モバイルワークの実現に必要なステップ

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アナタに代わって聞いてきました!ザ・キーマンインタビュー

モバイルワーク/仮想オフィスの実現に必要なステップ

2014/02/27

 2009年からいち早くワークスタイル変革に自ら取り組むとともに、そのノウハウを活用するかたちで、SIer事業の1つの柱として「ワークスタイル変革ソリューション」を展開しているネットワンシステムズ。同社では既にクライアントの仮想デスクトップへの全面移行を果たしているが、人事制度などの社内ルールの整備、そして、システム/ネットワーク構築について、具体的にどのようなステップで取り組みを進めてきたのだろうか。

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古森 浩一 氏

システム企画グループ プラットフォーム部
ネットワークチーム エキスパート
古森 浩一 氏

人事制度の壁を乗り越えるために、意外な取り組みを実施

Question

貴社はICT基盤の構築/サポートを提供するネットワーク/システムインテグレータであり、最近では特にワークスタイル変革に関連するソリューションの提供にも力を入れているようですが、それはどういった理由からなのでしょうか?

Answer

ネットワンシステムズ株式会社:古森 浩一 氏

ワークスタイル変革に必要なソリューションとしては、デスクトップ仮想化(VDI)、ユニファイドコラボレーション(UC)などが挙げられ、弊社では古くからこれらのツールを取り扱っており、豊富な導入実績を有しています。ただ、そうしたツールを提供するという立場だけではなく、自らもワークスタイル変革にいち早く取り組み、成功あるいは失敗の経験から得たノウハウを含めて、お客様にお届けしているという状況です。

 とはいえ、実は最初からワークスタイル変革という大義名分を持って推進してきたわけではありません。もともとは、ベンチャー企業から急成長した結果、「社員1人ひとりが個人商店的な業務スタイルで、周囲との連携が少ない」「社員数の急増に対応すべく、毎年、オフィススペースの拡大を繰り返さざるをえない」といった状態を解消したいという、わりと地味な課題から始まりました。具体的な時期としては2006年頃になりますが、要するに、社員の働き方に対する目の前の課題として「コミュニケーションの向上」「オフィススペース効率の向上」を図る必要に迫られていたのです。

 弊社の場合は、最初は総務部門が発起するかたちで、オフィスのパーティションを外すといったレイアウト変更、スペース効率を高めるためのフリーアドレス導入、トライアルユーザへのVDIアカウント付与などによる「どこでもオフィス」の実現への取り組みをスタートさせました。関連するオフィススペースなどのファシリティ、更にはIP電話や携帯電話を総務部が管理していたためですが、やはり、ICT端末の推進にあたってはIT部門の関与も必要ですから、2009年には総務部のファシリティ/電話管理機能に、IT部門のPC管理/ヘルプデスク機能を組み合わせるかたちで基盤管理部を設置。更に、2011年以降はVDI管理/システム管理の機能も併せてプラットフォーム部とし、ワークスタイル変革の中心的役割を担っています。

Question

VDIに関しては、どのような段階を踏んで導入されていったのでしょうか?

Answer

どこでも仕事ができるという環境は、システム面での整備は進んでいったのですが、その一方で、やはり、従来の人事制度のままではワークスタイル変革に限界があるという壁に直面しました。ご存じのとおり、特に自宅などでテレワークを行う場合に、どういうマネジメントをすべきか、仕事内容をどう評価するかといった点です。そのため、人事制度改革への取り組みとして、まずは人事部にVDIアカウントを付与し、パイロット部門として新しい働き方を体感してもらうことにしました。そのトライアルが功を奏し、人事部自身が制度改革の必要性を感じて、自らの体験なども参考にしつつ、テレワーク制度を設立したという流れです。その後、最初のステップとして、外出が中心の希望者へ仮想デスクトップを120台展開、更にオフィスのグループアドレス化と並行するかたちで、600台、1200台、そして、2013年4月には本社移転に合わせて3100台へと広げ、VDIの全社展開、クライアント環境の仮想デスクトップへの統一を実現できました。


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クライアントはすべて仮想デスクトップへ統一

Question

VDIの全社展開を実現された現在の状況について、どのように評価されていますか?

Answer

ネットワンシステムズ株式会社:古森 浩一 氏

クライアント環境に関しては、以前は社内用デスクトップPCと外出用ノートPCの2台を社員に配布していたのですが、仮想デスクトップへ統一することに対しては、当初はすべての社員が納得したわけではないと思います。ただ、いずれにせよ、本社移転後はフリーアドレスの拡大などにともない、全員がVDIを使わざるをえない状況になり、その結果、先ほどの人事部でのトライアルと同様に、一度使うことで社員の意識も変わりました。パフォーマンスにも問題はなく、むしろ、いつでも・どこでも、自分のデスクトップにログインし、いつもどおりに利用できるといった点でメリットが大きいと感じています。

 VDIに関しては、既存のデスクトップPCと混在利用せざるをえないケースも少なくないと思いますが、やはり可能であれば、全面的にVDI化を図ったほうが様々な面で恩恵が得られるはずです。弊社の場合は、従来クライアントのライセンス管理が煩雑であったものが、シンプルになり管理負荷も大幅に削減できました。また、各人の社内クライアント環境がVDI化されることで、物理的な端末は基本的に何でもよくなるので、私物PCを持ち込む、いわゆるBYODへと自主的に切り替える社員もかなり多く出てきました。最終的にはBYODが更に拡大していくことが見込まれ、クライアント端末の導入・管理コストも大幅に下がるという効果もあるのではないかと期待しています。

図1 投資対効果の算出ステップと算出メトリック
図1 投資対効果の算出ステップと算出メトリック
出典:ネットワンシステムズ、2014年2月

Question

システム側の構築に関しては、どのような手順を踏まれたのでしょうか?

Answer

2011年頃までは、VDIに必要なインフラなどに関しても、その都度、既存のインフラに追加したり、拡張していくというかたちをとっていました。ただ、それ以前からのサーバ仮想化の導入などの影響もあって、極端に言えば、データセンタ側もつぎはぎの状態で、いわゆるサイロ化が進んでしまっており、様々な部分でボトルネックが生じたり、運用管理が増大していました。これは弊社だけではなく、多くの企業に見受けられる状況とも言えますが、そのままの状態でクライアント環境を全面的にVDIへと切り替えていくのは、将来的なリスクが大きいと判断しました。

 しかし、既存のシステム環境を全面的に改修するためには、一定期間にわたってシステムを止める必要が生じますが、そうしたリスクも避けなければいけない。そこでサイロ化してしまった既存環境には手をつけずに、まったく同じ環境をもう1つ、しかも、統合仮想基盤というかたちで新たに構築するという手段を選択しました。最新のコンポーネントを用いてすべてを作り直し、しかも、構造的にも洗練化されたことで、VDIを全社展開したとしても、そして、社員数が今後増加し続けても、十分に耐えうるネットワーク/システム基盤が構築されたことになります。初期コストが高くなってしまうというデメリットもあるため、すべての企業で可能なやり方ではないかもしれませんが、古くなった機器を細々とリプレースしていくよりも技術的なハードルは低くなりますし、統合管理の導入で運用管理の作業量も減らせ、将来的にはトータルコストの削減にもつながってくる可能性もありますから、一度は検討してみるべきだと考えます。

図2 サイロ型仮想基盤を刷新するための、新たな共通仮想基盤の設計方針
図2 サイロ型仮想基盤を刷新するための、新たな共通仮想基盤の設計方針
出典:ネットワンシステムズ、2014年2月

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ネットワークに関してはどのような対処が必要か

Question

社内ではフリーアドレスが中心で、クライアントもVDIへと全面移行したということですが、オフィススペースのLANに関してはどのような構成にされているのでしょうか?

Answer

ネットワンシステムズ株式会社:古森 浩一 氏

以前は各デスクに有線LANポートが配置されており、ノートPC利用時は無線LANも使えるという状態でしたが、ワークスタイル変革に合わせて、まず「完全無線化」、そして「VDI化」を推進したという流れです。現在、オフィススペースではプリンタなどの例外を除いて、有線は完全に撤廃しており、ユーザは無線LANのみを利用できる環境になっています。無線接続時のセキュリティに関しては、会社貸与PCについては証明書を使い、BYODなどの端末に対しては検疫/ID/パスワードによるWeb認証を組み合わせています。

Question

無線LANも規格や技術の面でいったん落ち着いた状況にあり、速度面でも十分な基準に達していることもあって、全面的に切り替えるタイミングとしてはちょうどよかったという感じですかね?

Answer

そうですね。速度的には十分かと思います。ただ、メインのクライアント環境としてVDIを利用するにあたっては、一定以上のレスポンスを常に維持する必要はありますから、帯域を確保するためにユーザ数をなるべく制限するようなかたちで、無線LANアクセスポイントの配置など、ネットワークの設計を行っています。また、先ほどの検疫に関しても、実は弊社では前述のとおりPCのBYODを排除しているわけではなく、むしろ、スマートフォンなどの勝手な接続を阻止する意味合いが強くなっています。無線LANのアクセスポイントは接続台数をある程度限定しておかないと、いくら理論上の接続速度が高くても、帯域が圧迫されてしまい、業務に影響をきたしてしまいます。そのため、BYODか否かという基準ではなく、業務に本当に必要な端末のみを接続させ、それ以外は許可しないというルールにしているわけです。


●ありがとうございました。


取材協力

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ネットワークインテグレーションのプロフェッショナルとして、長年にわたり、“つなぐ”ことをコアビジネスに、顧客企業のビジネスや人々の生活を支えるネットワークという新しい社会インフラの構築に貢献してきたが、昨今のクラウドコンピューティング環境の整備加速にともない、提供価値を“つなぐこと”から“利活用を提案すること”にシフト。最先端の製品と技術を組み合わせた次世代ICT基盤を活用したワークスタイル変革を自ら実践した上で、リアルな効果を提示しつつ、顧客企業のビジネスを支援することに取り組んでいる。


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