DevOpsの本質…開発・運用連携はここが重要

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掲載日 2013/08/06

ザ・キーマンインタビュー DevOpsの本質とは…開発・運用の連携はここが重要

サービス提供基盤のクラウド移行をはじめ、企業ITを取り巻く環境が大きく変化する中、開発体制にも変革が求められている。解決策としてはアジャイル、DevOpsといった概念に注目が集まっているが、その本質とは?システム開発を事業の柱としつつ、クラウド開発環境サービスなども提供するSCSKにお話を伺った。

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SCSK株式会社:嶋田 基史 氏、瀧澤 与一 氏

技術・品質・情報グループ
技術開発部長
嶋田 基史 氏

ITマネジメント事業部門 事業推進グループ サービス企画部
サービス企画第一課長
瀧澤 与一 氏

インフラ調達の迅速化にともない、開発にも更なるスピードアップが求められている

Question

企業システムのクラウド移行といったITの進化、あるいはビジネス状況の変化などを受けて、ソフトウェア開発においては全般的にどのような課題やトレンドが生じていると言えますでしょうか?

Answer

SCSK株式会社:瀧澤 与一 氏

SCSKの事業の中でもシステム開発をともなう案件においては、以前は納入すべきハードウェアを調達した上で開発を行うという形態が大部分を占めていたのですが、最近はクラウドの利用拡大にともない、そういったシーンはずいぶんと減ってきています。つまり、SCSKが保有するデータセンタなど、既に用意されているインフラ上での開発が主体になってきたわけです。そして、そうした状況を受けて、「開発工期もより短く」という傾向が生じています。つまり、以前はインフラの調達と並行して、要件定義や分析、設計といった開発に必要な事前作業を進めることで、時間をうまくやりくりしていたのですが、そのいわばバッファに使える部分がなくなってしまったわけです。これはSCSKのような顧客のシステム開発に携わる企業だけではなく、企業の中で自社のシステム開発に従事されている方々にも同じことが言えるのではないでしょうか。

 そうした状況の中で、開発のスピードを上げる手段として、ある程度の共通化を図っていくということが挙げられます。もちろん、様々なお客様のシステム開発をすべて同じようにしていくわけにはいきませんが、できるだけコンポーネントに落とし込んで、それらを組み合わせてシステムを作り上げていくかたちにシフトしていくことが必要になっています。

Question

一般的によく言われるように、従来のようなウォーターフォールによる開発ではなく、いわゆるアジャイルのような概念へと変えていく必要もあると言えるでしょうか?

Answer

新しい業務のために、まったく新しいシステムを開発するといった場合には、そうした新しい手法に取り組むのもいいでしょう。ただ、実際のシステム開発の現場では、既存システムの更改・改修というものが、どうしても主体になります。そういうケースでは、もともとのシステム自体がウォーターフォールベースで作られているはずで、既存の資産、つまり設計のドキュメントなどが多数揃っているにもかかわらず、それを無視するかたちで純粋なアジャイルベースに変えていくというのは現実的ではない気がしています。

 具体的に言えば、会計・人事といった基幹業務を扱うシステムの開発は、アジャイルにする必要性があまりないと思います。ただ、その一方で、新しいビジネスをどんどん立ち上げていきたい、スピード感を持ってビジネスを変えていきたいというニーズも出てきています。そうした周辺業務のシステム開発においては、例えば、最初から100%要件を決めて、1年かけてきっちり開発していこうという体制では、ビジネスのスピードに追従できません。このような、ビジネスとシステムを相互に発展させていく、しかも、それを迅速に行うというケースでは、アジャイルの効果が出るのではないかと考えます。


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表面上は連携できているが、実質的には開発と運用の溝が埋まっていないケースも

Question

ソフトウェア開発においては、以前から開発部門と運用部門の連携不足が問題を生じさせるという指摘がなされていましたが、様々な企業のシステム開発の現場に触れる機会の多い貴社では、そうした部分の現状をどのように把握されていますでしょうか?

Answer

SCSK株式会社:嶋田 基史 氏

SCSKでも当然ながら、開発と運用を併せて受注するケースがありますが、やはり開発と運用の連動を重要視しています。具体的には、運用から上がってきた情報を可能な限り、そのまま開発側でも共有できるような仕組みづくりに取り組んでいます。お客様からの問い合わせやインシデントなどの中には、開発にとってまったく必要ではない情報も多数ありますし、次の開発要件に取り入れるべきものはごく少数かもしれません。それでも、そういう判断は置いておき、来たものは開発者に見える状態にすべきだと思うのです。SCSKが様々な現場を経験する中で、例えば、開発と運用が互いにレポートを定期的にやりとりして、表面上は連携がうまくいっているように見えても、実質的には開発と運用の溝は埋まっておらず、それが問題を生じさせたケースなども目にしています。

 こうした問題の原因の1つとしては、集計された情報、レポートにまとめられた情報には、不必要だという判断で消されてしまった部分もあるということが挙げられるのではないでしょうか。もちろん、整理されていない情報をそのまま渡すだけでは、情報把握に手間がかかり、結局、見られなくなってしまうという可能性もあります。また、一方通行になってしまうのも望ましくありません。そのため、情報をリアルタイムでストリームしつつ、かつ、分かりやすく情報連携できるような仕組みを追求していくことが、開発と運用の連動という観点の中で重要なポイントではないかと思います。

Question

意識変革を図りつつ、それを支えるための仕組みを整えていくということでしょうか?

Answer

各々の役割はまったく別物だという意識は変えていくべきで、言い方を変えれば、最初にお互いの壁を取り払う必要があるということです。例えば、運用としては、システムの稼働状況という観点でレポートを出すというのが基本的な考え方だったかもしれません。これを、次の開発につなげるためのレポートに変えていくというのは、一朝一夕にはいかないかもしれませんが、やはり真摯に考えていく必要はあると思います。DevOpsという言葉が注目を集めていますが、開発と運用の連携強化を図ろうという、いいきっかけにはなるのではないでしょうか。

 同様に、もともとの目的や目標といったことを、きちんと見え続けるようにすべきでしょう。特に、プロジェクトの開始時にはそうした目的をしっかり据えているはずで、開発の段階でもしっかりと確認されていたとしても、その後、プロジェクトの主体が運用へと渡った際に明確に伝わらなかったというケースは意外に多いと思います。あるいは、運用も当初は「業務を円滑に」「よりイノベーティブに」といった目的をしっかり認識していたものの、年月を経るごとにそれが希薄になり、「システムをいかに安定して稼働させ続けるか」ということが主眼になってしまうのはいたしかたないことだと言えます。ただ、運用というものは、実際にユーザとの業務に関わる部分であり、非常に大事な役割を果たすべきものです。しかも、システムへの投資の効果が出ているか、出ていないかということに関しても、本来は運用がしっかりと見届けた上で開発に逐一フィードバックする必要があるのです。開発と運用、更にSCSKの場合にはビジネスパートナーも含めて、しっかりと情報連携できるかたちを作らないと、開発したシステムが本来の目的を果たせないばかりか、まったく業務に効果をもたらしていないという事態にもなりかねません。


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DevOpsを実現していくための取り組み

Question

貴社ではクラウド型開発環境サービスとして「PrimeCloud for Developers」を提供されていますが、これはどのように開発を効率化するものなのでしょうか?

Answer

SCSK株式会社:瀧澤 与一 氏、嶋田 基史 氏

「PrimeCloud for Developers」は、システム開発プロジェクトの管理に必要な機能を実装したプロジェクト管理環境と、サーバリソースをオンデマンドで簡単に調達できる機能を併せ持ったサービスで、既に多くのお客様に利用いただいています。採用案件の中には、10人程度の開発環境もあれば、MS&ADシステムズ様による三井住友海上火災損害保険様とあいおいニッセイ同和損害保険様のシステム開発といった大規模プロジェクトも含まれています。MS&ADシステムズ様のプロジェクトなどでは、大規模な開発を一定の期間にわたって安定して続けるという点で、先ほどのアジャイルなどの概念とは正反対に位置するように見受けられるかもしれません。しかし、ここまでの大規模案件になると、個々のチームで上がるタスクも圧倒的に多くなり、外から見れば、日々膨大な要求に対応しているような位置づけで、それらをうまくハンドリングして、具体的な指示に変えていくことが求められます。「PrimeCloud for Developers」は、そうした体制を実現するためのツールとして評価をいただいていると思います。

Question

先ほど話題に出たような、開発と運用の連携などにも活用できるものなのでしょうか?

Answer

基本的には開発時に使っていただくサービスなのですが、実際に使われているお客様の中には、開発が終わった後もそのまま利用を継続し、運用に役立てているというケースもあります。このサービスでは、日々上がる課題をチケットとして登録していく形式になっており、そのチケットを誰にアサインして、いつまでに解決するかといった情報を入力し、管理することが可能です。一般的には開発管理ツールと運用管理ツールは別々になることが多いのですが、そのお客様の場合はずっと同じものを使うことで、開発時に蓄積されたインシデントを、そのまま運用チームが引き継ぐとともに、運用時に生じたインシデントも同じ仕組みの中に載せているというわけです。

 SCSKとしては、DevOpsを実現していくにあたっては、まず「PrimeCloud for Developers」で開発側の管理をきちんと整備して、コード自動生成、テスト自動化といった様々な手法を取り入れつつ、可能な限り迅速に本番環境へと持っていけるような環境を提供するということを中心に考えています。その上で、運用側で使われているダッシュボードを開発側にも拡大できるようにし、運用で得た情報などを可視化することで、次の開発に向けた要件をわりと短い時間で蓄積可能にする。それによって開発期間も短くなる。そうしたサイクルをできるだけ早く回していけるような、全体的なマネジメントの仕組みを構築していきたいと考えています。

図1 SCSKの考える開発環境(DevOps)
図1 SCSKの考える開発環境(DevOps)
出典:SCSK、2013年8月


●ありがとうございました。


取材協力

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住商情報システムとCSKの合併により、「グローバルITサービスカンパニー」として誕生。システム開発からITインフラ構築、ITマネジメント、BPO(Business Process Outsourcing)、ハードウェア/ソフトウェア販売まで、ビジネスに求められる幅広いITサービスを提供している。


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