コンタクトセンタをクラウド化する必要性

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掲載日 2013/02/12

ザ・キーマンインタビュー コンタクトセンタをクラウド化する必要性はあるのか

コールセンタ/コンタクトセンタの分野にもクラウドの流れが押し寄せている。しかし、今、最も重視すべきは、ソーシャルメディアなどの台頭により、企業と顧客の関係性に大きな変化が求められているということであり、クラウド活用もその視点に立って検討すべきだという。コンタクトセンタマネジメントを手がけるプロシードの代表取締役社長 西野弘氏にお話を伺った。

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株式会社プロシード:西野 弘 氏

代表取締役社長
西野 弘 氏

ソーシャルメディアが顧客エンゲージメントの大きな波を生じさせた

Question

企業におけるコンタクトセンタを中心とした顧客対応というものは、現在、どのような状況にあると言えますでしょうか?

Answer

株式会社プロシード:西野 弘 氏

電話で顧客対応業務を行うコールセンタは非常に古い存在ですが、20年前あたりから、PCの利用拡大、有料テレビ放送(ケーブル/衛星放送など)の普及、電話サービスの多様化、Eビジネスの浸透といったことを理由に、急速な拡大を遂げました。そして、それと同時に、システム面においては徐々にオープン化が始まり、CTI(Computer Telephony Integration)などの技術変革を受けて、エンタープライズシステムの重要なモジュールコンポーネントの1つとして位置づけられました。そして、ご存じのとおり、2000年以降には、CRM(Customer Relationship Management)という言葉が多くの企業、特に大企業において普及し、コールセンタはむしろコンタクトセンタという役割として語られるようになり、重要性や複雑性、そして規模が拡大していったわけです。

 こうしたコールセンタの利用拡大、そしてCRMの確立というものが、かつて、コールセンタ/コンタクトセンタ分野に生じた2つの大きな波だと言えますが、最近になって、もう1つ、大きな波が生じました。それは、いわゆるコンピュータネットワークの利用拡大です。インターネットというものが一般層も含めて広く使われるようになり、更にブロードバンド化が急速に進んだことで、ネットワーク上のサービスやコンテンツなどが様々な意味で増幅されました。そして、そこへ更に追い討ちをかけたのが「ソーシャルメディア」です。消費者が企業や行政などに対して自由に発言をしたり、市場に直接影響を及ぼすことが可能な環境が出来上がったことで、当然ながら、商品やサービスを提供する側は、そうした状況にどう対応していくかを考える必要が生じています。

 つまり、従来の「自分の組織のためにCRMを行う」という姿勢から、「顧客と相互に信頼を保ちながら関係を維持拡大していく」「ともに価値を作り上げていく」といった、顧客を中心とした、新たな参加相互コミュニケーションに基づくモデルへの変化が求められていると言えますし、実際にそういった体制が少しずつ出来始めているという状況だと感じます。

Question

具体的には、どのような取り組みが求められると言えますでしょうか?

Answer

ITベンダ側は「新しいシステムを入れれば変わりますよ」と言うかもしれませんし、ともすれば、利用する企業もそういう考え方になりがちと言えます。しかし、そういう意識から変えていく必要があるのではないでしょうか。弊社では事業の一環としてコールセンタのアセスメントも行っていますが、その中で明確に感じられるのは、日本企業においてはCRMなどのシステムを構築していたとしても、しっかりと使い切っているところは非常に少ないということです。IT化することが目的になってしまって、そもそもの業務体系を変えないから、結果として、システム導入の効果がまったく出てこない。ほかの業務システムにも同じことが言えるかもしれませんが、コンタクトセンタの現場ではそうした課題が特に顕著に表面化しているのではないかと思います。

 また、もう1つ、アセスメントなどを通じて伝わってくるのは、日本企業の経営層、特に製造業の経営幹部はカスタマコンタクトに本質的な理解と興味がないということです。われわれとしては、今後はCRMの時代から、CEM(Customer Engagement & Enhancement Management)の時代へと変わっていくととらえ、経営やマーケティングの考え方は「顧客志向」から「顧客視点」へと必然的に移っていくと見ています。しかし、実はもともと「顧客志向」ということを掲げている経営者の方でも、頭の中には「開発」「製造」「販売」の3つしかなく、その各々の現場に足を運ぶのには積極的だったとしても、コールセンタなどに足しげく通う人は少ないものですし、「サポート」までにはなかなか意識すら回らない。顧客志向とか、顧客第一主義とか言っても、「お客様は神様だ」と崇めればいいわけではありません。特に製造業などではコールセンタは最大の顧客接点になるのですから、もっと、そこから出てくる情報をうまく経営に活かしたり、いわゆるローヤルカスタマを育成する場として活用すべきではないでしょうか。


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企業と顧客を取り巻く激動に対応するためには、クラウドの柔軟性も有効

Question

ITシステム全体の流れとしては、クラウドの存在感が増しているという印象がありますが、コンタクトセンタにおいては、どのような状況と言えますでしょうか?

Answer

株式会社プロシード:西野 弘 氏

先ほどのシステム導入の話と同様に、クラウド化そのものが目的になってしまっては、あまり意味がないでしょう。大前提として、「なぜ、コンタクトセンタのシステムをクラウドへ移行させるのか」という理由がなければいけないのですが、その1つになりうるのが、先ほどお話したソーシャルメディアを筆頭とした「第3の波」への対応だと言えます。CTIそのものをクラウドへ移行させることで、ソーシャルメディアとの連携がスムーズになるという点のみならず、企業と顧客を取り巻く状況の変化に対して、常に柔軟に対応し続けられるという意味でも、クラウドの活用は有効だと思います。

 これまでのコールセンタやコンタクトセンタにおける変化というものは、受け答えを行うための電話がIP化され、更には顧客データベースとの連携が図られることで、顧客情報や対応履歴が表示されるといった、基本的には手作業で行っていた部分の「自動化」が中心でした。しかし、「第3の波」においては、それらとはまったく違う変化がダイナミックに起きていると言えます。その点では、クラウドサービスを利用するメリットの1つとして、高い頻度でのバージョンアップや細かな改善が期待できるという点が挙げられます。もちろん、ベンダの考え方にもよるでしょうが、サービスを提供する側と利用する側が「こうしたほうがいい。ああしたほうがいい」とコミュニケーションを繰り返しつつ、それが着実に反映されていくといった柔軟性は、非常に有効に働くのではないかと思います。また、試行錯誤を繰り返して自社に適したサービスを探したり、利用しているサービスが気に入らなければ新しいものへ乗り換えるといったことも比較的容易ですから。


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クラウドによる裾野の広がりが更なる変化を生む

Question

コンタクトセンタとクラウドが結びつくことで、ほかにどのようなメリットが生じるのでしょうか?

Answer

株式会社プロシード:西野 弘 氏

やはり裾野を広げるということは確かでしょう。これまでは、CTIやCRMと言えば、数万人以上の顧客を抱えるような、ある程度の規模の企業が導入するものでしたが、今後はより小規模な企業にも浸透していくでしょう。以前、横浜中華街の料理店「聘珍樓」がクラウド型のCTIとCRMを導入して、予約管理システムを構築したという話題を目にしたことがありますが、こうした店舗であったり、あるいはオンラインショッピングサイトを運営する個人事業主にも広がっていくのではないでしょうか。

 こうした流れによって、より廉価なサービスが登場することに加え、コンタクトセンタの使われ方や機能も変わっていく可能性があります。例えば、ソーシャルネットワークとの連携機能を備え、電話、電子メール、チャット、Twitter、Facebook などからの問い合わせを一元管理しつつ、それらをすべてスマートフォン上で行えるという小規模向けコンタクトセンタソリューションなども既に登場しています。こうしたものを、商店主の方などが使いこなすようになると、それはもはや、既存のコールセンタシステムの範疇にとどまるものではなく、まったく新たな顧客とのコミュニケーションツールととらえるべきなのかもしれません。しかも、更にそこから顧客や商品の分析機能も備えたツールへと発展していくのではないかと見ています。


●ありがとうございました。


取材協力

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コンタクトセンタマネジメント、ITサービスマネジメント、プロジェクトマネジメント分野のアセスメント、コンサルティング、人財育成を実施。COPC、ITIL、PMBOKなどのマネジメントシステムを日本に導入した。代表取締役社長である西野弘氏は現在、ITサービスマネジメントフォーラム副理事長、コンタクトセンター教育検定協会理事も務める。


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