Windows Azureオンプレミス連携の実力とは

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掲載日 2013/06/25

ザ・キーマンインタビュー オンプレミス連携におけるWindows Azureの実力を探る

マイクロソフトのクラウド「Windows Azure」はもともと、Windowsとの親和性の高さを特長として、スタートしたサービスだ。しかし、リリース後も着実に機能強化を図ってきたことで、現在ではより幅広い用途に対応。更に、オンプレミスとクラウドの連携にも有効な機能を多数搭載しているようだが、果たして、その実力とは?

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鈴木 祐巳 氏

サーバープラットフォームビジネス本部
クラウドプラットフォーム製品部 エグゼクティブプロダクトマネージャー
鈴木 祐巳 氏

PaaSとIaaSはいかに使い分けるべきか

Question

Windows Azureの利用イメージとしては、 自社のITシステムをWindows Serverで構築している企業が、そのうちの一部をクラウドへ移行させるために活用するといったケースが多いのでしょうか?

Answer

日本マイクロソフト株式会社:鈴木 祐巳 氏

もちろん、そうした用途も想定していますが、決してそれだけではなく、ほかのプラットフォームを利用されている方々もターゲットに入れています。Windows Azureでは昨年6月に発表した内容に沿って、既に大きな機能変更を遂げており、従来から提供してきたサービス形態であるPaaS(Platform as a Service)に加えて、今年4月からIaaS(Infrastructure as a Service)の正式運用も開始しました。このIaaSでは、仮想マシンとしてWindowsだけではなく、Linuxも扱えるようになっています。

 マイクロソフトがわざわざLinuxをサポートするというのは、少し意外かもしれませんが、やはり実際のシチュエーションを考えた場合、たとえWindowsをメインで使われているお客様であっても、Linuxが動いている環境はいくらか存在しているものだと思います。もちろん、弊社としては、すべてをWindowsにしていただければありがたいのですが、現実的には何らかの理由でほかのプラットフォームを使わなければいけない、あるいは使いたいという事情があるかと思います。そうした点を鑑みて、Windows AzureではLinuxを利用可能な環境を提供しているわけですが、ただ、決しておざなりな対応ではなく、Linuxだけを利用している方にも、満足してお使いいただけるような内容を提供したい、プラットフォームを限定せずに全包囲網で展開していくというのが弊社のプランになっています。

Question

PaaSとIaaSはどう使い分けられることを想定しているのでしょうか?

Answer

物理から仮想化、そして、クラウドへと技術が遷移してきたわけですが、クラウドの中でも最も分かりやすく、コストメリットも高められるのは、やはりSaaSだと考えます。ITシステムの進化の最終形としては、例えば、弊社のサービスで言えば、Office 365のようなモデルに行き着くというわけです。ただ、SaaSという、いわば「既製品」ですべてが済めば問題ないのですが、やはり、それでは自社の環境や用途に合わないという企業も少なくありません。そこで、自在にアプリケーションを載せて運用できるプラットフォーム、つまり、PaaS、あるいはIaaSが必要になるというわけです。

 では、PaaSとIaaSは、どう使い分けるべきものなのか。どちらもアプリケーションを実行するための基盤であり、「アプリケーション」「データ」といった上層のレイヤがユーザの管理下にあるという点では同じですし、また、より下層の「仮想化技術」「サーバハードウェア」「ストレージ」「ネットワーク」がベンダの管理下にあるという点も同じです。異なるのは、その間の「ランタイム」「ミドルウェア」「OS」といったレイヤが、IaaSではユーザ、PaaSではベンダが管理するということです。

 そのため、両者を比較した場合、PaaSにはOSやミドルウェアのメンテナンスをしなくてよいというメリットがあります。では、IaaSのメリットは何かというと、それは従来のオンプレミス環境で稼働させていたシステムを、そのまま持ってきやすいということです。PaaSでは、その下のランタイムやミドルウェアの作法を考えた上でアプリケーション構築を行う必要があり、Windows AzureのPaaSであったとしても、Windowsのアプリケーションをそのまま持ってきて動かすということは、ほとんど不可能なわけです。

 乱暴な言い方をしてしまうと、新規案件に関してはPaaSを使った方がメリットを引き出せるでしょう。新しくアプリケーションを作るのであれば、その手間はIaaSであろうが、PaaSであろうが変わりませんが、PaaSならその後の運用は楽になり、メンテナンスコストも下がります。ただ、注意すべき点もあります。先ほど、PaaSの作法を意識してアプリケーションを作る必要があると言いましたが、うがった見方をすれば、これはベンダロックインにつながります。つまり、そのPaaSに合わせて作ったアプリケーションをそのまま動かし続けるためには、例えサービス料金が急に値上がりするような事態に遭遇したとしても、同じPaaSを使い続けなければいけないということもありうるわけです。このように、PaaSもIaaSもそれぞれにメリットとデメリットがあり、そこをよく考えて、プラットフォームの選定を行うべきですし、弊社としても、自由に選んでいただけるようにIaaSを追加しました。


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SQLデータベースをはじめとするサービス群で差別化を図る

Question

Windows Azureを用いて、オンプレミスからの移行や、既存システムとの連携などを行う場合、SQLデータベースも重要な役割を果たすわけですよね?

Answer

日本マイクロソフト株式会社:鈴木 祐巳 氏

Windows Azureでは、巨大なSQL Serverをマイクロソフトベースで運用し、そのデータベース1つひとつをお客様に貸し出す、つまり、PaaSの形態でSQLデータベースをサービスとして提供しています。もちろん、既にIaaSもサポートしていますから、既存のアプリケーションやワークロードを単にクラウドへ移行させる場合には、仮想マシン上でSQL Serverを動かせば、クラウドの利点を最も簡単に活用できるでしょう。その一方で、SQLデータベースを利用すれば、前述のPaaSと同様のメリットが得られます。つまり、SQL Serverにパッチを適用したり、あるいは、OSにパッチを適用するといった、データベースのメンテナンスが不要になるわけです。

 また、もう1つ、弊社のSQLデータベースの特長として、容量課金で提供しているという点もメリットとして挙げられます。IaaSでSQL Serverを稼働させた場合には時間課金になり、データベースを1サーバ動かすだけでも月額で見れば数万円単位に達しますが、SQLデータベースでは、例えば、1GBのSQLデータベースを月額1000円以下(記事執筆時点で、容量100MB〜1GBの場合、月額829.57円)で利用できます。

 そのため、特にクラウドで実行する新しいリレーショナル アプリケーションの導入とビルドを検討している場合、あるいは、オンプレミスにあるアプリケーションの一部をクラウドに拡張したい場合には、長期的に見れば、SQLデータベースが最良のソリューションとなるでしょう。更に、仮想マシンでSQL データベースとSQL Serverを使用すれば、ビジネス ニーズの変化や展開に合わせて、開発者は比較的簡単にアプリケーションをオンプレミスへ移動したり、クラウドに戻したりすることもできます。

Question

SQLデータベースを利用するデメリットなどはありますでしょうか?

Answer

巨大な1つのSQL Serverを共有しているため、例えば、1データベースあたりの容量が150GBまでといった制限もありますから、そのあたりも考慮して、IaaSでSQL Serverを稼働させるか、それともSQLデータベースを利用するかを選択されればよいと思います。ただ、容量などの点でSQLデータベースでまかないきれるというお客様であれば、そちらをおすすめしています。その理由としては、やはりコストの安さが第1に挙げられます。マイクロソフト側での運用という中には、バックアップ、ミラーリングなどの実施も含まれているわけです。実際のところ、データ保護は3重化しているのですが、それと同じことをお客様が自前で実施されるとしたら、かなり膨大な金額や作業を費やす必要があるでしょう。

 また、Windows Azureサービス群、つまり、PaaSで使えるコンポーネントとしては、SQLデータベース以外にもいくつか用意しています。具体的には、ディレクトリサービスである「Windows Azure Active Directory」、動画配信・管理などに必要なコンポーネントを提供する「メディアサービス」、そして、モバイルアプリで要求されるバックエンドをサービス(BaaS)として実現させた「モバイルサービス」です。これらを利用していただくことで、お客様は低コストで、しかも短期間に新規サービス立ち上げなどを行うことが可能です。こうしたサービス群の提供により、ITシステムの経済性や俊敏性を高め、お客様が自身のビジネスへフォーカスできるようにすることは、ほかのクラウドとの差別化という点でも重要と言えますから、今後もいっそう力を入れていきます。

図1 Windows Azure Active Directory (認証とセキュリティ)
図1 Windows Azure Active Directory (認証とセキュリティ)
出典:日本マイクロソフト(2013年6月)

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オンプレミスとの連携は様々なフレームワークの提供で対応

Question

そのほかに、既存のオンプレミス環境にWindows Azureを組み合わせて使いたいというユーザが配慮すべき点などはありますでしょうか?

Answer

日本マイクロソフト株式会社:鈴木 祐巳 氏

例えば、アプリケーションサーバはクラウドに移行したものの、参照するデータベースがオンプレミスに置かれているという場合には、当然ながら、距離の問題でレイテンシが発生し、全体的なパフォーマンスが下がってしまうことはありえます。ただ、それを除けば、解決できない問題というものはほとんどないのではないかと思います。また、データ伝送路のセキュリティに関しては、VPNだけに依存するのではなく、パブリックな回線を利用したとしてもセキュリティを保てるような仕組みを取り入れるべきだと考えます。Windows Azureでは、セキュアな環境を保つためのライブラリとして「サービスバス(Service Bus)」を用意しています。このサービスバスにより、データ伝送を保護しつつ、クラウド上のアプリケーションからオンプレミス環境を呼び出すことが可能になるというわけです。

 そのほか、データの同期に関しては、クラウドのSQLデータベースとオンプレミスのSQL Serverをシンクさせるためのフレームワークを用意しています。これにより、「5分に1回、オンプレミスのデータをクラウドへアップロードする」といった作業の自動化をノンコーディングで行うことが可能です。例えば、商品データベースなどは1日1回のアップデートで十分なわけですから、データベースをオンプレミスとクラウドの双方に持っておき、常にアップデートをさせるようにしておけば、ほかのシステムとの連携も容易ですし、従来の運用方法を大きく変えることなく、オンプレミスからクラウドへスムーズに移行できる体制を整えられるというわけです。そのほかにも、Windows Azureでは、オンプレミスとのデータ連携を実現するためのフレームワークを多数用意していますし、更に、より幅広いシステムとの連携などが必要な場合にはMicrosoft BizTalk Serverを活用する手もあるでしょう。Microsoft BizTalk Server 2013であれば、オンプレミス側に構築するだけではなく、仮想マシンとしてWindows Azureにインストールすることも可能です。

図2 SQL Data Syncによるデータ同期
図2 SQL Data Syncによるデータ同期
出典:日本マイクロソフト(2013年6月)

Question

先ほどクラウドとの距離的な問題というお話がありましたが、先日、日本リージョンの展開も発表されましたよね?

Answer

具体的なサービス提供時期は確定していませんが、従来のアジアリージョンの2つのサブリージョン(香港とシンガポール)に加えて、日本国内の2ヵ所(首都圏と関西圏)のサブリージョンを含む日本リージョンを提供する予定です。つまり、Windows Azureのサービスを国内のデータセンタから提供可能になります。クラウド移行の際に、心情的にデータは国内に置きたいというお客様も少なくなかったのですが、今後はデータ統治権を担保しつつ、国内に保持できるというわけです。先ほどからお話しているとおり、サービスや機能に関しても着実に進化を遂げていますから、これを機に、より多くのお客様にWindows Azureの高い実用性や利便性を感じていただきたいと思います。


●ありがとうございました。


取材協力

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「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること」というミッションを掲げ、「Windows & Windows Live」「マイクロソフト ビジネス」「サーバー & ツール」「オンライン サービス」「エンターテイメント & デバイス」という5つのビジネス部門で事業を展開している。


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