ベンダ&利用戦略から学ぶ最新「SDN」事情

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ベンダ&利用戦略から学ぶ最新「SDN」事情

2013/12/19


 物理的なネットワーク構成をそのままに、ソフトウェアで通信経路を制御できるSDN(Software Defined Network)。国内システムベンダの強力な推進力で大手物流会社や病院など一般企業への適用成功事例が報告されているが、グローバルなシステムベンダや仮想化ソフトウェアベンダは積極的に注力を続けており、大規模システムばかりでなく中堅規模の企業での導入効果も期待できるようになってきた。その一方、対応できる人材不足や標準化の行方への不安から導入検討をためらう企業もまた少なくない。SDNベンダの戦略が混沌としている現在、ユーザ企業としてSDNからどのように効果を引き出せばよいのだろうか。そこで今回は、SDN市場動向とユーザの最適な利用戦略について考えてみる。

SDN

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アナリストプロフィール

入谷 光浩

ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリスト 入谷 光浩(Mitsuhiro Iriya)

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アナリストファイル #067

官公庁向けの将来需要予測や技術動向調査、ソフトウェアを中心とした市場予測や競合調査、ユーザ需要動向調査などを経験後、IDC Japan入社。インフラストラクチャソフトウェア担当アナリストとして関連市場を調査。専門の分野・テーマは、システム/ネットワーク管理ソフトウェア、オペレーティングシステム、仮想化ソフトウェア、クラスタリングソフトウェア、オープンソースソフトウェアなど。電機・電子関連の新規事業企画・開発の経験も有する。



1

SDN市場とベンダの動向

1-1

SDNの定義と実現方法

 SDNはシステムベンダ、ソフトウェアベンダ、ネットワークベンダのそれぞれが各社各様の実現技術をベースにした取り組みを続けている真っ最中で、標準的な技術仕様は固まっておらず、将来的な技術動向はまだ定かではない。市場としてもまだ立ち上がっているとは言えない状況にあり、混沌とした状況がしばらく続きそうだ。SDNの定義も揺れているが、IDCではSDNを次のような要件を実現するアーキテクチャとして捉えている。

SDNの定義(IDC)

ネットワーク仮想化をベースとしたモデルである

コントロールプレーンとデータプレーンを分離する

ネットワークにプログラマブルなインターフェースを提供する(例えばOpenFlowによって提供されている)

管理層を抽象化しソフトウェアでネットワークを管理する

アプリケーションとネットワーク間で動的な通信を行うことができる

 このような定義だけでは少しわかりにくいかもしれない。代表的なSDN実現例を図1に示すので、これを見ながら少し解説しておきたい。

図1 SDNのイメージ
図1 SDNのイメージ
出展:IDC Japan

■SDN登場の背景
 この図から見られるように、SDNはITシステムの仮想化が進むなかでネットワークがどんどん複雑化していくのを防ぐための仕組みと考えればよい。ネットワークが複雑化する主な要因は、サーバ仮想化によってサーバ増設が簡単になったことだ。仮想化技術を導入することで社内のサーバ数が飛躍的に増加する現象がいたるところで起きており、その増加スピードにネットワーク構成変更が追いつかない状況が生まれている。従来からのネットワーク機器を用いた場合、サーバ増加に対応してネットワークを変更しようとすると物理的に配線を変えたり、機器の配置変更を行ったり、設定を1つひとつ変更したりなど様々な手間が欠かせなかった。その運用管理コストと時間が、ITシステムのネックになってきたのだ。

■SDNの特徴「コントロールプレーンとデータプレーンの分離」
 SDNは、この課題に対しての解決策の1つとして期待されている。SDNは、ネットワーク機器が担当する仕事のなかでネットワーク層に関する処理と、アプリケーション層に関わる処理とを分離し、経路制御に関する処理はSDNコントローラが一元的に実行できるようにしている。パケット転送だけをスイッチが担当するようにするものだ。スイッチ自身が制御情報を持つ必要がなくなり、ソフトウェアによる経路制御が行えるようになる。そのため、ネットワーク機器を物理的に操作しなくても、仮想化サーバの追加や削除に即応したネットワーク構成変更が迅速に、しかも自動的に可能になる。これが「コントロールプレーンとデータプレーンの分離」ということになる。
 実際には図のように、SDNコントローラが各種ネットワーク機器とクラウドシステムインフラのオーケストレータ(クラウドコントローラ)との間に入り、図上部のシステム側の変更にともない、図下部の各種ネットワーク機器に経路情報を設定する。ネットワーク機器ではその経路情報に則りパケット転送を行う。

 どのような条件の場合にどう経路を設定するかは、OpenFlowのようなプログラマブルなインターフェースで定義できる。管理者としては、個々のネットワーク機器の設定や物理的配置を意識しなくてもネットワークを論理的に構成変更できる(抽象化)ことになり、管理負荷が大きく低減する。またこうした仕組みであれば、動的にネットワーク構成を変更しながら常に最適な状態に保つことができる。さらに機器故障の際の迂回経路への変更や冗長構成なども自動化できるので、業務継続や障害対応の面でも合理化できるというわけだ。
 現在クラウドのオーケストレーションについてはOpenStackやCloudStackをはじめとした各種製品が登場しており、ネットワーク機器には各社独自OSの上にソフトウェアのOpen vSwichが搭載されることが多くなってきた。またSDNコントローラもNECに先駆けてOpenFlow対応製品を提供しており、他社も次々に次々に製品投入を始めているところだ。大規模なシステムを運用する企業はもとより、中堅規模のシステムでも具体的なSDN検討ができる素地ができてきた。

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