メリデメ大解剖「垂直統合型システム」

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メリデメ大解剖「垂直統合型システム」

2013/10/15


  2012年頃から、国内外のベンダから立て続けに登場してきた「垂直統合型システム」。各ベンダの知見やノウハウに基づいてハードウェアとソフトウェアをあらかじめ組み合わせて提供することで、導入・運用の容易さを売りとしているこの製品カテゴリだが、その“正体”について自信を持って理解していると言える企業はまだ少ないのでは。そこで今回は、垂直統合型システムについての基礎知識を伝えることを目指して、その生まれてきた背景と、メリットやデメリットについて探りつつ、導入を検討する際に抑えるべきポイントを考えていきたい。

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垂直統合型システムとは?

■垂直統合型システムとはどのようなもの?

 実は「垂直統合型システム」についての共通の定義というのは存在しない。その示すところはベンダごとに微妙に異なるように見受けられる。用語についても「垂直統合型プラットフォーム」や「垂直統合型マシン」であったり、そもそも特別な呼称を設けていなかったりと、ベンダによってまちまちだ。
 ただし、いずれの製品にも共通しているのは、ハードウェアとソフトウェアがあらかじめベンダによって最適化されている点だろう。より細かく言えば、サーバやストレージ、ネットワーク機器といったハードウェアと、OS、ミドルウェア、仮想環境、システム管理ソフトなどのソフトウェアを、過去のSI経験などによって得られた知見やノウハウに基づいてあらかじめ最適に構成・設定を施して提供されている。ベンダによっては、「オンプレミスのプライベートクラウド基盤」と、より具体的に定義しているところもある。利用者は、ワークロードに最適な環境がデプロイされたものにアプリケーションをアップロードするといったイメージだ。

図1 垂直統合型システムの環境構築イメージ
図1 垂直統合型システムの環境構築イメージ
パターンとは仮想マシンの構成情報や接続情報、サービスレベルを定義するポリシー、設定を実行するプラグインやスクリプトなどを指す
資料提供:日本アイ・ビー・エム
■垂直統合型システムのはじまり

 このように幾分あいまいで定義付けが難しい垂直統合型システムだが、その先駆けと言えるのは、2008年にオラクルがリリースしたデータベース専用マシン「Oracle Exadata」シリーズと言って間違いないだろう。ハードウェアとソフトウェアを統合し、データベース基盤として最適なチューニングを施したこの製品は、その高速性と導入のしやすさ、そして高いコストパフォーマンスが広く受入れられ、これまで世界中の企業で数々の導入事例が報告されていることはご承知のとおりである。
 とはいえ、垂直統合型システムが1つのIT製品カテゴリとして本格的に注目され出したのは2012年に入ってからだ。この年より、メインフレームやサーバのベンダを中心に、続々と製品がリリースされた。

■垂直統合型システムを支える“仮想化技術”

 それではなぜここに来て、ベンダ各社がこぞって垂直統合型システムを市場に投入しているのだろうか。その理由の1つが企業ITの世界における仮想化技術の普及である。
 ビジネスにますますスピードが求められるなか、ITサービスを柔軟かつ迅速に提供できる仮想化技術は、企業の間で急速に導入が広がった。ITコスト削減が叫ばれ、物理サーバを統合する流れもまたその普及に拍車をかけた。IDC Japanの調査によると、国内サーバ市場における仮想マシンの出荷台数は、2012年にはついに物理サーバをベースとした出荷台数を超えているのである。 ところが、こうした仮想化の普及によって、物理サーバに対する仮想サーバの数が急激に増えてしまった。そのため、運用管理者は以前よりも実質的に多くの台数のサーバを管理しなければならなくなったのだ。それに加えて、仮想化の普及はシステムの複雑化をも招くこととなり、導入・運用管理に高いスキルと煩雑な作業が必要となってしまったのである。そのため、多くの企業では運用管理コストの増大に悩む事態を招いた。そこで、仮想化技術の導入によって本来得られるべきメリットを、高いスキルや細かい検証作業、そして手間のかかる導入・運用管理を必要とせずに享受できるようなIT基盤として登場してきたのが、垂直統合型システムなのである。

■垂直統合型システムの種類

 垂直統合型システムの種類は、大きく「IaaS(Infrastructure as a Service)型」、「PaaS(Platform as a Service)型」、そして「その他:業種・業務アプリケーション」の3つに分けることができる。もちろん、オンプレミスでも利用されるため、IaaSやPaaSそのものではない。
【IaaS型】
 IaaS型は、サーバやストレージ、ネットワーク機器、仮想化環境、そしてそれらを統合的に管理する機能を集約したインフラシステムとなっている。垂直統合型システムの中でも最も自由度が高い一方で、導入企業にはそれなりのスキルが求められることから、比較的大規模な構成の製品が多くなっている。
【PaaS型】
 PaaS型は、IaaS型にOS、それとアプリケーションサーバやデータベースシステムなどミドルウェアまでを統合したものである。このうちデータベースについては、後述するデータベース専用基盤と異なり、基本的にアプリケーションサーバと連携して稼働する。多くの製品では、ベンダ独自の運用管理ソフトウェアを備えており、ハードウェアからソフトウェアまでを含めた運用管理の自動化をうたっている。

図2:IaaS型とPaaS型のコンセプト
図2:IaaS型とPaaS型のコンセプト

  なお、仮想化システムの運用実績のない中小規模システム向けに、より容易な運用管理が可能となるよう直感的なGUIを用意した小規模構成の製品も存在する。仮想サーバごとに電源ボタンなどをGUIで表現することで、仮想化への敷居を低くする工夫が施されている(図4)。

図3 中小規模システム向けの管理画面
図3 中小規模システム向けの管理画面
資料提供:日立製作所

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【その他:業種・業務アプリケーション
 その他に含まれるのは、まず前述したExadataのようなデータベース専用基盤である。ベンダによっては、主要な各データベースシステムから自由に選べるようにしている製品もある。
 また、コラボレーション基盤やシンクライアント環境など、特定のアプリケーションやサービスに特化した垂直統合型システムも提供されている。さらに、ISVパートナーや販売パートナーが提供する業務パッケージをあらかじめ最適な構成で組み込んだ製品も存在する。こうした製品は、SaaS(Software as a Service)型と位置づけてもいいかもしれない。ちなみに、これに近い形のものはPaaS型としてベンダが定義づけている製品の中にもある。その場合、登録されたISVのパッケージをダウンロードして、専門家の知見に基づいた設定で構成できるようになっている。

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