バックアップ見直しはこのタイミングで!

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掲載日 2013/04/23

ザ・キーマンインタビュー 企業のバックアップ見直し/DR構築はこのタイミングで!

バックアップ、あるいはディザスタリカバリへの意識は、震災後には急激に高まったものの、時間を経て少し落ち着いた状況と言えるかもしれない。その一方で、扱うべきデータ容量の増加、クラウド利用の拡大など、企業を取り巻く状況は更に変化している。そうした事情を受け、バックアップ/リカバリに対する企業のニーズはどのように変化しているのだろうか?

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株式会社アイ・ティ・アール:金谷 敏尊 氏

プリンシバル・アナリスト
金谷 敏尊 氏

震災による需要増は収束に向かう一方、更に新たなニーズも浮上

Question

昨年9月に貴社が発表された2011年度の運用管理市場の動向では、「バックアップ/リカバリ市場については前年度比13.9%増を維持」と報告されていました。これは震災直後の時期だったため、その影響を受けたものと思われますが、2012年度の実績、あるいはそれ以降の予測については、どのように見ていますか?

Answer

株式会社アイ・ティ・アール:金谷 敏尊 氏

これはバックアップ/リカバリ製品の出荷金額を調査したものですが、2011年度はやはり震災の影響で少し上方に跳ねた格好になっています。2012年度に関しては約10%増になる見込みで、それ以降も少しずつ成長率は下がり、2011年度から2016年度までのCAGR(年平均成長率)は9%程度に落ち着くと見ています。実は2010年度以前に関しても、バックアップ/リカバリ市場の成長率というものは概ね9〜10%増で来ていましたから、震災の影響で突出したものが、元の鞘に収まっていくだろうという予測です。

 では、震災の影響でどのような需要が喚起されたかというと、2つの部分があるかと思います。まず、1つは「データの保護」。業務に必要なデータをとにかく損失させたくない、何があっても消失させてはならない情報があり、それらを極端に言えば、未来永劫にわたって保管する手段を確保したいという意識がよりいっそう高まったわけです。そして、もう1つは「ディザスタリカバリ(DR)」。これは、災害が起きた際にも問題なく業務を再開できるように、システムの可用性を確保しておきたいというものです。

 1つ目に関しては、何らかのバックアップソリューションを導入するか、あるいは外部に委託するというかたちで、比較的すぐに対策ができる部分だと思います。しかし、一方のDRについては、どういう手段を選択するか、どのような設計にしておくかによって、コストが激変しますから、たいていの場合、検討にはかなりの時間を要するでしょう。もちろん、金融機関や大企業、公的機関など、業務継続における社会的責任が強いところでは、仮に震災以前に有効な手段を講じていなかったとしたら、震災直後の数ヵ月でDRシステムを構築し、迅速に運用を開始させているはずです。しかし、中堅規模以下の一般企業などにはかなり重い作業となりますから、対応が遅くなってしまうのも致し方ないと思います。実際、そうした企業においては、震災後、1年、そして、2年と経過した現在でも、対応の遅れが尾を引いているような状況だと感じます。

Question

震災以外で、バックアップ/リカバリ市場に影響を与えるものとして浮上している要素などはありますか?

Answer

やはり、データの大容量化が挙げられるでしょう。扱う容量が大きくなってきたため、バックアップにかかる時間を短縮しないと追いつかないという状況も出てきています。また、365日/24時間稼働が求められるシステムも多くなっていますが、そういう環境では、以前のように夜間にシステムを止めて、数時間かけてバックアップを行うことはできません。こうした事情により、バックアップ処理のスループットを高めたい、効率化を図りたいというニーズが高まっていると言えます。


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システム全体の再構築に併せて実施すれば、効率的に進められる

Question

先ほど、バックアップの中でもDRは特に重いテーマだという話がありましたが、対応をあえて遅らせている要因として、例えば、システム全体のリプレイスなどのタイミングに合わせて行いたいと考えているケースもあるのではないでしょうか?

Answer

株式会社アイ・ティ・アール:金谷 敏尊 氏

そうですね。おっしゃるとおり、バックアップやDRに取り組む際の“トリガ”の1つとして、ネットワーク、サーバ稼働環境といったIT基盤のリプレイスは重要な要素となります。IT基盤のライフサイクルは短くて4年、長くて7年ととらえていますが、現在あるいは今後、リプレイスを実施するとしたら、例えばサーバを入れ替えるだけでも、まず仮想統合による集約が可能かどうかを検討することになるでしょう。そうなると、バックアップの取り方にも変更が必要ですし、ボトルネックが生じる部分も変わってくるため、まずはバックアップの流れ全体を再考するきっかけとなりえます。

 また、仮想環境を主体としたシステムへと移行、あるいはシステムのクラウド化を図ることで、物理環境よりもスタンバイ環境の構築なども容易になりますから、IT基盤のリプレイスと同時に、バックアップやDRを進めるという手法は、企業にとって大きなメリットが見込めるものだと言えるでしょう。仮想化技術と災害対策の親和性はもともと高いため、同時に検討を進めて、然るべきアーキテクチャを決めていくべきだということは、われわれも以前から主張していますし、ベンダやSIerもそうした提案を行うケースが少なくないかと思います。

Question

バックアップ目的でクラウドサービスを利用するケースも増えてきているのでしょうか?

Answer

増えつつあると言えますが、まだまだ全体的な割合としては低い状況です。ただ、一口にクラウドサービスを使うといっても、非常に多様なアプローチが存在します。オンプレミス環境にバックアップソフトウェアを導入し、データ保管先としてクラウドストレージを利用するもの。従来どおり、オンプレミスでバックアップ・データを保管しつつ、更にクラウドにもバックアップを行うもの。あるいは、クラウドサービス側からオンプレミス環境へデータを取りに来るSaaS型バックアップサービスなどもありますし、本番環境としてクラウドサービスを利用する場合には、その事業者が提供するバックアップオプションなども使えるでしょう。このように選択肢が広がることは歓迎すべきことだと言えますし、利用する側が必要なサービスレベルに適ったものを見極めて使っていくことで、メリットを引き出せるでしょう。そのためには、まず、社内に存在するシステムやデータに対して、重要度の観点で格付けをしっかりと施していくことが必要です。極めて重要なのか、さほど重要ではないのかということを、社内の暗黙知にとどまらず、BIA(Business Impact Analysis)を行った上で、既存のソリューションやクラウドサービスを取捨選択的に利用するというのが正しい運用の姿だと思います。


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バックアップ目的でクラウドサービスを利用する際には、ここをチェック

Question

クラウドサービスを利用するユーザが、バックアップ関連で知っておくべき事柄などはありますでしょうか?

Answer

株式会社アイ・ティ・アール:金谷 敏尊 氏

例えば、IaaSを提供しているクラウドベンダが、自主的に行っているバックアップの取り組みに関しては、スナップショットレベルのものが多いかと思います。ただ、これはあくまでもベンダの都合と言いますか、悪く言えば保身の目的で行っているだけというケースもあり、必ずしも、ユーザの要求によって特定のファイルをリカバリしてくれるわけではないことには注意すべきでしょう。自社のシステムをクラウドベンダのIaaS上に構築する場合には、その事業者がどんな手法で、どれくらいの頻度で、どんな内容のバックアップを取ってくれるのか、そして、どの程度のサービスレベルを実現しているのかといった点を事前に細かく確認すべきです。ユーザが必要だと考えているレベルのバックアップを行うためには、追加料金が発生するということも多々ありますから。

 また、多くのクラウドベンダは何らかのバックアップを行っているわけですが、いかんせん、広域災害に耐えられるようなインフラまで構築できているかというと、そこは各々の事業者でかなりの格差が生じています。最も基本的な部分で言えば、複数のデータセンタが分散して設置されていて、それらがしっかりと統合監視・統合管理されているか。更には、本番環境が置かれているデータセンタに問題が生じた際、仮想環境のレプリケーションを実施し、別のデータセンタで復旧して立ち上げられるのか。その上で、元のサービスレベルを保てるのか。もし、重要なシステムをクラウド基盤上に構築するのであれば、やはりこのあたりをしっかりとチェックする必要があるでしょう。


●ありがとうございました。


取材協力

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ビジネスとITに関する問題解決を提供する独立系のIT調査・コンサルティング会社。企業のIT戦略に関するコンサルティングを提供するほか、IT関連のベンチマーク、ROIと効果の最適化、戦略的なデータ活用、ベンダ/製品の評価と選択、事業戦略とマーケティングの支援、ITの将来動向などの分野に関する調査・分析を行っている。設立は1994年で、本社は東京に置く。


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