| 掲載日 2012/10/15 |

マイクロソフトが新たにリリースしたWindows Server 2012は、これまでリリースされた新バージョンと比較して、サーバOS市場、あるいは、その関連市場に対して、より大きなインパクトを与えることになるのか?また、そもそも、サーバOS市場は現在どのような状況にあるのか。IDC Japanの入谷光浩氏にお話を伺った。
|
||||||

まず、近年のサーバOS市場の成長率や製品シェアなどの概要をお聞かせ下さい。

2011年の国内サーバOS市場は、メインフレームも含めたトータルで見た場合には731億7700万円という規模(出荷ベース)で、成長率としては前年比1.5%減になっています。つまり、サーバOS市場の現状としてはマイナス成長なのですが、これはUNIXやメインフレームが2桁以上の大きな減少となっており、全体がそれに引きずられているというかたちと言えます。
ただ、OS別に見た場合には、x86サーバの出荷台数が横ばいだというマイナス要因があったにもかかわらず、市場構成比の約半分に達しているWindowsは4.5%の成長で、また、Linuxはサブスクリプションモデルによる安定的な収益構造をとっていることもあり、8.4%の堅調な成長となりました。2010年における前年比成長率を見ても、Windowsが16%、リナックスが11%で、この2つのOSに関しては、プラス成長がしばらく続いているという状況です。
また、最近のもう1つの傾向としては、仮想化の影響というものがあります。ご存知のとおり、以前は物理サーバの出荷台数とサーバOSの売上高はほぼ比例していました。ただ、近年では、例えばx86サーバとWindowsの関係を見た場合、前者の出荷台数はほぼ横ばいになっているものの、後者の売上高は成長しています。仮想化の利用が増えていることはもちろん、最近では、より多くのゲストOSを稼働させるケースが目立ちますから、Standardエディションのユーザが1ライセンスで無制限に仮想OSを使えるDatacenterエディションへと移行するというかたちで、上位エディションの売上の比率が高まり、ライセンスあたりの単価は上昇する傾向にあります。
図1 国内サーバオペレーティングシステム市場 稼働環境別売上額実績(2009年〜2011年) |
||||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
|
||||||||

クライアントOSの動向などもサーバOS市場に影響を与えるものなのでしょうか?

まだWindows Server 2003を使い続けている企業も多いですが、それと同様に、Windows XPを使い続けている企業も多く、いずれも40%程度の比率で残っているのではないでしょうか。まったく同じ時期にリリースされたわけではありませんが(Windows Server 2003は2003年、Windows XPは2001年にリリース)、ほぼ同じタイミングで広く普及し、Windows Server 2008(2008年リリース)とVista(2006年リリース)に関しては、移行を見送る企業が多かったというのは確かです。
もちろん、各々のタイミングでサーバとクライアントを片方ずつ更新してもよかったのでしょうが、やはりユーザ企業にとっては、投資のタイミングを考えた場合、同時に揃えて実施したいというのが真情です。しかも、5年というサイクルでは、よほど新しいテクノロジーが利用できるのでもないかぎり、なかなか総入れ替えに踏み切れるものではないでしょう。ただ、既にメインストリームサポート期間を終えた旧世代のWindows XPとWindows Server 2003に関しては、パフォーマンスの劣化やセキュリティリスクの懸念も指摘されていますから、その更新という意味では、Windows 7への移行の本格化、あるいはWindows 8の登場、そして、Windows Server 2012の登場という条件が整った現在というものは、絶好の時期なのかもしれません。

今回、マイクロソフトが新たにリリースしたWindows Server 2012は、これまでのメジャーバージョンリリースと比較して、市場に対してより大きなインパクトを与えるものだと言えるでしょうか?

インパクトというものをどこに見るかでも変わってくるかと思いますが、例えば、Windows Server 2012がリリースされたからといって、サーバの出荷台数に影響を与えるとは考えにくいですよね。また、サーバ市場においてはx86サーバが既に8割以上を占めていますし、その大部分にWindowsが搭載されているという状況ですから、サーバ市場、あるいはサーバOS市場の勢力図を大きく書き換えるという余地もあまりないでしょう。
ただ、一方で、周辺のマーケット、いわゆるWindowsにかかわるエコシステムに対する影響を考えた場合には、今回のWindows Server 2012は大きなインパクトになりうると考えています。特に注目しているのは、パフォーマンスが大きく向上したHyper-V 3.0です。企業にとってはWindowsによるサーバ仮想化が非常にやりやすくなるでしょうし、それによって、インフラストラクチャの仮想環境への置き換えが促進される可能性が高い。そうなると、アプリケーションも仮想環境上でより確実に、しかもシームレスで稼働するようなものへと切り替えていかなければならないし、仮想化に対応した管理システムも必要になるでしょう。

その結果、仮想化を中心としたマーケットを活性化させていく可能性があるということでしょうか?

そういうことですね。そのほかにも、今回のWindows Server 2012では、System Center 2012、SQL Server 2012なども含め、マイクロソフトのITソリューション全体の刷新が図られている点も大きな特長になっています。そのため、様々な部分において、Windows Server 2012への移行をきっかけに、ITシステムの包括的な刷新を推進していこうという動きが出てくる可能性は高いと思います。
サーバOSに求められるものというのは、以前は管理の安定性が第一だったわけですが、現在では、やはり、仮想環境・クラウド環境への対応でしょう。これをブレイクダウンすれば、スケーラビリティや情報処理の高速性、仮想化ハイパーバイザとの親和性、あるいはネットワーク仮想化などが求められるということになります。今回のWindows Server 2012は、そういった部分にフォーカスして開発されていると感じますし、仮想化に関する機能も充実したため、これまで懸案となっていた「Hyper-Vによる仮想化への懐疑的な見方」は十分に払拭できる性能を備えていると思います。
あともう1つ、そうした仮想化の次にどうするのかという、次の時代を見据えたサーバOSになっている点も重要だと言えます。仮想化が当たり前の技術になり、仮想化抜きにインフラストラクチャは語れないというレベルに達したあとは、当然ながら、クラウドへの移行が課題になるでしょう。プライベートクラウドを作っていくにせよ、パブリッククラウドを利用していくにせよ、クラウド環境を取り込んだ企業ITシステムをどのように構築していくのか。そうした問題に対して、Windows Server 2012では既に確立されつつあるクラウドアーキテクチャをいち早く取り込み、実際に利用するための機能要件を満たしたわけですから、その意味でもマイクロソフトはやはりジャストなタイミングにリリースしたと思います。

ITシステムのクラウド化という流れの中で、Windows Server 2012には求められるテクノロジーが備わっている存在として、ユーザに受け入れられていく見込みがあるということでしょうか?

テクノロジーの面だけではなく、市場のオポチュニティという見方においても、もともと素地は整っていたのだろうと思います。企業においては、もちろん今後もオンプレミスでシステムを構築し続けるケースもあるでしょうが、やはりクラウドサービスへの移行、あるいはデータセンタへの集約といった動きが目立つようになってきています。今後はクラウドの活用範囲も更に拡大していくでしょうが、その際には、どんなプラットフォームでもよいというわけではありません。
例えば、主にWebサイト構築に使われるホスティングサービスなどでは、オープンソースのLinuxを利用するケースも多くなっていました。しかし、同じようにデータセンタのリソースを利用するにしても、既存の企業アプリケーションを稼働させるクラウド環境を構築する場合には、やはりWindowsというプラットフォームが必要だという企業も少なくないでしょう。そうした、新たな需要におけるWindowsのオポチュニティが高まりつつある状況で、Windows Server 2012が登場したと言えるのではないでしょうか。
マイクロソフトでも“クラウドOS”とうたっていますが、要するに、従来のオンプレミス環境をWindows Server 2012へと移行させると同時に、そこから派生するかたちで、クラウド基盤でもWindows Server 2012を広めたいという思惑があるかと思います。そうすることで、オンプレミスのWindowsとクラウド上のWindowsをシームレスに利用したり、管理できるということですね。
こうした方向性は、いわゆるベンダロックインだと感じる方もいるでしょう。ただ、だからといって、ほかにまったく方法がないわけではなく、あくまでもユーザ側の選択次第だと思います。Windowsでまとめてしまったほうが便利だと感じればそうすればいいですし、現実的に考えれば、管理やサポートの面でやりやすいのも確かでしょう。いずれにせよ、ユーザ側できっちりと考えて、自分が取り組みやすいかたちでシステムを構築していくべきで、その上でWindowsをすべての柱にするのが得策だと判断するなら、それも1つの最適な選択と言えるのではないでしょうか。
●ありがとうございました。
|
||
|
IT専門の調査会社として、1975年に設立以来、国内・外の情報技術・通信産業をはじめ、金融機関、政府機関などへ、市場データ、市況分析とそれにもとづいたアドバイスを提供。グローバルに展開するビジネスを品質の高いデータで支援することに取り組んでいる。 |
![]()
|
「国内サーバ」シェア 【シェア情報アーカイブ】 2016/11/22 |
|
|
「国内サーバ」シェア 【シェア情報アーカイブ】 2016/02/09 |
|
◆関連記事を探す
「Windows/Windows Server 2012の市場へのインパクト」関連の情報を、チョイスしてお届けします
※キーマンズネット内の「Windows」関連情報をランダムに表示しています。
「Windows」関連の製品
![]() |
![]() |
![]() |
| POSITIVE(タレントマネジメント、人事給与、勤怠管理) 【電通国際情報サービス】 | Logstorage(ログストレージ) 【インフォサイエンス】 | 予算編成システム BizForecast(ビズフォーキャスト) 【プライマル】 |
| 人事管理システム | 統合ログ管理 | 会計システム |
| 2000社超の導入実績で培ったノウハウを活かした製品。人事・給与・就業管理に加えて、タレントマネジメントやグローバル人事など広範な機能を網羅した統合HCMパッケージ。 | 企業内やクラウド上に分散するITシステムのログデータを自動収集、統合管理することにより、セキュリティ対策、運用負荷の軽減を実現する純国産の統合ログ管理製品。 | 各企業における最適な予算編成を実現するグループ経営管理システム。「柔軟性の高さ」と「使い勝手の良さ」を兼ね備え、経営管理の効率化を支援する。 |
「Windows」関連の特集
ネットワークの中継機器ルータ。昨今のビジネス環境の変容を受けてルータもどのように進化しているのか?最…
あらゆる機器がPCやネットにつながる現在、あなたの会社の情報セキュリティを脅かす新たなリスクが発生し…
次期クライアント候補として注目される「シンクライアント」。今回は代表的な3つの方式とそのメリット・デ…
「Windows」関連のセミナー
意外と知らない!Windows 10ディスク暗号化導入チェックポイント 【主催:NECキャピタルソリューション/協賛:ウィンマジック・ジャパン】
8月2日(水),8月2日(水)
東京都
無料
ご存じのとおりWindows 10では、年2回程度の大型アップデート(フィーチャーアップデート)が行われます。MicrosoftはWindows 7のサポートを…
ホストもWindowsも!クラウド時代のレガシーモダナイゼーション 【システムズ】
7月25日(火)
東京都
無料
マイグレーションプロバイダのシステムズでは、マイグレーションのリーディングプロバイダとして、レガシー化した既存システムをモダナイズ(近代化)するための、システム…
Web会議サービス「TeleOffice」オンライン体験セミナー 【シャープビジネスソリューション】
7月21日(金),8月4日(金),8月25日(金),9月22日(金)
オンラインセミナー
無料
様々なWeb会議サービスから、最適なサービスを選ぶには実際に動作をご体験いただくのが一番です。「TeleOffice」はパソコン画面を共有するだけでは実現できな…
「サーバー」関連 製品レポート一覧
|
|
この記事に掲載している情報は、掲載日時点のものです。変更となる場合がございますのでご了承下さい。
30005136
ようこそゲストさん
製品レポートが読めて、
ポイントが貯まるのは会員だけ!
導入事例 ダウンロードランキング 2017.7.21更新
Windows
関連情報
|
ゆうちょ銀行が財務会計システム刷新、オールフラッシュで業務スピードアップ 【日本アイ・ビー・エム】 |
|
|
…ハードウェア |
|
|
無停止型サーバ「ftServer」ファミリ 【日本ストラタステクノロジー】 |
|
|
…ハードウェア |
|
|
System x3550 M5 【レノボ・ジャパン】 |
|
|
…ハードウェア |
|
|
HPC向けサーバーシステム 【テックウインド】 |
|
|
…ハードウェア |
|
|
LB ブートマネージャー3 【ライフボート】 |
|
|
…ソフトウェア |
|
|
…ハードウェア |
|
|
…ハードウェア |
|
|
Paragon パーティションワークス15 Server 【ライフボート】 |
|
|
…ソフトウェア |
|
|
サーバ延命救急パック 【NECフィールディング】 |
|
|
…ソリューション・その他 |
|
|
サーバ仮想化ソリューションパック(Hyper-Vモデル) 【NECフィールディング】 |
|
|
…ソリューション・その他 |
|