IntelがUltrabookの仕様に込めた意図とは?

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加

掲載日 2012/09/28

ザ・キーマンインタビュー Ultrabookの仕様に込められた意図とは

昨年、新たなノートPCのカテゴリとしてUltrabook(ウルトラブック)が登場した。既に「第2世代」と呼ばれる製品も続々とリリースされており、具体的な導入検討を始めている企業も少なくないかもしれない。しかし、そもそもUltrabookとはどういうものなのか。インテル クラウド・コンピューティング事業本部 モバイル事業開発部の廣田洋一氏にお話を伺った。

インテル株式会社 企業サイトへ

廣田 洋一 氏

クラウド・コンピューティング事業本部
モバイル事業開発部
廣田 洋一 氏

インテルがUltrabookというフォームファクタを発表した目的とは?

Question

昨年、ノートPCの新たなカテゴリとしてUltrabookが発表され、現在では第2世代の製品が各社からリリースされている状況ですが、そもそも、インテルがUltrabookを発表した目的とはどのようなことなのでしょうか?

Answer

インテル株式会社:廣田 洋一 氏

Ultrabookというものは、いろいろな場所へ持ち運べるよう、本体を可能な限り薄くし、しかも簡単に使うことができるノートPCを想定し、仕様が定められたフォームファクタです。そして、そこには、コンピューティングパワーをもっと身近なものとして利用してほしいという意図が込められています。いわばパーソナルな活用ということですが、それは決してコンシューマを指しているのではなく、ビジネス用途でも同様の考え方が当てはまると思います。

 もちろん、PC=パーソナルコンピュータにはパーソナルという言葉が含まれているわけで、なぜ、いまさらわざわざそんなことを言い出すのかと感じる方もいるかもしれません。しかし、現実問題として、デスクトップPCはもちろん、ノートPCも含めたPC全体でも見ても、いったん机の上などの特定の場所に設置してしまえば、そこから二度と動かさないという使い方が世の中の8割程度を占めていると言われています。つまり、PCを持って歩く人は全体の2割以下ということを示しているわけで、これはやはり、もったいないと言えるのではないでしょうか。どうせなら、常に手元に置いて活用してほしい、そして、それを無理なく実現していただくためには、具体的にどういう性能や姿が必要なのかということをUltrabookの仕様に込めたわけです。

 あとは少しビジネス的な話題に触れさせていただくと、PCの出荷台数が横ばいになっており、その状況をなんとか打破できないだろうかという思いもあります。その理由の1つとしては「PCは共有するもの」というイメージを持っているユーザが少なくないということがあるようです。もちろん、そうした考え方も特に問題があるわけでないですし、共有が適した用途もあるでしょうから、否定するつもりはまったくありません。ただ、やはりPC業界全体のことを考えると、乗り越えなければならない課題であることはたしかです。ですから、Ultrabookというものを提案することで、無理強いすることなく、PCを1人1台持つことのメリットを自然に感じて、理解していただけるとしたら、喜ばしいことだと思います。

Question

常に手元に置いて活用するということを実現するために、本体が薄いという点だけではなく、起動や復帰の速さ、バッテリ駆動時間の長さなども定められているということですね?

Answer

そうです。モバイル用途でも使いやすいかたち、使いやすい仕様になっています。また、Ultrabookは性能についても、最新のインテル (R) Core (TM) プロセッサー搭載を定義しており、フォームファクタにこだわりながらも性能を犠牲にすることなく、持ち歩けることを目指しています。ただ、そうした仕様のもとで、具体的にどのような製品にまとめるかということは、それぞれのメーカーに委ねているのです。それゆえ、各社なりの多種多様な現実解を製品としてリリースしていただいており、バリエーションとしては意外と幅広くなっています。

 そして、もう1つ、重要な点と言えるのが、UltrabookはあくまでもWindows OSを搭載したPCだということでしょう。周辺機器やソフトウェアなど、過去の資産を基本的にはそのまま使えるわけですし、更に企業への導入においては、この利点がより際立つと言えます。つまり、パッケージのビジネスソフトウェアはもちろん、自社やSIerで独自開発した業務用アプリケーションなどもそのまま活用できる可能性が高い。OSはWindows 7、またはWindows 8となりますが、法人向けモデルなど、Professional版OSを採用した製品ではWindows XPモードも利用可能なわけですから。


このページの先頭へ

UltrabookにはPCだからこその利点がある

Question

たしかに、あくまでもPCだからこそ、セキュリティ対策などもくみしやすいとは言えますよね?

Answer

インテル株式会社:廣田 洋一 氏

Ultrabookとして定義されていることは、ほぼハードウェア面ということになりますが、前述のとおり、その上で何を動かせるのか、つまり、アプリケーションというものは非常に大事だと考えています。セキュリティに関しても、既存のWindows PCと同様に、クライアントレベルで対策を行うことも可能でしょうし、システム運用管理側での一元的なポリシー管理なども行えます。

 PCとは異なる端末などを企業に導入する際には、やはりPCとは別の管理ツールが必要になり、最近でこそ、そのあたりも整ってきたかと思います。しかし、登場した当初はやはりそのあたりがあまり整備されておらず、運用管理側としては「ちゃんとしたセキュリティ対策ができないから、一括導入できない」「使ってもいいが、ネットワークにはつながないで下さい」という変なロジックにならざるをえなかった。やむをえないようにも思えますが、おかしな話ではありますよね。

Question

管理がしづらいから、そもそも管理する対象を排除してしまえというのはおかしいというわけですよね?

Answer

セキュリティ対策としては、これまでPCで培われてきた高度なソリューションが数多く存在するわけだから、そうしたものをそのまま利用できれば、それに越したことはないでしょう。しかも、セキュリティをしっかりと確保した上で、モバイル環境から社内システムへアクセスしたり、データを持ち出したりといったことが可能になるわけですから、利便性という点でも大きく異なります。家に仕事のファイルを持ち帰っても問題ないわけですし、出張先からも様々な作業が可能ですよね。

 もちろん、PC以外の新しいものを作り出すということにも意味はあるし、そこから、新しい考え方や新しいスタイルも生まれてくるのだろうと思います。ただ、やはり、これまで培ってきた資産、様々な試行錯誤を経て構築された手法なども大事ですし、極端に言えば、それらが使えなければ意味ないという方も多いのではないでしょうか。


このページの先頭へ

BYODの流れを加速する存在としても期待

Question

PCでありながら、いろいろな場所へ持ち運べ、しかも簡単に使えるというUltrabookの特長は、実際にどのようなメリットを生み出していくのでしょうか?

Answer

インテル株式会社:廣田 洋一 氏

常にPCを持ち歩く、つまり、どこでも仕事ができる環境が実現されてしまうと、どこにいても仕事しなくてはいけない、常に仕事のメールを読んだり、返信しないといけないと、何か追われているような感覚になってしまうものです。十数年前のことにはなりますが、私自身もそうでした。ただ、それは最初のうちだけで、慣れてくると、時間を非常に有効に使えるようになり、いわゆるワークライフバランスがうまくとれるようになっていきます。

 クライアント訪問の合間にいったん帰社するのではなく喫茶店で作業を行ったり、移動中の時間をうまく活用して仕事上で必要な情報を確認することで、仕事に拘束される時間を縮めることができるでしょう。もちろん、時間が空けば空くほど、自ら作業量をどんどん増やしてしまうという悪循環に陥ることもあるわけですが、あくまでも無駄な時間を省くという考え方で取り組めば、自分にとっても、会社にとってもメリットがあるはずです。もちろん、どこでも仕事ができるということは、BCP対策にも有効ですよね。

 ここまで述べたように、Ultrabookはビジネス利用に適していますし、企業への導入もしやすいはずですから、クライアントPCとして一括導入するといったケースも増えてくるでしょう。その一方で、私物の端末を社内に持ち込んで利用する、いわゆる「BYOD(Bring Your Own Device)」という流れを加速する存在にもなるのではないかと思います。BYODはスマートフォンなどの持ち込みをイメージすることも多いですが、そうしたものよりは運用管理側も対応はしやすいはずですから、今後は「Bring Your Own PC」がより一般的になっていくことを期待しています。


●ありがとうございました。


取材協力

インテル株式会社 企業サイトへ

半導体を通じて、人々の仕事と生活を更に豊かにする先進的な技術と製品を開発、提供。主要製品として インテル(R) Core(TM) i7 プロセッサー、インテル(R) Core(TM) i5 プロセッサー、インテル(R) Xeon(R) プロセッサー、インテル(R) Atom(TM) プロセッサー などのマイクロプロセッサー製品、及びフラッシュメモリ製品などを販売している。


このページの先頭へ



◆関連記事を探す

モバイルPC/IntelがUltrabookの仕様に込めた意図とは?」関連の情報を、チョイスしてお届けします

※キーマンズネット内の「モバイルPC」関連情報をランダムに表示しています。

モバイルPC」関連の製品

モバイルPC 盗難・紛失対策サービス 【日立ソリューションズ】 法人MVNOサービスの実態を解説。データシェアやM2M対応が主流に 【ニフティ】 ワイヤレスアダプタ/ワイヤレスVPNルータ 「UNIVERGE WA シリーズ」 【NEC】
MDM モバイル通信サービス ルーター
モバイルPCに対してリモートロックやリモートワイプ等によるセキュリティ対策を提供。盗難にあったPCの回収支援も行う。 気になる法人MVNOサービスの実態を解説――データシェアやM2M対応が主流に LTE回線や無線LANを活用し、多様なネットワーク構築を可能にする企業向けワイヤレスVPNルータ。
無線LAN AP内蔵モデル、LTE通信機能内蔵モデル等を用意。

モバイルPC」関連の特集


もしも会社のPCが紛失したら…。生産性を維持しながら情報漏洩を引き起こすリスクを最大限に低下させるた…



Windows Server 2012はクラウドOSであり、仮想化技術による高度な機能も搭載している…



総額約30億円の未払い残業代の支払いや数億円の未払い賃金が判明したケースなど、勤怠管理の不備や不正に…


「PC」関連 製品レポート一覧

このページの先頭へ

Myリストへ 印刷用ページへ

この記事をtweetする このエントリーをはてなブックマークに追加


この記事に掲載している情報は、掲載日時点のものです。変更となる場合がございますのでご了承下さい。


30005125


IT・IT製品TOP > Ultrabook > PC > ノートパソコン > ノートパソコンのIT特集 > 特集詳細

このページの先頭へ

キーマンズネットとは

ページトップへ