データ/システム保護の機能・技術要件とは

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掲載日 2012/09/27

ザ・キーマンインタビュー データ/システム保護の機能・技術要件

データやシステムの保護にはいくつものレベルがあり、求められる機能や技術も様々だ。どんな障害・復旧シナリオのどのケース、どのレベルには、どんな機能・技術が適しているのだろうか。ストレージベンダで様々なデータ/システム保護機能・技術を提供している日立製作所のキーマンに機能・技術要件をお伺いした。

株式会社日立製作所 企業サイトへ

山本康友氏

情報・通信システム社 ITプラットフォーム事業本部 事業統括本部
企画本部 ストレージ企画部 部長
山本康友氏

データ/システム保護の3つのシナリオ

Question

データ/システムの保護は、ハードウェア障害やアプリケーションエラーなどメインサイト内で復旧できるケース、メインサイトのデータ喪失などでリモートサイトから復旧しなくてはならないケース、メインサイトが使用できないケース(リモートサイトを使用するケース)――の3つの障害・復旧シナリオを想定し、これらが発生した場合にどのようにデータ/システムを保護するかをあらかじめ検討しておくことが必要だとの意見がありますが、これについていかがお考えでしょうか?

Answer

株式会社日立製作所:山本康友氏

それぞれにレベルはありますが、どういった事象からデータやシステム、あるいは業務を守っていくかについては、この3つのシナリオに沿って対策を提案しています。

メインサイト内で復旧できるケースではストレージが使用可能な状態で残っていますので、対策としてはストレージ内に同じ内容、容量のレプリカを作成する物理的なバックアップと、指示時点のスナップショットを取る論理的なバックアップの組み合わせとなります。

データの保管については、信頼性が高く、管理・運用面の負担が少ないディスクバックアップを提案しています。確かにテープは低コストですが、重複排除技術を使えばディスクのビットコストを下げられますし、弊社のエンタープライズ向けストレージシステムが搭載しているストレージデバイスやストレージ階層の仮想化機能を使って、安価なストレージデバイスにバックアップを保存するといったやり方も利用できます。管理・運用面までを含めたトータルコストで考えれば十分競争できると考えています。

Question

リモートサイトから復旧しなくてはならないケースについてはいかがでしょうか?

Answer

発想はローカルバックアップと同じで、違いはデータの保管場所がローカルではなくリモートだということぐらいです。やり方も、サーバを介して行う方法や、ストレージ間で直接やり取りする方法などがあります。距離に制約はありますが、先ほど述べたストレージデバイス/ストレージ階層の仮想化機能を使ったバックアップデータの保存先をリモートにしておくこともできます。

3番目のメインサイトが使用できないケースには2通りあると思います。1つは、リモートサイトにシステムの運用を移行させなくてはならないケース、もう1つは壊れた機器をリプレースすればメインサイトが復旧できるケースです。企業によっては、メインサイトで業務処理を続けたいというところもあるでしょう。その点ストレージデバイス/ストレージ階層の仮想化機能を搭載したエンタープライズ向けストレージシステムでは、壊れたストレージシステムを入れ替えればリモートに保管したバックアップデータを使って復旧できます。

ファイルベースのデータの場合は、コンテンツクラウドソリューションも利用できます。このソリューションは各拠点のファイルストレージ(Cloud on-Ramp:クラウドへの入り口)とデータセンタのバックアップ/アーカイブストレージを連携させ、アクセス頻度やポリシーなどに合わせてファイルをストレージ間で自動的に移行させるというものです。ユーザはファイルをありかを意識することなく透過的に利用でき、またデータはデータセンタでバックアップやアーカイブが取られているので、万一災害などで拠点のストレージが破損した場合でも、そのストレージをリプレースするだけで直ちに復旧できます。


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透過的なクラウドバックアップ/アーカイブが今後の主流に

Question

コンテンツクラウドではデータセンタがクラウド的な位置づけになりますが、これが行えるのはオンプレミスのデータセンタだけでしょうか? それともクラウドサービスとしても利用できるのでしょうか?

Answer

どちらの形態でもご利用いただけます。弊社のクラウドサービスではコンテンツクラウドをサービスとして提供しているので、弊社の拠点用ファイルストレージを導入するだけで手軽にこのバックアップ/アーカイブサービスを利用できます。

Question

コンテンツクラウドのように個々のストレージの背後にクラウド的なデータセンタあるいはクラウドサービスがあり、ローカル/リモートの区別やバックアップ/アーカイブを意識することなく運用できるこのデータ保護の形態は、今後主流になっていくのでしょうか?

Answer

ファイルストレージでは、既にそれが可能なレベルに来ています。それに対し、ブロックストレージではまだそのレベルには至っていません。ファイルストレージではある程度のリード/ライト遅延は許容されますが、ブロックストレージにはミリ秒オーダーのレスポンスが求められるので、それが可能になるにはまだいくつもの工夫が必要だと思います。このため当面の間はブロックストレージはローカルに置かれ、様々な手法でリモートにバックアップが保管される、といった形になるでしょう。ただし、進化の方向性としてはそちらに向かっていくと考えています。

図1 コンテンツクラウドソリューションの概要
図1 コンテンツクラウドソリューションの概要
資料提供:日立製作所

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同期と非同期を組み合わせた究極のDR体制

Question

先ほど3番目のメインサイトが使用できないケースのうち、壊れた機器をリプレースすればメインサイトが復旧できるケースについてお話いただきましたが、リモートサイトにシステムの運用を移行させなくてはならないケースについてはいかがでしょう?

Answer

株式会社日立製作所:山本康友氏

求められる事業継続性のレベルに合わせて、非同期リモートコピー、同期リモートコピー、3データセンタ方式を提案しています。

非同期リモートコピーは、ジャーナル(更新履歴)やスナップショットをリモートサイトに転送し、それに基づいてリモートサイトの更新処理を行うことで、メインサイトの更新処理とは非同期で両者のデータを一致させる方式です。この方式は同期リモートコピーよりも通信遅延の影響を受けにくいため、リモートサイトがメインサイトから遠く離れた場所にある場合に適した方式です。その反面、実データは非同期でやり取りされるため、同期リモートコピーに比べてRPO(Recovery Point Objective:復旧時点目標)/RTO(Recovery Time Objective:復旧時間目標)は長くなります。

一方同期リモートコピーは、メインサイトとリモートサイトの更新処理を同期で行うためRPO/RTOを最短化できます。しかし両サイト間の通信遅延がシステムのレスポンスに直接影響してくるため、都内と関東近郊などのように両サイトを比較的近くに置く必要があります。

3データセンタ方式は、非同期リモートコピーと同期リモートコピーを組み合わせたものです。近い場所にあるサイト間は同期、遠隔地のサイトとの間は非同期でリモートコピーし、RPO/RTOの最短化と大規模・広域災害時のDR(Disaster Recovery:災害対策)を両立させます。金融系など一瞬たりとも業務処理を止められないシステムのDRに適していますが、高コストになります。このため一般的には、非同期リモートコピーか同期リモートコピーかのどちらかを選択してもらう形になります。

図2 3データセンタ方式によるDRソリューション
図2 3データセンタ方式によるDRソリューション
資料提供:日立製作所

Question

震災以降、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)やDRへの意識が高まっています。しかしその一方で、予算をなかなか確保できないためバックアップの改善やDR体制の構築がなかなか進まないという状況もあるようです。これについてどのようにお感じでしょうか? また、どうしていけばいいでしょうか?

Answer

DR体制構築の機運は高まっており、高コストな3データセンタ方式も、金融やクラウドサービス事業者などに業種は限られますが、検討の遡上に上がるようになってきました。とはいえ、3データセンタ方式レベルの事業継続性を求めるお客様は少ないですし、2データセンタでBCPを支援する体制を構築することがまず先決でしょう。また、データセンタのデータ/システムの保護だけでなく、各拠点のデータをいかに守っていくかも重要です。

DRサイトなどと表現されますが、DR専用のサイトを自前で持てる企業はほとんどありません。これまでと同様にオンプレミスの場合は遠隔地の拠点を相互にDRサイトに見立て、両拠点のシステム資産をDRにも兼用するか、単なるホスティングになるかプライベートかパブリックかは分かりませんが、クラウドにDR機能を統合していく形が主流になっていくでしょう。


●ありがとうございました。


取材協力

株式会社日立製作所 企業サイトへ

1910年に創立された総合電機メーカー。ITで高度化された社会インフラを提供する「社会イノベーション事業」を軸に、グローバル市場で多岐にわたるビジネスを展開している。情報・通信分野においては、サーバ、ストレージ、ネットワークなど、ITインフラとそのオペレーションに注力するほか、クラウドサービスやビッグデータ活用でも先進的な取り組みを行っている。


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