ホステッドサービスでクラウド連携を促進

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掲載日 2013/07/09

ザ・キーマンインタビュー ホステッドサービスがクラウド連携を促進させる

富士通では、自社が提供するクラウド製品・サービス群を「FUJITSU Cloud Initiative」として新たに体系化した。これは顧客企業の“クラウドファースト”ニーズに対応した戦略であり、ここ数年間のクラウド市場を精査に分析した結果が反映されているという。同社ではクラウドの動向をいかにとらえているのか。

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水野 浩士 氏

サービスビジネス本部長代理
水野 浩士 氏

2013年度はホスティング型プライベートが倍増すると予測

Question

貴社のクラウドビジネスの状況として、これまでの傾向、そして、今後の予測に関してお聞かせ下さい。

Answer

富士通:水野 浩士 氏

過去3年間の売上で見た場合には、2010年度は約500億円、2011年度は約1000億円と順調に伸びており、2012年度には約1500億円と2010年度の3倍に伸張しています。弊社では、2009年から「パブリッククラウドの基盤整備」に着手し、その後、2010年初頭からは「プライベートクラウド対応商品の強化」、そして、同じく2010年前半には「ソーシャル、SaaS分野への取り組み強化」と、クラウドビジネスの適用領域を順次拡大してきました。当然ながら、こうした展開は、市場動向をある程度反映したものですから、お客様ニーズの変化に合わせて各適用領域のビジネスも拡大していくわけです。

 つまり、パブリッククラウドについては、B to B、B to B to Cでお客様との接点を担うフロント業務の基盤として、早い時期から利用されており、その後も右肩上がりで2桁成長を継続しています。2010年度から2011年度にかけて、キャリアをはじめとする事業者、あるいは大企業の社内データセンタなどにおけるプライベートクラウド整備や、そのインフラ増強といった案件が非常に多くなっていました。2011年度後半からは、イノベーションを加速するためにクラウドを活用するお客様が増えてきました。更に、2011年度から2012年度にかけては、パブリッククラウドの様々な組織や立場の方が複合的に使う基盤として適しているという特性を活かし、農業、医療などのシステム基盤を担う、いわゆるソーシャルクラウドとしての利用であったり、複数のプレーヤーが共同作業を行うシステム基盤として活用されるケースが非常に増えてきているというわけです。

Question

プライベートクラウドに関しては、以前は自社構築を示すケースが多かったものの、最近では徐々にホスティング系へとシフトしつつある印象を受けますが、実際にはどういう状況なのでしょうか?

Answer

2013年度に向けた予測として、クラウドを利用したシステムの構成要素が大きく変化すると見ています。具体的には「モバイル利用の加速」「マルチクラウド利用の拡大」、そして、「ホスティング型プライベートの倍増」という変化です。弊社では、クラウド市場を分析するにあたり、クラウドによる関連ビジネスへの波及効果を見てきました。クラウドのシステム構成要素である「サーバ、ストレージ」「OS、ミドルウェア」「ネットワーク」「SI」「データセンタ、LCM(ICT運用管理サービス)」の動向です。

 これを2010年度からの3年間で見た場合、プライベートクラウド領域においては、データセンタのビジネスが同調して伸びているという傾向が2012年度には顕著になっており、「オンプレミス/自社所有型プライベートクラウド」から「ホスティング型プライベートクラウド」への流れととらえています。2012年度後半には基幹システムをクラウドに展開するケースも徐々に増えてきており、既存システムの最適化、いわゆる“モダナイゼーション”としてのクラウド活用も進んできています。更に今後は、パブリッククラウドのよさも取り込んだ、より「利用型」に近づいたプライベートクラウドのニーズが高まっていくのではないでしょうか。


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3つのクラウド形態により、横方向のクラウド連携を促進

Question

今年5月に、クラウド製品・サービス群を「FUJITSU Cloud Initiative」として新たに体系化されましたが、これにはどのような狙いがあるのでしょうか?

Answer

富士通:水野 浩士 氏

お客様のICTへのニーズ、特にクラウドへのニーズというものは、現時点でも非常に多様になっており、更に今後も継続的に変化していくと考えています。今回の「FUJITSU Cloud Initiative」では、新サービス10種と強化サービス2種の発表をさせていただきましたが、決してそれにとどまるものではありません。プライベートクラウドからパブリッククラウド、そして、オンプレミスへのクラウドインテグレーションからIaaS、PaaS、SaaSなど全てのクラウド領域において、お客様の最適解を追求するとともに、弊社自身も開発や基盤整備などへの積極的な投資を、これまでと同様に続けていくという決意を込めています。

 また、従来との最も大きな違いは、いわゆる垂直統合型のサービスとして、縦と横にクラウドの体系をきっちりと整理・再配置しつつ、弊社が得意とする「インテグレーション」をしっかりと活かしていくということです。つまり、オンプレミスとクラウド、あるいは弊社のクラウドサービス同士はもちろんのこと、他社のクラウドサービスも含めてクラウド同士をつなぐというところまでビジネスの領域を広げていくことを示しています。

 今回、クラウドの種類としては、プライベートクラウドとパブリッククラウドという大きな2つの要素の間に位置するものとして、ホステッドサービス、つまり、サービス型のお客様専用環境を用意していますが、これは前述のようなホステッド型プライベートクラウドのニーズに応えるだけではなく、クラウド間の橋渡しと言いますか、横方向の連携ができやすいようにするという弊社のクラウド戦略の重要な要素にもなっているのです。

図1 FUJITSU Cloud Initiativeの体系図
図1 FUJITSU Cloud Initiativeの体系図
出典:富士通(2013年7月)

Question

多種多様なクラウドサービスをつなぐための具体的な手段としては、どのようなものが用意されているのでしょうか?

Answer

従来もクラウドとクラウドをつなぐということには取り組んでいたわけですが、それはあくまでも、システムエンジニアによるインテグレーションになってしまいますから、コストや要件といった点でお客様の負担も非常に多かったわけです。今回は「つなぐ」ことを実現するための1つの手段として、PaaSのラインナップ強化を図りました。その中でも代表的な存在となるのが、クラウド連携・統合PaaS「RunMyProcess」で、従来のインテグレーションによる実現とは異なり、比較的「粗な連携」を実現します。もちろん、「粗」というのは、きちんとつながっていないことを意味するのではなく、あらかじめPaaS上に実装されたコネクタを用いることで、非常にシンプルかつ容易に実現するというものです。

 コネクタは、弊社のTrusted Public S5、A5 Powered by Windows Azure、Amazon Web Services、Nifty Cloud、Salesforce.comといった代表的なクラウドサービスをはじめ、1800種に及んでおり、これらを自在に組み合わせていただくことで、お客様ニーズに合致したシステムを短期間で構築することが可能になるわけです。


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クラウドによるオープンイノベーションの実現が「スピード」をもたらす

Question

今回のクラウドビジネスの体系の一新は、ユーザ企業に今後どのようなメリットをもたらしていくと言えますでしょうか?

Answer

富士通:水野 浩士 氏

例えば、先ほどのクラウド連携・統合PaaS「RunMyProcess」では、クラウド間、システム間をつなぐというだけではなく、特定のプロセスが開始されたら、そのタイミングで外部のサービスを参照するといったことも可能です。複数ショッピングサイト間の在庫の同期の自動化などを構築する際にも、外部サービスをうまく組み合わせることで大幅に省力化できるでしょう。世の中に存在し、しかも、既に成功を収めている、価値が出来上がっているサービスや技術、更にはデータ/情報などを、ビジネスプロセスにうまく取り込むことで、自分たちのビジネスを成功させる、いわゆるオープンイノベーションという考え方がありますが、「RunMyProcess」を用いることで、これを比較的容易に実現できるわけです。もちろん、「RunMyProcess」に限った話ではなく、弊社では全体として、ビジネスプロセスのイノベーションに取り組もう、積極的にシフトしていこうというお客様を支えていきます。

Question

今後の貴社のクラウド戦略の展開に関しては、どのように考えていますでしょうか?

Answer

今回、「Cloud Initiative」という新しい言葉を使っていますが、実はそれを支えるのは、弊社が以前からこだわってきた「トラステッド」「グローバル」「インテグレーション」という3つの特長であり、この3つへのこだわりはこれまでも、そして今後もずっと変わらないということは大前提となります。更に、そのこだわりに不可欠なのが、クラウド・コンピューティング技術ですから、常に研究開発に取り組み、技術的にも、アイデア的にも、新しいものを次々に送り出していくという軸足は変わりません。

 また、これはクラウドを利用したインテグレ−ションだけではなく、SI事業全体で言えることですが、お客様のニーズが「よりスピーディな開発を」という方向性が顕著になっています。ビジネスにスピードが求められる中で、必要なシステムやサービスを数ヵ月もかかって構築しているようでは間に合わない、競争に勝てないという切実な問題があるのです。先ほど述べたように、既存のサービス、あるいはオープンなテクノロジーなどを取り入れてでもスピードを求めるという意識へと、お客様自身も変わってきていますし、弊社でもそうした方向へと既に踏み出しているというわけです。いずれにせよ、従来のお客様、そして、これからの新しいお客様のビジネスの成功をお手伝いできるよう、弊社としてはこれまでどおり「インテグレーション」を重要な柱に据えつつ、クラウドを含めた様々な分野に取り組んでいきたいと思います。


●ありがとうございました。


取材協力

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ICT分野において、各種サービスを提供するとともに、これらを支える最先端、高性能かつ高品質のプロダクト及び電子デバイスの開発、製造、販売から保守運用までを総合的に提供する、トータルソリューションビジネスを行っている。


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