ソーシャル分析で人工衛星やタイムマシンを

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掲載日 2014/01/29

ザ・キーマンインタビュー ソーシャル分析は人工衛星にもタイムマシンにもなりうる

古くから検索/レコメンデーション技術、ソーシャルデータ活用などの技術開発に取り組んできたホットリンクでは、現在、ソーシャル・ビッグデータを分析・加工し、ビジネスへの有効活用を支援するクラウドプラットフォームベンダとして、様々なサービスを展開している。同社の代表取締役社長CEOである内山幸樹氏によれば、多くの企業のビジネスにおいて、ソーシャル分析の活用は「人工衛星やタイムマシンを手に入れるようなもの」だと言う。その真意とは?

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内山 幸樹 氏

代表取締役社長CEO
内山 幸樹 氏

ソーシャル・ビッグデータは「第3世代の検索エンジン」を実現する

Question

貴社では、古くから検索/レコメンデーション技術、ソーシャルデータ活用などに取り組まれていますが、そうした立場から見て、最近になって一般的にも広まってきたビッグデータ利活用の現状に関して、どのような印象をお持ちでしょうか?

Answer

株式会社ホットリンク:内山 幸樹 氏

弊社はもともと、「世の中のあらゆる情報を自分のために使える。自分の情報を世の中のために提供する」世界が来ることを想定し、「知識循環型社会のインフラを担い、世界中の人々が“HOTTO(ほっと)”できる世界の実現に貢献する」という存在意義を抱えて13年前に創業しました。ただ、そうした構想自体が少し早すぎたことは否めず、インターネットの普及やソーシャルメディアの利用拡大、スマートフォン、クラウドコンピューティングといった様々な基盤が揃った今、初めてビッグデータが本格的に活用できる環境が整ったと実感しています。

Question

現在では自社の事業を「ソーシャル・ビッグデータ活用のクラウドサービス」といった呼び方もされていますが、昔から取り組んでいることは大きく変わらないものの、時代の変化で外部には説明しやすくなったという感じでしょうか?

Answer

そうですね。これまでは、会社のビジョンを自分たちなりの言葉で説明しようとしても、なかなかうまく伝えられませんでした。しかし、ソーシャルやビッグデータ、クラウドという言葉が一般化したことで、3つの単語を組み合わせれば、明確に伝わるようになったわけですから、大きな変化と言えます。

 あと、もう1つ感じているのは、私自身、1995年には東京大学大学院在学中に日本最初期の検索エンジンの開発に携わり、弊社も長年にわたり検索エンジンに取り組んできたのですが、現在の取り組みはある意味で「第3世代の検索エンジン」とも言えるのではないかということです。これまでの検索エンジンは指定されたキーワードに関連する情報がどこにあるのか、つまり、場所を指し示すことが役割でした。ただ、情報の主流がホームページからブログ、Facebook、Twitterへと移り変わる中で、1つひとつの発信情報が矮小化してきています。そうした状況では、単に従来のような検索を行っても、情報から価値を見出すことは難しいでしょう。だから、そのキーワードに対して世の中ではどう発言されているのか、どういうイメージが持たれているのかということを集めてきて要約する「新たな検索エンジン」が必要だと考えています。世の中でオープンになっている情報が、断片化されすぎてうまく活用されておらず、それをきちんと知識に変換しなければならないということに、ずっと以前から弊社ではトライアルし続けているわけです。

 また、ビッグデータ活用に着手できないお客様が多い要因としては、まず一般的なビッグデータ市場では、ナレッジ、アプリケーション、分析エンジン、ITインフラ、データ取得という5つのレイヤーに分断されている点にあると考えています。しかも、そのレイヤーごとにベンダが別々に存在するため、ビッグデータ活用に取り組みたい企業は個別に相談して、ソリューションを導入し、結局、最後にとりまとめる作業は自らやらなければならないケースが多いのではないでしょうか。その一方で、ソーシャル分野のビッグデータ活用に関しては、ブログ分析の時代から始まっており、これらのレイヤーの垂直統合が既にできていますから、市場も早く立ち上がったわけです。

 そのため、弊社ではビッグデータの中でもソーシャル・ビッグデータをいかに活用するかというところをまずスタート地点として、お客様にビッグデータに親しんでいただく。そして、うまく軌道に乗れば、基幹システムにソーシャル・ビッグデータを入れて、例えば売上/在庫データ、Webサイトのアクセス履歴などの幅広いデータを組み合わせて、複合的なビッグデータ活用へと進んでいくというステップで提案を行っていければいいと考えています。


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シンプルな使い勝手とレスポンスの速さが「分析の深堀り」を可能にする

Question

具体的な商品/サービスとしては、どのようなかたちで展開をされているのでしょうか?

Answer

株式会社ホットリンク:内山 幸樹 氏

いずれもソーシャルメディアをはじめとしたインターネット上の情報を分析することには変わりはありませんが、大きく分けて「ソーシャルメディアのマーケティング活用」「ソーシャルリスク対策」の2分野で展開しています。前者は、様々な切り口の分析を出すことで、世の中の動きを見える化し、マーケティングの攻めに使っていただけるもの。後者は、いわゆるリスクモニタリングで、自社に対するクチコミのリスク度判定を自動的に行い、リスクとなりうる情報を効率的に発見し、何かあればリアルタイムでアラートを出すというものです。

Question

ソーシャルメディアのマーケティング活用に属する商品としては、ソーシャルメディア分析ツール「クチコミ@係長」を提供されていますが、こちらはどのようなコンセプトで作られたものなのでしょうか?

Answer

端的に言えば、「プロの分析家が行ったような分析結果が、ワンクリックでポンと出てくる」ということです。分析される方が活用する際に、こう使うであろうというシチュエーションを想定し、とにかく手早く「必要な結果」を得られる仕組みを目指しています。例えば、ソーシャル・ビッグデータの分析においては、そもそも相対比較しないと意味がないものです。だから、一定の期間を分析する機能だけを用意し、自分で2回実行して比較せよというのではなく、キャンペーン実施前の期間と実施後の期間を入れれば、その比較結果がすぐに出てくるようにしているのです。そのほかにも異なるキーワードどうしの比較、ブログとTwitter、2ちゃんねるなどの媒体ごとの傾向比較など、ユーザの方がもともとやりたいだろうことをワンクリックだけで行えることが大きな強みと言えます。

 また、使い勝手を高めるためには、上記のような機能面だけではなく、レスポンススピードの向上も欠かせないと弊社では考えています。この点に関しても、これまでの開発技術の積み重ねにより、例えば、数年前までに遡った期間のキーワード分析でも10秒以内で完了するというレベルに到達しています。どんな単純な分析でも、最終的にキーワードを少し変えてみるといった試行錯誤をともなうものですから、1回の分析に数分もかかってしまうようではストレスを感じてしまうでしょう。分析して何かを発見するという行為は、やはり、仮説検証の繰り返しになるのですが、高速に結果が得られれば、それぞれのユーザの方が思いのままに深堀りができるということにつながります。そもそも弊社の強みとしては、多くの情報ソース、そして大量のデータのカバレッジにありますが、そうしたビッグデータをリアルタイム分析できるインフラにも自信を持っているわけです。


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ソーシャル・ビッグデータは人の頭の中も過去も覗ける手段に

Question

ソーシャルデータに関しては様々な見方があり、企業の中には活用はしたいものの、信頼性に欠けるのではないかと考えているところもあるのではないでしょうか?

Answer

株式会社ホットリンク:内山 幸樹 氏

売上データなどは確実な情報と言えますが、それだけでは売れたという結果は分かるものの、なぜ売れたか、なぜ消費者がほしいと感じたのかといった、購入前の過程はまったく分からないものです。ソーシャルではそうした今までは分からなかった部分が分かりますし、更に、購入後の評判も把握できますから、少なくともマーケティング分野においてはアクションにつながりやすい分析ができると言えるのではないでしょうか。もちろん、従来も1ヵ月程度かけてマーケティングリサーチなどを行えば把握できたかもしれませんが、分析結果が瞬時に出せるとすれば、何らかの偏差が多少あったとしても、そこから読み取れることはたくさんあるはずです。もちろん、従来のリサーチ手法にも利点は多くあり、例えば、精度を高めるために、ソーシャル・ビッグデータを分析したあとにグループインタビューを行うなど、従来のリサーチ手法とデータ分析の双方の利点をうまく組み合わせて成功を収めている企業もあります。

 あと、私自身はよく、「ソーシャル・ビッグデータを活用すれば、まるで宇宙にある人工衛星から人の頭の中を眺めるようなことが可能になる」という表現を使うのですが、それに「タイムマシンの能力も併せ持っている」と付け加えています。つまり、ソーシャルメディア上では多くのユーザが考えていることや行動を書き込むことで、まるで鏡のように頭の中の状況がネットワーク上に映っていると言えます。もちろん、実際の行動などとは多少異なる可能性はありますが、膨大かつリアルタイムに集まるという点に意味があるのです。更に、こうしたデータは続々と蓄積されています。弊社でも2006年からのデータはすべて保持していますから、直近の状況だけではなく、5年前のクリスマスに20代女性がほしいと思っていたプレゼントなども分析可能です。そういう意味で、人工衛星とタイムマシンの組み合わせというとらえ方は分かりやすいのではないかと思います。こうした「既に過去のデータが相当蓄積されている」点も、ソーシャル・ビッグデータならではの面白さではないかと感じます。

Question

現在はマーケティング分野での活用が主体となっているようですが、今後はどのような分野での利用拡大を見込まれているのでしょうか?

Answer

弊社では2009年から、ソーシャル・ビッグデータを政治の領域で活用することにも取り組んできました。そして、2013年のネット選挙運動解禁法案が通ったあと、実際に活用され始めたというわけです。このことに関しては、皆さんニュースなどでご存じかもしれませんが、同様に、金融分野での活用に関しても2009年から取り組みを始め、Bloomberg利用者向け金融ビッグデータ分析ツールの提供というかたちで陽の目を見たという状況です。また、ソーシャル・ビッグデータの広範囲なカバレッジとリアルタイム性を活かして、今どこでニュースが発生しているかを自動的に察知して、取材のアクションにつなげるといったデータジャーナリズムなどの動きも出てきています。そのほかにも、今後は様々な分野への広がりが期待できるのではないでしょうか。


●ありがとうございました。


取材協力

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ソーシャル・ビッグデータを分析・加工し、ビジネスへの有効活用を支援するクラウドプラットフォームベンダ。大量のソーシャル・ビッグデータをリアルタイムに検索・分析が可能な「クチコミ@係長」、及び風評をモニタリングする「e-mining(イーマイニング)」を、現在まで累計1600社以上に提供。また同様に、ソーシャル・ビッグデータ及び、感情/属性分析エンジンを、APIを通じてサードパーティ向けに提供している。


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