業界別に実例解説!注目の業種特化型ERP

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業界別に実例解説!注目の業種特化型ERP

2013/12/02


 ERP(Enterprise Resource Planning/統合基幹業務システム)は企業のさまざまな業務プロセスを合理化して究極的には全社の全体最適化を目指すシステムおよびツールのこと。大企業では導入が一巡しているが、中堅中小企業での導入率はまだまだだ。導入効果はわかっていても、システム構築コストと期間がネックとなって手をこまねいている企業が多いのだ。しかし近年になってERPツールの「特定業種対応」が進み、これまでの汎用ERPツールには手が出せなかった企業でも納得できる新しいERPソリューションが台頭してきている。これを「業種特化型ERP」と呼び、今回はその考え方とメリット/デメリットを紹介し、今までとは異なる視点からのERPツール選びのポイントを考えてみる。

ERP

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 ERPについてはすでにご存知の場合が多いだろう。本コーナーでもたびたび特集しているので簡単に述べるが、その目的は複数システムでの多重入力などの無駄を排して業務プロセスを効率化・標準化し、コスト削減はもちろん、事業の「見える化」を進めてリアルタイム経営に貢献すること、そして最終的には企業資源を最適に配置し、最小コストで最大の売上と利益が得られるようにすることだ。
 そのための仕組みとして、各業務で共通のデータベースを作成し、それを中心に会計・人事・販売・在庫・購買・生産管理・品質管理・固定資産管理・CRMなど多様な業務システムを統合的に構築できるようにしている。そのイメージとメリットは図1に示すとおりだ。

図1 ERPツールの基本的なイメージとメリット
図1 ERPツールの基本的なイメージとメリット
【主なメリット】
企業のリソース(人・モノ・金)の動きをリアルタイムに更新
各種業務システムを統合的に管理。部門を横断して情報を共用
多重入力の防止、情報の矛盾や齟齬を回避(入力や転記ミスをなくす)
個々の業務の効率化・合理化、情報の一元管理
業務プロセスの標準化、ベストプラクティスの適用(パッケージによる構築の場合)
業務フローの効率化
多様な視点からのビジネス状況の把握、リアルタイム可視化、リアルタイム経営
ビジネス効率の改善、経営のスピード化
法制度への対応、内部統制
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「全体最適」の理想と現実のギャップ

 ERPツール導入で業務プロセス改善・刷新を行い大きな効果を手に入れた事例はたくさんあるものの、どうしても他所事としてしか感じられない…そんな企業も多いのではないだろうか。キーマンズネット調査では大企業のERP導入率は5割近いのに対し、従業員100名以下の中小企業で15.8%、101名〜1000名以下の中堅企業で37.2%にすぎない。未導入企業がERP導入をためらう理由としては「費用対効果が不明確」であることや「カスタマイズコストが大きすぎる」ことが目立つ。この感覚は単なる杞憂ではない。まずは、ちょっとERPの歴史を振り返ってみよう。

■汎用ERPツール誕生と普及

 1990年代に登場したERPは、BPR(Business Process Reengineering)を旗印に、「レガシーシステムからの脱却とオープンシステムへの移行」という当時のITの潮流に乗って、オープンシステム対応のツールが大企業中心に広く普及していった。
 当初からERP導入目的には業務プロセスの刷新が掲げられていた。その手法として業務の「ベストプラクティス」が内包されたERPツールにできるだけ多くの業務を移行することが最善と考えられた。そこで採用例が多かったのは、多様な業務プロセスを1つのツールでまかなえる汎用性をもった海外製ツールだ。豊富な「業務のスイッチ」をON/OFFするようなイメージで自社業務に適応させる「カスタマイズ」(=パラメータ設定)を行えばどんな業種にも対応する長所があり、海外での実績に裏打ちされた「ベストプラクティス」が流用できるとあって、多くの企業の業務プロセス最適化と統合に大きな役割を果たしてきた。

■自社業務プロセスを生かすにはカスタマイズ/アドオンが必須

 しかし視点を変えればこれはツールが持つ洗練された業務プロセスの「型」に、自社業務をはめこむことでもある。「ツールに合わせて業務をフィットさせる」ことが一面ではベストプラクティスの適用になるのだが、それが必ずしも最善とはいかず、もともとツールが持っていない機能を開発して付け加える「アドオン」が頻繁に行われるようになった。カスタマイズやアドオンの量が多いと、それだけコストはかさむ。ツール費用よりもはるかに高額の開発費用がかかることが珍しくなかった。
 やがて日本の商習慣にマッチする国産ツールが次々と登場し、SIer側の経験・実績が積み重ねられてくると、特定業種のためのカスタマイズとアドオンをパッケージにした「テンプレート」が多数提供されるようになった。これにより個別開発の量は少なくできる。ツールベンダが比較的低価格のツールを中堅中小企業向けに提供するようにもなり、導入のコストや期間はかつてほどの障壁にはならなくなってきた。

■自社の「強み」を生かせる低コストなERP構築が必要に

 しかし例えば製造業では、独自の生産プロセスが命という会社も多い。会計や人事などの業務をERPツールで効率化することはできても、本当の「基幹」業務である生産プロセスが変更できず、やむなく別々のシステムとして運用している例は実はよくある。一方、カスタマイズやアドオンを念入りに行って最適化すると、業務の変更やシステム更改のたびにカスタマイズ/アドオン部分を改修する手間が生じ、悪くすると更改のたびに導入時と同程度のコストと時間がかかることもある。
 継続的にERPに投資できる企業ならそれでも効果を得ることができるが、中堅中小企業ではそうはいかないケースも多い。また簡単に適用できるのは会計や給与/人事など間接部門の業務だが、その効率化は売上には直結しない。例えば製造業なら本当の「基幹業務」は生産現場にある。独自の生産プロセスが競争力の源泉だという企業は多いはずだ。それを異業種も含めて標準化された「型」にはめてしまってよいだろうか。下手をすると競争力を損ないかねないという懸念は無理からぬところだ。もちろんその他業種でも業務プロセスの独自性が「強み」である企業は少なくない。それでもERPを入れて効果を出そうと思うと、カスタマイズ/アドオンが増えることになり、コスト効果が危ぶまれる。これが多くの中堅中小企業の実情ではないだろうか。

■汎用ツールから業種特化型ツールへ

 本コーナーではこれまで、中堅中小企業向けERP導入について、主に会計システムを中心とした部分最適化を図りERPモジュールを重要度・必要度に応じて順次追加していくスモールスタート方式や、テンプレートの活用によるカスタマイズ/アドオンコストおよび構築期間の圧縮をおススメしてきた。これに加えて、最初から業種に特化して提供されている業種特化型ERPツールを利用するというもう1つの選択肢がいまはっきりと見えてきた。
 業種特化型ERPツールが次々に提供されているのには、主に次のようなビジネス環境変化が背景にある。

生産形態の多様化

 製造業では同一仕様の製品を大量に見込み生産する形態(少品種大量生産)だけでなく個別製品を受注生産する形態(多品種少量生産)が求められるようになってきた。また従来特定顧客の受注生産だけだった会社が自社製品の販売に踏み切るケースも少なくない。さらに組み立て生産とプロセス生産の両方をまかなう必要に迫られる場合もある。1社内で複数の生産形態をとって、多様な需要に応えなければ競争に耐えられなくなってきている。

頻繁な生産計画変更

 市場環境の変化に応じ、また受注先からの要請に応じ、生産計画が頻繁に変更されるようになった。納期や価格に変更を反映できない場合も多く、要請から時間を置かずに最適な生産計画を再設計できる体制を整える必要がある。

低価格化要請

 海外製品の追い上げもありコスト競争力が高い商品を提供する必要がある。商品企画から製造、販売、流通まで、幅広い領域でのコスト圧縮が求められている。

品質・安全性保証へのニーズ

 原材料や製造プロセスにこれまでよりも厳密な品質保証体制が求められるようになった。特に医薬品や食品などでは仕入先や販売先、原産地などのトレーサビリティが強く求められるようになった。

グローバル対応

 生産拠点や営業所などを海外に設置することが多くなり、海外法人の設立も盛んになっている。異言語・異習慣の海外従業員との協働、複数の会計標準の併用が不可欠になってきた。

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