ビッグデータ分析をクラウドで行うメリット

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掲載日 2013/01/23

ザ・キーマンインタビュー ビッグデータ分析をクラウド上で行う真のメリットとは?

インターネットイニシアティブ(IIJ)では、クラウドサービス「IIJ GIO」上でビッグデータの高速処理システムを提供する「IIJ GIO Hadoopソリューション」の提供を開始した。ビッグデータ活用にクラウド基盤を利用することで、どのようなメリットがあるのか。また、主に想定している用途とは?IIJ ソリューション本部の山口新二氏と岡田晋介氏に伺った。

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株式会社インターネットイニシアティブ:山口新二氏、岡田晋介氏

ソリューション本部
アプリケーションソリューション部
部長
山口 新二 氏

ソリューション本部
アプリケーションソリューション部
アプリケーションソリューション2課 課長代行
岡田 晋介 氏

ビッグデータを“実感”できる立場で得たノウハウを還元したい

Question

貴社はネットワークインフラに長年取り組んできたネットワークプロバイダでもあり、また、最近ではクラウドに力を入れているクラウドサービス事業者でもありますが、そうした立場から見て、ビッグデータ活用に関しては、どのようにとらえているのでしょうか?

Answer

株式会社インターネットイニシアティブ:山口 新二 氏

【山口】 弊社の場合は、様々なサービスを展開する中で、そこにビッグデータが必然的に内在していると言えます。そして、サービスを増強・拡大すればするほど、その中を行き交うデータ量も膨大になります。そうした状況において「安定してサービスを提供し続けるためにはどのようにすべきか」ということや、データを分析してサービス向上や新規サービスの開発に役立てるなど、「膨大なデータをいかに活用するか」ということに関しても、何年も前から取り組んできました。そういった観点で言えば、弊社ではビッグデータを多面的にとらえていると言えるでしょう。データをどう処理すべきなのか、そこから何が生まれてくるのかというところをクラウドサービス事業者として実感しつつ活動できる立場にいるわけですし、そこから得られた知見やノウハウを最終的にはお客様へと展開させていただきたいと考えています。

図1 IIJの大量データ高速処理への取り組み
図1 IIJの大量データ高速処理への取り組み
出典:インターネットイニシアティブ、2013年1月

Question

貴社の顧客企業におけるビッグデータ活用の状況に関しては、どのような印象をお持ちでしょうか?

Answer

【山口】 ビッグデータ活用に興味があるお客様はかなり多いのですが、検討段階、あるいは今後検討したいという段階にある企業が大半と言えるでしょう。特に中小規模の企業に関しては、ビックデータの活用シーンや効果がイメージできておらず、具体的な活用に至らずに検討段階に留まっている状況だと思います。もちろん、積極的に活用される企業も大企業を中心に出てきており、具体的な取り組みを行っていたり、そうでなくても専任の担当者を置いて検討を進めているという傾向がありますが、全体で見れば、数としてはかなり少ないことは確かです。

 つまり、ほとんどの企業においては、誰が取り組むべきかという明確な体制が整っておらず、やむをえず、情報システム部門がデータの活用を考えている状況ではないでしょうか。ただ、実際にビッグデータ活用を推進していく際には、解決すべきビジネス上の課題や、自分たちのビジネスにおいて変革を起こしたいといった具体的なニーズを持って取り組んでいかないと、なかなか進むものではありません。更に、仮に具体的な課題などが明確になったとしても、次のステップが問題になる傾向にあります。つまり、まずは検証フェーズから始めることになるわけですが、それなりの規模の費用がかかってしまったり、そこから生まれる効果が見えにくかったりするせいで、稟議を通すのがなかなか難しいのです。こうした状況を打開するためには、企業全体で一貫して取り組むという体制を構築することも重要ですが、スモールスタートから始めて、そこから広げていけるような環境も整っていかないと難しいと感じています。

Question

「IIJ GIO」のようなクラウド基盤を既に利用しているユーザのほうが、理解度やリテラシーなどの部分で、早い時期からビッグデータ活用に取り組むという傾向もあるのでしょうか?

Answer

【岡田】 ネットサービス系のお客様では早い段階から取り組まれている傾向が見られますが、クラウドを利用しているから、という傾向はないと思います。ただ、ビッグデータ活用においては、インターネット上でやりとりされているデータ、様々なロケーションにあるデータを集めてくる必要性なども生じるケースが多々あります。データが生成される場所で分析した上で活用するという考え方もありますが、いずれにせよ、何らかのかたちで集約していくという部分で課題が出てくるでしょう。クラウド基盤上にシステムを構築するとともに、弊社の強みである強固なインターネットバックボーンを通してデータを扱えるという点で、IIJ GIOとビッグデータ活用の相性はよいと言えますし、ユーザ企業にも大きなメリットを感じていただけるのではないかと思っています。


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既にクラウド基盤でビッグデータ活用を実践している企業の目的とは?

Question

今回、新たに提供を開始された「IIJ GIO Hadoopソリューション」は、Hadoopを利用した並列分散処理環境をパッケージングしてクラウド基盤上で提供するものですが、以前から、各企業で独自に「IIJ GIO」をビッグデータ活用の基盤として利用するケースなどはあったのでしょうか?

Answer

株式会社インターネットイニシアティブ:岡田 晋介 氏

【岡田】 既にそうした取り組みが行われています。例えば、NTTドコモ様では、dマーケット(iモード)・アプリストアのシステムとしてIIJ GIOをご利用いただいており、Hadoopも活用されています。この事例をはじめ、「大規模なログ解析」を目的とすることが多く、ほかにも、月間数億PVという大規模Webサイトのログ解析システムをIIJ GIO上で実現したという企業もあります。このケースでは、解析対象ログの絶対数が膨大なことに加えて、既存システムを上回る集計パターンを適用した上で、処理時間へも制約があったため、並列分散処理を最大限に活用することで性能を確保し、要求を達成しました。

 こうしたビッグデータ活用の基盤にクラウドを採用する理由の1つとしては、多くの顧客企業様が「スケーラビリティ」を重要視されているようです。ログ自体の量がますます増えていく傾向にありますから、システム構築後も柔軟に拡張できるような仕組みにしておきたいという意味もありますし、例えば、一時的にログを多角的に解析しなければならない、より大量に処理しなくてはならないという事態が生じた際にも、クラウド基盤であれば、必要時にノードを増やすだけで対応可能というメリットがあります。

Question

ウェブログ解析を行う目的としては、何かユーザにレコメンデーションなどを実施したいということなのでしょうか?

Answer

【岡田】 そういう場合もありますが、コンテンツのPDCAサイクルを回すにあたって、より詳細な指標基礎情報を得るというケースもあるようです。コンテンツには制作コストがかかるわけですが、その費用対効果をより正確に見極めたいということでしょう。データ分析を活用することで、より競争力の高い商品づくりに生かしていくという意味では、ウェブログに限らず今後は更に幅広い分野での導入検討も進むのではないかと見込んでいます。


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IIJがHadoopソリューションで狙うターゲットとは?

Question

ビッグデータ活用の事例を見ていると、現時点で取り組もうという企業は、ある程度の知識や技術力を持ったところが中心で、Hadoop構築なども自らこなしてしまうのではないかと感じますが、そうした中で「IIJ GIO Hadoopソリューション」をリリースした理由をお教えいただけますでしょうか?

Answer

株式会社インターネットイニシアティブ:山口新二氏、岡田晋介氏

【山口】 たしかに、これまでも「IIJ GIO」をビッグデータ活用の基盤に利用したいという要望は、いわゆる先進的な企業からいただくケースがほとんどだったと思います。ただ、Hadoopの扱いなどには手馴れていたとしても、最初の構築だけではなく、その後の運用に関しては、あまり手をかけたくない、アウトソースしたいと考える企業は実は少なくありません。弊社の「IIJ GIO Hadoopソリューション」では運用もパッケージングして提供可能ですから、構築は自前でできるという企業の方にも興味を持っていただいています。いかに最大限に性能を引き出すか、あるいはコストを抑えるために効率化を図るといった点も含め、システム面での面倒な部分は弊社に任せていただいて、お客様には活用面に注力いただきたいという考え方です。

 【岡田】 もちろん、単にすべてをお任せいただくのではなく、モニタリングツールなども提供していますから、お客様側でも必要に応じて管理・監視していただけます。また、あらかじめ最適化したHadoopクラスタがクラウド上に構築済みという点も特長ですから、やりたいことは決まっているものの、技術的な部分で課題を抱えていたり、とにかく手間なくHadoopを導入したいという企業にも最適なサービスと言えるでしょう。「IIJ GIO Hadoopソリューション」は基盤に加え、その上のアプリケーション開発もまとめて、ワンストップで提供するという点も大きな特長となっています。

図2 Hadoopソリューションの提供イメージ
図2 Hadoopソリューションの提供イメージ
出典:インターネットイニシアティブ、2013年1月

【山口】 ビッグデータを何に活用するかという課題を具体化するなど、細かなコンサルティングの部分までは弊社ではリーチしていませんが、そのあたりは弊社が協業しているパートナー企業とも連携をしつつ、各々の強みを生かしたタッグを組むなどして、お客様にとって最適な解を提供するという姿勢を現在はとらせていただいています。

 【岡田】 弊社としては、まずはしっかりとした基盤を提供することが、重要なミッションだと考えています。おそらく顧客企業が弊社に求める方向性も同様だと思います。ただし、今回のソリューションは、IIJのビッグデータ分野への取り組みの第1弾というかたちであり、今後は更に幅広く展開していきたいと考えています。その1つは、Hadoopに限らず、リアルタイム系の処理技術など、幅広いアーキテクチャをカバーするという方向性です。そして、もう1つは、より具体的な活用を実現するアプリケーションなど、インフラから上のサービスレイヤを積み上げていくというかたちです。いずれにしても、将来的にはビッグデータ活用の裾野をより広げていくような、敷居を下げるようなかたちにしていくべきだと考えています。


●ありがとうございました。


取材協力

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1992年、インターネットの商用化を目的とした会社として設立。インターネット接続事業で培った技術をベースに、メール、セキュリティなどのアウトソーシングサービス、ネットワーク構築からシステムインテグレーション、運用に至るまで、あらゆるニーズに応えるサービスを総合的に提供している。


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