見逃しがちな「OS刷新の真のメリット」とは

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掲載日 2013/04/08

ザ・キーマンインタビュー OS刷新による“64ビット完全標準化”で実現されること

ミドルウェアの役割の1つとしては、OSの機能補完が挙げられる。そういう面では、サーバの基本機能だけではなく、様々な周辺機能を網羅したWindows Server 2012の登場は、ミドルウェア製品ベンダにとっては、あまり意味がないと言えるのだろうか。実は必ずしもそうではなく、しかも、もっと基本的な部分での“変化”が、ミドルウェアにも大きなメリットをもたらすと言う。

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富士通株式会社:長倉 浩士 氏

計画本部 開発企画統括部
開発企画統括部長
長倉 浩士 氏

ミドルウェアにとって、サーバOSの刷新が意味するものとは?

Question

貴社のミドルウェア製品のWindows Server 2012対応はどのような状況でしょうか?

Answer

富士通株式会社:長倉 浩士 氏

主要なミドルウェアに関しては既に対応済みです。もともと様々なプラットフォームをサポートしていることもあり、OSアップデートに対する体制やプロセスは既にしっかり確立されていますから、スムーズに対応できています。今回のWindows Server 2012はメジャーバージョンアップですが、細かいレベルでの改修はどのOSでも頻繁に行われてきました。そのため、プラットフォーム対応時に負荷となるビルドやテストなどの作業に関しては、かなり自動化を進めてきました。ただ、注意しなければいけないのは、Windows Server 2012だけではなく、搭載されるブラウザなどの一式がバージョンアップされており、「Windows Server 2012対応」という言葉の中にはそうした周辺への対応まで含まれてくるということです。動作確認なども複雑にはなりますが、それらに関しては、粛々と進めています。

Question

ミドルウェアの役割の1つはOSの機能補完と言えるでしょうが、OS側がバージョンアップしていく中で、そうした立ち位置が少し変わるということはあるのでしょうか?

Answer

以前はソフトウェアを追加する必要があった部分が、OSの標準機能として実装されるようになることは、たしかにあります。ただ、それと同時に、機能の進化によって新たな問題解決の必要性が浮上してくるのだと思います。例えば、仮想化に関しても、様々なメリットがもたらされる一方で、物理層を見るだけでは、どのサーバでどのようにアプリケーションが動作しているのか把握できなくなります。思ったように性能が出ていない場合などにも、どこに問題があるのか、どのように対処すれば解決できるのかが分かりづらい状況でしょう。このケースでは、ユーザに対する利便性を上げるためには、システムの仮想化の進展に合わせて、われわれもミドルウェアで稼働監視や性能監視を高度化させていく必要があるというわけです。いち早く最新のインフラに対応するとともに、それに合わせた機能も追加していく。そうした取り組みを常に続けることが基本だと考えています。

Question

少しうがった見方をすると、ミドルウェアにとってOSのバージョンアップはあまり歓迎されるものではないとも言えるでしょうか?

Answer

ミドルウェアはある意味で、WindowsやLinuxなどの様々なプラットフォームを“一段浮かせる”という役目を担うものですから、下層のプラットフォームが変わったとしても、お客様に対するアプリケーションインターフェースは安定して提供し続けなければなりません。一方、OSが進化することで、特にインフラ周りの対応などは着実に進展します。仮想化への柔軟な対応、あるいはパフォーマンスの改善といった進化は、システム全体の性能や使い勝手に直結します。結果として、システムトータルでお客様に利便性を提供できるわけですから、ミドルウェアとしても、新しいOSの登場は歓迎すべき事柄だと言えるでしょう。


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最も重要だと感じているのは、「64ビットが当たり前」になること

Question

Windows Server 2012では、先ほどのインフラ周りの対応については、どのように見ていますでしょうか?

Answer

富士通株式会社:長倉 浩士 氏

機能面でもいろいろあるかと思うのですが、最もベーシックなところで、64ビットが当たり前になるという点が大きいのではないかと感じます。32ビット版の提供に関してはWindows Server 2008が最後で、既にWindows Server 2008 R2から64ビット版しかリリースされていません。まだWindows Server 2008 R2へ移行していないお客様が多く残っている状況では完全に64ビット版のみを対象とするわけにはいきませんが、これからWindows Server 2012へ移行されるケースは非常に多くなるでしょう。それにともなって、64ビットが標準という状況になれば、ミドルウェアでも大々的に64ビットのメモリ空間を活用できます。

 単純に64ビットのメモリ空間に対応するだけでも効果はありますが、広大なメモリ空間を積極的に活かして性能を上げていくといった方向性の、新たな取り組みも行っています。例えば、弊社ではビッグデータ系のミドルウェアなども既に展開していますが、同様に、新しい領域のミドルウェアなども生み出せるかもしれません。もちろん、そのためには、ハードウェアのスペックも進化していく必要がありますが、Windows Server 2012への移行に際して「どうせ、64ビット環境にするのなら、メモリもなるべく多く積んでおこう」と考える企業も少なからず出てくるのではないでしょうか。

 こうしたリソース面での進化としては、CPUコア数なども同様で、現在では32コア、40コアくらいはエントリーレベルの基幹IAサーバでも搭載可能になっていますし、今後は更に広がっていくでしょう。そうなると、やはりミドルウェアにも影響は及んできます。つまり、1台のサーバで非常に多くのコアが稼働するような高集積環境で、不具合をきたすことなく、十分に性能を引き出せるのかという課題です。こうした部分をきちんと対処していくとともに、逆に、その性能を有効活用した新たな用途を見出していくということが、われわれに課せられた責務だと思っています。


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Windows 8との連携で実現される部分も含めて、積極的に活用していきたい

Question

より大規模なリソースへの対応は、先ほどから話題に上っているシステムの仮想化、あるいはクラウド化などにも大きな影響を及ぼすものですよね?

Answer

富士通株式会社:長倉 浩士 氏

仮想化プラットフォームに関しては、エンタープライズ系ではやはり機能・性能とともに実績による安心感というものが最も重要ですから、従来はVMwareの導入が多かったのが実状でした。しかし、Windows Server 2012が登場する少し前から、Hyper-Vの機能と信頼性向上を受けて、Windows ServerとHyper-Vの組み合わせで利用されるケースも徐々に増えてきました。また、弊社の大手顧客企業においては、Linuxも導入されている場合も多いですから、Linux KVMとWindows Hyper-Vの両方を用いたい、そうしたマルチベンダの仮想環境を効率的に管理したいというニーズが生じています。

 また、クラウドに関しても、2011年はまず試しに推進するという企業が多く、商談に関しても情報収集的な意味合いが強かった印象がありますが、2012年にはクラウド活用はもはや前提であり、その中でどこまで要件を盛り込めるかという具体的な商談が一挙に増加しました。単にシステムをクラウド化するだけではなく、例えば、業務継続や災害対策といった要素をどのように取り組むかといった検討がなされています。仮想化市場のそうしたトレンドのもとで、仮想化やクラウドへの方向性を強めたWindows Server 2012がリリースされたというのは、非常に大きなインパクトがあると感じていますし、更に何か新たなトレンドが生み出されるのではないかと期待しています。

Question

そのほかに何かWindows Server 2012周りで注目されている点などはありますでしょうか?

Answer

弊社のミドルウェアは基本的にはサーバサイドで動作する製品が大部分ですが、クライアントからWebブラウザでサーバにアクセス、あるいはクライアントソフトウェアをともなうものも存在します。そういう意味では、やはりクライアント側のトレンドにも目を向けておくべきだと考えています。具体的には、Windows 8の新しい機能や技術などにも注目し、より使い勝手のいい操作画面を提供する、あるいはWindows Server 2012とWindows 8の組み合わせで、ユーザの利便性を損なわずにセキュリティ強化を図るなど、活用できる部分は積極的に使うべきだろうということです。また、クライアントのモバイル対応も重要な要素で、ネットワークの帯域が確保できなかったり、ネットワークが切断された状態にあっても、アプリケーションの動作にはできるだけ影響を及ぼさないようなミドルウェアの提供に今後は取り組みたいと考えています。


●ありがとうございました。


取材協力

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ICT分野において、各種サービスを提供するとともに、これらを支える最先端、高性能かつ高品質のプロダクト及び電子デバイスの開発、製造、販売から保守運用までを総合的に提供する、トータルソリューションビジネスを行っている。


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