企業のグローバル対応とワークスタイル変革

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アナタに代わって聞いてきました!ザ・キーマンインタビュー

企業のグローバル対応とワークスタイル変革

2014/07/10

ワークスタイルの変革には業務効率や生産性の向上といった様々なメリットがあるが、リモートワークや遠隔地で働く従業員の管理の実現などは、企業のグローバル対応にも貢献するはずだ。両者をうまく複合的に推進していくためのポイントとは?

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株式会社 ヘイ コンサルティング グループ:山口 周 氏

ディレクター
山口 周 氏

人材獲得の厳しい競争により、グローバルへ視野が広がっている

Question

人事・組織コンサルティングを手がける立場として、日本企業が抱える課題や意識変化については、どのような印象やお考えをお持ちでしょうか?

Answer

株式会社 ヘイ コンサルティング グループ:山口 周 氏

既に10年くらい前から「War for Talent」ということが叫ばれており、人材獲得において厳しい競争が生じています。こうした状況において、例えば、東京に拠点を置く企業が人材を集める場合、従来は100km圏内くらいで考えていたかもしれませんが、その範囲内で優秀な人材を必要な数だけ確保できなければ、母集団を増やすしかありません。つまり、500km圏内、あるいは1000km圏内と範囲を広げていくことになり、場合によっては、グローバルに広げる必要も生じつつあるというわけです。企業と企業の戦いということを考えれば、単純に考えて、世界中を視野に入れて優秀な人材を確保している企業と、近場だけで集めている企業では大きな差が生じることは確かでしょう。

更に、こうした人材獲得の競争激化が進むと、「人材を探す範囲は広げるものの、近くに住んでもらう」ということも厳しくなってきますから、そのような考え方も変えていく必要があるかもしれません。日本でもそういう企業は少しずつ出てきており、例えば、数十名規模のITベンチャー企業が米国やヨーロッパにオフィスを構えて、東京のスタッフとリモートでつながり、プログラミングの分担作業を行っているというケースも見受けられます。先ほどお話したように、企業間の競争に勝ち抜いていくためには、今までのように同じ場所に集まるという働き方というものは、遅かれ早かれ変わっていくことが必然だと思います。

Question

働き方が変わると、様々な問題も生じてくるわけですよね?

Answer

少し前までの会社に集まって働きつつ、外部とのコミュニケーション手段は電話が主体といった環境では、働く場所自体に非常に多くの情報量が存在していたかと思います。例えば、部下や同僚の電話のやりとりなどを耳にすることで「トラブルが起きているのか」と伝わるし、先輩が電話で営業していれば「なるほど、こういう攻め方をすればいいのか」「納期が遅れたら、このように謝るべきだな」といったことも学習できました。しかし、メールでのやりとりが増えたことで、会社に集まるかどうかは別にして、既に各自のコミュニケーションがPCの中に閉じつつあり、外から見て学習することは難しい状態になっています。その分、コミュニケーションの質を変えていくことが必要でしょうし、それができなければ、本当に単なるリモートワークにとどまってしまい、組織全体のパフォーマンスが落ちただけだという結果になってしまいます。

また、物理的に集まっていない人を束ねるためには、端的にリーダシップのスキルが必要となります。例えば、いつまでに何を達成すべきかというゴールを明確に示し、そのためには各々の社員でどの程度のアウトプットが求められるか、いつまでにやるかをタイムフレームで決めていくといった、プロジェクトプランニングやプロジェクトマネジメントを行うべきなのです。今までは、毎日皆が顔を合わせている分、明確なメルクマールを設定していなくても、思いついた時に進捗具合をたずねたり、会話の内容や表情で感じ取ることもできたわけですが、ばらばらの場所で働くようになれば、そんなことは通用しません。


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遠く離れた人にきちんとアウトプットを出させられるか

Question

グローバル化にせよ、ワークスタイル変革にせよ、各々の社員が離れた場所で働くような状況では、やはりマネジメントの問題が大きくなるということでしょうが、特に日本企業においては、意識変革やルール整備を積極的に図っていかなければ対応できない課題だと考えられますでしょうか?

Answer

株式会社 ヘイ コンサルティング グループ:山口 周 氏

全員がそうだとは言えませんが、日本人は「遠く離れた人に、きちんと仕事のアウトプットを出させる」ことが不得手だという傾向があるのではないでしょうか。なんとなくその場の空気で方向感を共有するといったマネジメントに慣れてしまっているので、例えば、書類が送られてきた時に「この内容では期待値に届いていない」と明確なフィードバックができないわけです。期日を設定する際にも、相手のことを気づかって「なるはやでお願いします」と伝える場合もありますが、残念ながら、それは指示とは言えません。

また、「いい感じだけど、こういうふうになれば、なおいいかな」といったふわふわしたコミュニケーションも少なくない印象がありますが、海外のスタッフには理解されないでしょう。「自分の仕事はこれで終わりなのか」「足りないのであれば、具体的にどこか」「いつまでに足りない部分を埋める必要があるのか」を示せないと、リモートマネジメントの環境下ではチームの崩壊につながる可能性もあります。これはリーダシップの課題であるとともに、企業のグローバル対応で日本のビジネスマンがつまずく大きな要因にもなっていると言えるでしょう。

Question

今後、働き方が多様化していくことで、具体的にはどのようなマネジメント手法が求められるのでしょうか?

Answer

リモートワークなどでチームが遠隔に分散している状態になると、もちろん、より高度なマネジメントスキルが求められると思いますが、これまでとまったく異なるマネジメントのやり方や質が必要になるわけではないと考えています。従来の物理的に集まっている状態で、既にパフォーマンスの高いマネジメントスキルを発揮されているのであれば、リモートワークに移行したとしても、さほど大きなダメージを受けることはないと思います。

物理的に集まっていない人を管理するためには、チームとしての成果目標や、各人に求められるアウトプットを明確に示し、期待値に達していない場合は具体的なフィードバックを行うことが必要だと話してきましたが、本来は従来の働き方でも不可欠なことだったはずです。実際、従来の働き方においても、こうしたマネジメントを実現できているリーダほど、高い業績を上げているという統計データもあります。


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グローバル進出で求められる求心力と遠心力のバランスとは?

Question

日本企業においては、グローバル進出ということも経営上の大きな課題として挙げられることが多いですが、グローバル進出で苦労していたり、踏み出せないという企業ではどのような課題を抱えていると言えますでしょうか?

Answer

株式会社 ヘイ コンサルティング グループ:山口 周 氏

先ほどのリーダシップにも関連する非常に重要な点だと思いますが、私が見る限り、日本の企業は求心力と遠心力のバランスがうまくとれていないケースが多いという印象があります。求心力とは、例えば「グローバル全体でこれを達成していこう」「こういう部分を大事にしよう。優先しよう」といった目標や価値観を明確に共有することで強められるものです。そして、逆に「その枠組みさえ守っていれば、何をやってもかまわない」というふうに、海外拠点などの裁量に任せることが遠心力を生みます。

例えば、インスタントラーメンのグローバル市場を見ると、インスタントラーメンは日本で生まれたものであり、日本の商品こそがおいしいはずなので、そのままの内容で販売すれば市場の側が育っていくだろうという本社側の考えを押し付けた結果、現地拠点が苦戦をしいられるというケースもあります。その一方で、グローバルでシェアトップに立っている企業では、「インスタントラーメンとはかくあるべし」といった思想などはまったくなく、現地の人がどういうものをおいしいと感じるのか、受け入れられるためにはどうすればいいのかを現地拠点で調査したり、商品を独自に作り出すことで成功を収めていたりします。

基本的な価値観やルールなどはグローバルで統一し、共有を図るための教育もしっかりと行うことで求心力をしっかりと効かせる一方で、その軸を保っている限りは、スピードを重視して自由に判断できるよう権限移譲するという体制を構築しているわけです。しかし、日本ではこれが真逆になりがちなのではないでしょうか。つまり、基本軸やコンセプトがはっきりしていないにも関わらず、末端のやり方を厳密にコントロールしようという傾向があり、このことが問題を生じさせがちだというわけです。


●ありがとうございました。


取材協力

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米国フィラデルフィアに本拠を置き、世界49カ国に87オフィスを構え、組織・人材に関するコンサルティングサービスを提供するコンサルティング会社。日本でも35年間にわたり多くのクライアント企業の課題解決を支援している。


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