今後の働き方の鍵はサステナブル・キャリア

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アナタに代わって聞いてきました!ザ・キーマンインタビュー

今後の働き方を支えるサステナブル・キャリアとは?

2014/08/07

企業がワークスタイル変革に取り組む理由の1つには、「優秀な人材の確保」が挙げられるだろう。しかし、人口減少は人材不足ばかりではなく、年金開始年齢の引き上げや減額といった事態にもつながる。そうした中、働き手はどのような意識を持ち、行動を起こすことが求められるのか?

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株式会社リクルートマネジメントソリューションズ:古野 庸一 氏

組織行動研究所 所長
古野 庸一 氏

65歳以上でも働かざるをえない時代に?

Question

今後、国内人口の減少が続くことが見込まれる中で、日本の経済全体にどのような影響が生じ、また、企業のビジネス戦略においては、どういった課題に直面することが予想されるでしょうか?

Answer

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ:古野 庸一 氏

人口の減少にともない、人材(質)にせよ、人手(量)にせよ、“人が足りない”という傾向は既に表面化しており、今後ますます顕著になることが見込まれています。ただ、圧倒的に足りないと言われている一方で、「人が余っている」状況が少なからずあることも確かです。例えば、特に大企業で見られる、いわゆる中高年層における「雇用保蔵」、つまり、企業の中で活躍の場がない未活用の人材が存在する、今は仕事がないが将来の需要を見越して確保されているといったケースです。バブル世代、つまり、バブル景気による売り手市場の就職時期に新入社した世代が、現在は45歳から50歳になっていますから、こうした雇用保蔵の問題は今後10〜15年くらいは続くことになると言われています。また、現在ではそれに加えて、若者が「働く意欲はあるものの、自分の希望する企業や職種に就けない」といったミスマッチングも生じており、こうしたアンバランスな人不足の状況は今度更に拡大していくだろうと予測されます。

もう少しレンジを広めて、20〜30年という期間で考えていくと、別の新たな問題も浮上してきます。今後20年の間で、国内人口が1000万人減少するというだけではなく、3人に1人は65歳以上の高齢者という状況になるわけです。その結果、年金開始年齢の更なる引き上げ、あるいは年金支給額の減額などが予想され、多くの人たちが従来以上に長く働かざるをえない状況になると思われます。つまり、70歳、75歳、あるいは80歳まで働くことが当たり前になっていくのではないでしょうか。働く側の立場で見れば、「60歳まで正社員として働いて、引退後はゆっくりする」という従来のモデルは徐々に崩壊していき、働く視界が変わっていくことになるわけです。

Question

そういう状況に対応すべく、企業側でも視界や意識を変えていくことになるのでしょうか?

Answer

企業側でも既に65歳くらいまでの人材に関しては、単なる定年延長だけではなく、嘱託などの様々なかたちで雇用しようという動きはこれまでにもありました。ただ、それ以上の年齢層まで雇うかというと、人が不足しているからといってもなかなか難しく、「よほど優秀でないかぎり、そこまでは…」と考えられている印象を受けます。しかし、働く側においては、先ほど述べたように経済的な問題によって、65歳以上でも働かざるをえないという方も増えてくるかもしれません。更に、それだけではなく、70歳、80歳になっても、まだまだ健康で、アクティブに過ごしたいという方は結構いらっしゃいます。65歳の方を対象に実施した調査(内閣府「平成23年版高齢社会白書」)の結果でも、「働きたい」という回答者が44%を占めていました。ただ、そうしたシニアの方を受け入れてくれる「働く場所が十分にない」という問題があるわけです。


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なぜ、持続的に働くための「サステナブル・キャリア」が求められるのか

Question

そういった状況において、持続的に働くためのキャリアの作り方を「サステナブル・キャリア」と呼ばれているようですが、これはどういうものなのでしょうか?

Answer

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ:古野 庸一 氏

先ほどお話ししたように、80歳まで働くことが前提になったとしても、1つの企業に居続けることは難しいですから、セカンドキャリア、サードキャリアといったことは当たり前になっていくでしょう。ただ、だからといって、お金だけのために長く働き続けるのはつらいものです。「成長する」「自己実現する」「人に感謝される」「社会に貢献していると感じられる」「信頼できる仲間と働ける」「仲間から刺激を受ける」「職場にいることが楽しい」「所属している組織に共感できる」「人の成長を手助けできる」というようなことが感じられることも不可欠と言えるのではないでしょうか。やはり、仕事が与えてくれるのはお金だけではなく、そうしたいろいろなものがあるということを、もう一度再評価していくことになるのではないかと思います。

また、その一方で、環境変化が激しく、将来の予測は難しい状況が続きますから、どんな環境になっても働けるようにしておく必要があります。そういう意味で、自分のキャリアは企業が守ってくれるものではなく、きちんとコントロールして、自ら切り開いていくという意識を持った上で、持続的に自らが貢献する働き場所を見つける、あるいはそういう場を作り出すというキャリアのあり方をサステナブル・キャリアと定義しているのです。

しかも、そうした意識は、定年になってからではなく、もっと早い段階で持っておくことが大事だと思いますから、高齢者だけにとどまらず、世の中全体に広がっていくことも考えられます。「単に長い期間働くのではなく、意味のある働き方を模索していく」という人が増え、例えば、育児や介護、あるいは何らかの教育を受けるために何度かキャリアを中断し、その後、復帰して働くということも当たり前になっていくかもしれません。あるいは、「マルチジョブで働く」「地方で自給自足しながら、ネットを通じてリモートで働く」「自分に合った仕事を細く長く行う」「1つの分野を究めた後、ほかの分野でも専門家になる」「短い期間で集中して働き、早期にリタイアする」といった多様な働き方が広がっていくのではないでしょうか。


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サステナブル・キャリアとワークスタイル変革の関係

Question

そうした多様な働き方を支えるための仕組みとして、いわゆるテレワーク導入といったワークスタイル変革が役立つ部分はあると言えますでしょうか?

Answer

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ:古野 庸一 氏

そうですね。現時点では、メリットに対してデメリットが大きいと感じ、なかなかそこに踏み出せない、あるいは実験的な導入にとどまっている企業が大部分だという印象はありますが、今後は重要な役割を果たすことになると思います。先ほど、高齢者の方が長く働き続けるためには、「職場や組織にいる」こと自体で得られる実感も重要だという話をしましたが、それは必ずしも都会の企業へ毎日出社するということを意味するわけではないと思います。サステナブル・キャリアの考え方には、地方でボランティア的な地域活動をしながら、それとは別に純粋な収入源としてテレワークで仕事をするといったケースも当てはまると言えるでしょう。

Question

ワークスタイル変革によって、テレワークやモバイルワークの比率が増えていくと、マネジメントが難しくなると言われますが、この点に関しては、どのように考えられますか?

Answer

そのとおりだとは思いますが、これまでお話ししたような状況を鑑みれば、いずれにせよ、マネジメントは難しくなっていくと考えています。人が不足する中で、女性や外国人、非正規社員などの表層的な多様性が増すのはもちろんのこと、1人ひとりが働く動機を重視していくことで、価値観の多様性、つまり深層の多様性も増していきます。こうした表層的にも深層的にも多様性が増した現場のマネジメントは非常に難しいものです。そのため、マネージャにはより高度な能力が求められます。

これは何もマネージャだけの問題ではなく、先ほどのようにセカンドキャリア、サードキャリアを考えると、どんな立場・職種にせよ、仕事のプロフェッショナリティは更に求められ、自らの知識やスキルを刷新し、学習する力がなければ「働く場を得る」ことは難しくなるものです。ただ、日本においては、1人ひとりの社員が優秀といった理由から、管理職がはっきり具体的な指示を出さなくてもなんとかなってしまうというケースが多々あり、特に大企業ではあまりマネジメントをする必要がないという状況もあったかもしれません。そのため、「プロのマネージャ」の数が圧倒的に足りず、引く手あまたの事態になる可能性もあるのではないでしょうか。


●ありがとうございました。


取材協力

株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所 企業サイトへ

株式会社リクルートマネジメントソリューションズの研究開発部門。理論と経験にもとづく研究・開発及び情報発信を通じて、「個と組織を生かす」マネジメント機能の向上に貢献すべく、総合検査SPIの開発をはじめ、様々な人事測定事業・トレーニング事業を手掛けている。


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