クラウド事業者がWS2012に寄せる期待とは?

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掲載日 2012/10/29

ザ・キーマンインタビュー IIJがWindows Server 2012に寄せる期待とは

Windows Server 2012の登場は様々な立場の人々に何らかの影響やきっかけを与えていくに違いない。例えば、一般企業よりも大規模なシステムを運用するクラウドサービス事業者などは、新機能や性能向上に関して、どのような印象を持っているのだろうか。インターネットイニシアティブ プラットフォーム本部の木村真理氏と山縣庸氏にお話を伺った。

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木村 真理 氏(左)、山縣 庸 氏(右)

プラットフォーム本部
プラットフォームサービス部 副部長
兼 サーバ技術1課長

木村 真理 氏

プラットフォーム本部
プラットフォームサービス部
サーバ技術1課

山縣 庸 氏

きわめて大規模な環境を扱う場合でも、非常に高い安定性を提供してくれる

Question

クラウドサービス事業者という立場から見た場合、Windows Server 2012の登場はどのような意味を持つと言えるでしょうか?

Answer

株式会社インターネットイニシアティブ:木村 真理 氏

弊社のサービスにとって、Windows Server 2012の役割は主に2つあります。まず1つは、弊社で提供しているクラウドサービス「IIJ GIOコンポーネントサービス」のサービスメニューで利用いただけるOSの選択肢が1つ増えたということです。「IIJ GIOコンポーネントサービス」では仮想サーバ/物理サーバ、OS、そしてネットワーク/ストレージなどのアドオンに関して、豊富なメニューを用意しており、ユーザの方が自由に組み合わせて利用可能になっています。

 現状としては「2012の新しい機能をすぐに使いたい」というニーズはさほど多くはないと感じますが、その一方で、Windows Server 2008 R2の延長線上として「安定性が高まっているのであれば、移行を考えてもいい」「今後新たに導入する部分に関しては2012にしよう」という意識は確実に広がっていくものと思いますから、ゲストOSとしてWindows Server 2012を利用するエンドユーザは今後増えていくのではないでしょうか。

 そして、もう1つは、そのクラウドサービスの基礎である仮想化基盤としてのWindows Server 2012の利用です。弊社では、Windows環境で構築された顧客企業の情報システム資産をそのまま容易に移行できる「Windowsクラウドサービス」を約2年前から提供してきました。これをWindows Server 2012 Hyper-Vベースにすることで、クラウドサービスの事業者にとっても、また利用者にとっても、様々なメリットが期待できます。

Question

具体的には、どのようなメリットがあるのでしょうか?

Answer

Windows Server 2012 Hyper-Vでは、非常に大きなリソースを割り当てることが可能になっています。ホスト側では最大で320の論理プロセッサ、4TBの物理メモリという構成に対応し、VMごとのリソース割り当てに関しても、仮想CPUは64(前バージョンでは4)、メモリは1TB(同じく64GB)などと大幅に増えました。クラウドサービスが本格的に利用され始めたことで、大規模な仮想サーバを使いたいという要望も少なからずいただくようになりましたが、ようやくそうしたニーズにも対応可能になったというわけです。

 また、クラスタの最大ノード数も16から64へと向上しており、設備効率の観点で大きな効果が見込めます。まさしく、大規模なシステムに適したOSに仕上がっているという印象です。更に安定性の向上に関しても重視しています。安定性というものはスペックに表れるものではないですし、実際に長年にわたって使ってみないと本当のところは分かりません。Windows Server 2008 R2に関しても、弊社では非常に大規模な環境下で職人技を駆使して安定稼働させていました。

 ただ、今回は違うという印象を持っています。弊社は国内のクラウド事業者としては唯一、早期検証プログラム(TAP)に参加したのですが、実際に稼働させてみても、かなり安定しているというのが率直な感想です。マイクロソフト社も自らクラウドプラットフォーム「Azure」を運用し、現在では数千台、数万台といったサーバを実際に稼働させていますから、そこで蓄積したノウハウなどを今回のWindows Server 2012へフィードバックした賜物だろうと感じます。


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早期検証プログラム(TAP)を通して、分かったこと、得られたものとは?

Question

先ほど、Windows Server 2012の早期検証プログラム(TAP)に参加したという話がありましたが、具体的にはどのような流れで検証を行ったのでしょうか?

Answer

株式会社インターネットイニシアティブ:山縣 庸 氏

昨年から1年ほどにわたって、いくつかのフェーズで検証を行いました。まずは新たに追加された基本機能の確認やパフォーマンス検証ですが、動作に不具合もなく、最終的には「使いやすいサーバOS」だと感じました。気になる点として挙げるとすれば、インターフェース部分です。Windows Server 2008 R2を使い慣れたユーザにとっては、若干とまどうこともありましたが、慣れの問題だと思います。

 次のフェーズでは、弊社のクラウドサービスをWindows Server 2012を用いて1から構築した場合、動作に問題などがないか、また、どのようなメリットが得られるのかを評価しました。結果としては、先ほども導入メリットとして挙げさせていただいたとおり、大規模な仮想サーバを安定して運用可能な上、仮想マシンのライブ・ストレージ・マイグレーションなどといった新機能もあいまって、クラウド基盤での利用に最適だという結論に達しています。

 そうなるとなるべく早くWindows Server 2012を利用したくなるわけですが、ここで重要になるのが移行作業の検証です。どのような準備を整え、どんな手順を踏めば、既にWindows Server 2008 R2で運用している既存環境をWindows Server 2012ベースへとスムーズに移行させられるのか、利用中のお客様に迷惑をおかけすることなく進められるのかという点ですね。われわれもいろいろと試行錯誤はしてみたのですが、さすがに「サービスを稼働させたまま、無停止で」というわけにはいかず、現状としては、ダウンタイムをどれだけ少なくできるかという点を詰めている段階です。もちろん、Windows Server 2012をベースとしたクラウド基盤を構築して、新規に使っていただくということに関しては、まったく支障はありません。

 今回のTAP参加ではWindows Server 2012を利用したサービス提供の準備を早い時期から整えられるというメリットがありましたが、それ以上に、マイクロソフト社のエンジニアと直にコミュニケーションが取れたことが一番よかったと思います。われわれが単に検証を行うだけではなく、そこで生じた問題などを直接伝えることができたり、電話ミーティングで意見交換を行ったりという過程で得られるものは非常に大きかったと感じています。

Question

一般的な企業においても、Windows Server 2012はすぐにでも導入すべきOSだと言えますでしょうか?

Answer

実際にはやはり、Windows Server 2012が備えている機能やパフォーマンスに必要性を感じるかどうかで判断すべきことだと思います。ただ、世間一般によく言われる「バージョン1.0に手を出すべきではない」「少なくとも最初のアップデートを待つべき」という話は当てはまらないと思います。それほど完成度の高い安定したOSだということは確かでしょう。


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Windows Server 2012のお手軽体験が可能なクラウドサービスを提供

Question

貴社では「Windows Server 2012 クラウド無償パイロットサービス」も実施していましたが、こちらはどのような目的で行われていたのでしょうか?

Answer

基本的には、企業ユーザの方にWindows Server 2012の機能を手軽に体験していただく、あるいはWindows Server 2008上で動かされているアプリケーションの動作検証を行っていただくことを目的としたものです。通常の評価版OSを検証する場合には、テスト用のサーバなどを自前で用意して、インストールや環境構築を経て、ようやく実際の検証作業に入るという工程になります。

 しかし、「Windows Server 2012 クラウド無償パイロットサービス」であれば、弊社のクラウドサービス「IIJ GIO」上でWindows Server 2012がインストールされた仮想サーバとして利用可能ですから、面倒な作業を必要とせずに、即座に評価版OSを起動して利用いただけるようになっています。

Question

では、純粋にWindows Server 2012への移行を検討されている方が、テストを行うための環境ということでしょうか?

Answer

そうですね。ただ、当然ながら、弊社の思惑としては、クラウドサービスを使っていただくきっかけにもなるのではないかという期待も込めています。IIJ GIO が提供するコントロールパネル(Webインターフェース上で仮想サーバを管理する機能や仮想サーバのコンソール機能など)も含めて、クラウド環境の使い勝手やパフォーマンスなどを実感していただければと考えています。要するに、「Windows Server 2012のお手軽体験」を行うついでに、「IIJ GIOのお手軽体験」もしてもらえればというスタンスです。体験いただいた方から寄せられた意見を見ていても、やはり目的としては、Windows Server 2012の試用・検証が主体のようでしたが、「思ったよりもパフォーマンスが高い」といった感想も多数いただいており、クラウドへの理解を深めてもらうという狙いはある程度達成できたのではないかと思います。

Question

最後に、Windows Server2012が登場したことで、今後、貴社が目指す方向性などをお聞かせ下さい。

Answer

株式会社インターネットイニシアティブ:木村 真理 氏(左)、山縣 庸 氏(右)

われわれのスタンスとしては、Windows Serverのようなプラットフォームを活用する場合には、先ほどのように、安定性の向上に対しての努力も行いますが、それに加えて、機能面についても、既に備わっているものはうまく活用しつつ、ない部分に関しては独自に作り込もうという取り組み方をしています。そういう面で考えると、そのまま活用できる部分がかなり多いという印象は強いですね。もちろん、その分、われわれは別の部分に注力できますから、ほかのクラウドサービス事業者との差別化をいっそう図っていくつもりです。

 先ほど触れたように、“ほかのクラウドサービス事業者”の中にはマイクロソフト社も含まれるわけで、当然ながら、Windows AzureとWindows Server 2012との親和性は高いはずですから、ある種の危機感も持っています。そのあたりは、弊社も今まで以上に様々な部分で独自色を出していくべきだと考えています。IIJ GIOが持つ柔軟性、国内での実績やノウハウ、あるいは回線品質やレイテンシの低さなどの利点をいっそうアピールし、IIJ GIOの魅力を失わないようにしつつ、お客様の要望や用途に応じて、Windows Azureが適した部分はそちらを使ってもらえばよいかと思います。ですから、当面の目標としては、クラウドコントローラによるクラウド基盤の一元管理を拡張・強化するなど、弊社以外のクラウド基盤と連携する場合にも、ユーザにとってより扱いやすい世界を目指していくつもりです。


●ありがとうございました。


取材協力

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1992年、インターネットの商用化を目的とした会社として設立。インターネット接続事業で培った技術をベースに、メール、セキュリティなどのアウトソーシングサービス、ネットワーク構築からシステムインテグレーション、運用に至るまで、あらゆるニーズに応えるサービスを総合的に提供している。


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