導入を阻む壁を壊す、クラウド型データ分析

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掲載日 2013/09/17

ザ・キーマンインタビュー 「導入を阻む壁」を取り払う、クラウド型データ分析

ビッグデータの利活用には「多額のシステム投資が必要」「マーケティングやデータ分析の専門家が必要」といった点で、簡単には越えられない壁があると感じている企業は多いのではないだろうか。博報堂ではそうした壁を多くの企業が乗り越えられるよう、クラウドの利点を活かしつつ、マーケティングのノウハウまでをワンストップで提供するクラウド型データ分析ツールをリリースしたという。

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西川 暢一 氏、田村 耕人 氏

博報堂プロダクツ ダイレクトマーケティング事業本部
データベースマーケティング部
データベースマーケティングディレクター

西川 暢一 氏

博報堂 エンゲージメントプロデュース局
ビジネスディベロップメントディレクター

田村 耕人 氏

クラウドを利用し、データ分析に必要なツールやノウハウをワンストップで提供

Question

貴社ではこれまでにも、広告・販促物制作の業務を効率化する「Production Cloud 2」などのクラウドサービスをリリースしていますが、先日発表されたBIツール「HAKQEN」もクラウド型で提供されるサービスですよね?

Answer

博報堂プロダクツ:西川 暢一 氏

西川: そうですね。「HAKQEN」はマーケティングデータに特化したクラウド型データ分析ツールです。例えば、複数の実店舗を展開する企業や通販会社、あるいは、保険会社や自動車ディーラーなどでは、自社の顧客データや販売データなどを、マーケティングや経営の意思決定に活用したいと考えることが多くなっています。しかし、それと同時に、データを活用し、マーケティング課題を発見するためには、多額のシステム投資やデータ分析の専門家の不在、担当者のスキル不足など、いくつもの壁を越えなければならないとも感じているようです。

 実際、本格的にデータ分析を実施していくためには、システムのきめ細やかなチューニングも重要で、自社内で分析システムを開発・導入するには、莫大な費用がかかってしまうと言えます。そこで、定評のあるクリックテック・ジャパンのデータ分析製品「QlikView」を、アイウェイズと共同でクラウド化し、月額ベースで利用できるようにした上で、弊社ならではのプロモーション領域のノウハウをあらかじめ組み込みました。データ分析に必要なハードウェア/ソフトウェアから、運用サービス、データベースやマーケティングのノウハウまでをワンストップで提供することで、大企業だけではなく、幅広い企業の方々に使っていただけるような形にしたというわけです。

Question

クラウド型にすることで、マーケティング担当者などが直接導入して利用することも可能になるわけですよね?

Answer

西川: 従来のBIツール導入においては、情報システム部門の方がシステム構築を主導するばかりでなく、データ分析に必要な設定まで担うケースも少なくなかったと思います。今回のサービスでは、そうした手を煩わせることなく、いわば、多くのマーケティング案件に携わってきた弊社の担当者が自らの経験をもとにした切り口で設定を行っている点が大きな特長となっています。つまり、弊社がこれまでに培ってきたプロモーション分析のノウハウをベースにした50個以上の分析テンプレートを標準提供しているのです。例えば、時系列分析やRFM分析、顧客分析、散布図によるポートフォリオ分析などで、これらのテンプレートを活用いただくことで、短期間で分析に着手できるばかりなく、分析にもとづいたアクションを含めた、マーケティングのPDCAを容易に促進することが可能です。

 また、これはもともと「QlikView」の特長でもあるのですが、現場の担当者の方々が分析画面を見ながら、クリックするだけで実際に自分の見たい切り口で眺めていく、気になる部分を掘り下げていくということが容易にできるよう、インターフェースなどを作りこんでいます。

図1 データ活用の壁をワンストップで解決する仕組みを実現
図1 データ活用の壁をワンストップで解決する仕組みを実現
出典:博報堂、2013年9月

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自分なりの切り口で容易に分析でき、データとの距離感が近くなる

Question

実際の利用としては、どのようなシーンを想定されているのでしょうか?

Answer

西川: 一番分かりやすいのは、これまでは外部に委託していた顧客分析を自分たちで行うという使い方ですね。もちろん、外部委託が良くないわけではなく、場合によっては、そのほうが低コストで有効な結果が得られるケースもあります。ただ、データ分析を自分たちで手軽に行え、自分なりの切り口でデータを見られるようになれば、データとの距離感が近くなると言いますか、咀嚼もしやすく、アクションにもつなげやすいでしょう。そうした流れで、データを中心にしてビジネスを考える手助けにしていただきたいと思います。

博報堂:田村 耕人 氏  田村: 特に、チェーン展開している流通・小売業や飲食業など、ポイントカードなどの顧客サービスを実施している企業、あるいは、通販業や保険業など、顧客1人ひとりの販売データを保有し、それをもとに顧客対応やビジネス拡大を図っているような企業においては、顧客分析をより深めるために活用いただけるかと思います。ダッシュボード画面から、例えば、会員の中から商品購入やサービス利用の頻度が高い、いわゆるリピータの方だけを絞って、更にその人たちがどういう商品/サービスを購入しているのか、更に商品別の傾向などを掘り下げていくといったことが可能です。そして、その結果をもとに、ダイレクトメールを送るといったアクションにつなげていただくことを想定しています。あるいは、チェーン展開している量販店などであれば、本部のマネージャの方が店舗ごとの傾向を見たり、成績が優秀な店舗を見つけて、売上が良好な理由を分析した上で、そのデータをほかの店舗へ配布するなど、ノウハウの共有を図ることが可能でしょう。

 また、今回のサービスは、前述のとおり、幅広い規模の企業で使っていただけるよう、低コストで提供しているわけですが、大企業は大企業で別の課題を抱えているかと思います。その1つには、規模が大きいゆえに、こうした新たなシステムの導入は全社の取り組みとして進めることが難しいという点が挙げられるでしょう。もちろん、情報システム部門が主導し、トップダウンで展開することは可能ですが、必ずしも各事業部でうまく機能するとは限りません。そうした問題を解決する手段としても活用いただけるのではないかと思います。

図2 「HAKQEN」による顧客属性分析の画面
図2 「HAKQEN」による顧客属性分析の画面
出典:博報堂、2013年9月

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ビッグデータ分析へ“ライト”に取り組める手段としても使ってほしい

Question

貴社がデータ分析ツールを提供するということに対しては、貴社が保有するデータの利用という点に期待される企業も多いのではないでしょうか?

Answer

西川: 有償オプションという形になりますが、Twitterデータ、テレビメタデータ、博報堂生活総研の生活定点などの調査データ、POSデータ/ID-POSデータなど、博報堂グループが提供するマーケティングデータを用いた追加分析も行えるようにしています。これにより、ソーシャルメディア上に書き込まれている口コミをPOSデータなどと重ねて分析するといったことが可能です。

Question

その点も含めて、「HAKQEN」ではビッグデータへの対応をうたっていますよね?

Answer

西川 暢一 氏、田村 耕人 氏

田村: 今、ビッグデータという言葉から想起されるのは、気象データや交通データなどの極めて膨大な情報をリアルタイムで分析していくという世界であり、もちろん弊社でも様々なパートナーとともに、この領域で取り組んでいます。その一方で、クライアント様からは、マーケティングなどの現場で、もっと気軽にデータを分析し、アクションにつなげたいという声がありますし、弊社の営業担当者の間でも、従来のようなサンプリングではなく、アクチュアル(実際)データに基づいたプランニングを行う機運が高まっています。これらの要望に短期間で、しかも、手軽に利用できるようなコストで実現するためには、従来のように要件定義からリリースまで、じっくりと時間を費やすスクラッチ開発では追いつきません。そういう意味では、クラウドという手法の利点がうまくマッチしている感はありますね。

Question

ビッグデータに真っ向から取り組むというよりも、自分たちの必要に応じて利用するといった感じでしょうか?

Answer

田村: 大きな潮流としては、キャンペーンからPDCAへ、あるいは、フロー型からストック型へとも言われますが、特定の期間を狙った大規模なキャンペーンを投下して終わりではなく、日々のPDCAを継続的に回しながら全体の投資を最適化していく方向に向かっています。それを実現するきっかけとして、ビッグデータ分析を手軽にチャンレジできるクラウド型データ分析サービスは、非常に有効な手段ではないかと思います。

 今回のサービスでは、初期費用50万円、月額費用20万円〜と比較的安価な価格設定にしつつ、お客様から毎月1回データを受領して、あとは弊社で適切にデータをセットし、追加で分析したくなったらその際に分析シートを追加するというシンプルな運用形式をとっています。例えば、自社の基幹サーバなどから大規模なデータを取り込むようなビッグデータ分析システムを構築したとしても、結局、現場では持て余してしまうというケースもあるかもしれません。そういう意味では、必要な時に必要なデータのみを見られるというのはより実用的だと感じますし、それをもとに実行に移す、ビジネスに価値をもたらすコミュニケーションの改善を行うという部分も含めて、お客様と一緒に作り上げていければいいと思っています。


●ありがとうございました。


取材協力

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総合広告会社として、ブランディング/ストラテジックプラニング、クリエイティブ(広告制作)、メディア&コンテンツ プランニング・プロデュース、カスタマーマーケティング/PRなどを手がける。「生活者発想」と「パートナー主義」をフィロソフィーに掲げ、新しい広告会社の姿を常に目指している。

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博報堂グループの中核企業として、マーケティング・プロモーション領域の専門性に特化した13事業本部を展開する総合制作事業会社。売りのノウハウを駆使し、顧客と商品との接点作り、購買につなげる「顧客化接点事業」を展開している。


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