっています。


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社内はもちろん、社外の人々といかにつながるかという視点も重要

Question

貴社では「これからのオフィス」を考え、顧客企業に提案するとともに、自らもそれを実践されているようですが、現在ではどういった取り組みを進められているのでしょうか?

Answer

コクヨファニチャー株式会社:鈴木 賢一 氏

弊社では、2012年12月にこれからの働き方を考えて実践すべく、「霞ヶ関ライブオフィス“NEXT OFFICE”」としてリニュアルオープンしました。「深輪・広縁」というオフィスコンセプトは、社内連携の輪がより深くつながる「深輪(しんりん)」と、社外との新しい人との縁を広げてつながる「広縁(こうえん)」の意で、スマートデバイスやクラウドを活用した新しいつながりを示しています。この新しいつながりで、「経営と現場」「メンバー同士」「プロジェクト内外」をつなぎ、ダイバーシティやグローバルといった変化に対応し、違いを生み出せる「強いチーム」を目指そうというわけです。具体的には、コミュニケーションに必要なインフラをすべてクラウドへ移行するとともに、それらを利用するデバイスとしてスマートフォンを積極的に活用しています。

Question

社内はもちろん、現在のビジネスにおいては特に社外とのつながりが重要だということでしょうか?

Answer

そうです。現在では、お客様が持っているニーズや課題が複雑化・高度化しており、どの企業でも自社内だけで知恵を絞ってモノをつくり、それを多くの人々に認めてもらうのは難しくなっているのではないでしょうか。例えば、弊社の事業で言えば、オフィス家具の開発にあたっては、ICTの概念を取り入れることが現在では不可欠となっています。更に、ひと口にオフィス家具と言っても、教育施設、医療施設などで利用される製品も含まれますから、そうした方面の知識や視点も欠かせません。これらの領域は外部のパートナーなどとともに、いろいろな知見を持った方々と広くつながっていくことで、よりよい価値を作り出しているのです。

このような考え方は、昨年12月に「霞ヶ関ライブオフィス」をリニュアルした際にも反映されています。こちらではフリーアドレスをベースとしつつ、固定すべき部署やスタッフに関しては自席やキャビネットを持つことも許容しており、両者をうまく混在させた設計になっています。また、各部門の長だけが集まるマネジメント向けのフリーアドレス席を設けた点も大きな特長と言えるでしょう。一般的なフリーアドレスでは、部下を管理するマネージャは固定席がいいだろうと考えがちかもしれませんが、むしろ、マネージャを半ば強制的に独立させることで、部門内では「決める・発信する・浸透させる」を徹底的に行うようになり、更に部門の壁を壊し、横連携を強化するという効果も出ています。これは「シェア・フラット」と呼んでいますが、そのほか、一般社員が利用する「チーム・プレイス」なども、テレビ会議などのICTツールも気軽に使えるようにすることで、社内で自然と集まりやすく、また、外出中のメンバーなども連携が容易で、時間や場所に制約されないチームコミュニケーションを生み出せるように設計しています。また、顧客やパートナーといった外部の方々と一緒にアイデアを具現化できる場として「コワーク・ラウンジ」「コミュニティ・サロン」といったゾーンも設けています。

図1 霞ヶ関ライブオフィス
図1 霞ヶ関ライブオフィス

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次世代オフィスをひと目で理解してもらえるよう、コクヨ社員が実際に働く場を公開

Question

ライブオフィスはこちらの霞ヶ関だけではなく、国内各所に設けられているようですが、もともとどのような経緯で構築されたのでしょうか?

Answer

コクヨファニチャー株式会社:鈴木 賢一 氏

1969年に現コクヨ本社(大阪市東成区)を竣工した際、全館でライブオフィスを開設したことが始まりです。当時はオフィス空間のカラーコーディネイトや組織機能に対応したオフィスレイアウトなどが主体でしたが、「お客様に私たちのものづくりを信用していただく」「価値を理解してもらう」「弊社の社員が働く姿を通じて、お客様へオフィス空間を提案する」という考え方自体は現在も変わりません。今では、この霞ヶ関ライブオフィスや梅田ライブオフィス(大阪)のほかに、エコライブオフィス品川、海外の上海ライブオフィスをはじめ、全国販売会社なども含めた、国内外の主要拠点で展開しています。

霞ヶ関ライブオフィスに関しては、 1997年にフリーアドレス制を導入し、 2003年には無線LANを全面導入、2008年にはエコ省電力、そして、2012年からはクラウドワークをテーマに、空間作りを実践してきました。先ほど3段ロジックの話をしましたが、では、弊社の空間作りの裏付けは何かというと、意思決定の迅速化、現場のチーム力向上、外部との共同作業といった経営課題が根底にあったわけです。ただ単に、世の中のトレンドがスマートデバイスやクラウドに向いていたからではなく、こうした具体的な課題を解消することで、自社改革を行うことを前提に取り組んできました。こうした流れも明らかにすることで、顧客企業様にもより参考にしていただけるかたちになっているかと思います。

Question

こちらのライブオフィスは一般の企業の方々も予約制のツアーで見学できるようですが、実際に見た上でオフィスの改革に取り組もうという流れになることが多いのでしょうか?

Answer

単なるショールームではなく、オフィス空間の極意を研究し、紹介するために生まれたコクヨの次世代オフィスであり、弊社の社員が実際にここで働いています。こうした実際の最新オフィス空間に来れば、「本当に変われるのかどうか」ということも一目瞭然で分かってもらえますし、もちろん、変えたいと感じたお客様に対してはお手伝いをさせていただいています。

図2 コクヨのオフィス移転ソリューションにおける移転フロー
図2 コクヨのオフィス移転ソリューションにおける移転フロー
出典:コクヨ、2014年6月

例えば、移転フローで見た場合には、ビル比較/コストシミュレーション/ビル選定、要件定義、基本設計、実施設計、ファシリティマネジメントまでのすべてをサポート可能です。ただ、実際のお客様からの引き合いとしては、これまでは基本設計のフェーズから手伝ってほしいという相談が多かったのですが、最近は少しずつ状況が変わりつつあります。つまり、働き方を変える、社員のパフォーマンスを引き出すといったテーマのもとでオフィス構築に取り組むのであれば、やはり、要件定義のフェーズで一緒に絵を描いていくことが望ましいですし、そう考えるお客様も増えてきているのです。


●ありがとうございました。


取材協力

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2004年にコクヨファニチャー株式会社として、コクヨから分社・事業開始。商品やサービスを通じて、お客様に「ひらめき・はかどり・ここちよさ」を提供することをテーマに、オフィス家具、オフィス用内装材、セキュリティ関連商品、空間デザイン・コンサルテーション、人材育成サービス、ビジネスプロセスアウトソーシング委託などの事業を手がけている。


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