重複排除がバックアップ手法を変える!

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掲載日 2012/09/13

ザ・キーマンインタビュー 重複排除がバックアップ手法を変える!

重複排除は単なるデータ削減技術ではない。仮想化やビッグデータといったコンピューティングの変化に対応できなくなってしまった既存のバックアップアーキテクチャの限界を打破する革新的技術、それが重複排除であるという。その意味するところは何か。EMCジャパンの村山雅彦氏に聞いた。

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鈴木 雅喜氏

BRS事業本部 事業推進部
部長 村山雅彦氏

RPO/RTOと投資/損失コストとのバランスで採用技術を検討する

Question

東日本大震災を機にDR(Disaster Recovery:災害復旧)やBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)に対する企業の意識は急速に高まっていますが、データやシステムの保護に関して、企業はどんな課題を持っているのでしょうか?

Answer

EMCジャパン株式会社:村山雅彦氏

データやシステムの保護、つまりバックアップは非常に古いテーマで、それこそコンピュータが登場して以来、ずっとついて回っているテーマです。ただ、バックアップはシステムの副次的なコンポーネントであり、アプリケーションなどの主たるコンポーネントから切り離してバックアップだけを検討することは、これまであまり行われていませんでした。言い方を変えると「テープに取っておけば何とかなるだろう」と考えられていたのです。

近年ハードディスクの価格が急速に下がり、テープの代わりにハードディスクをバックアップメディアに使おうという動きが出てきています。しかし、ハードディスクの価格低下を上回るスピードでデータの大容量化が進んでいます。また、仮想化の普及により、コンピューティングの考え方や使われ方、アーキテクチャも変わってきました。言わばコンピューティングの根本が変わってきているのに、バックアップは依然としてテープを前提としたアーキテクチャのまま。これを変えないことにはビッグデータや仮想化といった大きな変化の流れについていけず、そのためにテープから重複排除へとバックアップアーキテクチャを革新していく必要があると考えています。

Question

バックアップアーキテクチャの革新については改めてお聞きしますが、その前に企業は発災に備えてどんなデータ/システム保護対策を考えておくべきかをお聞かせ下さい。

Answer

被災シナリオを明確にすることが、データ/システム保護対策のスタートポイントだと考えています。被災シナリオはいくつも考えられますが、復旧パターンで大きく分けると、ローカルサイト内で復旧できる場合、リモートの災害対策サイトにバックアップしておいたデータ/システムをローカルサイトに戻して復旧する場合、ローカルサイトが使えなくなり、リモートサイトでシステム運用を継続しなくてはならない場合――の3つがあるでしょう。この3つの復旧パターンに対して、それぞれのシステムはどれほどのRPO(Recovery Point Objective:復旧時点目標)/RTO(Recovery Time Objective:復旧時間目標)が必要とされるかや、そのために投資できる費用はどれくらいかなどを考え合わせながら、バックアップ、レプリケーション、フェイルオーバー/フェイルバックによる自動化のどの技術がもっとも適しているかを検討し、お客様に提案しています。

Question

提案はもちろんケースバイケースでしょうが、一般論として言えるデータ/システム保護対策のモデルはあるのでしょうか?

Answer

RPO/RTOがともに一番長いのが、テープ搬送の時間が余分にかかるテープのリモート保管です。次はテープによるローカルバックアップ、その次がハードディスクによるローカルバックアップとなります。ディスクバックアップはテープバックアップに比べ、RPOは日々のシステム静止点でバックアップを取るためさほど差はありませんが、RTOは大幅に短縮化できます。(図1)

バックアップよりRPO/RTOが短いのがレプリケーションで、非同期のディスクミラーリングでは同期間隔分のRPOが生じるものの、同期ディスクミラーリングや継続的データ保護(CDP)ではRPOを最短ゼロ秒にすることができます。RTOが同期ディスクミラーリングやCDPよりも短いのは自動化で、ホットスタンバイしている予備システムへの切り替え時間がRTOとなります。

一方コストはRPO/RTOを短くすればするほど高額になっていきます。データの可用性(RPO)及びシステムの可用性(RTO)を担保するためのコストとデータ損失にともなうコスト、システム停止にともなうコストを模式化したのが図2で、保護したいアプリケーションがこの図のどのあたりに位置づけられるかを考えながら、採用する技術やコストのバランスを検討することをお勧めしています。

ちなみにアプリケーションには、様々なシステムのデータが相互に連携しているため、各システムの静止点でバックアップを取らないと正しくデータを保護できないものや、最新のデータさえ守れていれば過去の世代のバックアップやスナップショットはいらないものなど様々なタイプがあります。このため、何からどのデータをどう守りたいのかをきちっと整理・分類しておくことも重要でしょう。

図1 データ/システム保護技術とRPO/RTO
図1 データ/システム保護技術とRPO/RTO
資料提供:EMCジャパン
図2 データ/システム保護技術とRPO/RTO、投資/損失コストの関係
図2 データ/システム保護技術とRPO/RTO、投資/損失コストの関係
資料提供:EMCジャパン

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経営層にバックアップ改善の必要性を理解してもらうためには…

Question

経営層の理解が得られず投資がなかなか増えないため、とりあえずテープにバックアップ、といった状況が続いている企業も多いようです。それについてはどのようにお考えでしょうか?

Answer

EMCジャパン株式会社:村山雅彦氏

震災以降バックアップに対する意識や意欲は高まっており、「お守り」のような感覚でバックアップをとらえている経営層はずいぶん減ったように感じます。しかしその一方で、「テープに取っておけば何とかなるだろう」と考えている人が少なくないことも承知しており、この辺の意識改革は今後も課題だと考えています。

経営層の理解を得るきっかけの1つになると考えているのは、省庁や業界団体のBCP策定ガイドラインや法規制です。政府がまとめたガイドラインでは、計画したRTO/RPO/RLO(Recovery Level Objective:復旧レベル目標)を満たせるようにシステム構成や手順を確立することが推奨されていますし、金融業、建設業、公共団体、中小企業などセクター別のガイドラインも複数の省庁や業界団体からリリースされています。バックアップの改善が進まないのはどうしたらいいかわからないから、といった点もあるかと思いますので、このようなガイドラインは非常に有益だと思います。

バックアップとは関係ないように思われるかもしれませんが、個人情報保護法も経営層の理解を得るきっかけの1つになると考えています。経産省のガイドラインでは、登録されていた個人データがシステム障害によって破損し、更に採取したつもりのバックアップも破損していて個人データを復旧できず、当人がサービスを受けられなくなった場合は「必要かつ適切な安全管理措置を講じているとはいえない」と認定され、関係省庁への報告義務や公表義務が生じます。個人情報をいかに守るか、そのために個人データをどうやって守るかをきちんと考えておかないと、会社の信用を棄損したり、存続にかかわる問題にもなりかねないからです。

Question

経営層にバックアップ改善の必要性を理解してもらうための材料は、ほかにもありますでしょうか?

Answer

弊社が外部に委託して行ったデータ損失及びシステムダウンに関する調査によると、日本では過去1年間に5割の企業がデータ損失及びシステムダウンを経験しており、データ損失は平均624GB、システムダウンは平均2日という結果になりました。また、これによって「従業員の生産性が低下」(38%)、「製品・サービス開発の遅延」(24%)、「顧客からの信頼・信用が低下」(22%)、「収益の損失」(17%)、「ビジネスの拡大機会を損失」(16%)、「顧客の喪失」(16%)などが生じ、56%の企業が「障害時の対応策をレビューし改善」、29%が「ITシステム投資額を増額」しています。

企業の半数が経験し、このような損害が生じてから投資額を増額するのであれば、何かが起きる前にきちんと対策しておきましょうというのも十分説得力のある材料になるのではないでしょうか。


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テープから重複排除へ。バックアップアーキテクチャの変革期が来ている

Question

「お守り」ではなく実効性のあるバックアップにしていくために、企業はどんな取り組みをしていくべきでしょうか?

Answer

EMCジャパン株式会社:村山雅彦氏

バックアップはデータを保管することが目的ではなく、いざという時にちゃんと復旧できるようにすることが目的のはずです。そういう意味でテープは、メディアの信頼性はハードディスクに到底及びません。また、書き込んだデータを安定して読めるようにしておくためには、湿度管理やほこり対策などが施された場所に保管しなくてはならないなど運用にも手がかかります。リストアを前提に考えると、選択すべきメディアはテープではなくハードディスクとなります。

ハードディスクの価格はどんどん下がっていますが、それ以上のスピードでデータの大容量化が進んでいます。そこでキーとなってくるのが、データ容量を削減し、データ転送効率を高めることができる重複排除技術です。しかも、テープからハードディスクにメディアを置き換えるだけでなく、バックアップの根本を革新できるというのが重複排除技術のコアバリューなのです。

Question

テープから重複排除へとバックアップアーキテクチャを革新していく必要があるとの意見を先ほどお伺いしましたが、重複排除技術によってバックアップの考え方やあり方が変わるということでしょうか?

Answer

テープからハードディスクにメディアを置換する技術にVTL(Virtual Tape Library:仮想テープライブラリ)があります。VTLデバイスに重複排除ストレージを使用するだけでも大きな効果がありますが、しかしこれはテープアーキテクチャのままデバイスを重複排除ストレージに置き換えただけに過ぎません。

これに対し重複排除アーキテクチャでは、バックアップにメディアサーバを介在させる必要がありません。サーバやクライアント側でデータを重複排除し、そのデータを直接重複排除ストレージに書き込めるようになります。サーバ/クライアント側で重複排除したあとのデータを転送するのでネットワークのボトルネックを解消できますし、送られてきたデータを重複排除ストレージで更に重複排除するので、必要となるディスクスペースを更に削減できます。

重複排除アーキテクチャのメリットを示す好例が仮想化環境でのバックアップでしょう。例えば1台の物理サーバの中に10の仮想サーバがあったとします。その10の仮想サーバが同時にバックアップジョブを走らせるとCPU、ディスク、ネットワークといったリソースをお互いに奪い合ってしまい、バックアップウィンドウの間にバックアップが終わらないという事態も起こりかねません。しかし重複排除アーキテクチャなら仮想サーバの方でデータをそぎ落とし、必要なデータだけを送信するので、ディスクやネットワークの負荷が格段に少なくなります。このように重複排除を前提にするからこそ、今までとは違う考え方やあり方でバックアップが行えるようになるのです。

図3 重複排除中心のバックアップ
図3 重複排除中心のバックアップ
資料提供:EMCジャパン

Question

重複排除アーキテクチャは、リモートオフィスやクライアントPCのリモートバックアップにも適用できるのでしょうか?

Answer

言葉では簡単に「リモートバックアップ」と言えますが、テープアーキテクチャのバックアップではネットワークの帯域が足りず、バックアップジョブが途中でフェイルしてしまうなど実用上の問題がありました。クライアントPCのリモートバックアップも同様です。しかし重複排除アーキテクチャならネットワークの負荷を格段に減らせるため、リモートバックアップを実用できます。

例えば弊社社員のPCのデータは、重複排除バックアップソフトのAvamarでインドのデータセンタにバックアップされています。インドに転送してバックアップできるくらいなので、それほど太い通信回線が必要ではないことがお分かりいただけるでしょう。

このように、バックアップアーキテクチャがテープから重複排除に換わることによって、バックアップのあり方はドラスティックに変わります。テープを前提としたバックアップの限界を打破できる革新的技術、それが重複排除なのです。


●ありがとうございました。


取材協力

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企業のビジネスに役立つ包括的な情報インフラストラクチャを提供する総合ITベンダ。広範な階層型ストレージプラットフォーム/テクノロジーをはじめ、アーカイブ、バックアップとリカバリ、ビジネスの継続性と可用性、コラボレーション、コンテンツ管理、データ移行、リソース管理、仮想化などのビジネス課題に対応するための情報インフラストラクチャソフトウェアなど、幅広いソリューションやサービスを展開している。


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