企業で安心して利用できるクラウドの選び方

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掲載日 2013/03/12

ザ・キーマンインタビュー 企業で安心して利用できるクラウドサービスの選び方

MM総研では、先日、「第1回 ビジネスクラウド総合評価調査」の結果を発表した。クラウド利用への機運は徐々に高まりつつあるが、今の時点でクラウドサービスの客観的な評価を実施した狙いとは?また、評価はどのような基準で実施されたのだろうか。MM総研の渡辺克己氏にお話を伺った。

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株式会社 MM総研:渡辺 克己 氏

ネットワーク・ソリューション研究グループ
執行役員 研究部長
渡辺 克己 氏

どのような手順でクラウドサービスの実力を評価したか

Question

先日、「第1回 ビジネスクラウド総合評価調査」の結果を発表されましたが、今回、クラウドサービスの客観的な評価を新たに実施したのには、どのような狙いがあるのでしょうか?

Answer

株式会社 MM総研:渡辺 克己 氏

今回の調査は、企業の情報システム基盤や災害時に継続運用可能な、社会基盤に適したサービスを選定するという新たな視点で、「クラウドサービスの実力を客観的に評価」しようというものです。クラウドサービスに関しては、以前から普及への機運が高まっていたかと思いますが、今はその段階を超え、既に本格的な普及に入る時期へと差し掛かったととらえています。そうした流れの中で、開発環境や情報系システムといった限定的な用途でのクラウド利用から、企業の中でも本当に重要な、基幹系のシステムなどもクラウド化の対象として、検討が進められています。そうした状況を受けて、「企業のシステム基盤として、安心して利用できるクラウドサービスとは何か」という指針を示していくべきだと判断したわけです。

Question

今回はクラウドサービスの中でもIaaS/PaaSを調査対象としていますが、これはどのような理由からでしょうか?

Answer

企業システムのクラウド化においては、セキュリティやデータ保全性といった点を考慮し、オンプレミス環境と同様に自社で構築するといった「プライベートクラウド」が主流になるという見方が以前からありました。ただ、最近ではプライベートクラウドの中でも、セキュリティやデータ保全性を高めつつ、コストメリットも見込めるという点で、クラウド事業者が提供するIaaS/PaaSを利用したものに注目が集まりつつあります。もちろん、オンプレミスやパブリッククラウドとの混合利用も含めて、それぞれの企業にとって、どういうかたちがベストなのかという答えはまだ見えていないかと思います。ただ、IaaS/PaaSに関しては、多くの企業にとって必要な基盤であり、最も重要な存在であると考え、今回の調査対象として定めました。

Question

今回の評価調査では、6分野についてポイント化を行ったということですが、具体的な詳細項目や評価の進め方について説明していただけますでしょうか?

Answer

今回の調査にあたっては、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの主幹研究員の新谷隆氏をはじめとする識者の方にご参加いただき、審査委員会を設けています。実際の評価作業にあたっては、まず、IaaS/PaaSを提供している30社のクラウドサービス事業者を調査対象に選定すると同時に、審査委員会の意見を反映しつつ、調査項目を洗い出していきました。最終的には「基本機能」「サービス実装」「ネットワーク」「信頼性」「運用サポート」「料金体系」の6分野について、合計43項目にわたる詳細項目を設定しています。その各項目に対して、各サービス事業者が提供するサービススペックを照らし合わせ、各々の重要度を加味した上でポイント化するというのが評価の主な流れです。

図1 ビジネスクラウド総合評価調査 上位6社のサービス評価詳細
図1 ビジネスクラウド総合評価調査 上位6社のサービス評価詳細
出典:MM総研、2013年2月

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調査を通じて分かった、企業の選定者がクラウドに求める要件とは?

Question

各々の評価項目の重要度というものは、どのように導き出されたのでしょうか?

Answer

事前にアンケートを実施し、各企業でクラウドサービスの選定に関わる343名の方々の意見をもとに、各項目の重み付けを行い、クラウドサービスを選定する際の重要度を算出しています。

Question

そのアンケートを通じて、企業の選定者は実際のところ、クラウドサービスに対して、どのような条件を求めているという印象を得られましたでしょうか?

Answer

株式会社 MM総研:渡辺 克己 氏

今回の評価基準とした6分野に分けて見ていくと、まず「基本機能」に関しては標準的な機能・性能やサービスラインナップの豊富さといった点を示しますが、ここでは「サービスの操作性」「サービス利用/変更の即時性」を重視される方が非常に多かったですね。また、「サービス実装」については、クラウドサービスの利便性を高めていくような付加サービスが該当しますが、「十分な脆弱性対策」「ファイアウォールサービスの提供」「セキュリティサービスの提供」などが重視されているようです。また、「ネットワーク」では、閉域網接続への対応や、どのような構成のネットワークセグメントが可能かといった点も重要な要素になりつつあるように思いますが、今回のアンケートでは、まずは大前提として「バックボーンの容量・速度」をしっかりと確保してほしいという意向が、特に目立っていたようです。

 全項目の中で最も重要度が高いという結果が出たのが、「データバックアップの機能」ですが、これは「信頼性」の分野に属しています。ほかに「災害発生時のバックアップ等のBCP対策」も上位に入っていますから、6分野の中でも「信頼性」を重視するという方はやはり多いようですね。また、「運用サポート」に関しては、「サポートWeb/カスタマーポータルの提供」のほか、運用要員の確保が難しいという顧客のニーズにも対応できるよう、いわゆるマネージドサービスがラインナップされているかどうかという点も関心は高くなっています。また、「料金体系」ではやはり「最小構成価格」を多くの方が挙げていますが、そのほかに支払いやサービス選択における自由度の高さというものも重視されているようです。

 ただ、先ほど、「データバックアップの機能」が全項目の最上位だったと紹介しましたが、実はそれでも全体の4.2%にすぎません。つまり、極端に突出した選定要因などはないのです。そもそも、クラウドサービスは今後、企業の中核を形成するシステムを担っていくものなのですから、様々なニーズや環境に応えられるよう、幅広いサービス・機能を用意した上で、そのすべてに関して、常に品質向上を図っていくべきだということが示されているように感じます。仮に、極端に弱い部分、不足している部分があるサービスというものは、企業から見れば、それだけで選定の対象から外れてしまいかねないということでしょう。


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ニーズの変化に応じて視点を変えつつ、今後も評価を続けていきたい

Question

総合評価における最高水準の格付けとなるAAA(80点以上)を獲得したのは6社だったということですが、今回の調査結果全般については、どのような感想をお持ちでしょうか?

Answer

株式会社 MM総研:渡辺 克己 氏

上位6社には、インフラ系通信事業者、サービス系通信事業者、更にはPCベンダと、様々な業種の企業が含まれており、共通項はあまりないようにも思えますが、しいて挙げるとすれば、いずれも古くからインフラやサービスの信頼性を向上させるための技術に取り組んでいる企業ばかりであり、そうした部分が高い評価につながっているのではないかと考えます。また、国内・国外のサービス事業者の違いも顕著に出ており、国外の事業者は非常にサービスが充実し、高い機能性なども提供している一方で、サポート面などでは少しハードルが高い面もあり、サービスをきちんと使いこなすためには、ある程度のスキルを持った担当者の確保、あるいは、SIerなどを通した利用というものが前提になるかと思います。もちろん、このあたりは使う側の事情に応じて選べばいいのですが、今後はクラウドサービス全般が盛り上がっていく中で、国外の事業者も、国内の事業者も、大なり小なり相手のいい部分を取り入れていく流れになっていき、相互の差は現在ほど顕著なものではなくなるかもしれないと考えています。

 また、今回は1月から調査を開始し、2月上旬にかけて評価作業を行ったのですが、実はその間にも、各社で様々なサービス向上や機能追加が図られていました。そのため、今回の結果というものは、あくまでも調査時点のものであり、数ヵ月も経てば、実質的には順位が入れ替わっているという可能性もあるでしょう。その一方で、調査項目に関しても決して今回のもので固定ではなく、顧客の要望の変化に応じて視点を変えていく必要があると考えています。弊社としても、「第1回」とうたっているとおり、今回の調査で終わりではなく、今後も継続して、また、様々なアプローチで、クラウドの総合評価に取り組んでいくつもりです。


●ありがとうございました。


取材協力

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市場動向の掌握と進むべき方向を常時フォローアップし、市場に還元することを使命とし、メーカー製品の市場動向、新製品の市場性や流通状況のチェック、流通市場の発展を目指した分析、コンサルティングなどの業務を実施している。


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