ワークスタイル変革に必要なマネジメント術

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

アナタに代わって聞いてきました!ザ・キーマンインタビュー

ワークスタイル変革を乗り切るマネジメント術

2014/03/13

ワークスタイル変革では、ある意味、従業員の姿や動きが見えにくくなることで、管理が難しくなる、評価もしにくくなると考える企業は多い。こうした課題を乗り越えるためには、具体的にどのような方針を持って、社内ルールや人事制度などの見直しを行うべきと言えるのだろうか。

リクルートワークス研究所 企業サイトへ

石原 直子 氏

株式会社リクルートホールディングス リクルートワークス研究所
主任研究員
石原 直子 氏

企業が“個”を尊重することを求められている

Question

ワークスタイル変革では、多様な働き方を実現することで、個人、そして組織の力を最大化できるというメリットが見込めると言われていますが、この点に関してはどのようなお考えや展望をお持ちでしょうか?

Answer

リクルートワークス研究所:石原 直子 氏

働くということは、端的に言えば、何らかの仕事を引き受けて期日までに収めることの繰り返しだと思います。ただ、少なくとも働く側から見れば、これまではあまりにも多くの要素に縛られていた、制約を受けていたことも確かだと思います。つまり、この机に座って作業をして下さい、このPCを使って下さい、仕事のあるなしに関係なく9時に出社して下さい、社内システムは決められた場所でしか使えませんといったことです。そうしたルールを守る代わりに、会社は不況下でもそれなりの給料を払ってくれる、終身雇用してくれるだろうといった、安心感を与えられていたわけです。

 しかし、現在ではそうした図式や関係性は大きく揺らいでおり、企業と個人の間に結ばれている心理的契約、つまり、「私は会社に何を提供し、会社は私に何を提供してくれるか」という約束の内容が大幅に変化してきています。そうなると、やはり先ほどのような制約が「合理的ではない」と考える従業員が増えてくるのもやむをえないと言えるでしょう。特に、優秀な人材であればあるほど、その傾向は強くなりますから、やはり企業としても個を尊重しなくてはいけない、もう少し自由な働き方ができるようにしなければならない。そういった意識が、決して急激ではないものの、緩やかに増えつつあるというのが現状ではないでしょうか。

Question

企業としては、制約を設けることで、管理のしやすさ、共通意識の持たせやすさなどを確保していたわけですよね?

Answer

そうですね。組織を一律できちんと管理する目的は、もとをたどれば「無駄をなくす」ことだったはずだと思います。従業員が決まった時間に、同じオフィスに集まって、ルールに沿って仕事を行えば、効率性や生産性を高められるというわけです。大部分の職種は依然として、そうした全員が一律に動くというルーティンの中でこそ、効率が最も高められ、その結果、最大のアウトプットを期待できることは確かでしょう。しかし、そうではなく、自由なワークスタイルを実現したほうが、むしろ「無駄をなくせる」職種も少なからずあります。ただ、多様なワークスタイルを実現しつつ、全体的な効率を高めていくのは、従来の一律での管理よりも当然ながら難しい課題だと言えるでしょう。

 例えば、テレワーク、つまり在宅勤務に向いている人もいれば、そうではなく、むしろ効率が落ちてしまうだけの人もいます。ワーキングマザーにはテレワークが有効ではないかと考え、実際に導入に踏み切る企業も少しずつ出てきていますが、全体的に見て生産性が上がらなかったと断念するケースもあるようです。いずれにせよ、どのようなかたちのワークスタイル変革であれば生産性を高められるのかということは、企業にとっても、そして、従業員の側にとっても試行錯誤の繰り返しでしょうし、当面は行きつ戻りつにならざるをえないのだろうとは思います。


このページの先頭へ

一定の基準を前提とした上での“自由”

Question

そうした自由なワークスタイルの実現は、従業員にとってはメリットが多い半面、組織側では様々な課題も生じる可能性があるかと思いますが、実際の導入にあたってはどのように進めていくのが最善だと言えますでしょうか?

Answer

やはり、自由に働くことが前提になったり、個人の論理のほうが勝ってしまうとうまくいかないと思います。あくまでも組織として働いてアウトプットを出すわけですから、企業側の「これくらいのコミュニケーション密度は保ちたい」「この日は出社してもらう必要がある」という基準が先にあった上で、それ以外のところは自由でかまいませんという流れになるべきでしょう。

Question

そういう点では、管理職の役割も非常に重要になってくると言えますよね?

Answer

リクルートワークス研究所:石原 直子 氏

管理職の仕事自体が変わってくると思います。特に日本では、プレイヤーでいい成績を上げてそのまま管理職になったというケースも多く、スキルトレーニングされていない、マネージャとしての具体的なスキルを学べていない状況にあると言えるのではないでしょうか。マネージャは「会社から人という資源を預かり、その資源を使って、目標を達成する」ことが求められるわけですが、更にそれだけにとどまらず、その人たちを全員成長させるという部分まで含めて、マネージャの仕事だと思います。なぜなら、ビジネスの目標というものは、たいてい毎年同じでは済まされることはなく、段々と上がっていくものでしょう。ただ、目標が上がったからといって、人員が増えるものでもないですから、その分、グループ全員の継続的な成長が不可欠というわけです。

 自分が預かった資産を利息をつけて返さなければいけないという認識を持っていれば、しっかりと個人個人の仕事内容を見た上で各々に適切な対応をとる、全員が1つの目標に向かえるようにテンションを揃えていく、コミュニケーションが希薄な状況であれば自らがファシリテータとして立ち回る、チームの雰囲気が悪くならないように場をコントロールをするといった役割を果たすことが求められ、そのために必要なスキルセットを磨かなければならないということが理解できるはずです。

Question

逆に言えば、そのあたりがきちんとできている企業であれば、ワークスタイル変革に取り組む際にも動じる必要はないということでしょうか?

Answer

単なる集団としての管理、見かけだけの管理ではなく、1人ひとりと個別に向き合って、しっかりと管理しているのであれば、ワークスタイル変革に際してもさほど困ることはないと思います。その一方で、マネージャはたいしたことをしなくても現場が動いてくれていたような組織では、当然ながら、ワークスタイルの多様化によって、マネジメントの手間ひまは大幅に増える、マネージャに高い能力が求められるということを理解しておくべきでしょう。例えば、前述したような、「テレワークを導入しても、この日は出社しなければならない」といった判断も、その従業員だけではなく、ほかの従業員との作業上の関係性なども鑑みた上で采配しなければならず、ほかならぬマネージャの仕事になるわけですから。


このページの先頭へ

人材マネジメント全体の方針を変えていく必要がある

Question

実際にワークスタイル変革に取り組む際には、人事制度の見直しなども必要になるかと思いますが、どのような考え方で進めればよいのでしょうか?

Answer

リクルートワークス研究所:石原 直子 氏

先ほどお話したように、完全に個人の自由に任せるのではなく、あくまでも企業側の基準に沿わせることが望まれますから、基本的には「どういうときには必ず出社していなければならないか」など、最初から細々としたルールを決めておくべきでしょう。そして、もう1つは、人材マネジメント全体の方針をアウトプットベースへと変えていく必要があるということです。働き方はある程度自由にしてもらっていい、その代わりにきちんとアウトプットを出したかどうかが重要な評価指標になるということを、人事制度の評価システムのベースにしっかりと据えた上で、それを従業員側にも明確にコミュニケーションしていかなければなりません。

 先ほど一律での管理という表現を使いましたが、これまでは評価においても、多少の差はあれども、概ね入社何年目かに一律で昇給する、更に何年目かで主任クラスに昇格するという枠組みで済まされていたことは否めません。もはや、それでは通用せず、人事制度のベースに流れていく考え方を変える必要があるということです。仕事に対する対価に関して、個人と企業の間でより積極的なコミュニケーションが発生するような社会になってくるのではないかと思います。


●ありがとうございました。


取材協力

リクルートワークス研究所 企業サイトへ

株式会社リクルートホールディングスにおいて、1999年1月に設立された「人」と「組織」に関する研究機関。リクルートグループの中・長期人材ビジネスの基礎研究、及び、「人材マネジメント」や「労働市場」における情報発信・提言活動の推進などを行っている。


このページの先頭へ



人事制度/ワークスタイル変革に必要なマネジメント術」関連の情報を、チョイスしてお届けします

※キーマンズネット内の「人事制度」関連情報をランダムに表示しています。

人事制度」関連の特集


グローバル化の進行に伴い、拠点を置く世界各国の情勢や文化を考慮した開発・販売体制を敷く必要性に迫られ…



刻々と変わる企業人事。その影響を受け、人材を財産にするものへと進化する人事管理システム。今回はその最…



グローバル市場で長い間、競争力強化に向けた効率的な働き方を追求し続けているデル株式会社に取り組みの全…


「シンクライアント」関連の製品

利便性とセキュリティに優れたワークスペースを利用する“WaaS” 【横河レンタ・リース】 川口信用金庫が400台のPCをシンクライアントに移行した理由 【パラレルス】 HP Moonshot HDI シンクライアントソリューション 【アクシオ】
シンクライアント シンクライアント シンクライアント
ワークスタイル変革を掲げVDIを導入してもその効果を発揮できない企業も多い。そこで利便性とセキュリティに優れたワークスペースを利用する“WaaS”が注目されている。 川口信用金庫が400台のPCをシンクライアントに移行した理由 HDI(Hosted Desktop Infrastructure)は、継続したパフォーマンスを提供できるハードウェア占有型のシンクライアントソリューション。ネットワーク分離用途にも適用可能。

「仮想化」関連 製品レポート一覧

このページの先頭へ

Myリストへ 印刷用ページへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この記事に掲載している情報は、掲載日時点のものです。変更となる場合がございますのでご了承下さい。


30007107


IT・IT製品TOP > ワークスタイルの変革(ユーザ部門向け) > 仮想化 > シンクライアント > シンクライアントのIT特集 > 特集詳細

このページの先頭へ

キーマンズネットとは

ページトップへ