論理分割+仮想化で高度なシステム集約を

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掲載日 2013/03/25

ザ・キーマンインタビュー 論理分割+仮想化が高度なシステム集約を可能にする

Windows Server 2012の利用拡大にともない、仮想化の普及が加速、あるいは、企業システムのハイブリッドクラウド化が広がる可能性がある。そうした環境の変化に追従しつつ、運用管理を効率的に行っていくためには、Windows Server 2012自体の機能はもちろんのこと、統合運用管理製品などとの連携も図っていく必要がある。また、日立製作所では独自のサーバ論理分割機能をWindows Server 2012 Hyper-Vと組み合わせることで、効率的な仮想環境・クラウド環境構築を実現するソリューションを開発中だという。

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株式会社日立製作所:清水 泰雅 氏、渡邊 孝行 氏

ITプラットフォーム事業本部
企画本部
ソフト企画部 主任技師

清水 泰雅 氏

ITプラットフォーム事業本部
システム基盤ビジネス本部
基盤ソフトウェアビジネス部 主任技師

渡邊 孝行 氏

高い信頼性や充実した機能を実現したOSであり、その上で新たな付加価値を創出したい

Question

ミドルウェアなどの基盤ソフトウェアを提供する立場として、Windows Server 2012についてはどのような印象をお持ちでしょうか?

Answer

株式会社日立製作所:清水 泰雅 氏、渡邊 孝行 氏

【清水】 弊社ではミドルウェア製品などに関して、2012年11月から対応製品のアナウンスを開始しており、現時点では主要製品の7割近くに関して対応済みという状況です。そうした検証・テストを実施してきた中でわれわれが感じた印象としては、非常に安定したOSだということです。評価においてトラブルもほとんどなく、高い信頼性が確保されているという感触を得ています。また、ミドルウェア製品の役割の1つとして、基幹で利用する際にOSに足りない機能を補完し、システムとしての完成度を高めていくという部分もありますが、今回のWindows Server 2012では、そうしたところがかなりOS側に取り込まれていると感じました。OS側に任せられる部分は任せて、われわれは更にその上で新しい付加価値を提供したり、製品をより進化させていく必要があると考えています。

 【渡邊】 そのほかに、ファイル共有などを行う際の通信プロトコルがSMB 3.0へとバージョンアップしたことで、例えば、アプリケーションサーバからファイルサーバへのデータアクセスが非常に高速化されるといった、プラットフォームの強化が図られている点にも注目しています。同様に、扱えるリソースの上限が拡大されたことによるスケーラビリティの向上、あるいはライブマイグレーションの強化といった、Windows Server 2012 Hyper-Vの性能向上も大きな意味があると言えるでしょう。

Question

そうしたWindows Server 2012の性能向上や機能拡張をもとにした、新たな取り組みなどにも着手されているのでしょうか?

Answer

【清水】 大きな動きとしては、弊社独自のサーバ論理分割機構「Virtage」と、Windows Server 2012 Hyper-Vを組み合わせて、高信頼で効率的なクラウド向けソリューションを開発・提供する目的で、日本マイクロソフトとの連携を強化しています。2013年度上期には「高信頼サーバ仮想化ソリューション for Hyper-V」として提供する予定です。既に、VirtageとWindows Server 2012 Hyper-Vを組み合わせたPoC検証、性能評価などに必要なサーバ、ストレージ機器を配備し、ユースケースの検証やデモンストレーションなどに利用していただける「Virtage for Hyper-Vソリューションセンター」を共同で開設済みです。

図1 高信頼サーバ仮想化ソリューション for Hyper-Vの特長
図1 高信頼サーバ仮想化ソリューション for Hyper-Vを提供する狙い
出典:日立製作所、2013年3月

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物理サーバの論理分割と仮想化を組み合わせて利用可能に

Question

「高信頼サーバ仮想化ソリューション for Hyper-V」では、仮想環境の上で仮想環境を動かすということになるのでしょうか?

Answer

株式会社日立製作所:渡邊 孝行 氏

【渡邊】 Virtageは物理サーバにLPAR(Logical PARtitioning)を生成、つまり、論理分割を行うもので、CPUやメモリ、I/Oを論理的な単位に「分割」します。これはメインフレームと同じ考え方で、ゲストOSから物理ハードウェアに直接アクセスするため、「独立性に優れる」という特長があります。一方で、Windows Server 2012 Hyper-Vなどの仮想マシンは、物理サーバには存在しない仮想的なハードウェアをエミュレーションにより「生成」するもので、物理ハードウェアの制約を受けにくく、「柔軟性に優れる」という利点を持っています。LPARの上でWindows Server 2012 Hyper-Vの仮想化ハイパーバイザを稼働可能にすることで、物理サーバを論理分割した上で、更にそれを仮想化ソフトウェアで分割できるため、高度なシステム集約を実現可能というわけです。

 例えば、クラウド事業者のマルチテナントシステムや、複数部門のシステムが混在するプライベートクラウドシステムで、「高信頼サーバ仮想化ソリューション for Hyper-V」を利用すれば、テナントごとに分割したLPAR上でHyper-Vを動作できるため、テナント間の独立性を保ちつつ、効率的なシステム構築を行えます。Hyper-Vを前提としたソフトウェアの開発環境やテスト環境を新たに用意する必要が生じた場合でも、物理サーバを別途用意するのではなく、VirtageでLPARを作成することで迅速かつ容易に対応可能です。また、1台の物理サーバ上で異なるバージョンのHyper-Vが混在できるため、新しいバージョンのHyper-Vにシステムを移行させる際にも、物理サーバを複数準備する必要がなくなるといった点でのコストメリットも見込めますし、プロセッサコア単位でLPARを作成できるため、負荷の低い用途向けには小規模なLPARを割り当てるなど、よりきめ細かなサーバ運用が可能となります。

 Windows Server 2012 Hyper-Vの登場によって、仮想化がより身近なものとなり、更には仮想化が当たり前という時代に入っていくことも見込まれますが、そうした状況の中で、「高信頼サーバ仮想化ソリューション for Hyper-V」のようなアプローチは非常に重要な役割を果たすことになるだろうと考えています。先ほど紹介したような導入メリット以外にも、VMM(Virtual Machine Manager)環境を丸ごと利用するユーザに対して、適切な規模のハードウェアリソースをレンタルする、いわば「VMM as a Service」といった新たなビジネスモデルの実現も期待されます。


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ハイブリッドクラウド環境の増加を見越し、運用管理分野では様々な展開を実施済み

Question

貴社のミドルウェア製品ではクラウドとの連携などにも以前から取り組んでおられるかと思いますが、Windows Server 2012の「クラウド志向」という側面に関しては、どのようにとらえていますでしょうか?

Answer

株式会社日立製作所:清水 泰雅 氏

【清水】 OSの本質的な部分ではないかもしれませんが、Windows Azureとの連携に関しては、やはり今後も重点的に取り組んでいかなければならないと考えています。少し前から、企業内システムの一部を置き換えるかたちでのパブリッククラウドの利用拡大は進みつつありましたが、今回のWindows Server 2012の登場で、企業内システムとWindows Azure環境の連携がよりいっそうスムーズに行えるようになりましたから、それを受けて、ハイブリッドクラウド環境の構築がよりいっそう増加することも見込まれます。その際、やはり運用管理製品の対応が不可欠と言えます。

 弊社ではこのような市場ニーズを従来から想定しており、統合システム運用管理「JP1」において、パブリッククラウドを含めた運用管理のサポートを推進してきました。特に、市場での対応要望が多いWindows Azureに対しては、いち早く対応を実施済みです。ジョブ管理については、「JP1/Automatic Job Management System 3 - SOA Option」のSOAジョブ連携で対応し、監視系としては「JP1/Performance Management」のエージェントレス監視から対応を予定しています。

 ハイブリッドクラウド環境では、企業内システムとクラウド環境の業務が混在することで、ジョブ運用や監視が複雑になることが考えられますが、こうした混在環境においても、シームレスな連携によってジョブの運用や監視を一元化でき、効率的な業務遂行を支援できるよう、今後も様々な側面から取り組みを続けていきます。


●ありがとうございました。


取材協力

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2010年に創業100周年を迎えた総合電機メーカー。IT(情報技術)で高度化された社会インフラを提供する「社会イノベーション事業」を軸に、グローバル市場でビジネスを展開している。情報・通信分野においては、サーバ、ストレージ、ネットワークなど、ITインフラとそのオペレーションに注力するほか、クラウドサービスやビッグデータ活用でも先進的な取り組みを行っている。


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