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掲載日 2012/10/12

ザ・キーマンインタビュー Ultrabookの法人ニーズをBTOで掘り起こす

Webサイトやダイレクトショップを中心に、BTO(Built To Order=受注生産)によるPC販売を手がけるマウスコンピューターでは、2012年6月から自社開発のUltrabookを提供している。同社のUltrabookは法人からの引き合いも多く、Webサイトからの購入については全体の4割を法人が占めているという。その理由やUltrabookに対する思いを、同社コーポレート営業部の金子覚氏と有藤俊氏に伺った。

株式会社マウスコンピューター 企業サイトへ

有藤 俊 氏(左)、金子 覚 氏(右)

コーポレート営業部
有藤 俊 氏

コーポレート営業部 マネージャー
金子 覚 氏

Ultrabookの登場は、新たな領域にチャレンジする絶好の機会だった

Question

貴社では、ダイレクトショップや通販サイトでの販売だけではなく、PCの開発・製造も手がけていますが、そういう立場から見て、Ultrabookというカテゴリの登場をどのように受け止めたのでしょうか?

Answer

株式会社マウスコンピューター:金子 覚 氏

【金子】 もともと、弊社で提供しているノートPCに関しては、ハイエンドCPUにこだわったり、(CPU内蔵グラフィックスに加えて)外部GPUを搭載したモデルを用意するなど、いわゆる高スペックを追求しつつ、同時に、低価格を実現したプロダクツが主軸の1つになっています。ただ、2008年あたりにネットブックというカテゴリが登場したことを契機に、弊社でもやはりモビリティ面に優れた製品にも注力する必要を感じ、更にそれだけではなく、“マウスコンピューターの代名詞的なモノ”を作り出さなければならないと取り組んできました。

 そうした動きの中で、昨年、Ultrabookという新たなカテゴリが登場し、私たちもこれは絶好の機会だと感じたわけです。ハイスペックとは別の方向性として、まずは「軽さ」「薄さ」といったコンセプトをとことん追求してみようと決断し、第一弾としては、軽量という要素を徹底的に追求した11.6型(画面搭載)Ultrabook、そして次に、Ultrabookならではの「薄さ」を保ちつつ、高いパフォーマンスを実現した14型Ultrabookをリリースしたという流れです。

Question

まったく新たな領域にチャレンジしつつ、しかも、それをUltrabookの仕様内に収めるというのは、なかなか困難な課題だったのではないでしょうか?

Answer

株式会社マウスコンピューター:有藤 俊 氏

【有藤】 「軽さ」「薄さ」という要素は、もちろん大手のPCメーカーなどでは切磋琢磨されてきたわけですが、やはり、われわれのような企業規模のメーカーが競争の厳しいPC市場のどこで戦うのがベストかという点を考えると、その領域で極限を追求するということは避けざるをえなかったと言えます。低価格を前提としつつ、確実にニーズがある市場にしっかり対峙し、その中でベストな製品を提供していくという方向性が、やはり最適なのではないかということです。また、ネットブックが流行した際にも、多くのメーカーが参加したことで1〜2年で市場が飽和し、価格も大幅に崩れてしまったことで、ビジネスとして成り立ちにくくなったという経験もしていますから、今回のUltrabookへの取り組みにあたっては、社内で慎重に議論を行いました。

 その中では当然ながら、「わざわざUltrabookの定義を満たす意味はあるのか」「軽量・薄型を追求したモデルをリリースしたとしても、Ultrabookとして売る必要はあるのか」という意見も出ました。ただ、先ほどお話したように、そもそもUltrabookが登場しなければ、オポチュニティを感じることもなかった。そして、なにより、このUltrabookという新たなカテゴリが世の中の幅広い層に広がっていく、受け入れられる魅力的な製品だと判断したというわけです。もちろん、薄さを追求するという点で、熱設計やファンノイズ抑制には苦労しましたが、そこはユーザが最も気にかける部分でもあるので、納得いくまで時間をかけて、開発を行いました。

Question

貴社の既存顧客にも受け入れられるものだと感じたわけですね?

Answer

【金子】 そうですね。開発に着手した当時はもちろん、現在でも、Ultrabookは認知度こそ高まっているものの、まだ製品は触れたことがない、目にしたこともないというお客様も少なくありません。しかも、Ultrabookには薄さなどの見た目だけではなく、例えば高速起動/復帰などの使い勝手のよさも備えていますから、本当のメリットというものは実際に使われた方を中心に、これから理解が広まっていくという段階だとは思います。ただ、マウスコンピューターという社名は、人とコンピュータの間にマウスがある、つまり、ユーザとの距離が近いメーカーでいたいという思いを込めたもので、実際のビジネス形態としても、弊社はそういう位置にいると自負しています。そういう立場から見て、Ultrabookは多くの方のニーズに応えられるものだと感じています。


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購入者の4割が法人というのは、事前の想定を遥かに超える多さ

Question

Ultrabookではかなり細かな部分まで仕様が定められていますが、そうした中でどのように差別化を行っているのでしょうか?

Answer

株式会社マウスコンピューター:有藤 俊 氏

【有藤】 先ほどお話したように、14型Ultrabookでは外部GPUを搭載し、インターフェースも充実させることで、モバイルだけではなくデスクワークにも十分に通用する内容になっています。また、11.6型Ultrabookに関しては、天板と本体底面、そして、キーボード周囲の部分と、カーボン素材を3面に採用することで、軽量化を追求しつつ、耐久性も両立させています。なぜ、カーボン素材かというと、「ボーイング787の機体や主翼に採用されたことがメディアなどで報じられていて、社内で話題になっていたから」というわけでもないのですが(笑)、やはり極限まで軽くできるということが大きいですね。頑丈なだけでよければ、ほかにも素材はあるわけですから。ただ、コンセプトは決まったものの、実際には均一な成型が非常に困難で、製造時の歩留まりの悪さにも悩まされました。そうした点を1つひとつ解決して、ようやく製品化にこぎつけることができたわけです。

 【金子】 早い時期から様々なイベントなどでデモンストレーション展示を行い、来場者の方には実際に触っていただいていたのですが、やはり、これだけの薄さや軽さで、頑丈さも兼ね備えており、しかも、安いという点でかなりの好感触を得ています。発売後も、購入者の方からは「いい意味で裏切ってくれた」という評価をいただくことが多いですね。やはり、われわれのようなダイレクト販売を中心としたPCメーカーにおいては、ほとんどの方が「重いノートPCしかない」というイメージを抱かれており、少し触ってもらうだけで「驚くほど軽い」と感じていただけるようです。

Question

Ultrabookは、コンシューマ用途とビジネス用途の双方をカバーしているかと思いますが、貴社ではどちらが主要な市場になると考えていますか?

Answer

株式会社マウスコンピューター:金子 覚 氏

【金子】 事前には、9対1程度の割合でコンシューマ用途での購入が主体になるだろうと予測していました。しかし、実際には、Web上の通販サイトからの販売数で見た場合、法人名義での購入が全体の4割に達しています。そういう意味では、実際に使われるお客様から見ても、Ultrabookは法人ニーズにマッチしたプラットフォームだったと言えるようです。SOHOや中小企業をはじめ、中堅以上の企業などからも部署単位での導入といったかたちで引き合いが来ていますね。

 弊社のUltrabookについては、実は現時点では法人向けモデルというものは特に用意しておらず、個人向けと同じ構成の製品を法人の方にも提案しています。ただ、自由度の高いBTOを提供することで、OSはWindows 7 Home Premiumだけではなく、Windows 7 Professional、Windows 7 Ultimateも選択でき、SSDのタイプ・容量も自由に選んでいただけます。また、14型Ultrabookに関しては、SSD(キャッシュ用32GB)+HDD(最大1TB)という構成にも対応済みです。そういった点もあって、多くの法人の方に興味を持っていただいているのではないかとは思います。

Question

Ultrabookがきっかけになって、新たな顧客開拓につながるという期待もあるのでしょうか?

Answer

【金子】 既に大学の研究室など、これまでの製品とは少し異なる購入層からの問い合わせなどもいただいていますし、更に今後は、研究発表の機会が多い独立行政法人系の機関、あるいは大学で学生向けに一括導入していただくという動きなども出てくるのではないかと見ています。また、Ultrabookを投入する以前から、弊社では高スペックなノートPCに力を入れている関係で、クリエイティブ系の仕事をされている方に購入していただくケースも少なくありませんでしたが、外出先でプレゼンテーションを行う機会も増えていると思いますから、そうした方々には外部GPU(GeForce GT640M)を搭載することで、“ハイエンド+モビリティ”を実現している14型画面モデルのUltrabookをアピールできると考えています。


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自社製サーバと組み合わせたセキュリティソリューション提供などにも取り組みたい

Question

Ultrabookの開発・販売について、今後はどのような展望をお持ちでしょうか?

Answer

株式会社マウスコンピューター:有藤 俊 氏

【有藤】 先ほど法人向けモデルは用意していないというお話をしましたが、もちろん、弊社の法人向けパソコンブランド「MousePro」にも、Ultrabookのラインナップを追加したいと考えています。ただ、その際には、ノングレア液晶採用モデルを用意すべきでしょうし、そのほかにもビジネス利用で要求される要素を盛り込む必要があるでしょう。

 また、Ultrabookを企業で導入する場合には、セキュリティの整備も重要ですから、今後の課題としては、そうした部分も含めて、トータルで提供できるように取り組んでいきたいと考えています。例えば、コンパクトビジネスサーバー「MousePro SVシリーズ」と複数台のUltrabookを組み合わせたパッケージ形態で、導入企業でセキュリティを簡単に管理できるようなソリューションなどですね。

株式会社マウスコンピューター:金子 覚 氏  【金子】 あとは、やはりUltrabookの特性を考えた場合には、クラウドサービスとの組み合わせ提供なども積極的に行っていくべきでしょうね。弊社自身ではまだまだそういったサービス提供という部分には着手できていないのですが、まずは他社との協力のもとでのキャンペーン展開として、Ultrabookを購入いただいた方へクラウド型バックアップサービス「AirBack クラウド」の1年間無料提供を実施しています。

 今後もユーザの方々の意見をいただきながら、Ultrabookを導入いただいた企業や個人の方が、存分にビジネス活用いただけるよう、製品の開発はもちろん、販売のしかたやサービス連携に至るまで、多角的な取り組みを検討していきたいと思っています。


●ありがとうございました。


取材協力

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顧客の利用目的や予算に応じて、CPU、ハードディスク、メモリなどの構成をカスタマイズしたPCを生産・販売するBTO(Built To Order=受注生産)PCメーカー。生産技術と品質管理の部門が一体となった長野県・飯山工場を生産の中心とし、緊密な連携体制で品質を追求している。


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