関連付けがビッグデータ分析への近道を実現

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掲載日 2013/07/03

ザ・キーマンインタビュー 「関連付け」こそがビッグデータ分析への近道を実現させる

ビッグデータ分析へと踏み出す場合、既存のBIを延長させるという手法もありうる。しかし、そのアプローチが真の正解となるには、BI製品が単に「ビッグデータ対応」するだけでは不十分と言えるだろう。BI製品ベンダではビッグデータ時代に対応すべく、どのような取り組みを行っているのか。クリックテック・ジャパンのマーケティング本部長 安部知雄氏にお話を伺った。

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安部 知雄 氏

マーケティング本部
本部長
安部 知雄 氏

様々な場所に格納されたビッグデータを、いかに「関連付け」「文脈付け」するか

Question

貴社では、長年にわたり、BI製品の提供に取り組んできたかと存じますが、そうした立場から見て、ビッグデータ活用の現状や今後に関して、どのようにとらえていますでしょうか?

Answer

クリックテック・ジャパン:安部 知雄 氏

ビッグデータはボリューム(量)、バラエティ(種類)、ベロシティ(頻度)の上昇とも表現されますが、最近までは、こうした膨大で扱うのが大変なデータに対応し、それを処理するために準備しなければならないという段階だったと思います。つまり、データの処理を行う工場の話だったものが、徐々に、その工場から出てきた成果物をどう活用していくかという部分にシフトしています。弊社はBIプラットフォームベンダとして、データ分析には以前からずっと取り組んできたわけですが、ビッグデータの時代になったからと言って、分析そのものが大きく変わるのではなく、昔から扱っていたデータと新たに取れるようになったデータを、きちんと合わせてビジネスに活かしていこうという流れだととらえています。更に、その「新しいデータ」の中には自社内で蓄積されるものもありますが、外部のデータ、つまり、センサデータ、SNSなどのソーシャルデータといった、膨大かつ雑多な情報をいかに組み合わせてみて、新たな価値を見出していくのかが重要ということでしょう。

 往々にして、ビッグデータと言うと、富士山などの非常に高くて険しい山をイメージされる方が多いのですが、実際には散在する丘のように、様々な場所に分散したデータだと言えます。その中身は各種データウェアハウス(DWH)かもしれませんし、外部から取得したログデータなどもありますし、あるいは単なるExcelデータのまま蓄積されたものということも大いにありうるでしょう。こうした様々な場所に格納されたデータを処理するだけではなく、いかに「関連付け」「文脈付け」してユーザに届けられるかが非常に重要だと思っています。弊社が以前から提供している連想型インメモリBIプラットフォーム「QlikView」は、従来のBIツールでは難しかったことを実現するものとして訴求し続けていますし、先ほどの「関連付け」「文脈付け」という役割において、非常に有効だと考えています。そのため、弊社としてはビッグデータに注目が集まることは大いに歓迎していますし、むしろ、BIプラットフォームである「QlikView」を広く訴求できる時期が来たと感じています。

Question

そうした流れを受けて、今年1月にはビッグデータ対応を強化した「QlikView」新バージョンを発表されたわけですが、具体的にはどのようなことに取り組まれたのでしょうか?

Answer

もともと「QlikView」では、「独自の連想技術」、そして、「インメモリ処理」を最大の特長としており、それこそが従来のデータと新しいデータをいかに関連付けるかという部分で効果を発揮します。また、メモリ上で動作するとはいえ、特殊な連想技術で高圧縮を実現していますから、大規模なデータに対応できないというわけではありません。実際、国内のお客様でも1TBのメモリを用意し、過去3年間にわたる何万人分もの非接触型ICカード利用記録という非常に大量のデータを分析されているケースもあります。

 また、今回のバージョンアップでは、QlikViewのアプリケーション内からビッグデータに直接アクセスできる「QlikView Direct Discovery」という機能を追加しました。これは、分析を行うために既にメモリ内にロードしたデータと、外部のソースに格納されているようなビッグデータとをつなげる、つまり、ハイブリッド型の連想分析を行うというものです。これにより、例えば、DWHに格納された膨大な明細データ、あるいは外部データなどのビッグデータに対しては、あえてインメモリデータモデルにすべてロードしなくとも、関連付けした上で分析を行えます。要するに、インメモリ上では日々必要な分析だけを行い、すべてが必要ではない様々な外部データソースに対しては、必要に応じて、直接クエリを発行し、その結果をQlikViewオブジェクトに取り込むというかたちが最適だろうと考えたのです。


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従来のBIが抱える原理的な矛盾や構造的な問題とは?

Question

貴社のBIプラットフォームでは、組織全体のビジネスユーザがシンプルに意思決定を行えるという点を訴求しており、これはビッグデータ分析においても必要な要素だと言えますが、具体的にはどのような特長を持っているのでしょうか?

Answer

クリックテック・ジャパン:安部 知雄 氏

「事前の要件定義が不要」という点が最大のポイントです。一般的にBIツールを利用する場合には、IT部門が業務部門に対してヒアリングを行い、そのユーザ要件をもとに仕様を決めて、キューブ/データマート設計を行うという流れでシステム構築に取り組む必要がありました。まず、IT部門が現場の人たちに何を見たいかを聞かない限り、BIのシステム構築ができなかったわけです。しかも、仕様策定、設定を経て、システム構築を完了し、BIツールが本格稼働するのは半年、あるいは1年後となります。具体的に「何が見たいか」と言われても、ユーザにとってはなかなか明確化できるものではありませんし、データ分析の切り口を半ば無理やり決めるというケースも多く、しかも、本格稼働したときには見たいものが変わっていたということもあるでしょう。

 そもそも、「こういうふうにデータを見たい」ということが目的ではなく、ビジネスに役立つ様々な答えを抽出したいのであり、最初から「これでコストが削減できる」「こうすれば生産効率が上がる」といったことが分かっていれば、BIは必要ないわけです。BIツールに対して否定的な印象を持たれている方がいらっしゃるとしたら、それはプロジェクトの進め方ではなく、従来のBIが抱える原理的な矛盾や構造的な問題に起因していると言えます。

Question

「QlikView」はそうではないというわけですか?

Answer

先ほどお話ししたとおり、1993年にスウェーデンの大学で生み出されたメモリ上でデータを結びつけるための「連想技術」が柱となっており、その後、CPUの処理性能向上、メモリの大容量・低価格化が急激に進んだことで、加速度的に実用性を増してきました。このデータ同士の関連付けにより、事前定義を必要とせず、BIダッシュボードで見たい項目をクリックしたり、複数の項目を選択することで、ユーザにとって必要な分析を実行できるようになっています。

 もちろん、例えば「製品ごと」「支店ごと」「担当者ごと」など、どんな質問が来ても回答できるようにあらかじめデータを構築している従来の仕組みでも、ユーザが事前に決めた切り口で見ている限りは問題は生じません。IT部門が準備してくれたキューブで十分対応でき、あらかじめデータが集計されているため、回答もスピーディに出てきますから。イメージ的には膨大なデータが溜められたプールから、目的に応じた専用のコップでデータをすくいだしてきて、それをキューブに入れ込んで、データモデルを構築しているわけです。しかし、そのコップの中に自分の分析したいデータが入っていなかったら、IT部門に再度お願いして、もう1つ別のコップを作ってもらい、更にはもとのコップと結びつけるという依頼もしなければいけません。

 そのためにはコストも時間もかかってしまいますから、困り果てたユーザはどうするかというと、結局、データソースまで自分がアクセスしに行き、Excelで抽出したものを会議資料や意思決定に使っているというケースが多くなっています。しかも、各々のユーザが個別にそうした行動に移ってしまうと、例えば、会議では雑多なExcelシートが持ち寄られ、どのデータが正しいのかすらも分からない状況で意思決定をしなければならないという事態も生じるのです。


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ユーザが自ら分析を行い、アクションにつなげるための「インテリジェンス」を提供

Question

ビッグデータ分析においては、IT部門とユーザの間を取り持つ役割として、データサイエンティストが注目されていますよね?

Answer

クリックテック・ジャパン:安部 知雄 氏

そうですね。そうした取り組み方も有効だと思いますが、人材確保が困難だと言われていますし、そもそも、データ分析における最重要課題は、結局のところ、分析結果をもとにユーザがどういうアクションを起こせるのかということだととらえています。現実問題としては、やはり、自分の目で見て、自分の手で分析したデータをもとにしたほうが、よりよいアクションを、しかも効率的に起こしやすいのではないでしょうか。特に先ほどのような、あらかじめ集計されたデータを見るだけで、明細をたどれないという仕組みでは、ただ単に分析結果を突きつけられるだけでは、そこから自分で「気づき」を得られるかというと、なかなか難しいのではないかと思います。

 いずれにせよ、弊社の立場としては、こうしたアクションにつながるインテリジェンスを「ツール側」でいかに提供するかを重要なポイントとしています。それによって、業務部門主導で、セルフサービスでの情報分析が実現されるからです。それは今後も変わらないですし、ユーザが思うがままにクリックすれば、目的の結果が瞬時に表示されるという方向性で、更に良質な機能を提供できるよう、研究開発などに注力していくつもりです。

Question

ユーザ自身がデータを見られるということが重要ということでしょうか?

Answer

まさにそのとおりです。データ分析におけるIT部門の役割というものは、どちらかと言えば「ゲートキーパー」で、データには直接触ってほしくない、どういうデータを見たいかを教えてくれればプッシュ型でレポート提出します、という体制になりがちかと思います。でも、結局、ものすごい数の依頼が来たら、そこがボトルネックになってしまうでしょう。その点、QlikViewのように、ユーザが自らデータを見られる仕組みであれば、IT部門は業務部門が作り出したアプリケーションの信頼性と整合性の確保に専念すればよくなるのです。

 そうした環境においては、IT部門はいわば、それぞれのニーズに応じて作られたアプリケーションが商品棚に並べられたショップの店員のようなものです。商品棚はゲートの外に置かれていますが、アプリケーションを介して全データはつながっていますから、マーケティングの視点、営業の視点など、自分の立場とは別の視点で分析したいというユーザがいたり、個々のアプリケーションに関する問い合わせなどがあれば、適宜応えてあげればいいのです。このように、IT部門の役割は大きく変わることになるものの、個別のユーザの目的に応じて仕様策定・設定・開発を繰り返す必要はなくなり、多大な作業負荷や納期に悩まされる事態も避けられます。ツールがインテリジェンスを担うことで、ユーザが自ら分析からアクションまでを実施でき、IT部門の手を煩わせたり、待たされることもない。このような仕組みの実現は、ビッグデータ時代にこそ必要になってくると思います。


●ありがとうございました。


取材協力

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ビジネスインテリジェンス (BI) の対象はビジネスユーザであるという理念にもとづいて設立。情報の中からビジネスにおける問題と解決法を探索するためのプラットフォームとして開発された「QlikView」は、100ヵ国以上2万8000社以上の企業で使用されている。


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