シトリックスが提案するオープンなクラウド

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掲載日 2012/09/04

ザ・キーマンインタビュー シトリックスが提案するオープンなクラウド

「CloudStack」「OpenStack」など、クラウド(IaaS)構築を実現するオープンソースソフトウェア(OSS)がいくつも登場し、それぞれに注目を集めている。デスクトップ仮想化ソリューションを主に手がけてきたシトリックスでは、「CloudStack」を保有していたCloud.comを昨年7月に買収し、現在ではその商用版を核としたクラウドソリューションを展開している。同社のクラウド戦略などについて、マーケティング本部 プロダクトマーケティング ソリューション マーケティング マネージャー 北瀬公彦氏にお話を伺った。

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北瀬 公彦 氏

マーケティング本部 プロダクトマーケティング
ソリューション マーケティング マネージャー
北瀬 公彦 氏

デスクトップ仮想化と並ぶ、もう1本の柱としてクラウド構築ソリューションを展開

Question

貴社では、これまでワークスタイルの多様化を実現する仮想化/リモートアクセス製品を主体として事業を展開してきた一方で、現在ではクラウドソリューションにも注力されていますが、全体としてはどのような戦略で取り組まれているのでしょうか?

Answer

おっしゃるとおり、弊社はこれまでデスクトップ仮想化ソリューションを中心に事業を推進してきました。更に最近では、より柔軟なモバイルワークスタイルの実現というメッセージを前面に押し出し、スマートフォンやタブレット端末などを含む、より幅広いデバイスや環境から仮想デスクトップへ安全・快適にアクセスできるソリューションを展開しています。今後も、こうしたデスクトップ仮想化分野が事業の柱であることに違いはありません。そして、それとは別のもう1本の柱がクラウド分野ということになります。

Question

その2本の柱が事業の中心になっていくということですが、相互に連携も図っていくことになるのでしょうか?

Answer

将来的には、例えば仮想デスクトップの基盤をクラウド上に配置するためのソリューションなどを提供していくことになっています。これは「Project Avalon」と呼ばれるプロジェクトで、5月に米国で開催した弊社の年次カンファレンス「Citrix Synergy 2012」、7月に東京で開催した「Citrix iForum 2012 Japan Empowaring mobile workstyle & cloud service」などでも紹介しましたが、弊社のデスクトップ、モバイル、クラウドといったすべてのソリューションを1つにまとめていこうというものです。

Question

現在、クラウド分野に関しては、どのような方向性で製品を展開しているのでしょうか?

Answer

「Amazon(EC2)ライクなクラウドを簡単に構築できる」とよく表現しているのですが、プライベートクラウドを構築したい企業のIT管理者、あるいはパブリッククラウドを提供したいサービス事業者などが、エンドユーザ向けサービス提供基盤を容易に実現できるソリューションを主に展開しています。

Question

貴社では、オープンソースソフトウェア(OSS)のクラウド構築・運用基盤「CloudStack」を手がけてきたCloud.comを昨年7月に買収していますが、それをベースに構築されたソリューションということですよね?

Answer

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社:北瀬 公彦 氏

そうです。「CloudStack」は今年4月にApache Software Foundationへ寄贈したため、現在はApache License 2.0のもとで提供されており、弊社ではその商用版として「Citrix CloudPlatform」をリリースしています。「Citrix CloudPlatform」はハイパーバイザを管理するためのクラウド基盤ソフトウェアですが、インスタンスの作成・起動だけではなく、従来は管理者が行っていたネットワークの構成、ロードバランサの追加、ファイアウォールのポート開放といった作業も含めて、エンドユーザが自分の手で容易に行えるセルフサービス型のWebポータルを提供します。「Citrix CloudPlatform」では、マルチテナント型のクラウドサービスを構築できますから、エンドユーザ、クラウド管理者に加えて、各テナント管理者向けのセルフサービスポータルも用意しています。

 更に、エンタープライズクラスのクラウドネットワークを構築するためには、高速な負荷分散、SSLアクセラレーション、あるいはディザスタリカバリのためのグローバルサーバロードバランス(広域負荷分散)といった機能も必要ですし、クラウドサービスプロバイダの方々は課金システムやCRMサービス、アカウント管理などが不可欠でしょう。ですから、そうした機能を統合的に提供する製品も含めて、弊社のクラウドソリューションとして提案しています。

 ただ、決してすべてをCitrixで固めてほしいというわけではなく、オープンソースならではの「ベンダロックインの回避」という利点もそのまま継承しています。例えば、ハイパーバイザに関しては、自社製品の「Citrix XenServer」だけではなく、VMware vSphere、Hyper-V、KVM、Oracle VMといった複数のハイパーバイザを単一のクラウド内で利用可能です。あくまでも、複数の異なるテクノロジーをサポートし、それらを透過的に1つのリソースとしてコントロールできるようにするオープン性を最大の特長としています。

図1 クラウド基盤ソフトウェアのアーキテクチャ概要
図1 クラウド基盤ソフトウェアのアーキテクチャ概要
出典:シトリックス・システムズ・ジャパン

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なぜ、OSSのクラウド基盤ソフトウェアが注目を集めているのか

Question

オープンソースソフトウェアのクラウド基盤ソフトウェアが注目を集めているのは、どういった理由からだと思われますか?

Answer

どんな分野にせよ、サービスを提供する立場の方々は「できる限りコストをかけずに良質なものを」という永遠の課題を抱えているかと思います。日本でも海外でも、クラウド、とりわけIaaSという分野においては、大手のサービス事業者やITベンダなどが続々とサービス提供に進出している状況ですから、それらと競合しなければならないクラウドサービス事業者はオープンソースソフトウェアなども積極的に取り入れ、そこから独自のサービスを生み出したり、イノベーションを起こしていかざるをえないという状況でしょう。

Question

「Citrix CloudPlatform」のような、オープンソースのクラウド基盤ソフトウェアをベースとした商用版はどういったユーザが導入することが多いのでしょうか?

Answer

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社:北瀬 公彦 氏

自社でプライベートクラウドを構築しようという大企業などにおいては、やはり、オープンソースソフトウェアをそのまま導入するのではなく、サポートやドキュメンテーション、あるいは要望に応じてコンサルティングなども提供される商用版を導入するケースが大勢を占めています。そういった場合には、クラウド基盤自体のコストを抑えたいという理由もあるにはあるでしょうが、それよりもむしろ、先ほどもお話したようにベンダロックインを避けたいという思惑があるのではないでしょうか。

 例えば、サーバ仮想化などのソフトウェアにおいては、「価格が高い」「ライセンス体系が複雑」という不満を持っている方が、バージョンアップを契機にリプレースを検討することもめずらしくありません。オープンソースベースの商用版を利用してクラウド基盤を構築しておけば、仮想化ソフトウェアを変更したり、別の製品を追加したとしても、そのまま同じサービスを提供し続けられる可能性が高いというわけです。

 また、弊社の顧客には大学などの教育機関・公的機関なども少なくありません。そうしたユーザには「ソースが見られないものは使いたくない」というマインドが存在しますが、アカデミッククラウドというかたちで、各研究室向けにセルフサービスポータルを持ったクラウドサービスを提供すべく、大々的にクラウドプラットフォームを導入するというケースが増えています。その場合にはやはりサポートが必要ということで、商用版が選ばれているようです。


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「CloudStack」対「OpenStack」という構図で扱われがちだが…

Question

「Citrix CloudPlatform」のベースになっている「CloudStack」はどういった特長を持っているのでしょうか?

Answer

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社:北瀬 公彦 氏

そういう意味では、例えばもう1つのOSSクラウド基盤である「OpenStack」と並べて、「CloudStack」対「OpenStack」といった構図などで扱われることも多いのですが、「CloudStack」と競合するのは、「OpenStack」すべてというわけではなく、一部のプロジェクト、つまり、仮想マシンやネットワークの管理を主に担う「Nova」周りと言えるでしょう。ですから、例えば「CloudStack」で、「OpenStack」のストレージインフラである「Swift」を使うことも可能です。

 いずれにせよ、「OpenStack」はこうした複数のプロジェクト、しかも、様々なコミュニティで開発されたものの集合体だと私自身はとらえています。機能的にはたしかに似ていますが、概念的には異なるものですし、あまり比較するのは意味のないことだと思います。

 「CloudStack」の特長としては、コンパクトにまとまったソフトウェアであり、それゆえにインストールすればすぐに使えるという点が挙げられるでしょう。弊社では「Citrix CloudPlatform」を使ってプライベートクラウド構築を行うハンズオンセミナーも開催していますが、環境さえ整っていれば、たいていの場合、1時間もあれば使える状態まで到達できます。

 また、「Citrix CloudPlatform」の概要でも、エンドユーザや管理者など、各々のユーザに応じたポータルを提供でき、しかも、ネットワークの構成などもWeb画面のGUIから簡単に行えるといった特長を紹介しましたが、当然ながら、これらは「CloudStack」にも共通しています。

 更に、実際に「CloudStack」ベースのクラウドサービスを展開している事業者も既に多く存在しますし、大企業での導入例も決して少なくありません。このように、既に多くの実績を有しているということも、これから導入しようという方には大きなメリットだと感じられるのではないでしょうか。


●ありがとうございました。


取材協力

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「企業情報へのアクセスをシンプルにする」という企業ビジョンのもと、1989年に設立。デスクトップ仮想化、アプリケーション配信といった製品をはじめ、セキュアで途切れることなく情報にアクセスするための企業向けソリューションを提供している。


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