ワークスタイル変革で必要な意思疎通の形は

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アナタに代わって聞いてきました!ザ・キーマンインタビュー

ワークスタイル変革を成功に導くコミュニケーション基盤とは

2014/03/06

ワークスタイル変革の推進に際しては、コミュニケーション面で何らかの対策が必須だと考える企業が非常に多く、その中には「同じ業務に従事する社員間の情報共有」「企業内での共通認識の形成」「取引先などに対する顧客対応」「部下の管理や評価」といった様々な要素が含まれている。具体的にはどのようなインフラ/ツールを整備すれば、上記のような課題解決を図れると言えるのだろうか。

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亀津 敦 氏

情報技術本部 先端ITイノベーション部
上級研究員
亀津 敦 氏

コミュニケーション基盤に関しては、もう「やりきって」いる?

Question

社内でのコミュニケーション基盤については、これまでにも電子メールやグループウェアの導入などによって整備されてきたはずですが、ワークスタイル変革においても、こうした既存のツールだけでも十分に対応可能だと言えますでしょうか?

Answer

株式会社野村総合研究所:亀津 敦 氏

IT部門としては「少なくともインフラに関しては、これ以上あまりやることはない」と考えている方が多いのではないかと思います。実際、グループウェア、少なくとも旧来のグループウェアという観点では十分に活用している企業が大部分なわけですし、IP電話を中心にITと様々な通信手段を融合させるユニファイドコミュニケーションに関しても、かなり普及してきた印象があるのではないでしょうか。そういう意味では、コミュニケーション/コラボレーションのインフラについては、多くの企業において極端に言えば「やりきっている」という見方なのではないかと考えています。ただ、ワークスタイル変革に十分に対応可能な体制が整っているかというと、決してそうではなく、やはり、依然として様々な課題を抱えている状況のままだと言えるでしょう。

 では、そういう状態の中でワークスタイル変革を推進していくためには、どのような方針で取り組むべきなのか。そもそも、インフラをそのまま道具として扱うという時代は既に終わっており、それを使って何を解決していくべきかを必ずセットでとらえなければ、満足な効果を引き出せないという段階に来ています。つまり、単にインフラを整えるだけではなく、ビジネスドリブンで考えていく必要があるというわけです。例えば、社外の顧客との関係性で言えば、窓口となる担当者と顧客とのコミュニケーションだけではなく、社内側でのコミュニケーション、つまり、お互いにフォローし合ったり、サポートし合う社員間のコミュニケーションも重要であり、一気通貫でなされるべきものだと思います。顧客とタッチポイントにいる社員、そして、それを支える社員との間のコミュニケーションは、本来はシームレスに流れないといけないわけです。

 ただ、実際にはそうなっておらず、ここまではグループウェア、ここからはCRMといったインフラ主体の発想になりがちと言えます。そうではなく、ワークスタイル変革を推進しつつ、顧客とのコミュニケーションを円滑に進められるような環境を整えたいという観点を持った上で、これまで顧客対応はどのような流れで行われてきたのか、社内にいない担当者にどうつなげていくのか、あるいは誰でも同じようなサポートが行える体制を構築するにはどうするか、といったシナリオを想定し、どういうツールを組み合わせて解決していくのが最適かを検討していくべきでしょう。もちろん、こうした業務に即したコミュニケーションデザインをIT部門だけで行うのは無理ですから、あくまでも企業全体としてシナリオ作成に取り組み、技術面でIT部門が貢献するというかたちでよいと思います。

Question

インフラを整備するだけではなく、それがうまく活用されるように促すという点では、社員の意識改革なども必要だと言えますでしょうか?

Answer

同じ業務に従事する社員間の情報共有で言えば、ノウハウを共有したり、コミュニケーションを密にして、組織全体で売上向上を図ろうということが目的となりますが、実際にはそう簡単にはいきません。例えば、営業マンどうしであれば、優秀な社員は「なぜ、自分が積み上げてきたノウハウを人に教えないといけないのか」と考えるのも無理はないでしょう。やはり、インフラだけ整備して「さあ、使いなさい」で済むわけではないと思います。

 例えば、海外の保険業界などでは「ゲーミフィケーション」の要素を取り入れることで、そうした問題をクリアしようというケースも出てきています。つまり、社内SNSなどを導入した上で、各人のノウハウや業務内容・活動をシェアし、それに対して(Facebookの「いいね!」ボタンを押すような仕組みで)ほかの社員から多くの支持が与えられれば、実際に何らかのインセンティブが与えられるというかたちです。こうした仕組みは情報共有の促進だけではなく、ワークスタイル変革によって生じがちな「部下の管理・評価・育成」「各社員におけるモチベーションの維持」といった、様々な課題解決にもうまく活用できる可能性があるのではないでしょうか。


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企業間のコラボレーションに有用な基盤への発展が求められる

Question

グループウェアを中心とする社内コミュニケーションツールの動向に関しては、どのような状況にあると言えますでしょうか?

Answer

株式会社野村総合研究所:亀津 敦 氏

ワークスタイル変革の推進に向けて、コミュニケーション基盤を整備する場合、社内ソーシャルネットワークの構築が1つの有力な選択肢になるかと思います。そして、その実現形態としては、既存のオンプレミス型グループウェアをカスタマイズしたり、その上に機能実装を行うのではなく、SaaS型グループウェアをベースにした構築、あるいは社内ソーシャルネットワークに特化したSaaS型サービス、SaaS型CRMから派生した社内SNSツールなどの利用が主流になっていくと考えています。

 コミュニケーション/コラボレーション基盤に関しては、これまではオンプレミス型で導入して、自社のニーズに特化した様々なカスタマイズを行うというケースも多かったかもしれませんが、既に潮目は変わりつつあり、SaaS型を利用したほうが柔軟性や今後の発展性において有利と考える企業が増えているのではないかと思います。実際の市場動向としても、オンプレミス型グループウェアの利用実績は現在も増え続けていますが、「今後利用したい」と回答する企業は減ってきており、どちらかと言えば、衰退期に入っている段階だと言えます。その一方で、SaaS型グループウェアは順調に伸びているという状況です。

Question

今後の発展性というのは、やはり、様々なワークスタイルへの対応なども含まれるわけでしょうか?

Answer

そうですね。これまでにも社内の人と人をつなぐという役割を果たしてきたわけですが、更に場所の制約を受けることなく、より便利に、よりセキュアにつないでいくということが求められてくると思います。また、その延長線上として、企業間のコラボレーションに有用な基盤へと発展していくことも期待されているのではないでしょうか。

 企業間の連携は活発化している印象がありますが、その際、紙の上でお互いに提携して終わりではなく、可能な限り、現場の人どうしが企業の垣根を超えて新しいビジネスを一緒に取り組んでいくことが望まれます。しかし、実際にそのために必要な環境を構築するのは容易とは言えず、結局、メールでのやりとり、せいぜいスケジュール共有程度にとどまっている状況ではないでしょうか。ビジネスのスピードアップという意味でも、今後は企業間のコラボレーションに対応可能な基盤も不可欠と言えますし、また、これは社内のワークスタイル変革にも密接に関係してくるものだと思います。なぜなら、各企業がワークスタイル変革を実現したとしても、企業間のやりとりに関しては電話やメールだけという旧態依然とした状態では、そこがネックになって、ワークスタイル変革の全体的な効果を薄めてしまう可能性もあるからです。


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効率性を追求するだけではなく、ノンバーバルコミュニケーションも重視

Question

現在は様々なコミュニケーション手段が利用可能であり、場合に応じて使い分ける必要があると思いますが、やはり効率性を重視した上で適切なものを選ぶべきだと言えますでしょうか?

Answer

株式会社野村総合研究所:亀津 敦 氏

テレワークを導入したものの、働く人の疎外感が大きく、結果的にうまく定着しなかったという話を聞くこともあります。その理由は様々ですが、やはり、効率性を追求するあまりに、メールで必要な指示や資料だけをやりとりする、進行状況やスケジュールなどもお互いに画面上の確認だけで済ませるというかたちだけでは、コラボレーションというものは成り立たないと言えるのではないでしょうか。合理的ではあるものの、ただ伝達を繰り返すだけで、場を共有していた時のような連帯感や共通認識などを形成できない状況では厳しいのだと思います。

 人がお互いを理解するためには、非言語的なコミュニケーション、いわゆるノンバーバルコミュニケーションが非常に重要だと言われますし、実際、最近ではワークショップによってもたらされる効果を再評価する動きも出てきています。ワークスタイル変革に取り組む際にも、個々の合理性を追求するばかりではなく、同時に多くの人が集ってディスカッションできるような場を積極的に設けるといった工夫が必要だと言えるでしょう。もちろん、連絡事項を伝えるだけの会議であれば、それはもうメールやグループウェアの掲示板などに置き換えてしまえばいいのですが、テレビ会議システムなどを活用して“場”を共有し、多少雑談交じりでもいいので、意見を出し合ったり、アイデアを一緒に生み出すことが、従来のリアルな職場の補完という意味で、非常に重要な要素になってくると思います。

 また、そうしたバーチャルな会議スタイルが定着してくれば、もう1つのメリットも見込めます。それは、社内の人間だけではなく、各テーマの専門家、あるいは消費者などに参加してもらい、違う視点で直接対話に加わってもらう、いわゆるオープンイノベーションが実践しやすいという点です。


●ありがとうございました。


取材協力

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流通や金融など各産業分野の研究、消費者動向調査、未来予測などを行い、その成果を広く社会に発信。予測、分析、政策提言などによって問題発見から解決策を導くまでの「ナビゲーション」と、その解決策を業務改革やシステムの設計、構築、運用によって実現する「ソリューション」を相乗的に機能させることを軸に、「未来創発」に取り組んでいる。


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