クラスタリング/Hyper-V連携で無停止環境を

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掲載日 2013/03/11

ザ・キーマンインタビュー クラスタリングとHyper-Vの連携で業務無停止環境を

Windows Server 2012の正式リリースを受け、各ソフトウェアベンダでは自社製品の新OSへの対応を進めてきたが、現在はどのような状況にあるのだろうか。ユーザは安心して移行が可能な状態になりつつあるのか。また、業務アプリケーションなどの利用においては、Windows Server 2012への移行はどのようなメリットをもたらすのか。

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NEC:遠山 一喜 氏、冨士枝 剛 氏

第一ITソフトウェア事業部
マネージャー
遠山 一喜 氏

第一ITソフトウェア事業部
主任
冨士枝 剛 氏

ニーズの高い製品は今年度中にはほぼ網羅

Question

貴社のソフトウェア製品のWindows Server 2012への対応状況について、お聞かせいただけますでしょうか?

Answer

NEC:遠山 一喜 氏

【遠山】 弊社の代表的な製品であるCLUSTERPROやESMPRO、WebSAMシリーズなどを中心に、現時点で約50近くの対応製品群をリリースしています。弊社では、運用管理、セキュリティ、開発環境、情報管理、サービス実行基盤、コラボレーティブウェアといった様々な領域でのミドルウェアを豊富に提供していますが、これらの中でも特にお客様へのご提案に必須となる重要製品をレイヤごとに整理したものを、ソフトウェアスタックと呼んでいます。お客様に安心してWindows Server 2012を使っていただくためには、このスタックを構成する製品がいち早くWindows Server 2012対応できていることが重要であり、これらのニーズの高い製品に関しては、2012年度中にはほぼ網羅できます。

Question

検証や対応に際して、何か特別な取り組みなどは行われたのでしょうか?

Answer

【遠山】 今回のWindows Server 2012では、Windows Serverのこれまでのバージョンリリースと比較して、正式リリースまでの期間が非常に短かったため、われわれソフトウェアベンダ側での対応期間もかなりタイトなものとなり、いかに迅速に対応作業を進めるかという点で苦労しました。そうした中で大きな問題として浮上したのが、評価パターンの肥大化による評価工数不足と評価環境不足です。例えば、Windows Server 2012のインストールパターンでは、通常のフルインストール、機能を絞り込んだServer Coreに加え、新たにMSI (Minimal Server Interface)というものも追加されました。アプリケーションのWindows Server 2012対応では、これらのインストール環境を考慮した上での開発や検証を行う必要がありますから、結果として、評価パターンが非常に多くなってしまうのです。

 また、今回は最新のクライアントOSであるWindows 8も同時期に発表されましたが、こちらもHyper-Vをはじめとする新たな機能が数多く盛り込まれています。弊社のサーバ管理製品などではクライアント上で動作するモジュールも多いので、Windows 8対応を同期して行うことも重要であり、これもまた評価パターンを大幅に増加させる要因になっています。このような状況下において、弊社ではベータ評価の段階からソフトウェア開発者に対して一定の指針となる評価方針を策定し展開しました。OSリリースまでの限られた時間の中でWindows Server 2012対応を実現するために、評価パターンの絞り込みや優先順位付けの考え方を整理し、何から手を付けたらいいのか、いつまでに進めたらいいのかを開発者に指針を示し、評価を推進したのです。これによって、ベータ、RC、RTMといった各マイルストンで、弊社製品も順調にWindows Server 2012対応してきました。

 また、もう1つの取り組みとして、評価環境の整備にも力を入れました。各製品担当者は自分たちが開発したものを評価するための環境をそれぞれ用意していますが、今回の場合は評価パターンの多様化・増加が顕著で、それらのすべてに対して評価環境を用意するのは限界がありました。そこで今回新たに取り組んだのが仮想化を用いた「評価環境の集約」です。弊社では、以前からソフトウェアファクトリというセンタを立ち上げて開発環境の集約を行っており、最新の開発環境の維持や、プログラムバージョン管理の簡易化、設備コストの削減を図っています。そこに様々なインストールパターンを網羅した仮想OSでの評価環境も構築し、各製品担当者が自由に使えるようにしたわけです。まだ正式リリースされていないOSバージョンを社内システムに適用するのはセキュリティの確保など苦労した部分もありますが、これによって、例えば英語版の環境がほしい、32ビットの環境がほしい、異なる仮想基盤上での環境がほしいといった場合でも、各製品担当が個別に環境構築作業に追われることなく、限られたリソースを検証作業に集中して振り向けることができたと考えています。


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Windows Server 2012とクラスタリング製品の連携で可用性を高める

Question

Windows Server 2012と組み合わせて使うのに、特に適している製品などはありますでしょうか?

Answer

NEC:遠山 一喜 氏

【冨士枝】 Windows Server 2012の新機能との連携を積極的に取り込んだ弊社ソフトウェア製品の1つに、クラスタリングソフトウェア「CLUSTERPRO」があります。この製品はサーバを2重化した上で、システムの異常を確実に検知し、最小限のダウンタイムで業務を引き継げる環境を構築することで、ハイアベイラビリティ(高可用性)を実現するものです。こうしたクラスタリングソフトウェアは、多くの場合は、データベースサーバをはじめとするバックエンド寄りのサーバの可用性を高める目的で用いられます。こうしたバックエンドサーバに関しては性能の確保がネックとなるため、これまではサーバ集約を進める場合でも、Webサーバやアプリケーションサーバは仮想化集約するものの、データベースサーバだけは物理環境のままで統合を図るというケースが多かったのです。

 しかし、Windows Server 2012 Hyper-Vでは、仮想マシンに割り当てられるリソースが大幅に増えたため、今後はそうした状況に変化が生じると考えています。つまり、データベースサーバに関しても、コスト削減などを目的に、仮想化による集約の対象に含めるというお客様が増えてくるでしょう。そうした状況を踏まえて、仮想化環境で稼働しているサーバに対してクラスタリングが適用されるということも十分に配慮した上で、製品の機能強化を図る必要があると考えました。そのため、「CLUSTERPRO」に関しては、昨年10月にいち早くWindows Server 2012対応を完了し、更にWindows Server 2012 Hyper-Vとの連携も図っています。

 仮想化環境で高可用性を図ろうという場合、ライブマイグレーションが使えるのではないかと考えられるかもしれません。しかし、それは誤解で、ライブマイグレーションはあくまでもシステムが正常に稼働していることが前提の機能であり、物理環境の障害対策として万全とはいえないため、別の手段を確保しておく必要があります。そうした目的での活用においては、クラスタリングソフトウェアをHyper-V上へ導入し、障害発生時には仮想マシンを切り替える「ホストOS搭載型」と、ゲストOS上に導入してアプリケーションを切り替える「ゲストOS搭載型」という2つのパターンが考えられるでしょう。前者には「仮想化基盤そのものをクラスタリング技術で幅広く監視できる」というメリットがあり、後者には「仮想マシンの中の異常を監視できる」「業務の切り替え時間が短い」というメリットがあります。システムの要件に合わせて、クラスタリングのパターンは片方もしくは両方の組み合わせを選ぶことができます。

 「CLUSTERPRO」では、仮想化環境にWindows Server 2012 Hyper-Vを用いる場合に、ホストOS搭載型とライブマイグレーションを組み合わせるかたちで、無停止フェイルオーバを実現しています。つまり、ハードウェア障害などを検出すると、「CLUSTERPRO」は対象ゲストOSのライブマイグレーションを実行します。その結果、業務は無停止で、別ホスト上へゲストOSを移行することが可能です。更に、ライブマイグレーションで移動したあとも「CLUSTERPRO」がゲストOSを監視することで、安心して利用いただけるというわけです。

図1 ホストOS搭載型クラスタリングとライブマイグレーションの連携で、仮想化環境の可用性を高める
図1 ホストOS搭載型クラスタリングとライブマイグレーションの連携で、仮想化環境の可用性を高める
出典:NEC、2013年3月

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新機能を1つずつ検証し、自社製品の強化にも活かしていきたい

Question

企業がWindows Server 2012の導入を進めるためには、どのような条件が必要になると考えますか?

Answer

NEC:遠山 一喜 氏

【遠山】 Windows Serverの既存バージョンを利用されているお客様が、Windows Server 2012へと移行されるきっかけとしては、大きく分けて2種類あると思います。まず1つは、サーバハードウェアの老朽化や、既存OSのサポート打ち切りのタイミングです。業務をこなすために十分な性能が出なかったり、OSのセキュリティパッチも提供されなくなるような状況になると、最新のハードウェアと最新のOSという組み合わせでのシステム更改を検討していただける機会が生まれます。こういったお客さまに対して特に重要になってくるのが既存アプリケーションの互換性や、移行を容易にするためのガイド/ツール類です。われわれソフトウェアベンダがこれらの対応をしっかりと整えることで、お客様に安心して新しい環境へ移行していただくことができ、安定性や性能向上、セキュリティ強化といったメリットを実感していただけると思います。

 もう1つのきっかけとしては、やはり、Windows Server 2012の新しい機能を利用したいという理由です。こちらはITの新たな活用へ積極的に取り組もうという考えや、それを支える技術的な部門を有しているお客様が中心になると思います。こういったお客様に対しては、新機能活用時の構成テンプレートや検証レポートなどの技術的なガイドや、お客様の環境構築をお手伝いする支援メニューなどが重要になってきます。弊社ではシステム検証レポート/構築ガイドなどの技術情報のWeb公開や、お客様の導入構成に合わせた検証支援なども順次行っています。

Question

Windows Server 2012の登場を受け、貴社では今後どのような製品づくり、あるいは既存製品の機能強化などを図っていく方針でしょうか?

Answer

【遠山】 Windows Server 2012ではソフトウェアでの機能強化以外にも、NIC Teaming、Secure Boot、SR-IOV、NPIVなどハードウェアとの連携で実現する機能強化も数多くあります。弊社はハードウェアベンダでもありますのでこれらの連携機能を1つひとつ吟味した上で積極的に取り入れ、更に弊社の得意とするサーバ管理系ソフトウェア製品で柔軟な運用を実現する、といったハードウェア/OS/ソフトウェアが一体となった製品強化を図っていきたいと考えています。


●ありがとうございました。


取材協力

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1899年7月17日設立。ITソリューション、キャリアネットワーク、社会インフラ、パーソナルソリューションを主要事業とし、NECグループビジョン2017として「人と地球にやさしい情報社会をイノベーションで実現するグローバルリーディングカンパニー」を掲げている。


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