オンプレミスの1つの完成形を極めたWS2012

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掲載日 2012/12/10

ザ・キーマンインタビュー オンプレミスの完成形を極めたWindows Server 2012

マイクロソフトの最新サーバOS「Windows Server 2012」では、クラウド対応、管理性の向上、更には強化されたHyper-Vと、それをベースにした様々な新機能が特長としてうたわれている。実際に大規模環境やミッションクリティカルシステムを有する企業を抱えているSIer、プライベートクラウド構築を手がけているITベンダから見た場合、その実力はどう映っているのだろうか?

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松崎 雅浩 氏、杵島 正和 氏

ITエンジニアリング室 プラットフォーム技術部
部長代行(兼)ICTソリューション推進課長
松崎 雅浩 氏

ITエンジニアリング室 プラットフォーム技術部
ICTソリューション推進課
杵島 正和 氏

新機能よりも、OSとしての成熟度が上がった点を評価

Question

貴社では大規模環境やミッションクリティカルシステムを有する企業をはじめとする幅広い顧客を抱えていますが、その立場から見て、Windows Server 2012の新機能・機能向上に関しては、どのような印象をお持ちでしょうか?

Answer

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社:松崎 雅浩 氏

【松崎】 Windows系のOSはもともとクライアントからスタートしたものですから、サーバOSに関しても、一般的なオフィスで使われるシステムの構築に使われるのが主体になっていたかと思います。弊社としても、Windows Serverはそうしたニーズを持ったお客様に対して提案することが多いです。そうした中でWindows Server 2012が新たに登場したわけですが、私たちは「目玉になる新機能が揃っている」というよりは、安定性が向上し、全体的に「OSとしての成熟度が上がった」という見方をしています。ただ、だからと言って、そのままで即ち「ミッションクリティカルな環境に適応可能なサーバOSになった」「大規模環境に最適なOSになった」とはならないでしょう。そのあたりは様々な角度からの検証が必要ですし、今後も見極めていくつもりですが、当面は従来どおりのターゲット層に対して、「安定性が向上しました」「管理性も高くなっています」という提案を行っていくつもりです。

 【杵島】 個人的には、VPNに頼ることなく、企業内のネットワークへリモートアクセスできる環境を実現可能な「DirectAccess」が、以前のバージョンと比べて非常に扱いやすくなった、作りやすくなったという点にも注目しています。ただ、日本の多くの企業がすぐに受け入れるかというと、やはりポリシー的な部分や、クライアントOSのバージョンの問題などもありますし、BYOD(Bring your own device)の流れにも左右されるかと思いますが、実際に幅広く浸透していくのは少し先になるかと感じています。ほかにも、機能面に関しては、「2〜3年先には多くの企業に取り込まれるかもしれないが…」というようなものがいくつか見受けられるという印象ですね。

Question

すぐに企業のワークスタイルを変革するといったものではないという印象でしょうか?

Answer

【杵島】 「サーバOSが変わった」「新しい機能が追加された」からといって、それだけでユーザレベルでの生産性が上がるものとは言えないですからね。やはり、それをいかに活用していくか、どのように浸透させていくかということを考える必要があるでしょう。ただ、私もNT4の時代から見ていますが、今回のWindows Server 2012は、いわゆるオンプレミス系のOSとして1つの完成形を極めたものだと感じています。2008/2008 R2で搭載された機能などもより実用的なものにすべく、きれいに修正されていますし、先ほど松崎からも話があったように、全体的な安定性や成熟度は明らかに向上しています。安定して稼働する、即ち、止まらないということですから、業務に支障を与えることが少なく、今後Windows Serverを導入する場合には、躊躇なく最新バージョンのWindows Server 2012を選択すべきだというのは間違いないと言えるでしょう。


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プライベートクラウド構築でHyper-Vを選択する企業も増加

Question

貴社ではプライベートクラウド構築ソリューション「VM Pool」を提供していますが、Windows Server 2012が登場したことで、何か変わってくる部分などはありますでしょうか?

Answer

【松崎】 「VM Pool」は、従来のような個別最適化ではなく、インフラの全体最適化を実現することを目的に、「仮想化ソフト」を用いつつ、「ブレードサーバ」と「共用ストレージ」を組み合わせることで“仮想化統合インフラ”を提供するというものです。そして、この製品の最大の特長が、お客様の要件や好みに合わせて、「仮想化ソフト」「ブレードサーバ」「共用ストレージ」を自由に選んで組み合わせていただくことが可能という点なのですが、当然ながら、そのラインナップには「Windows Server 2008 Hyper-V」も含まれています。また、別々のベンダのハードウェアを組み合わせた、いわゆるマルチベンダ環境で発生しがちな障害を事前に排除するために、仮想化ソフト、ブレードサーバ、共用ストレージで技術的に留意すべき設計ポイントをノウハウとして蓄積し、すべての設計内容を弊社の検証施設「テクニカルソリューションセンター」にて事前検証しています。更に、もう1つの特長として、あらかじめ最適な環境と設定がテンプレート化されていますから、システム構築のための工数が抑えられ、短期間での納品が可能になっているというわけです。

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社:杵島 正和 氏  【杵島】 Windows Server 2012が登場したことで、この「VM Pool」も新しいHyper-Vに対応させるべく準備を進めています。ただ、単純に「仮想化ソフト」の選択肢を変更するだけで済ませるのではなく、プライベートクラウド構築に即した付け足しを行ったり、Windows Server 2012で追加された新たな機能を活用したテンプレートを用意することも必要ですから、完全対応は年内を予定しています。また、System Center 2012と組み合わせることで、単なる管理・運用だけでなく、自動化やオーケストレーションまで組み込んだかたちでお客様にデリバリするということも計画しており、その準備も進めていますが、これは、Windows Server 2012に対応したSystem Center 2012 SP1の正式版が発表され次第、弊社でも速やかに検証を完了して、製品としてリリースする予定です。

Question

Windows Server 2012の登場を受けて、「VM Pool」の顧客層が広がるといったことも見込まれるのでしょうか?

Answer

【杵島】 もともと幅広い業種・規模のお客様を対象とした製品ですから、顧客層が変わるといったことはないと思います。ただ、もともとVMware ESXベースで開始したということもあって、現状では仮想化ソフトにVMware ESXを用いるケースがやや多くなっているのですが、最近では「Windows Server 2008 Hyper-V」を選択される企業も増えていますし、Windows Server 2012ではHyper-Vの機能・性能が更に向上したことで、全体的な利用拡大がいっそう加速するのではないかと期待しています。


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System Center 2012との連携で「Dynamic IT」が本格的に実現

Question

Windows Server 2012自体の評価も、System Center 2012 SP1が出てきてみないと明確には言えないという部分はありますか?

Answer

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社:松崎 雅浩 氏、杵島 正和 氏

【杵島】 System Center 2012では従来のHyper-Vの管理だけではなく、“できること”がかなり広がっており、マイクロソフトが以前から取り組んでいた「Dynamic IT」のビジョンがほぼ実現できるようになったという印象を持っていました。また、その一方で個人的に面白いなと感じているのが、ほとんどすべての操作がコマンドで実行できるという点です。GUIで操作するのが楽という人は多いでしょうが、一方で、PowerShellを呼び出してコマンドを実行させたほうが手っ取り早いということもたしかですから。

 そのほかの部分も含めて、Windows Server 2012+System Center 2012 SP1というかたちになると、更に扱いやすくなるということもベータ版の利用を通じて実感しています。あとは、マイクロソフトやわれわれのようなベンダが、それをどうやって訴求していくのかがポイントになるでしょうね。

 いずれにせよ、プライベートクラウドという要素を乗せるには、Windows Server 2012といえども、やはりOS単体では厳しい部分も若干ありますから、より最適なかたちを目指すのであれば、System Center 2012 SP1と組み合わせた上で利用するのが望ましいと言えます。ただ、両者をきちんと組み合わせた上で提供できる国内ベンダ/SIerは、意外に少ないのではないでしょうか。System Center自体の歴史が浅く、普及状況に関しても、むしろこれからという段階ですから。ただ、System Center 2012の出来は非常にいいと思いますし、コンセプトについても、やはりWindowsの世界を監視・管理するという観点で優れていますから、弊社としても積極的に訴求していきたいと思っています。


●ありがとうございました。


取材協力

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コンサルティング、製品の調達、インフラ構築からシステム開発、データセンタの運用・保守まで、広くサポートする総合ITベンダ。フロント系基幹システム、オープン系大規模基盤システム、データセンタを活用したアウトソーシングなど、特定の業種・業務に強みを持つユニークさとともに、ITライフサイクルをトータルにサポートできる総合力を備えている。


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