ビッグデータ活用を阻む3つのハードルとは

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掲載日 2013/10/30

ザ・キーマンインタビュー ビッグデータ活用を阻む「3つのハードル」とは?

インターネットイニシアティブ(IIJ)では、クラウド上でビッグデータの高速処理システムを提供する「IIJ GIO Hadoopソリューション」を2012年10月から提供していたが、今年6月になって、ビッグデータ関連ソリューション第2弾となる「IIJ GIOビッグデータラボ」を発表した。ビッグデータ活用のスタートアップを支援するサービスを、今の段階で追加するに至った理由とは?

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株式会社インターネットイニシアティブ:山口新二氏、岡田晋介氏

ソリューション本部
アプリケーションソリューション部
部長
山口 新二 氏

ソリューション本部
アプリケーションソリューション部
アプリケーションソリューション2課 課長代行
岡田 晋介 氏

業種・企業間でビッグデータ活用の温度差が大きくなりつつある

Question

昨年10月に、包括的にビッグデータ活用を支援する「IIJ GIO Hadoopソリューション」を発表されましたが、その後の企業からの反応などをお聞かせ下さい。

Answer

株式会社インターネットイニシアティブ:山口 新二 氏

【山口】 このソリューションは弊社のビッグデータ関連ソリューションの第1弾として、Hadoopの導入を検討されている企業へ提案・営業活動を行ってきたのですが、それを通じて感じたのは、やはり、ビッグデータに関しては企業ごとに相当な温度差があるということです。昨年度あるいはそれ以前から情報収集をされてきた企業においては、今年度に入って、しっかりと具体化のフェーズに至っており、実験的な導入などに取り組みながら、本番導入に向けて着実に活動されているという状況と言えます。ただ、その一方で、「IIJ GIO Hadoopソリューション」によって、ビッグデータを並列分散で高速処理するシステム自体の導入・運用のハードルは下がったとしても、そのほかにまだ別のハードルが存在するため、なかなか具体化までには持ち込めないという企業も多いことを実感しました。

Question

その温度差というのは、例えば業種ごとで異なるということでしょうか?

Answer

株式会社インターネットイニシアティブ:岡田 晋介 氏

【岡田】 弊社としては、業種を問わず網羅的に提案するかたちで、需要の掘り起こしを行ってはいますが、実際に興味をお持ちいただけるのは、やはり流通業やサービス業、製造業などが多いという傾向はあります。先ほど、山口のほうからも具体化のフェーズに入っているという話がありましたが、特にこうした業種の企業からの問い合わせ内容は今期に入って大きく変わっており、「予算を組むので、どういう構成で金額はいくらなのかを教えてほしい」という具体的なものが多くなっています。

Question

その一方で、ビッグデータ活用への関心が高い企業は少なくないものの、実際のソリューション導入には至らないというケースはまだまだ多いということですが、そこにはどのようなハードルが存在すると考えられるでしょうか?

Answer

【山口】 「環境」「人材」「効果」に分けられるかと思います。まず検証を行うにしても、その環境構築が難しいと感じたり、時間がかかる。また、並列分散処理技術や分析スキルを有した人材が社内におらず、人材育成には時間がかかるし、外部調達には高額なコストが必要といったことです。ただ、最も大きいのは、やはり「効果」でしょう。「投資対効果を事前にどうやって確認するか」「自前で分析はしてみたものの、具体的な効果を見出せなかった」というものです。そして、この「効果」に関しては、更に前段階としてのハードルがあると考えています。つまり、自分たちには活用すべきデータがないと思い込んでいる、あるいは、有効なデータは持っているけれども活用の見当がつかない、端的に言えば、それをどう利益に変えるのかが分からないといった段階で止まってしまっている企業が非常に多いわけです。

Question

それらのハードルさえ解消できれば、より多くの企業がビッグデータ活用に取り込めるようになるということでしょうか?

Answer

【岡田】 もちろん、組織的な課題や企業文化に起因する問題なども障害になりうるため、「環境」「人材」「効果」というハードルだけを解消すれば、すべてがうまくいくわけではないと思います。しかし、「環境」「人材」「効果」がハードルだと感じている企業は実際に多く、しかも、これらは弊社で支援できる分野だと考えています。そうした状況を受けて、今年6月にはビッグデータ関連ソリューションの第2弾として、ビッグデータ活用の迅速なスタートアップを支援する「IIJ GIOビッグデータラボ」を発表しました。現在はこの商材を持って、様々なお客様にアプローチしているのですが、実際のところ、自社の課題にマッチしているという評価を非常に多くいただいています。


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基本は“お客様ドリブン”でなければ、本当の効果は引き出せない

Question

先ほどの「効果」に関しては、事前に投資対効果を図ることは重要ですが、自社の中でより高い効果が出そうな分野を見つけてから取り組むという進め方も現実的だとも言えますよね?

Answer

株式会社インターネットイニシアティブ:岡田 晋介 氏

【岡田】 そういう意味で、今回の「IIJ GIOビッグデータラボ」では「分析・仮説検証」「技術検証」といった支援オプションを揃えるとともに、弊社の強みであり、コアとなるコンピュータリソース、つまりビックデータ基盤の部分については、サポート込みで月額15万円(税別)という思い切った価格設定にしています。一見すると、これでも高いと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、内容を見ていただければ、納得いただけると思います。ただ、目一杯まで価格を下げている分、また、検証目的という性格上、利用は3ヵ月までとさせていただいています。ビッグデータ活用に関しては、まず手探りで検証から始めてみようというケースが多くなると思いますが、その際、どうしてもコストというものが障壁になってきますから、そこを解消したいと考えているのです。

Question

「IIJ GIOビッグデータラボ」は検証フェーズを担うもので、その後の本番導入への移行に際しては「IIJ GIO Hadoopソリューション」を使ってほしいというかたちでしょうか?

Answer

【山口】 そうですね。それに加えて面白い使い方としては、既に社内でビッグデータを活用するためのシステムを構築しているお客様が、「IIJ GIOビッグデータラボ」を併用することで、いわば「半システム化」とでも言うべき形態を実現しているケースもあります。すべてのアイデアをきっちりとシステム化するのは難しいですし、先ほどから話が出ているように、いきなりシステム化しても導入効果がどこまであるか分からない。そこで、分析の部分に関しては「IIJ GIOビッグデータラボ」の環境を使い、そこから導き出された結果を、システム側に導入して動かすというかたちです。そのようにして、効果を見極めつつ、システム化を図っていくというように考えられているお客様が実際に存在し、弊社としても、確かに有効な使い方だなと思っている次第です。

図1 ビッグデータ活用までのプロセス
図1 ビッグデータ活用までのプロセス
出典:インターネットイニシアティブ、2013年10月

Question

そのほかの支援メニューとしては、実際に効果が出るような方向に導くといったところまでサポートしてくれることになるのでしょうか?

Answer

【岡田】 支援オプションの「分析・仮説検証」では、仮説の立て方といった面で支援しています。また、仮説型だけではなくて、発見型のアプローチもありますから、データにどんな価値があるのかを見出すために、まずデータを入れてみて、そこから仮説を立てていくというような取り組みもサポートします。ただ、そういったワークとしての進め方などは支援できるものの、実際の効果を保証できるかというと、それは難しいと思います。これは弊社だけではなく、そこまで確実にコミットできるところはほとんどないでしょう。あくまでも、場面や課題に応じて、必要な支援を行わせていただくというスタンスです。

 【山口】 お客様と一緒になって、ビッグデータ活用を一から考えていくということに関しては、積極的にやっていこうという意識を持っています。ただ、ビッグデータ活用に取り組む際には、“お客様ドリブン”というものを失ってしまうと、本当の効果は引き出せないと考えます。ですから、一緒に考えて、一緒にやらせていただく、不足している部分を弊社で補っていくというかたちが最適だと思うのです。


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検証環境として、すぐに活用できるシステム構成とは?

Question

ビッグデータ基盤の部分に関しては、どのような内容になっているのでしょうか?

Answer

【岡田】 サーバの基本的な設定、及び、検証に必要となるミドルウェア・ツールまでをインストールした状態で検証環境を提供するもので、機能という点では、「IIJ GIO Hadoopソリューション」とほぼ同じととらえていただいてかまわないと思います。スペックに関しても、単体でのインスタンスなどは変わりません。ただ、「IIJ GIOビッグデータラボ」ではデータウェアハウス(DWH)としてGreenplum DBを導入した状態で提供しています。用途を検証環境に絞っているため、すぐに活用できるようにしたわけですが、同時に、検証用ということで、「IIJ GIO Hadoopソリューション」と比べれば規模は小さめになっており、また、先ほどもお話ししたとおり、利用期間に制限を持たせています。

Question

貴社では、今後どのようにビッグデータ関連ソリューションを発展・拡張させていく予定でしょうか?

Answer

株式会社インターネットイニシアティブ:山口 新二 氏

【山口】 検証フェーズを担う「IIJ GIOビッグデータラボ」はDWH込みで提供している一方で、実は「IIJ GIO Hadoopソリューション」のほうでは、サービスとしてはDWHを用意しておらず、個別SIで対応している状況です。ただ、それでは不便を感じるお客様も多いでしょうから、近いうちにサービス提供できるよう、検討を進めています。また、こうしたラインナップの拡充を図っていくとともに、各々を単発のサービス商材にとどめるのではなく、統合的なプラットフォーム基盤として構築していきたいという展望を持っています。あと、もう1つは、現在積み重ねつつあるビッグデータ活用の実績をもとに、もう少し利用シーンに特化した、いわゆるアプリケーション系のサービスなどの提供も検討しています。基盤からサービスまで、幅広くラインナップを揃えることで、お客様の多様な要望に応えられるようにするとともに、ビッグデータの利用領域も広げていきたいと考えています。


●ありがとうございました。


取材協力

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1992年、インターネットの商用化を目的とした会社として設立。インターネット接続事業で培った技術をベースに、メール、セキュリティなどのアウトソーシングサービス、ネットワーク構築からシステムインテグレーション、運用に至るまで、あらゆるニーズに応えるサービスを総合的に提供している。


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