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掲載日 2013/11/13

ザ・キーマンインタビュー 旬はセンシングデータを活用する領域

NTTデータは今年7月、社内のいろいろな部門やグループ会社に分散していたビッグデータ関連のケイパビリティを集約した「ビッグデータビジネス推進室」を設立した。その背景や狙いは何か?ビッグデータビジネスはどう進展していくのか?同社ビッグデータビジネス推進室の野村 哲郎氏にお話を伺った。

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ 企業サイトへ

野村 哲郎氏

ソリューション&テクノロジーカンパニー
ビジネスソリューション事業本部 ビッグデータビジネス推進室
コンサルティング担当
課長代理 シニアコンサルタント 野村 哲郎氏

「タイプ」×「発展モデル」でとらえる視点

Question

システムインテグレータあるいはネットワークインテグレータとしての貴社は、ビッグデータビジネスの現状や今後の展望についてどのように認識していらっしゃるでしょうか。

Answer

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ:野村 哲郎氏

ビッグデータの活用に対する市場の混乱期というか、過度な期待期は終わりに向かいつつあると思っています。ビッグデータが騒がれ、もてはやされる契機になったのは、センシングデータやライフログデータなどの登場でした。これらのデータを活用することで、社会、企業、個人の様々な分野、目的に対して新たな価値を提供できるのではないかということで、ビッグデータへの期待がどんどん膨らんでいったのだと思います。しかしそういった過度な期待が終息し、自分のやりたいことは何であり、そのためにはどんなデータソースをもとにしていけばいいのかといったことが整理され、ようやく地に足のついたビッグデータ活用市場が立ち上がり始めたのではないかと期待しています。

Question

何だかよく分からないけれどもビッグデータはすごそうだというフェーズから、どういうデータを使って何をすればいいのかがある程度明確になり、それを実行に移していくフェーズになってきたということでしょうか。

Answer

大枠ではその通りだと思います。ただし実行フェーズについては、ビッグデータのタイプと発展モデルをかけ合せてとらえる視点が必要だと考えています。すべての業種業態が今からいきなり実行フェーズに行けるかというと、そんなことはないからです。

ビッグデータのタイプには、大きく分けて3つあります。1つめは、ビッグデータと呼ばれる前からデータ量が多かった、金融系のトランザクションデータやWebログデータ、通話明細データ、POSデータなどです。2つめは各種のセンサデバイスから上がってくるセンシングデータ、3つめはSNSやブログなどで生成されるライフログデータです。これらのタイプの違いによって、分析目的の整理状況、ビッグデータの活用に対してどれだけ地に足がついているかも違ってきます。

図1 ビッグデータのタイプ
図1 ビッグデータのタイプ
資料提供:NTTデータ

もう1つの視点は、時間軸でとらえるビッグデータの発展モデルです。先ほどのビッグデータのタイプのうち、もともとデータ量が多かったデータタイプは第1の波に該当します。この第1の波は、既にピークが過ぎています。以前は情報活用基盤が整備されていなかったためやりたくてもできなかったが、技術の発展によってようやくできるようになった分野で、やればすぐ結果が出る分野、そういう意味ではすぐに立ち上がるビッグデータの活用市場です。

第2の波として次に来るのはセンシングデータを活用したビジネス領域でしょう。こちらはようやくデータが収集できるようになり、それを蓄積して今まさにビジネスに活用しようとし始めたところです。ここに強い関心を寄せているのは主にメーカー様で、弊社に来るメーカー様からの問い合わせのほとんどはM2Mのデータ解析やデータ分析コンサルティングです。センシングデータの活用の成功事例では、建設機械から収集したデータを車両管理に活用したコマツ様のKOMTRAXが有名ですが、いろいろなメーカー様がこのような取り組みを行っています。次にこういった市場が立ち上がってくるでしょう。

図2 ビッグデータの発展モデル
図2 ビッグデータの発展モデル
資料提供:NTTデータ

Question

センシングデータの活用は故障検知などを目的としたものが多いのでしょうか。それとも様々なのでしょうか。

Answer

この領域は、状況を把握したいケースと原因を探りたいケースが混在しています。故障検知や予兆発見は、センサから上がってくる稼働時間や稼働状況などのデータを分析することで故障を検知したり予兆を発見します。これが状況を把握したいケースです。それに対し、例えばある製品には機能が3つあるのに、それを購入したお客様は2つしか使っていなかったとします。その原因は、その製品はそのお客様には合っていないからなのか。それとも、3つめの機能を使ってもらえるようにすれば、それまでにない経験価値をお客様に提供できるようになるのか。このように、センサから上がってくるデータを分析して製品を改良したり、行動の背景を理解するのが原因を探りたいケースです。このようなニーズが出始めたのは、ビッグデータの活用が注目され始めてからですね。


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顧客に伴走し、一緒に考えながらビッグデータビジネスを創出

Question

貴社は今年7月にビッグデータビジネス推進室を設立されました。その背景と狙いをお教え下さい。

Answer

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ:野村 哲郎氏

先ほども少しご紹介したように、ビッグデータの活用という1つの軸に沿って様々なニーズが出てくるようになりました。弊社はもともと、顧客接点を持つ部門や基盤システム系、技術開発系などいろいろな部門でデータ分析やデータ活用に取り組んできましたが、ビッグデータ活用に対する様々なニーズを一元的に受け付け、お客様とともにビジネスを創出していくと同時に、弊社としても様々なノウハウを蓄え、お客様への情報提供価値を高めていくことが必要だと考え、社内のいろいろな部門やグループ会社に分散していたビッグデータ関連のケイパビリティを集約したビッグデータビジネス推進室を立ち上げることになりました。

ビッグデータの発展モデルで言うと、本来業務で蓄積したビッグデータを別のサービスや業務で活用する領域(第3の波)や、一見すると価値のない無関係なデータを組み合わせて新たな価値を創造する領域(第4の波)のビジネスがこれから立ち上がっていきます。ですが、システムインテグレーションなどのサービスをただ単に提供するだけではなかなか新しいビジネスは立ち上がっていかないので、お客様と一緒にビジネスを創出し、発展させていこうというコンセプトで設立されたのがビッグデータビジネス推進室と言えるでしょう。

業種業界別の縦割りのサービス提供ではなく、HadoopやDWHアプライアンス、CEPなどによるビッグデータ基盤、NTTデータ数理システム提供の独自分析パッケージなどによるビジネスアナリティクス基盤、データ分析事例をもとに独自に体系化したデータ分析方法論の3つの層を揃え、基盤から分析までを業界横断的にトータルにサポートできるのがビッグデータビジネス推進室の特長です。

Question

システム構築の前段階から顧客に伴走し、一緒に考えながらビッグデータビジネスを創出していくということでしょうか。

Answer

そうです。この機能は通常の事業部門では提供しづらいので、ビッグデータビジネス推進室という組織が作られました。「データウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボ」が設けられているのもそのためです。

Question

データウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボはどのようなものなのでしょうか。

Answer

データウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボは、お客様と弊社が一体となってビッグデータを活用したビジネスを創出していく場です。ラボでは、ビッグデータの活用事例等を把握し、自社ではどんな活用が可能かを検討する「理解深化」、ビッグデータを活用する環境や能力がどの程度整っているかを把握する「実態把握」、BIツールの導入などにより、意思決定に役立つ多様なデータを視覚的に把握できるようにする「データの見える化」、可視化されたデータを分析し、付加価値を与えることで、課題解決や意思決定に活用可能な材料を創出する「分析・活用」、分析によって付加価値が与えられたデータを活用して業務プロセスを変革したり、新たな事業・サービスの展開につなげる「業務の変革」の5つのサービスメニューを用意しており、ビジネス創出の段階を5つのステップに整理して、それごとにサービスを提供できるようにしています。

例えば、BIツールを導入するとどんなことが分かるのかを具体的に試してもらうために、トライアル分析環境を用意しています。また、BIツールの選定を支援するために、まったく同じ実装をした複数のBIツールでデータ分析し、それぞれのツールによる見える化の微妙な違いを実体験してもらうといったサービスも提供しています。

図3 データウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボのサービスメニュー
図3 データウェアハウス/ビジネスインテリジェンス・ラボのサービスメニュー
資料提供:NTTデータ

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旬はセンシングデータを活用するビジネス領域

Question

ビッグデータ活用に積極的な業種業界、あるいはターゲットにしている業種業界はあるのでしょうか。

Answer

株式会社エヌ・ティ・ティ・データ:野村 哲郎氏

ビジネスが活発に動いているのは、金融やテレコム、小売など、ビッグデータと呼ばれる前からデータ量が多かった第1の波の領域です。旬になってきているのはセンシングデータを活用する第2の波の領域で、メーカー様が積極的に取り組んでいます。更に、GPSのセンシングデータを利用してライフログを取り、個人の行動背景を把握しようといった試みも行われるようになってきています。業種業界と言うよりは、データのタイプと発展モデルでとらえるとニーズが見えやすくなるのではないでしょうか。

センシングデータの活用には2段階あります。1番めは、リモートメンテナンスなどセンシングデータそのものを活用する段階。これは既に行われていた領域で、1次的な活用段階です。この段階でたまったデータを分析して製品を改良したり、顧客の行動背景を把握するのが2番めの活用段階で、ビッグデータの活用として注目されているのがこの2次的な活用段階です。1次活用は本業なので、担当部署が管轄しています。ところが2次活用となると、部門をまたいでデータ活用することになりますので、全社的な意思決定が必要になってくるでしょう。

1次活用の段階で基盤や環境、データが整備されていれば2次活用の段階に進みやすくなりますが、一足飛びに行こうとするとROIが見えにくくなります。ですので将来的な期待や展望は2次活用に置きながらも、順番を意識して1次活用のところから進めていくのがいいのではないでしょうか。

Question

ご紹介いただけるビッグデータの活用事例などはありますでしょうか。

Answer

インターネット上の第三者情報、ECサイトの記載内容、口コミによる評判情報など、インターネット上に大量に存在する情報をもとに、クレジットカード加盟店の審査業務を高度化・効率化する実証実験を開始しました。

加盟店の審査は様々な情報を総合的に分析して判断しますが、EC加盟店やスマホによる個人決済(Square)の爆発的増加により、加盟店審査の効率化が必須となっています。更に、EC加盟店の増加により、カード会員を巻き込んだ犯罪も増加しており、審査の高度化を図ることが急務です。

そこで、審査項目の拡充の一環として、SNSに記載された評判情報などを収集・分析し、定性的な審査に活用する検討を進めています。この加盟店審査プロトタイプシステムを三井住友カード様に提供し、10月15日から約2ヵ月間、実証実験として実務でお使いいただいています。

Question

ビッグデータビジネス推進室の今後の展開についてお教え下さい。

Answer

ビッグデータビジネスは、新たな市場として育てていくシーンと、実際に活用して今の業務自体を改善していくシーンとが混在しています。ですのでこの2つはしっかりと切り分けて、お客様と一緒にビジネスを創出していく取り組みと、業務を改善するためにシステムやサービスを提供する取り組みを同時並行で進めていこうと考えています。


●ありがとうございました。


取材協力

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NTTデータは、情報システムの戦略立案から企画・開発・運用保全をトータルサービスとして提供するITサービス業界のリーディングカンパニー。
 世界35ヵ国におよそ6万1000人の社員を擁し、「One NTTDATA」として世界中のどこでも信頼性と品質の高いITサービスを提供することで、グローバル展開を加速するお客様のビジネス競争力の向上をITの力で支えている。


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