マイクロソフトがクラウドOSで目指したもの

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掲載日 2012/09/24

ザ・キーマンインタビュー マイクロソフトが“クラウドOS”で目指したもの

マイクロソフトの最新サーバOS「Windows Server 2012」は、“クラウドOS”をうたっており、従来のオンプレミス環境からクラウド環境まで、統合されたシステム運用管理を提供するという点が最大の特長になっている。このクラウドOSに秘められたマイクロソフトの戦略とは?サーバープラットフォームビジネス本部 業務執行役員 本部長である梅田成二氏にお話を伺った。

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梅田 成二 氏

サーバープラットフォームビジネス本部
業務執行役員 本部長
梅田 成二 氏

Windows Server 2012でマイクロソフトが提示する“クラウドOS”とは?

Question

今回リリースされるWindows Server 2012は、全体的にはどのような目的のもとで開発されたのでしょうか?

Answer

日本マイクロソフト株式会社:梅田 成二 氏

Microsoft Windows NTの登場から約18年が経過しましたが、これまでも時代時代のコンピューティングの流れを受けて、開発の方向性を変えつつ、バージョンアップを行ってきました。では、今回は特に何を重視したのか。それはやはり、クラウドコンピューティングにほかなりません。ただ、それは単なるクラウドサービスの利用や連携というレベルにはとどまらないものです。

 例えば、ソーシャルアプリ/ゲームを運営する企業などにおいて顕著ですが、サービス利用やユーザ数の急速な増減に合わせて、柔軟に手持ちのリソースを伸縮させるといったシステム運用が求められ、しかも、それがビジネスの成功を左右するといったケースも増えています。また、サーバとアプリケーションとの関係も変化しており、サーバ、ストレージ、ネットワークを介してアプリケーションをプールし、必要な時に必要な量だけを使うという利用スタイルが、一般的な企業においても広がる兆しがあります。アプリケーションを利用する側は、それが社内にプールされているのか、社外のクラウドにプールされているのかといったことにはとらわれないというわけです。

 そうした状況の中、サーバOSの役割にも変化が求められています。これまでは物理的なハードウェアを効率的に管理し、必要に応じてアプリケーションへCPUやメモリなどのリソースを分け与えることが主体でした。しかし、これからはプライベートクラウドも、パブリッククラウドも、あるいは従来と同様のシステム環境も含めて、あたかも1つの大きなコンピュータであるように見せかけ、アプリケーションが必要とするリソースをタイムリーに渡していくことが必要とされます。そういう概念をわれわれは“クラウドOS”と呼んでおり、そのコンセプトに沿ったかたちでサーバOSを構築し直したものが、今回の「Windows Server 2012」です。

Question

クラウドOSに必要とされる要素とはどのようなものだと考えられているのでしょうか?

Answer

基本的には、物理インフラの境界を超えて、すべての“サーバ”をまとめて取り扱えるようにすることが重要で、4つのポイントが柱になると考えています。まず1つは「オープンな開発環境」です。弊社では開発環境も提供していますが、“クラウドで動くアプリケーション”を構築するにあたっては、様々な開発者の方が多様なツールを利用するわけですから、クラウドOSというものはマイクロソフト系の開発ツールだけではなく、オープンな開発環境をサポートしなければなりません。

 2つ目は「一元的なシステム管理」で、例えば、自社のサーバルームにあるサーバの負荷が厳しくなってきたら、クラウド上のリソースを使うといったケースでは、単一の監視画面で双方の負荷状況を確認できるようにしておくべきでしょう。3つ目が「共通のIDとセキュリティ基盤」で、これも同様に、1つの大きなコンピュータとして活用するためには必要な要素だということはお分かりかと思います。

 最後は「プラットフォームとしての仮想化」です。もともとは仮想化の利点として、OSやミドルウェア、アプリケーション、そしてデータなどを丸ごとカプセル化しておくことで、自社のオンプレミス環境からクラウド環境へ、あるいはその逆へと自由に移動させられ、そのまま簡単に動作させられるといったことが言われていました。しかし、ご存知のとおり、実際にはすぐには動かせないのです。例えば、ネットワーク側に起因する課題で、IPアドレスのポータビリティなどもその一例です。クラウドOSはこうした課題を解決できる答えを有していなければならないでしょう。

図1 サーバを取り巻く環境の変化と「the Cloud OS」という考え方
図1 サーバを取り巻く環境の変化と「the Cloud OS」という考え方
出典:日本マイクロソフト(2012年9月)

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180以上にわたる機能強化は、導入企業へ具体的に何をもたらす?

Question

Windows Server 2012では、先ほどの4つのポイントを実現すべく、様々な機能が追加されているということでしょうか?

Answer

日本マイクロソフト株式会社:梅田 成二 氏

今回のWindows Server 2012では180以上の機能で強化を図っていますが、ユーザのメリットという視点で整理すると、「仮想化の進化」「クラウド連携」「更なるコスト削減」「事業継続オプション」「モバイルワーク」という5つに分類できるかと思います。

 その中でもクラウドOSという概念に密接に関わる部分というのは、「仮想化の進化」と「クラウド連携」でしょう。「仮想化の進化」については、Hyper-Vのスペック向上、高速化の実現、そして、シェアードナッシング環境での仮想マシン移動が可能になったという点が大きな特長となっています。Hyper-Vは登場当初こそ、中堅中小企業での採用や開発/テスト環境として利用されることが多かったのですが、ライブマイグレーションのサポート、ダイナミックメモリ機能の搭載などを経て、現在は大手企業の本番環境で使われることもかなり多くなってきました。そうした状況の中で、従来は向かない、難しいとされていたデータベース系システムにおける仮想化のニーズも最近では高まってきていますが、今回のHyper-Vは、仮想コアの数を増やすなど、そのあたりをかなり意識した機能拡張・強化を図っています。

 次の「クラウド連携」に関しては、ネットワークの仮想化、そして、ID連携によるシングルサインオンをクラウドでも実現します。ネットワークの仮想化は、先ほどの「プラットフォームとしての仮想化」に欠かせないものであり、IPのポータビリティを実現することで、オンプレミス環境とクラウド環境の連携を図る際に重要な役割を果たすことになります。今回それをOS自体に実装しました。

図2 Windows Server 2012の機能強化点
図2 Windows Server 2012の機能強化点
出典:日本マイクロソフト(2012年9月)

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ストレージ集約やBCP対策を実現する機能は幅広い企業にメリットをもたらす

Question

残りの3つに関しては、汎用OSとしての機能強化ということになりますでしょうか?

Answer

日本マイクロソフト株式会社:梅田 成二 氏

そうですね。こちらも仮想化技術をベースとしたものが多くなっていますが、ユーザメリットという点では、どちらかと言えば、より身近な課題を解決する機能強化です。まず「更なるコスト削減」を実現するものとしては、ストレージの仮想化、そして、いわゆるストレージの重複除去機能が挙げられます。

 多くの企業において、サーバの仮想化による集約は進んでいるかと思いますが、ストレージやNAS、ファイルサーバなどは各部門で個別に立てられたままで、しかも、それらの稼働率が非常に低い。場合によっては、10%あるいは5%程度しかなく、全社的に見るとコスト効率が悪く、これを改善するためには何らかの手立てが必要でしょう。そこでサーバOS自体にストレージ仮想化機能を搭載させて、1つの大きなストレージとして扱えるようにしつつ、更にデータ重複除去機能も提供することで、コスト削減に役立てていただこうというわけです。

 次の「事業継続オプション」については、Hyper-Vレプリカ、Microsoftオンラインバックアップサービスによって実現しています。Hyper-Vレプリカは、仮想サーバをカプセル化して遠隔地のサーバへレプリケーションさせるというもので、仕組みそのものは先ほどのライブマイグレーションをベースにしています。特にクラスタ構成をとっておく必要もなく、WAN越しにバックアップを行うことも可能という点が大きな特長で、しかも、本番環境とバックアップ環境のハードウェア構成やスペックが違っても問題ないため、非常に適用範囲が広く、低コストかつ手軽にレプリケーションを導入できます。

 最後の「モバイルワーク」に対しては、VDI性能の向上、Direct Accessによるユーザ操作の不要なリモートアクセス環境の実現などを図っています。仮想デスクトップに関しては、以前はコールセンタなどの定型作業への導入が多かったのですが、今後は様々な職種の方々が活用していくことになるでしょう。ですから、やはり、通常のクライアントPCを使っている場合と同等レベルの使い勝手や快適さを求められます。そういう意味で、ユーザエクスペリエンスを高めるための機能向上を図ると同時に、ユーザの増加でネットワークに負荷がかからないよう、ネットワーク帯域幅をなるべく消費しないようにするための改良も施しています。

Question

小規模・中小企業などをはじめ、Windows Serverの基本的な機能のみを利用している企業でも、Windows Server 2012を導入するメリットはあると言えるでしょうか?

Answer

そうした企業においては、Windows Serverをファイルサーバに活用いただいているケースが多いのではないかと思います。ですから、先ほど紹介したストレージ周りの機能などは非常に大きなメリットにつながると言えるのではないでしょうか。ストレージの仮想化によるデータ集約をうまく活用することで、サーバ台数そのものが減らせることで、節電にもつながりますし、更に保守などのメンテナンスコストも抑えられるなど、波及的な効果が見込めます。

 日本国内では約220万台のサーバが稼働しており、弊社のシェアは73.7%ですから、Windowsで動作しているサーバは国内で150万台程度だと目されます。そのうちの45.6%、つまり74万台ほどが2つ前の世代であり、2010年でメインストリームサポートが既に切れているWindows Server 2003で動作しているのですが、その用途は先ほどのようなファイルサーバ、そして、アプリケーションサーバ、データベースサーバという3つのワークロードが大部分を占めています。

 アプリケーションサーバやデータベースサーバに関しては、アプリケーションの作り替えが発生するために新しいOS環境への移行は難しい、あるいは何らかの理由で避けたいという意識もあり、そのまま稼働されているケースも非常に多いかと思います。そういう問題の解決にはHyper-Vによる仮想化が有効です。今回のWindows Server 2012ではパフォーマンスが大幅に改善され、集約率も向上しておりますので、安心してHyper-Vで仮想化していただくことが可能です。例えば、パフォーマンスに関しては、レスポンスにシビアなソーシャルゲーム会社などでも、Hyper-Vを導入しても十分なレスポンスを得られるという判断を下していただき、採用される事例も実際に出ていますから、是非ともお試しいただければと思います。


●ありがとうございました。


取材協力

日本マイクロソフト株式会社 企業サイトへ

「世界中のすべての人々とビジネスの持つ可能性を最大限に引き出すための支援をすること」というミッションを掲げ、「Windows & Windows Live」「マイクロソフト ビジネス」「サーバー & ツール」「オンライン サービス」「エンターテイメント & デバイス」という5つのビジネス部門で事業を展開している。


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