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ウェアラブル対応も登場、遠隔会議の新潮流IT導入完全ガイド(1/3 ページ)

遠隔地同士を音声や映像でつなぐ遠隔会議に対応したデバイスは、今やウェアラブルデバイスやパノラマカメラ搭載端末まで幅広いものが登場した。パノラマカメラで会議は変わるのか?

» 2014年05月19日 10時00分 公開
[小山健治キーマンズネット]

 複数の拠点を音声通信で結ぶ音声会議から始まった遠隔会議システムは、映像も含めたビデオ会議システムへと進化を遂げ、さまざまなコミュニケーションやコラボレーションの現場に革新をもたらしてきた。

 そして現在、スマートデバイスやウェアラブルデバイスをはじめとした最新エンドポイントデバイス技術やリアルな臨場感を伝える高機能なAV機器を活用することで、さらなる可能性を感じさせるコミュニケーションインフラへと変貌しつつある。新たなステップを踏み出している遠隔会議システムの今を概観する。

ワークスタイル変革を支えるテレワーク基盤として普及が加速

 電話を利用した音声会議、PCを利用したソフトウェアタイプのWeb会議、ハードウェアコーデックによる専用端末タイプのビデオ会議など、さまざまなタイプに分かれて遠隔会議システムは普及してきた。そして今、遠隔会議システムは、新たなトレンドのもとでさらなる進化を遂げようとしている。

 その最たるものが、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方の実現、いわゆるワークスタイル変革を支えるテレワーク推進への機運の高まりだ。テレワークは、政府の成長戦略「日本再興戦略-JAPAN is BACK-」や「世界最先端IT国家創造宣言」にもその意義が盛り込まれ、日本社会を変える原動力として期待されている。

 例えば、厚生労働省はテレワークを新たに取り入れる中小企業に対し、その導入経費の半額を補助する助成金制度を2014年度から創設する方針を固めたことを発表した。また、東京都が実施している「東京都中小企業ワークライフバランス実践支援事業」においても、従業員数300人以下の中小企業を対象とした助成金制度の一環として、テレワーク制度の導入を含めることを決定した。

 こうした政策面からの後押しも受け、遠隔会議システムは従来のような大手企業のみならず、中小企業の間にも普及の弾みがつくと予想される。

モバイルソリューションとの連携

スマートフォンによるビデオ会議 図1 スマートフォンによるビデオ会議(出典:ポリコムジャパン)

 裾野の広いテレワークを推進する上で大きな鍵を握っているのが、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスの活用だ。

 高度なモバイル機能ならびにビジュアルコミュニケーション機能を有するスマートデバイスを活用すれば、「いつでも、どこでも、誰とでも接続できる遠隔会議を簡単に実現できるのではないか」という発想が、業務現場からボトムアップで湧き上がっている。企業としても、こうしたエンドユーザーの声を無視できなくなっている状況だ。

 実際、手持ちのスマートデバイスを利用し、移動中や営業、サービス現場、空港ラウンジ、自宅など、場所を問わないコミュニケーションを実現することで、ビジネスの生産性向上や効率化に大きく寄与することができる。

 高速なLTE回線のサービスエリア拡大に加え、ネットワーク帯域を節約する下記のような音声技術や映像技術が登場し、モバイル環境での高品質なポータブルビデオコミュニケーションを実現している。

G.722.1 Annex C

 人間の声に含まれる周波数のほぼ全てをカバーする音声技術で、CD並のクリアな音声を伝える。従来、標準的に使われてきたMPEG-4 AAC-LD、eACC+、AMR-WB+といった音声技術と比べてネットワークを占有する帯域が少なくてすみ、DSP(Digital Signal Processor)の処理負担も小さく抑えることができる。もともとポリコムが提供していた独自技術「Polycom Siren 14」をITU-Tが国際規格として標準化したもの。なお、同社の上位規格「Polycom Siren 22」も存在している。

H.264ハイプロファイル

 ビデオコミュニケーションに必要なネットワーク帯域を最大50%削減する。これまでの遠隔会議システムで標準的に使用されてきたH.264ベースラインプロファイルの半分の帯域幅で、HD品質のビデオ通信が可能となる。

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