Hyper-Vによる仮想化環境構築から管理まで

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掲載日 2013/09/02

ザ・キーマンインタビュー Hyper-Vによる仮想化環境の構築から管理まで

企業システムにおいて仮想化が広まっていく中、運用管理の担当者はどのような課題を感じているのか。また、そうした課題を解決するために必要な考え方とは?ITトレーニングの講師を務めるとともに、コンサルティング/技術サポート業務などを通じて、企業で運用管理に従事する担当者の方々とやりとりを行う機会が多い、クリエ・イルミネートの坂元好英氏にお話を伺った。

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坂元 好英 氏

IWインフラストラクチャグループ
マネージャー
坂元 好英 氏

そもそも、「仮想化環境管理=仮想マシンの管理」ではないはず

Question

仮想化の利用が拡大する中で、運用管理の現場においてはどのような課題が浮上しているという印象を受けますか?

Answer

株式会社クリエ・イルミネート:坂元 好英 氏

今起きている仮想化への流れは、単なるサーバ仮想化ではなく、サーバ上で動いているアプリケーション、つまり、サービスを今後どこで動かすかという話だと思います。物理サーバから仮想サーバへ、更にクラウドも含めて、サービスを動かす場所の選択肢が増えたことで、適材適所で使い分けていく必要も生じてきます。用途で選ぶべきなのかもしれませんし、完全な制御下に置きたいものはオンプレミス、コスト優先ならクラウドといった分け方もあるでしょう。また、どんなサービスでも導入初期の段階はいろいろと手をかける必要があるので、手元にあったほうがいいかもしれませんが、その後、安定運用に入ったら別にクラウド上へ動かしてもいいのではないかという考えもあります。

 いずれにせよ、サービスは様々な場所を行き来できるようになったわけですから、仮想化環境の管理に関しても、対象は仮想マシンではなく、サービスの管理というものを念頭に置いて取り組むべきです。そういう意味で、マイクロソフトの統合管理プラットフォーム「System Center」において仮想環境管理を担うVirtual Machine Manager 2012が、仮想マシン中心の管理からサービスの管理へとフォーカスを移したことは非常に有益だと言えます。

Question

具体的には、運用管理でどのようなメリットが見込めるのでしょうか?

Answer

例えば、Webアプリケーションをフロントエンド、ミドル、バックエンドという3層で構成する場合、仮想サーバを3台デプロイすることになりますが、従来の仮想マシン中心の集中管理システムでは、テンプレートをもとに個々のサーバを作成できるものの、各々のアプリケーションの展開や構成は管理者が個別に行う必要がありました。しかし、Virtual Machine Manager 2012では、仮想マシンの展開だけではなく、サービスの稼働設定、OSの基本設定、DB/アプリ/Webの基本設定なども含めて、テンプレート化されていますから、アプリケーションの動作に必要な要素をまとめて展開可能です。極端に言えば、システム管理者の方はサービス管理という概念を特に持たなくとも、自然に仮想マシンの管理ではなくサービスの管理へとシフトしていけるのではないかと思います。

図1 仮想マシンの管理からサービスの管理へ
図1 仮想マシンの管理からサービスの管理へ
出典:クリエ・イルミネート、2013年9月

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仮想管理製品込みで使ってこそ、Hyper-Vのコストメリットは最大になる

Question

Windows Server 2012 Hyper-Vを主体に仮想環境を構築しようという場合には、やはり、Virtual Machine Manager 2012が含まれているSystem Center 2012も導入すべきだと言えますでしょうか?

Answer

株式会社クリエ・イルミネート:坂元 好英 氏

ある程度の管理は可能なので、必ずしもそうとは言えません。単体でもライブマイグレーションなどの機能は利用可能ですから、特に大規模な環境、ミッションクリティカルなシステムでなければ、十分に運用は回せるでしょう。ただ、確実に言えるのは、併用したほうが効率的に管理を行えるということです。また、Virtual Machine Manager 2012で扱える仮想基盤はHyper-Vだけではなく、VMware ESX、Citrix XenServerも合わせたクロスプラットフォーム対応になっており、マルチハイパーバイザでの運用が可能です。先ほどのようにサービス管理の概念が取り込まれている上、仮想マシンで使用する各種リソースをファブリックと呼ばれる単位で管理できることで、例えば、仮想マシンの展開後に、「ネットワークのスループット向上のためにロードバランサを使用」「データ格納のためのSANストレージを使用」といったサービスの構成に関しても、定義したファブリックから選択するだけで設定が完了します。

 また、System Center 2012導入の際には、コストが気になるという方もいらっしゃるでしょうが、これも考えようで、例えば、仮想基盤単体、つまり、Hyper-Vを使いたいがためにWindows Server 2012を買うというのでは、あまり安いとは思いません。しかし、仮想環境の統合管理製品も導入するつもりであれば、それが逆転し、Windows Server 2012とSystem Center 2012の組み合わせは、競合製品で仮想基盤と統合管理製品を導入するよりも低コストで済むのではないでしょうか。

Question

効率的に管理が行えるというのは、やはり、自動化などを指しているのでしょうか?

Answer

そうですね。扱われるリソースが増大していく中で、ITシステムの運用管理においては自動化が不可欠になってきますが、そこで重要になるのは、ITプロセスフローと各ITシステムとを結びつけるインターフェースだと考えます。自動化したITプロセスフローをデザインしても、その中で様々な製品やテクノロジーが呼び出されることになるため、簡単にはいかないという課題も生じてきます。これに対しては、System Center Orchestrator 2012のRunbook Automationを用いることで、IT運用における複数の製品やテクノロジーをまたいだ複雑なフローを1つのプロセスとして定義し、実行できるようになります。ITプロセスフローのデザインを行うRunbook Designerは、System Center 2012の構成製品やActive Directoryのようなマイクロソフトが提供する統合パックのほかに、VMwareなどの他社製品の統合パックも提供済みです。これによって、フローのデザインが単純化でき、複数システムをまたいだITプロセスフローを実現できます。

図2 ITプロセスの自動化例
図2 ITプロセスの自動化例
出典:クリエ・イルミネート、2013年9月

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System Center 2012導入コストの元をとるには?

Question

仮想基盤としてWindows Server 2012 Hyper-Vの導入を検討するのであれば、仮想管理製品込みで検討したほうがコストメリットが出やすいという話がありましたが、System Center 2012ではVirtual Machine Manager 2012だけを個別購入できるわけではなく、先ほどのOrchestratorなど、数多くの管理ソリューションがセットになっていますから、それらもある程度使いこなせないと、導入コストに見合わないと感じる管理者もいるのではないでしょうか?

Answer

株式会社クリエ・イルミネート:坂元 好英 氏

そうでしょうね。やはり、せっかくSystem Center 2012を導入するのであれば、仮想管理だけではなく、なるべく多くの機能を使いこなして、システム全体の管理の標準化・自動化というところまで到達してほしいと思います。仮想環境の構築だけを考えている方などは、最初からシステム管理の自動化まで視野に入れるのはハードルが高いと感じるかもしれませんが、管理作業においては多かれ少なかれ人力でスクリプトを書いているはずで、それらを置き換えていくと考えればいいでしょう。そうした、まずは仮想化、そして、その先を見据えた管理、更にサービスのクラウドへの移行という領域まで、System Center 2012ではカバーできますから、しっかり使いこなしていきましょうというのは、弊社でも最近よくセミナーで実施しているテーマになっています。

 とはいえ、System Center 2012は仮想化環境管理ツール「Virtual Machine Manager」をはじめ、システム構成管理ツール「Configuration Manager」、マルウェア対策ツール「Endpoint Protection」、システム稼働監視ツール「Operations Manager」、データ保護管理ツール「Data Protection Manager」、ITプロセス管理ツール「Orchestrator」、ITサービス管理「Service Manager」、プライベート&パブリッククラウドサービス管理ツール「App Controller」と、非常に多くのコンポーネントで構成されています。すべてを使いこなすことは難しいかもしれませんが、このうちの3つ以上のコンポーネントをきちんと利用できれば、個人的には導入して損はないと感じます。

 今回の話題ではVirtual Machine Managerは使うことが前提になりますし、アプリケーションや仮想化環境、サーバ、クライアントのバックアップ/リカバリ機能を提供するData Protection Managerも多くの企業が利用するコンポーネントだと言えるでしょう。じゃあ、あと1つ挙げるとすれば何かというと、運用管理の最も基本的な目的は「システムを適切なパフォーマンスで動かし続けること」という観点から、Operations Managerでしょうかね。ただ、個人的には、多くの管理者の方にOrchestratorを使いこなして、積極的に自動化にも取り組んでほしいと思います。自動化されるということは、誰がやっても変わらない作業=標準化が可能です。この標準化も企業においては重要な課題だと感じています。


●ありがとうございました。


取材協力

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ITトレーニングサービス、コンサルティング/技術サポート、開発を主な事業として展開。トレーナースタッフがコンサルティング、技術サポート業務も兼務することで、現場を軸にした技術・知識を提供している。2010年からは、Office 365、Windows Azure Platformをはじめとする、マイクロソフトのクラウド関連技術に特に力を入れている。


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