ソーシャル浸透はボトムアップ型が主流に?

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掲載日 2012/07/17

ザ・キーマンインタビュー ソーシャル浸透はボトムアップ型が主流に?

FacebookなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)では、ご存じのとおり、個人がアカウントを作成し、ユーザどうしでつながりを持ったり、グループを作るという流れが一般的だ。同様に、最初からビジネス利用を想定しつつ、個人単位での無料登録が可能になっており、仕事相手との関係構築やコラボレーションに活用できるツールもいくつか登場している。そのうちの1つであるクラウドサービス「SkyDesk」を提供する、富士ゼロックス 新規事業準備室の小栗伸重氏にお話を伺った。

富士ゼロックス株式会社 新規事業準備室 企業サイトへ

小栗 伸重 氏

プランニング&マーケティンググループ
マネジャー
小栗 伸重 氏

コアな業務プロセスに組み込まれなければ、浸透することは難しい

Question

企業におけるコラボレーション環境を総括した場合、どのような課題や限界が浮上していると考えますか?

Answer

富士ゼロックス株式会社 新規事業準備室:小栗 伸重 氏

例えばグループウェアなどでは、これまでは部門単位、あるいは、拠点/事業所単位といった物理的な組織範囲に応じたかたちで導入するというケースも少なくなかったと思います。つまり、情報共有というものは、その中だけで完結してればよかったかもしれないのですが、ご存じのとおり、最近では様々な意味でビジネスの変革が生じており、そうしたかたちのままではやはり限界があると感じます。ほかの企業と協業を行う場合はもちろん、企業の変革に取り組んだり、新しいビジネスのかたちを生み出そうという際にも、組織間や部門の間に壁が存在していたりするような状況では、なかなかうまくいかないでしょう。

 そうした状況の中、これまでは組織の壁を超えて社内全員で使えるコミュニケーションツールとして、あるいは社外とのやりとりを行うために、電子メールが使われていたのですが、機能的に見れば、既に不十分になってきています。インフラ面では確実に届くというレベルまで整備されましたが、届いたとしても相手が開いてくれなければ内容は伝わりませんし、返信されるまで内容が伝わったかどうかも分かりません。いわゆるリアルタイム性があまりないため、電子メールですべてをカバーするのは難しくなってきているのではないでしょうか。

 そういう部分を補完する意味で、現在ではエンドユーザへの情報提供などに使われる程度でしょうが、TwitterやFacebookなども使われ始めており、コミュニケーションツールは多様化しつつあります。ただ、道具の種類があまりにも増えてしまうと、業務利用の場合は、それはそれで問題になる可能性がありますし、更にコミュニケーションに使われる端末も多様化していますので、「ツールの種類×端末の種類」と考えると、コミュニケーションのスタイルが、むしろ“複雑化”の域に達してしまうので、道具を提供する側も、使う側も、どう対応していくかという課題が出てきてしまいます。

Question

一方でTwitterやFacebookなどは、個人レベルではともかく、本格的に企業内での情報共有やコラボレーションに活用するには適さないとも言われていますが、いわゆる“エンタープライズソーシャル”を考えた場合には、どういった要素が不足していると考えられるでしょうか?

Answer

どんなに優れた機能が揃っていたり、最先端のリッチなユーザ体験を提供してくれたとしても、それがビジネス向けに設計されていなければ、やはり仕事には使いづらいというのが、私個人としての結論です。コンシューマで使われることを想定した場合と、ビジネスで使われることを想定した場合では、情報公開の考え方、人と人とのつながりの構築のしかたなどが全く違ってきます。

 ただ、エンタープライズソーシャルなどと呼ばれるものが認知されるためには、多くの人々が個人レベルでTwitterやFacebookなどを利用することが重要な鍵になることも確かでしょう。ソーシャルメディアに接することで、その道具としての有用性が共通理解として広まっていき、根付いていく。それに加えて、企業の管理側における「認識を変えなければいけない」「コミュニケーションを変革していかなければならない」という意識の強まりという、もう1つの流れが融合した時に、本格的にエンタープライズソーシャルが認知されて、普及段階に入っていくのではないかと思います。

Question

現状では、エンタープライズソーシャルはまだまだ普及していない状況と言えるかと思います。ただ、これまでにもクローズドSNSなどの、似たような目的を実現するための製品は存在していましたが、なかなか定着するまでに至っていないのは、どういう理由からだと考えますか?

Answer

理由はいろいろあるかと思いますが、既存の業務システムを全体的に見直そうという流れの中で入ったのではなく、それらとはまったく別物として、「少しカジュアルなコミュニケーションをする場」のようなかたちで導入するケースが多かったのかもしれません。企業活動のコアな業務プロセスに組み込まれておらず、「あってもいいのでは?」などという考え方で導入されたとしたら、どんなツールにせよ、長続きしないのも無理はないと言えるのではないでしょうか。


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社外と共同作業を行う際にも、そのまま円滑に仕事ができる環境を構築しておくべき

Question

エンタープライズソーシャルというものを考えた場合、まず基本として備えていなければならない要件はどのようなものだとお考えですか?

Answer

富士ゼロックス株式会社 新規事業準備室:小栗 伸重 氏

1つ目は、プロジェクト型の協業を実現するための場を提供できることではないでしょうか。私たちは「プロジェクト協業」と呼んでいますが、社内の組織間だけではなく、複数の企業、あるいは企業と大学の研究室などが集って、何らかのプロジェクトを起こそうという時、容易に“つながる”ことができる情報共有の場をいかに迅速に構築できるかということが重要になります。具体的には、スケジュール管理、タスク管理なども欠かせませんが、更にドキュメントを共同編集したり、その内容を互いに承認したりといった機能の充実も求められるでしょう。

 2つ目は、先ほどの企業の業務プロセスに組み込まれるべきという話につながりますが、営業活動の効率化、あるいは顧客情報管理といった領域にコミットしていく、そうした活動を変革していく機能を有しているということが重要ではないでしょうか。中小規模で特に顕著と言えるかもしれませんが、企業においては内部のコスト削減も重要ですが、それよりも具体的に「商談を取る」「売上を高める」「顧客を確保して、しっかり接点を維持する」ことに重きを置くことも多いでしょう。そして、それらを個別に効率化しようと、営業支援、商談管理、カスタマーサポート、マーケティング支援などの領域に属する様々なツールが存在し、しかも、バラバラに進化してきたような状況にあると思います。ただ、企業の導入視点でみると、ツールの進化は関係なく、顧客コミュニケーションの軸を一気通貫で効率化できるということが大事なわけですから、ツール側としてもそういう要求に応える必要があるかと思います。

Question

社外とのコミュニケーション/コラボレーションに対応できるということも重要と言えるでしょうか?

Answer

そう思います。弊社ではビジネスコラボレーションサービス「SkyDesk」を提供していますが、もともとは中小規模以下の企業向けに提供していくことを想定していました。しかし、大企業からも思った以上に使いたいという声をいただいています。いろいろとお話を伺っていると、ほかの企業とのアライアンスベースで新しい事業を立ち上げるといった機会が多くなっており、大企業といえども内部だけで完結できないことが増えているというのが実情のようです。今後はグローバル化などもいっそう進んでいくはずですから、社外と共同で作業を行う際にもそのまま円滑に仕事ができるようなコミュニケーション/コラボレーション環境を、いまのうちに構築しておくことが必要ではないかと感じます。

Question

貴社の「SkyDesk」の場合、ユーザ登録自体は無料という仕組みになっており、社外のユーザとのやりとりにも活用しやすいという利点があるかと思います。そのあたりは最初から狙ったものなのでしょうか?

Answer

そういう側面もありますが、もともとの意図は、まず、ユーザ企業が導入しやすいかたちにしたいということです。特にクラウドサービスでは、既存の環境から一気に移行するのは大変ですし、どの程度の情報をそこへ移すか、既存のシステムをどの程度残すかという吟味も必要でしょう。そのため、まずは無料で導入し、徐々に使い込んでいきながら、ユーザ企業自身の目線で従来の環境からの移行、あるいは使い分けを検討していただければよいのではないかと。そして、もう1つはユーザ企業にとってはあまり関係のない部分ですが、無料で使えるゾーンを設けることで、弊社側での営業工数が減らせるというメリットもあり、これにより無料や低価格でのサービス提供を可能にし、最終的にはやはりお客様のメリットに還元したいと考えています。

Question

貴社のサービスではスマートデバイスにも対応していますが、スマートデバイスでの利用比率も既に高いのでしょうか?

Answer

具体的な数は把握していないのですが、問い合わせのきっかけがスマートデバイス利用ということは結構多いようです。多くの企業でスマートデバイスの業務利用を検討し始めているかと思いますが、ただデバイスだけを導入すれば済むというものでもありませんから、「SkyDesk」のように、ビジネスコラボレーションで必要となる多彩なツールをスマートデバイスにもワンストップで導入できるサービスへの関心度が高まっていると言えるかもしれません。


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仕事の現場で放置されがちな“アナログ的”な情報との連携も図っていきたい

Question

実際に「SkyDesk」を利用して、クラウド上でのコラボレーション環境を実現している企業では、どういった課題解決を目的に導入するケースが多いのでしょうか?

Answer

富士ゼロックス株式会社 新規事業準備室:小栗 伸重 氏

大まかに分けると、3パターンくらいになるでしょうか。まず1つ目は「現在の業務システムに限界を感じた」というシンプルな理由で、例えば、イントラネット向けのグループウェアを利用していた企業が、単純にモバイルで使いたいというだけでも対応が大変だとか、あるいは機能や性能面に不満が生じてきて、システム全体を置き換えたいというケースです。そして、2つ目は、新しい勤務形態やビジネススタイルに対応するために、既存のシステムでは足りない部分を補う意味で導入を検討するケース。3つ目は、ほかの企業や大学の研究機関、あるいはNPOなど、社外の組織と連携して、恒常的に共同作業を行う具体的なプロジェクトが浮上していて、それに対処しなければならないというケースですね。

Question

入り口としては、ユーザ単位で登録していくというかたちになっているわけですが、企業単位でトップダウンで導入するということもあるのでしょうか?

Answer

ありますね。従来のシステム導入の流れは、情報システム部門などが検討した上で、トップダウンで導入を決めるというのが一般的でしたから、「SkyDesk」でもそうしたかたちで、例えば100ユーザなど、まとまった数のIDで利用を開始したいという企業も少なくありません。ただ一方で、「SkyDesk」ではユーザが個別に登録して、いわば、ボトムアップでつながって導入されていくというケースも多くなっています。エンタープライズソーシャルにおいては、この2つのうちのどちらの導入モデルが適しているのか、あるいは別に最適な導入のしかたがあるのかといった点は、今後、業界全体として検討されていくことになるかもしれませんが、いずれにせよ、個人単位や部門単位で導入されたツールが、徐々に企業全体に波及していくという方向もなきにしもあらずではないかなと感じています。

Question

ビジネスコラボレーションの効率化を図るツールとして、機能面で今後目指している方向性などはありますでしょうか?

Answer

フォーカスを当てたいと考えているのは、アナログ的な部分ですね。「SkyDesk」では既に名刺を簡単に取り込んで管理するツールを基本機能として用意したり、アクティビティでは投稿場所の位置情報が登録できるなど、様々なアナログ的な情報との連携を行っていますが、そのほかにも会議でのホワイトボードへの書き込み、手書きメモなど、仕事のコミュニケーションの現場には、従来の情報システムでは拾い切れていなかったり、カバーできていない様々なアナログ情報があるはずです。こういう話をすると、「富士ゼロックスだから最終的にプリントアウトにつなげたいんでしょう」とか言われることもあるんですが、当然ながらそういう発想ではなく、コミュニケーションやコラボレーションの環境を再構築し、軸を作り直すというタイミングだからこそ、アナログ的な部分をきっちり取り込んでおきたいという思いがあるということです。


●ありがとうございました。


取材協力

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多様なスタイルのビジネスコミュニケーションに対応し、モバイル端末とも連携して利用できる、パブリック・クラウドサービス「SkyDesk」を2011年8月から提供開始。社内外での協業を支援することを重視し、プロジェクト活動などで重要となる、情報の共有範囲を明確にすることで、安心・信頼して、業務利用できる仕事のコミュニケーション環境を展開している。


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