アドビならではのクラウド型マーケティング

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掲載日 2013/09/25

ザ・キーマンインタビュー 独自の切り口でクラウド型マーケティング製品に挑むアドビ

長年にわたり、クリエイティブソリューションの提供に取り組んできたアドビ システムズでは、製品の提供形態をクラウドベースのサブスクリプション形式である「Adobe Creative Cloud」へとシフトしつつある。更に、現在では事業のもう1つの柱としてマーケティング分野への事業拡大を進めている。こうした動きの背景にあるものとは?

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アドビ システムズ:国和 徳之 氏、前田 龍 氏

マーケティング本部 デジタルマーケティング
プロダクト マーケティングマネージャー
国和 徳之 氏

マーケティング本部 デジタルマーケティング
プロダクト マーケティングマネージャー
前田 龍 氏

2009年からクリエイティブに加えて、マーケティングを事業の柱に

Question

貴社ではクリエイティブソリューション「Adobe Creative Cloud」に加えて、マーケティングソリューション「Adobe Marketing Cloud」を展開していますが、マーケティング分野に取り組むようになったのは、どのような経緯からなのでしょうか?

Answer

アドビ システムズ:国和 徳之 氏

ご存じのとおり、弊社ではもともとクリエイティブ分野でのビジネスを主体にしていましたが、2009年に大きく舵を切っています。従来のクリエイティブから枠を広げて、企業のマーケティング活動も支援する、つまり、クリエイティブを企業からお客様に届けるという部分もサポートしたいと考えたのです。そして、そうした戦略に必要な地盤を迅速に固めるために、Web解析「SiteCatalyst」などで知られるOmniture社の買収をはじめとする、様々な取り組みを積極的に展開したことで、現在ではクリエイティブ分野とともに、マーケティング分野も弊社の事業の柱となっているわけです。

 クリエイティブ、つまり、広告などの制作物は、クリエイターの方にとって見れば、完成すればそこがゴールになるかもしれません。しかし、企業として見た場合には、完成したあとが肝要で、実際にWebサイトなどに広告として掲載したり、ダイレクトメールとして送るなど、様々なチャネルで展開していくことになるわけで、そこの作業に面倒や不満がありました。例えば、「お客様の反応をもとに、更に効果が高いクリエイティブ作りを」「細かな修正はもっと迅速に済ませたい」といった具合です。クリエイターの方からすれば「完成後の反応や成果を、今後の制作に活かしたいが、そもそも見えにくい」、マーケターの方からすれば「もっとクリエイティブを自在に変えたい。質を上げたい」という思いがあったわけで、だったら、弊社がその仲立ちをすべきではないかと考え、マーケティングとクリエイティブという2つのビジネスを同時に推進していくことを決断したという経緯です。

 Omnitureを買収したのは、そうした戦略的判断に基づいており、弊社ではその時点でWeb解析を軸にしつつ、分析をもとにWebサイトや広告の最適化を行うためのツールも提供していました。そのため、2009年には、弊社は「制作」「分析」「最適化」という、クリエイティブとマーケティングの連動に必要となる基本的な軸を全部揃えていたことになります。両者の連携については、買収後に機能拡張に取り組み、現在の「Adobe Marketing Cloud」へと至る過程で、クリエイティブとマーケティングの連動が固まってきたという状況です。

Question

「Adobe Marketing Cloud」は、現在どのような構成になっているのでしょうか?

Answer

ソーシャルマーケティング活動の一元管理が可能な「Adobe Social」、マルチチャネル広告キャンペーンなどの効果測定と最適化を行える「Adobe Media Manager」、Webコンテンツ管理ソリューション「Adobe Experience Manager」、テストとパーソナライゼーションによる効果最適化を実現する「Adobe Target」、アクションにつなげられる分析/レポートを提供する「Adobe Analytics」という、5つのソリューションで構成しています。各々のソリューションが、マーケティング活動に必要なすべての要素、つまり、「認知・誘導」「訴求・獲得」「分析・意思決定」に対応することで、ワークフローの合理化を支援しています。この1つひとつは、個別のツールで既に行われている方も多いかもしれませんが、弊社のソリューションの強みとしては、全ソリューションが1つにまとまっており、相互にデータ連携できるという点だと思います。

 更に、今年7月にはクロスチャネルのキャンペーン管理技術を持つフランスのNeolaneを買収しました。同社は、Webサイトをはじめ、電子メール、ソーシャルメディアといったオンラインチャネルに加えて、コールセンタ、ダイレクトメール、そして、POSデータなどのオフラインチャネルを含めた、複合的なキャンペーンの運用・自動化のためのプラットフォームを提供しています。これにより、オンラインだけでなく、企業で実施されるマーケティング活動全体におけるデータを収集・統合し、セグメンテーションを行った上で、チャネルを横断した広告配信やマーケティングコミュニケーションの管理が可能になります。5つのソリューションと相互連携するかたちで、軸の1つとして加える予定です。


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クリエイティブソリューションとの連携もより密接にしていく

Question

5つのソリューションを連携しながら使えるのが強みだということですが、貴社の場合はクリエイティブソリューションとも連携可能なのでしょうか?

Answer

アドビ システムズ:前田 龍 氏

そうですね。まだ完全な連携は実現できていませんが、将来的な展望としては、1つの統合されたシステムの中で、クリエイターとマーケターが数字をもとに広告クリエイティブの効果検証と改善を行い、更に経営層へキャンペーンの結果報告を行うなど、効率的にコミュニケーションを図りつつ、より密接に連携できるようにしていきたいと考えています。現時点では、「Adobe Experience Manager」で提供しているデジタルアセット管理をハブにして、クリエイターとマーケターの方が共同作業を行えます。制作会社の方がAdobe Photoshopでバナーを作成し、それを企業のマーケターの方に納品する際、メールに添付して送信するというケースが多いかと思いますが、どれが最新のものか分かりにくい、あるいは、何度もやりとりしているうちに初期の修正が反映されていないバナーが最終版になっていたというトラブルも生じがちです。デジタルアセット管理をベースに用いて、そこに納品してもらえば、マーケターの方は即座に確認作業を行えますし、しかも、実際のWebサイトに掲載した本番のイメージと同様のかたちでの確認も可能です。

 マーケティングソリューションの提供に関しては、様々な角度からの取り組みが考えられるかと存じますが、大部分のベンダはやはりITという切り口から入ってきているかと思います。それに対して、弊社ではクリエイティブから枠を広げてきたわけで、見た目の部分や制作に直結した部分など、「フロントエンドに強い」ということは言えるでしょう。逆に言えば、ネットワークやデータベースなどのインフラ構築といった、いわゆるバックエンドの部分には弊社ではあまりフォーカスをしていないと言いますか、むしろ、弊社のビジネスの範疇ではないと考えていますし、そこはもう「既にありき」という位置づけです。既存で所有されているデータベース、あるいはCRMを活用しつつ、Webサイトや広告をどう見せていこうか、お客様といかにコミュニケーションを強めていくかという場面で、フロントエンドの部分に弊社のソリューションを使っていただければ、存分に強みを発揮できるはずです。

Question

「Adobe Marketing Cloud」は、貴社の古くからのユーザ層であるコンテンツ制作者が基点となって導入を推進するというケースが多いのでしょうか?それともマーケターの方からの問い合わせや引き合いが多いのでしょうか?

Answer

もちろん、画像制作などのクリエイティブに関わる方々であれば、ほとんど全員が弊社のことを認知していただいていると自負しています。ただ、それだけではなく、Adobe Flash、Dreamweaver、あるいは最近ではオープンソースのモバイルアプリ開発フレームワーク「PhoneGap」などを通じて、インターネットビジネスと密接な関係にある企業だというイメージを持っていただいている方も増えており、その延長線上として、「Adobe Marketing Cloud」を認識される方が多いという状況です。


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KPIを定めた上でマーケティングソリューションを導入してほしい

Question

「Adobe Marketing Cloud」を実際に導入された企業ではどのようなメリットを得られているのでしょうか?

Answer

アドビ システムズ:国和 徳之 氏、前田 龍 氏

全体を包括的に活用されているケースはまだ少ないのですが、例えば、最も利用者が多い「Adobe Analytics」では、「見えなかった部分が見えるようになった」という声をいただくことが多いです。これまでもページビューなどは見ていたものの、それだけでは見えなかった個々のお客様の導線が見えてくる。それも時間軸やセグメントなど、様々な局面から見られるというわけです。その結果、セグメントに合致する人があまり見ていなかったため、ページビューが多いわりには実際の売上につながっていないといった背景が手に取るように見えてきます。あるいは、バナーのデザイン自体は非常に高い効果を引き出す可能性があったものの、メッセージがマッチしていなかった、単に場所が悪かったためクリックされなかったといった問題も明確に把握できます。

 マーケティングというものは、勘に頼る部分もまだまだ多いかと思いますが、勘をもとに広告展開などを実施したとしても、その結果は数字としてきちんと見えるという点で導入効果を感じていただけているようです。ただ、注意してほしいのは、ビジネス目標やマーケティング戦略を明確化し、いわゆるKPI(Key Performance Indicators=重要業績評価指標)を立てて臨むことが重要だということです。ここを押さえていないと、例えば「Adobe Analytics」を導入したとしても、ほかのツールでページビューだけを見ていた時と同様に、結果を見るだけで満足してしまい、導入してよくなったのか悪くなったのかは分からず、あまり意味がなかったということになりかねません。

 自社のビジネスにおいて、例えばWebサイトはどのような役割を持っているのか。ブランディングなのか、認知やリーチの拡大なのか、コンバージョン(最終成果)として求めるのは資料請求なのか、それとも実際の売上なのか。その目的に応じて、どういう活動が必要なのかという事前コンサルティングが、ソリューション導入においては非常に重要です。弊社はツールベンダであるとともに、実はコンサルティングも手がけており、サービス自体もツールとコンサルティングの両輪で提供しています。ツールを利用するゴールを定めた上で使っていただければ、導入後の成果もきちんと見えてきますから、お客様には大いにメリットがあるというわけです。例えば「Adobe Analytics」の導入で問題個所が明確になり、その後に「Adobe Target」を組み合わせて、コンバージョンを上げていく施策に活かすことで、直接的な売上向上も実感していただけるはずです。


●ありがとうございました。


取材協力

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世界を動かすデジタル体験の提供をテーマに掲げ、様々な制作現場で使われるクリエイティブソリューション、そして、それらを企業の利益につなげるためのマーケティングソリューションを幅広く展開している。


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