ビッグデータで企業のマーケティング革新を

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掲載日 2013/06/19

ザ・キーマンインタビュー 顧客企業のマーケティング革新に不可欠だった“力”とは?

先日、富士通では、ビッグデータを活用したマーケティング領域の事業において、電通と協業していくことを発表した。両社での共同コンサルティングサービスへの取り組みに加えて、サービスの共同開発も行っていくという。異業種の両社が協業する背景や狙いについて、富士通 次世代情報系ソリューション本部 シニアディレクターである徳永奈緒美氏にお話を伺った。

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徳永 奈緒美 氏

次世代情報系ソリューション本部
シニアディレクター
徳永 奈緒美 氏

ビッグデータへの問い合わせは、マーケティング利用が半数を占める

Question

貴社では以前からビッグデータ活用のビジネスに取り組まれていますが、顧客企業の理解度や利用意欲に関しては、現在どのような状況にあるのでしょうか?

Answer

富士通:徳永 奈緒美 氏

ビッグデータに関しては、多くのお問い合わせをいただいており、情報収集レベルも含めれば、既に数百件以上が寄せられています。その内訳は「具体的な商材に対する質問」「明確な課題を持った上での相談」が3分の2に及び、「今後の可能性を検討」という段階のものは3分の1程度です。また、活用のテーマ別で見た場合には、データを用いて顧客を深く理解したい、ソーシャルメディアなどを分析して売上や潜在ニーズなどを探りたいといった、マーケティング系の目的が半数近くを占めています。

 もちろん、よくビッグデータ活用の例に挙げられるような、機器の故障予測などに用いたいというケースもあるのですが、それは将来を見据えた取り組みですので、ある程度の時間をかけて進めていくことになります。その点、マーケティングについては、売上の向上、顧客離反の抑止などといった早期に解決すべき直近の課題を抱えていて、ビッグデータ活用に取り組むことで、具体的な効果が早く表れるのではないかという期待を持たれているお客様が多いのではないでしょうか。

Question

マーケティング分野でのビックデータ活用は、実際に「分かりやすい」「手っ取り早い」と言えるのでしょうか?

Answer

そうですね。例えば、会員の購買データからロイヤルカスタマ(自社に対して忠誠心の高い顧客)の特徴を見出したいといった、かなり具体的な分析の相談を多くいただいており、実際に商談へと発展するケースも少なくありません。ただ、ビッグデータ活用においては、分析の結果をもとに、その後どういうアクションをとるのかが非常に重要になってきます。例えば、ポイントサービスなどに新たな体系を取り入れるといったことです。マーケティング領域でビッグデータ活用に取り組むにあたっては、弊社の主要な顧客となる情報システム部門だけではなく、その企業のマーケティング部門の方々も一緒になって、データ活用サイクルを回していく必要があるというわけです。

 そのサイクルの中で、情報システム部門の方々が行う「CRM基盤」「データ収集/連携」「顧客分析」といったプロセスに関しては、弊社の最も得意な分野ですから、きわめて有効なソリューションを提供可能です。しかし、その後にマーケティング部門で実施される「顧客ターゲティング」「マーケティング戦略」「施策立案」「新規サービスの創出」といったプロセスに関しては、弊社でフォローするのは難しい点もあります。その足りない部分を埋めて、プロセスサイクル全体にわたって価値提供を行うためには、やはり専門的なノウハウを持っている方々と組むのが最善だろうと判断し、先日、マーケティング領域の事業に関して電通と協業することを発表させていただいた次第です。


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「ITによる実現力」と「マーケティング・デザイン力」を一括して提供

Question

具体的にはどのように役割を分担しているのでしょうか?

Answer

富士通:徳永 奈緒美 氏

ビッグデータ活用に関しては、両社ともに様々なソリューションを持っていますが、弊社では「ITによる実現力」を発揮して、ビッグデータ対応クラウドサービス、データ分析技術、CRM、販売管理などの業務ノウハウを提供していきます。一方で、電通側では「マーケティング・デザイン力」に長けていますから、マーケティング戦略、コミュニケーションデザイン、企画力などを担っていただきます。この協業に関しては、弊社や電通だけではなく、顧客企業の方にも、特に情報システム部門とマーケティング部門の連携がとりやすくなるという点で大きなメリットがあり、迅速に業務プロセスの革新を図っていただけるのではないかと考えています。

 具体的な動きとしては、コンサルティングプログラムの提供を主に進めていきますが、現在はまず手始めとして、2つの分野に取り組んでいます。1つは「マーケティング・デザイン」で、先ほどお話したマーケティングのサイクルを実現し、マーケティングの高度化や効率化を図っていこうというものです。顧客企業が実データから消費者インサイトを導き出し、企業全体のマーケティングプロセスを改革できるよう、両社が協力して支援させていただくことになります。そして、もう1つが「事業開発プロデュース」で、こちらはビッグデータを活用した新規事業の開発にかかわるコンサルティングプログラムです。例えば、電気の使用量などのデータを活用した新規事業を立ち上げようという企業の支援、あるいは、そうしたデータを保有する企業とサービス事業社とのマッチングなどの相談を受けていくことになります。

Question

今回の協業の一例として、「肌メモリ」と連携したサービスが挙げられていますが、これはどういったものなのでしょうか?

Answer

「肌メモリ」は弊社が昨年11月から提供しているBtoBtoCモデルのサービスで、スマートフォンのカメラで撮影した肌画像からシミ・毛穴・色の状態を測定する機能をクラウドで提供しています。それを事業者様に活用いただき、エンドユーザ様に対して手軽に肌状態をチェックするサービスとして提供しています。例えば、アドバイスを表示して美容系サービスを訴求したり、化粧品をおすすめするといったかたちで活用していただくことを目指したものです。今回の協業では、これをもとにした「サービスの共同開発」を想定しています。

 従来、電通が化粧品メーカーなどへアプローチする際には、消費者の生活行動、美容商品・健康食品などの利用情報といったリサーチデータ、いわゆる調査パネルをもとにコンサルティングを行ったり、新規サービスの提案を行っていました。こうしたスキームの中に、更に肌データという、リアルにセンシングしたデータを組み込むことで、クライアントに対してより付加価値の高いサービスを開発できるのではないかと考えています。


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データ流通・利活用の場として機能する「DataPlaza」

Question

ビッグデータのマーケティング活用では、ソーシャルメディアの分析が話題に上るケースが多いように感じますが、今回の協業におけるサービスの共同開発に関しては、センシングデータを活用したマーケティングサービスを中心に展開していくのでしょうか?

Answer

富士通:徳永 奈緒美 氏

もちろん、ソーシャルメディアの分析と組み合わせるケースも出てきますが、これまでマーケティングにあまり活用されていなかったセンシングデータをトリガにしつつ、そのほかのアンケート調査などのリサーチデータ、あるいはソーシャルメディアの分析データなど、様々な情報をコンバージェンスさせることで、新しい価値を生み出していければいいのではないかと考えています。例えば、弊社では「からだライフ」という携帯電話・スマートフォン、PCを用いたヘルスケアサービスを提供しており、健康機器とのデータ連携で体重・体脂肪率を収集したり、スマートフォンで歩数などの活動情報を測定し、データベースに収集するといったことも既に行っています。また、ほかの情報と重ね合わせれば、生活行動と肌、食事と肌の関係性を見出していくことも今後可能だと思います。

 また、今回の協業とは別の話題になりますが、弊社では非常に幅広い顧客企業を対象にITビジネスを行っている利点を活かし、そのお客様同士のデータを結びつけていくという構想も進めています。要するに、流通の場を設けることでデータ利活用を促進させようというもので、「DataPlaza(データプラーザ)」と呼んでいます。お客様が自身のデータと組み合わせて活用できるような、企業プロファイル、地域特性情報、各種センシングデータ、気象、地図など、様々なデータを順次用意していく予定なのですが、その第1弾として既に提供済みなのが、ソーシャルメディアのデータです。弊社ではITベンダとして、データを蓄積・分析するための仕組みも重視していますが、それだけではなく、データの流通など、データそのものの環境整備にも着目しており、富士通ならではの強みにしていきたいと考えています。


●ありがとうございました。


取材協力

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ICT分野において、各種サービスを提供するとともに、これらを支える最先端、高性能かつ高品質のプロダクト及び電子デバイスの開発、製造、販売から保守運用までを総合的に提供する、トータルソリューションビジネスを行っている。


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