慶應の社会人データ分析講座で学べること

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掲載日 2013/05/22

ザ・キーマンインタビュー 慶應の社会人向け「ビジネスデータ分析」講座で学べること

慶応義塾の社会人教育機関として、ビジネスと経営を学ぶプログラムや人間力を高めるワークショップなどを実施している「慶應丸の内シティキャンパス」。その講座の1つとして「ビジネスデータ分析」なるものが設けられているのだが、最近では個人で受講を申し込むビジネスマンが増えているという。同講座の狙いや内容、そして、具体的に何を学べるのかといった点をラーニングファシリテーターの藤野あゆみ氏に伺った。

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慶應丸の内シティキャンパス:藤野 あゆみ 氏

株式会社慶應学術事業会 学術事業部
ラーニングファシリテーター
藤野 あゆみ 氏

実践的な仕事の方法論や経営戦略を身につけるための「学びのサードプレイス」

Question

まず、「慶應丸の内シティキャンパス」の概要をお聞かせいただけますでしょうか?

Answer

慶應丸の内シティキャンパス:藤野 あゆみ 氏

設立のきっかけは、三菱地所による丸の内再開発にともない、「ビジネスパーソンが学べる場を」という要望を受け、アカデミックコンテンツを担う慶應義塾の社会人教育機関として2001年4月にオープンしました。設立当初は丸の内八重洲ビルで(現在の丸の内パークビル)、そして、現在はその隣の三菱ビルで授業を行っており、新時代に対応する「知の創造・交流活動」を促進する拠点として、東京・丸の内にキャンパスを構えています。また、大学とは違うかたちの株式会社による運営を行っており、ほとんどの講座を夜間と土曜日に開講し、1講座からの受講が可能であるなど、会社形態ならではの運営や、時代のニーズに即応した講座などを積極的に展開している点も大きな特長となっています。

 開設当初は、慶應義塾で日々創出・蓄積されている理論をビジネスの現場で実践的に役立てたいという意味合いが濃かったのですが、加えて現在は、自己学習でもOJT研修でもない、会社・組織の枠を“越境”した「学びのサードプレイス」として、外部の異質な人との出会いと議論の場をめざしています。今年で13年目を迎え、講座数も当初とは比べものにならないほどに増え、講師陣に関しても、慶應義塾の教授陣、及び、各分野の第一線で活躍する専門家・実務家、社会人教育に精通した慶應MCCコンサルタントで構成され、非常に幅広い方々にご登壇いただいています。

Question

経営戦略、マーケティング、アカウンティング、人事・人材・キャリアなど、幅広いテーマの講座を展開し、そのうちの1つとして「ビジネスデータ分析」というプログラムを実施されているということですよね?

Answer

プログラムは大きく2つに分かれ、ビジネスプロフェッショナルのコアスキルとして、実践的な仕事の方法論を身につける「知的基盤能力プログラム」、そして、経営機能に対応した高度専門知識や戦略課題をテーマに取り上げ、専門性を深める「先端・専門プログラム」を展開しています。ビジネスデータ分析は、このうちの知的基盤能力プログラムに属し、マーケティングに必要な分析力を磨くプログラムとして実施しているものです。私どものキャンパスでは、必ずしもMBAホルダになりたいわけではないものの、同等レベルの学習がしたいという声に応えられるよう、一般的なMBA(Master of Business Administration)プログラムで学ぶようなコースの提供にも取り組んでいます。ただ、それだけではなく、現在のニーズに沿ったかたちで、あるいは、より深掘りした内容で展開できるような講座の企画・設計に取り組んでおり、このビジネスデータ分析もそうしたプログラムの1つとなります。

Question

同プログラムの対象は、営業企画、事業企画、マーケティング、生産管理、人事など業務でデータを扱う方とされており、法人から派遣される方、個人で参加される方の双方がいらっしゃるようですが、過去に実際に参加された方はどのような内訳だったのでしょうか?

Answer

慶應MCC全体として、景気に左右される傾向、つまり、景気が悪くなると法人よりも個人でのお申し込みの比率が少しずつ上がってくるということもあるのですが、それを差し引いても、ビジネスデータ分析に関しては、個人で申し込まれる方が増えている印象は受けます。例えば、2012年度は3日程開催したのですが、そのうち2日程のクラスは半数が個人で申し込まれた方で構成されていました。ただ、その中にはもちろん、あくまでも自分自身のキャリアアップにつなげたいという方もいらっしゃる一方で、社内で自分が従事している業務の中でデータ分析の知識が必要だと感じたり、データ分析を学ぶことで自社の役に立ちたいという思いを持ったものの、社内にビジネススクールの受講支援制度などがなく、自前で支払っているという方もいらっしゃいます。


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知識習得にとどまらず、業務に結びつけるための「勘所」を学んでもらう

Question

ビジネスデータ分析の受講者は、どのような職種の方が多いのでしょうか?

Answer

職種に関しては、最も多いのが企画・マーケティングに従事される方で、概ね半数を占めています。その次に多いのが、営業管理、生産管理といったシステム関係の管理部門ですね。いずれにしても、将来に備えてというよりは、今直面している問題を解決したいという方のほうが圧倒的に多いという印象を持っています。目的は様々だと思いますが、最も多く耳にするのは、例えば、営業データを解析して社内で報告する際、「これだけデータがあるのだから違う切り口、違う見方ができないか」といった意見が、経営層や管理者から出てきて、それになんとか対処したいという声です。毎回毎回決まり切ったことしか出せていないというのは、本人も重々承知しているものの、そうした意見に応えるためには、データ分析をきちんと学習しないといけないというわけです。

Question

講座はどのような構成・内容になっているのでしょうか?

Answer

慶應丸の内シティキャンパス:藤野 あゆみ 氏

全6回で実施しており、「セッション1:ビジネスデータ分析の全体像の把握」「セッション2:ゴールセッティングと仮説視点による分析から検証まで」「セッション3:仮説の検証からモデル分析入門」「セッション4:モデル分析の応用」「セッション5:多数の変数を整理し、新しい変数(尺度)を算出」「セッション6:手法の組み合わせからビジネスデータ分析をさらに進める」という構成になっています。

 全体的な流れは、講師からレクチャーを受け、それを演習として、ご自分のPC(貸し出しも可能)上で実行するということを繰り返し、十分に理解しながら、統計手法を身につけていただくというかたちです。ソフトウェアとしては、プログラム終了後も実際の業務に活用いただけるよう、特別なものではなく、業務で一般的に使われているExcelを用いています。ただ、「Excelの講座」になってしまうと、データ分析の部分の学びはとても浅いものになってしまうため、その点に関しては気をつけています。

 具体的には、例えば、全プログラムの最初の段階は、ビジネスの課題を原因系の変数と結果系の変数でとらえ、関係図にするモデル化の練習を行っていただきます。このモデル化の手法を習得いただくと、その後の講座、あるいは実際の業務で活用する際にも、何が問題なのか、何が分からないのかを表現しやすくなります。同プログラムは難易度が高く、しかも、単に統計手法を学べばそれで終わりというものではありません。自分の業務に落とし込むためには、必ずといっていいほど、少しつまずいてしまったり、よく分からなくなってしまうということが発生しますから、そのときに、講師に質問をしたり、ほかの誰かに相談する必要も生じます。その際に問題や悩みを「言語化」をするためには、モデル化ということが必要であり、それを最初に学ぶという点を1つの特色としています。

 極端に言えば、このプログラムで学ぶ統計手法は、データ分析に関する学習書を読めば、すべて載っているものだと思います。ただ、書籍でも知識は習得できますが、実際の業務に結びつけるためには、一種の「勘所」が必要になります。それをセッション1からセッション6までを通して学んでいただくという構成になっているのです。


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データ分析を楽しむという観点を持ち、そこから新しい切り口を見出せるように

Question

難解になりがちなデータ分析を、受講者の方に身につけていただく上で配慮されている部分などはありますでしょうか?

Answer

講義の中でも、講師がよく話していることですが、せっかくデータ分析を勉強しているのだから、その楽しさを見出してほしいという思いはあります。仮説を立てて、その裏づけとしてデータ分析を行うという取り組み方も大事ですが、その中で枠にはまってしまうと言いますか、データを見た際に皆が同じような傾向に注目してしまうというレベルにはとどまってほしくないということです。データ分析で少し何か面白いことができないかという観点を持って、細かな外れ値などにも目を配り、そこから何か新しい切り口を発見するようになっていただきたいと考え、講師とともに講義の内容作成に取り組んでいます。

Question

データ分析の中でも、ビッグデータに関しては、どのような意識をお持ちでしょうか?

Answer

慶應丸の内シティキャンパス:藤野 あゆみ 氏

現状としては、私どものプログラムにおいては、ビッグデータを1つの大きなイシューとしてとらえているということはありません。ただ、ビッグデータのニーズが高まれば高まるほど、統計手法とデータを結びつけたいという意識であったり、膨大に溢れているデータの中から自分が、あるいは自社が得ているものは氷山の一角ではないかという疑問を持たれる方はどんどん増えていくと思います。実際、データ分析というものは、本来はあらゆるビジネスパーソンのコアスキルになるべきものですが、少し前までは経営戦略や論理思考などのプログラムとは異なり、自分の部署には関係ないという意識を持たれている方が多い傾向はありました。最近になって、その傾向が崩れつつある背景には、やはりビッグデータへの興味関心の高まりがあると思います。また、ビジネスデータ分析の受講者の方とやりとりをする中でも、少しずつではありますが、ビッグデータに対する問題意識を持たれた方が増えてきていることを肌で感じています。ただ、そういった流れに対応するという意味でも、単なるハウ・ツーではなく、実際の業務につなげるための勘所をお教えするという、現在のプログラム構成や方向性は間違っておらず、むしろ最適なものとして機能すると考えています。


●ありがとうございました。


取材協力

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慶應義塾の社会人教育機関として2001年4月にオープン。東京・丸の内にメインキャンパスを構え、新時代に対応する「知の創造・交流活動」を促進する拠点として、年間1万9000人のビジネスパーソンが学んでいる。


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